在日ファンクの浜野謙太さんと音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんがTBSラジオ特別番組『ハマケン×ヨシアキの赤坂 funkastic night ~オレたちのファンクミュージック~』に出演。5つのお題に基づいたファンク曲をそれぞれ選曲し、ファンクについて語り合っていました。
在日ファンクの浜野謙太さんとの音楽特番、本日23時からです!|ハマケン×ヨシアキの赤坂 funkastic night ~オレたちのファンクミュージック~|TBS RADIO 954kHz http://t.co/ev48St8D8B pic.twitter.com/yfQ8KQT8lc
— 高橋芳朗 (@ysak0406) 2015, 5月 30
(高橋芳朗)さあ、というわけで私、高橋芳朗と、
(浜野謙太)在日ファンクのボーカル、浜野謙太でお送りしている、ハマケン!
(高橋芳朗)ヨシアキの!
(浜野謙太)赤坂funkastic night!
(高橋芳朗)オレたちのファンクミュージックですね。じゃあ、いよいよ本題に入っていきたいと思います。ここからはですね、いくつかのテーマを設定して、1分間の制限時間を設けてどんな曲か?をプレゼン。その後、実際の曲を聞いてもらうという流れで進行していきたいと思います。
ファンク初体験曲
(高橋芳朗)じゃあまず、最初の選曲テーマを発表いたしましょう。最初の選曲テーマはこちら。『私のファンク初体験』。大丈夫ですか?
(浜野謙太)大丈夫です。あ、こういうことですよね。1分間の制限・・・
(高橋芳朗)そうですね。難しいところですけど。じゃあまずは、ハマケンさんの選曲からいってみましょうか。
(浜野謙太)はい。じゃあ僕がまず紹介したい曲はこちらです!『 Play That Funky Music』。ワイルド・チェリー(Wild Cherry)。
(高橋芳朗)おおっ!
(浜野謙太)これにはちょっと理由があるんですよ(笑)。
(高橋芳朗)そりゃ、理由があるでしょ!
(浜野謙太)理由がある。この曲っていうのはね、ホワイトボーイたちが歌っている曲なんですよ。実は。白人さんが歌っていて。だから、『Play that funky music white boy♪』っていうのがサビなんですけども。それをですね、白人にもかっこいいブラック・ミュージックができるんだぜ!っていうのが、どこか僕らの胸を打つところがあるんですけど。僕、昔やっていた阿佐ヶ谷のライブハウスでですね、僕、その頃、スカパンクバンドをやってたんですけど。
(高橋芳朗)スカパンク?はい。
(浜野謙太)そこで対バンでよく出てた東京ホームランセンターっていうおじさんたちがいて。その人たちがコピーしかやんないんですけど、めちゃくちゃかっこよかったんですよ。それで、初めてファンクに出会ったんですけど、その人たちがやっていたのが、この『Play That Funky Music』。
(高橋芳朗)おおーっ!
