脳科学者の中野信子さんがTBSラジオ『ジェーン・スー相談は踊る』に出演。リスナーからの相談の回答の中で、記憶を司る脳の器官、海馬の話をし、さらにお酒を飲んで酔って記憶を無くす原因について話していました。
(中野信子)(相談メールを読む)『スーさん、中野さん、こんばんは。私の家族は私の幼少のことをよく話しますが、当の本人は自分の幼少のことは覚えていません。昔のこと、幼少のことを覚えている人と覚えていない人の脳の違いは何なのですか?よろしくお願いします』。52才男性からです。
(ジェーン・スー)ありがとうございます。
(中野信子)うん。これですねー、海馬という器官がありますね。脳の中に。まあ、記憶を司る。記憶を作る入口になるような器官ですけども。これが成熟してくる。まあ、機能が働き始めるのが3才ごろと言われてますね。
(ジェーン・スー)ああ、そうなんだ。
海馬は3才ごろから機能しだす
(中野信子)だから3才以前の記憶っていうのは人によってちょっと個人差はあるけれども、あんまりないのが普通です。で、ある人は、海馬が何らかの理由でものすごい早く発達していたか、まあそれ、私はないと思うけども。あるいは、大人になってから作られた記憶か、どっちかかな?と思いますね。
(ジェーン・スー)そうですね。うん。
(中野信子)あと、断片的な記憶っていうのは覚えている可能性があって。それをつなぎ合わせるのを大人になってからっていうか、ちょっと年齢がいってからやるっていうことが考えられるので。まあ、幼少のこと・・・3才以降の記憶だとちょっとまた話が変わってくるかな?
(ジェーン・スー)3才より後のことを覚えているんだったら別にそんなにって。そっから後だったら、まあ、人より若干海馬の成長するスピードが早かったか遅かったかっていう話で、そんなに気にすることないってことですね?
(中野信子)と、思いますけどね。幼少のころのことを覚えていないというのも、そんなに深刻な話ではないとは思うんですが。うーん・・・結構、メッセージが短いからな。もしかすると深刻な事情があったらどうしよう?とかね、いろいろ考えちゃうね。
(ジェーン・スー)ああー。いや、たぶんそんな深刻な事情はないと思うから。大丈夫。
(中野信子)そうかな?(笑)。
(ジェーン・スー)本当に君は気遣いしいだな。でもね、すごいいまね、1個パツーン!と来ました。そうか。海馬が育っているか育っていないかっていうことで考えたら、生まれる前の記憶で『僕はママのお腹に入ろうと決めたんだよ』みたいな話をたまに聞くけど、海馬ねえよな?っていうね。これ以上は差し控えさせていただきます。
(中野信子)そうね(笑)。そう。もうちょっとね、記憶のことでいうと、お酒飲んだ時に記憶がなくなるってあるでしょ?あれは、海馬が記憶を作ってないの。麻痺してて。
(ジェーン・スー)ええ~っ!?瞬間的に海馬が忘れているとかじゃなくて?
(中野信子)忘れるんじゃないの。もうそもそも記憶を作ってないの。そう。
(ジェーン・スー)お、面白い話だね、それね!それだけで2時間飲めるね。私、下戸だけど。
(中野信子)そうだね(笑)。でも、お家に帰れるっていうのは、海馬じゃないところにある記憶がお家までの道っていうのを覚えていて。ナビゲーションニューロンって言われるけど、それがお家まで自分を連れて行ってくれるんですね。だけど、それが出来上がるまでには数週間ぐらいかかるから。回路が出来上がるまでにね。なので、引っ越ししたばっかりだと、前のお家に帰っちゃったりするの(笑)。
(ジェーン・スー)聞いたことある!聞いたことある!その話!
(中野信子)そういう風になっちゃうんだよね(笑)。
(ジェーン・スー)引っ越したばかりの方。泥酔するのは1、2ヶ月後にしてください。ありがとうございます。
(中野信子)(笑)
<書き起こしおわり>