(プレゼン時間1分間終了のゴングが鳴る)
(浜野謙太)それでは聞いてください。『Play That Funky Music』。ワイルド・チェリー。
(浜野謙太)お送りしているのはワイルド・チェリーで『Play That Funky Music』。
(高橋芳朗)いいですねー。かっこいいですね。
(浜野謙太)かっこいいんですね。これ。
(高橋芳朗)結構、『ファンクのノリは黒人にしか出せねえんだ』とか言う人、いるじゃないですか。いますよね?それこそ、ハマケンさんなんかもよく言われたりすると思うんですけども。
(浜野謙太)いやいや、『身体能力が・・・』とかね。
(高橋芳朗)言われますよね(笑)。やっぱこういう白人のバンドがこういうかっこいいファンクを演奏していると、我々日本人としては勇気が出ますよね。
(浜野謙太)そうなんですよね。僕が最初に感化された『ブルースブラザーズ』という映画も、まあ同じような感じというか。ハチャメチャじゃないですか。『ブラック・ミュージック、俺らにもできるんだ!』みたいな(笑)。『いやいや、ブラック・ミュージックだから・・・』みたいな(笑)。
(高橋芳朗)(笑)
(浜野謙太)いや、でもそういうの、『ブラック・ミュージックはみんなのものだ!みたいなの、いいな!』と思って。やっぱり、ブラック・ミュージックをやっている人たちも、壁をなぜか乗り越えて来てくれるっていう。なんかそこがすごいところだなと思って。
(高橋芳朗)そうですよね。ファンクは本当、国境とか人種を超えるパワーがありますよね。うん、うん。素晴らしい、ナイスな選曲でございますよ。では続いて、私の選曲、行かせていただきたいと思います。僕が選んだ曲はこちらです!スライ・アンド・ザ・ファミリーストーン(Sly & The Family Stone)の『Stand!』。1969年の作品でございます。あの、僕にとってファンクはダンスミュージックであると同時にですね、闘争の音楽。
(浜野謙太)ああ、そうですね。
(高橋芳朗)戦いの音楽という感じが強くて。やっぱり60年代、70年代のアメリカで公民権運動とかブラックパワー・ムーブメントが勃発した時に、人種差別に立ち向かう民衆を奮い立たせた音楽っていうイメージがあるんですね。で、スライ・アンド・ザ・ファミリーストーンはまさにそんな自分のファンクのイメージに忠実な音楽。闘争の音楽であり、魂を鼓舞する音楽と言えると思うんですけども。
(浜野謙太)なるほど。
(高橋芳朗)そのスライの曲の中でも、この『Stand!』がね、いちばんファンクのかっこよさがわかりやすく提示されていると思うんですね。で、これ、最初の2分は割と穏やかな感じで始まるんですけど、残りの1分で曲調がガラリと豹変するんですよ。突然アグレッシブなファンクに変わるんだけど。ここがクッと戦闘モードに入るような感じなんですよ。この展開がめちゃくちゃかっこいい!なんか甘い、優しい顔をして入り込んで来るんだけど、その実、ギラギラしたものを秘めていたというか。
(浜野謙太)刻まれてますよ。
(プレゼン時間1分間終了のゴングが鳴る)
(高橋芳朗)うん。まあ、羊の皮をかぶった狼という感じですかね?じゃあ、聞いていただきましょう。スライ・アンド・ザ・ファミリーストーンで『Stand!』です。
(高橋芳朗)はい。というわけで、スライ・アンド・ザ・ファミリーストーン『Stand!』。ファンク初体験曲として紹介いたしました。1969年。僕、18、9ぐらいの時ですかね。たぶん、それまでにもファンクにカテゴライズされるような曲は耳に入っていたと思うんですよ。プリンスとか。でもまあ、ファンクをちゃんと理解、認識したのはこの曲が初めてだったんじゃないかな?と。
(浜野謙太)ああ、ファンクだ!って?
(高橋芳朗)そうですね。まさにその最後の1分のところ。これか!これがファンクか!っていう感じ。アジテートされる感じっていうか。
(浜野謙太)あれ、燃えますよね!
(高橋芳朗)煽られますよね。思いっきり。
(浜野謙太)僕、この方式みたいなの、断片的に自分らの曲に取り入れたりしてるんですよ。なんか穏やかだったのがいきなり怒るみたいな。
(高橋芳朗)豹変する感じ。
(浜野謙太)そう。結構、何曲かで使ったりしてますね。このパターン。
(高橋芳朗)うんうんうん。ということで最初のテーマ『私のファンク初体験』でした。
ジェームズ・ブラウン おすすめファンク曲
(浜野謙太)さて、続いてのテーマですけども。ミスターダイナマイト!ソウル・ブラザーナンバーワン!キング・オブ・ソウル!様々なキャッチフレーズでおなじみのこの人、ジェームズ・ブラウンさんのこの1曲!
(高橋芳朗)おおーっ!来ました。
(浜野謙太)まあね、ファンクを語る上では当然外せないJBの曲をお互い選曲します。
(高橋芳朗)これも大量にありますからね。JBのね。ちょっとどんな曲をハマケンさんが選んでいるのか、非常に楽しみなところですが。
(浜野謙太)ちょっと待って下さい(笑)。
(高橋芳朗)ございますよ。うん。じゃあまず、ハマケンさんの選曲から。お願いいたします。
(浜野謙太)僕が紹介したい曲はこれです!『Since You’ve Been Gone』。こちらはですね、このバージョン。ジェームズ・ブラウン、同じタイトルでもいろんなバージョンありますけども。これは未発表曲ばかりを集めた『Motherlode』というアルバムの中からの1曲なんですけども。
(高橋芳朗)うん。
(浜野謙太)これがですね、曲調・・・どっちを話そうかな?
(高橋芳朗)(笑)
(浜野謙太)(笑)。これがね、素晴らしいんですよ。なぜ素晴らしいか?っていうと、J.B.’sのオリジナルメンバーと、JBがケンカをして、いろんなことでモメて抜けて、『あいつらを入れようぜ』って新しくブーツィー・コリンズとかキャットフィッシュ・コリンズとか。新しい若いメンバーを入れて、やったセッションの中の曲というか。で、この曲はですね、本当・・・
(プレゼン時間1分間終了のゴングが鳴る)
(高橋芳朗)(笑)
(浜野謙太)(笑)。ちょっと俺・・・とりあえず、聞いてください。『Since You’ve Been Gone』。ジェームズ・ブラウン!
(浜野謙太)ジェームズ・ブラウンで『Since You’ve Been Gone』をお送りしております。すいません。案の定、1分じゃあ言えませんでしたけど(笑)。
(高橋芳朗)なにか言い残したことは?ありましたら。
(浜野謙太)そうなんですよ。いや、これやっぱりね、自分の歴史とは切り離せないんですけど。ジェームズ・ブラウン、最初はブルースブラザーズとか、あと、カップラーメンのCM。ミソッパ!みたいな。で、ゲロッパ!がいちばん有名だから、それから入るじゃないですか。なんかよくわからないうちに、『ゲロッパ!の人でしょ?』みたいな。ただ、70年代のを聞いたりとか、それから海賊版のDVDを見たりとかすると、こんなめちゃくちゃかっこいいことをやっていた人なんだ!だからみんな尊敬するんだ!って、なるじゃないですか。で、もうジェームズ・ブラウンを掘るわけですけども。
(高橋芳朗)はい。
(浜野謙太)で、ジェームズ・ブラウンの買ったことがないCDがあったら買うみたいな。貧乏だけど、買うみたいな。
(高橋芳朗)(笑)
(浜野謙太)で、その中の、もう燃えている時に出会った『Motherlode』っていうCDに、いまだから結構出回ってますけども、これに出会った時はもう、この人について行くしかない!って思ったんですね。
(高橋芳朗)非常にキャリアの長いアーティストですから、どの盤を選ぶか?って非常に重要なんですよね。
(浜野謙太)そうなんですよね。で、面白いところは、『J.B.’sがいいよね』とか『メイシオがいいよね』って言われるけど、やっぱり感動するところは残酷なもんで、そういう人たちがいない時だったり・・・
(高橋芳朗)(笑)
(浜野謙太)でも、この時に、『評判になっているあいつらを呼ぼう!』っつって、ブーツィー・コリンズとかを呼んで。そこらへんの演奏って、神がかってルンですよね。僕が好きなライブもそこらへんの演奏ですし。だからもう、このうねるようなブーツィーのベースとか、本当に、ファンクの歴史をいきなり変えちゃったぐらいのラインだと思うんですよね。で、またそういうスタープレイヤーと切っても切り離せないジェームズ・ブラウンって、またすごいなと思うんですよね。
(高橋芳朗)うん。そうですよね。JBのバッキングのね、そうそうたるラインナップをチェックしていくのもまた楽しかったりしますよね。
(浜野謙太)すごいんですよ。で、これ、JBの伝記でファンクが始まったのは『Papa’s Got A Brand New Bag』って言ってるんですよ。で、その後に『Out Of Sight』っていうが生まれて・・・って言ってるんですけど。あっ、たしかにちょっといままでと違うなって思うんですけど。やっぱり僕ら、もうファンクが出切った後に掘り下げた世代から聞くと、やっぱりちょっとソウル寄りなんですよね。あそこらへんは。
(高橋芳朗)うん。ファンキーソウルっていう感じですよね。
(浜野謙太)そうなんですよね。で、なぜか?って思ったら、JBがあんまり好きじゃないって公言しているブルースの要素が入ってるんですよ。どうしてもブルース信仰みたいなのが続いていて。それが消えるのが、『Cold Sweat』。『Cold Sweat』はドラムもトリッキーで。その後に、『Mother Popcorn』って続くんですけど。で、まさにその完成形みたいな感じなんですよ。この曲の。そんなに有名じゃないと思うんですけど、このセッションは。ここが完成形なんじゃないかな?っていう。
(高橋芳朗)うんうんうん。なるほど。わかりました。渋い選曲でございました。じゃあ続いて、よろしいでしょうか?私の選曲、いってみたいと思います。私が選んだ曲はこちら。『Get Up, Get Into It And Get Involved』。1970年の作品でございます。で、この曲はですね、『In the Jungle Groove』っていう1986年に出たコンピレーションに入ってるんですけど。
(浜野謙太)はい。
(高橋芳朗)このコンピレーション、非常に画期的なアルバムでしてね。なんて言うんでしょう?ジェームズ・ブラウンのクラブミュージック解釈というか。当時台頭してきたヒップホップとかクラブミュージックのルーツとしてのジェームズ・ブラウンという観点で組まれた編集盤になるんですよ。で、よく『ヒップホップのルーツはジェームズ・ブラウンだ』とか、『ジェームズ・ブラウンはヒップホップのゴッドファーザー』なんて言われるんですけど。で、『なるほど!そうなのか!』なんて思って、うっかりCD屋にJBのベスト盤買いに行って普通のCDとか買ってくると、これじゃねーよ!って。これじゃない感が半端ないんですよ。
(浜野謙太)(爆笑)
(高橋芳朗)だからここには、『Please, Please, Please』も『Sex Machine』も『Living in America』も入ってないけど、俺たちのJBのベストアルバムはこの『In the Jungle Groove』。ヒップホップ世代のベストアルバムですね。
(浜野謙太)『Sex Machine』は入ってるんじゃないですか?
(高橋芳朗)入ってないですね。
(浜野謙太)あ、『Sex Machine』も入ってないんですね!(笑)。
(プレゼン時間1分間終了のゴングが鳴る)
(高橋芳朗)じゃあ、聞いてください。ジェームズ・ブラウンで『Get Up, Get Into It And Get Involved』です。
(高橋芳朗)お聞きいただいているのはジェームズ・ブラウン『Get Up, Get Into It And Get Involved』。いや、でもこれね、すごいうれしいですよ。ハマケンさん。ジェームズ・ブラウンのクラブミュージック解釈のコンピレーションって言いましたけど、『In the Jungle Groove』が1986年に出て、その2年後に出たのがハマケンが選んだ『Since You’ve Been Gone』が入っている『Motherlode』。
(浜野謙太)ああ、そうなんですね。
(高橋芳朗)だから兄弟のような関係のアルバムなんですよ。
(浜野謙太)ああ、そっか。
(高橋芳朗)だからやっぱり僕らの世代でJBって言うと、この『In the Jungle Groove』と『Motherlode』なんじゃないですかね?
(浜野謙太)ああ、よかったー!なんかなっちゃうんですよね。やっぱりね。
(高橋芳朗)このへんのイメージなんですよ。JBっていうと、僕たちは。『In the Jungle Groove』って言いますとですね、この中でいちばん有名なのが『Funky Drummer』。
(浜野謙太)あ、そうですね。サンプリング、むちゃくちゃされている。
(高橋芳朗)そうですね。まあ、史上最もサンプリングされている曲として有名なんですけども。1000曲以上と言われておりますね。で、これがサンプリングしやすいようにですね、エディットされているんですね。ドラムの部分がより長く組んでありまして。
(浜野謙太)SAKEROCKも、SAKEROCKのいちばん最初に作った曲っていうのが『慰安旅行』っていうのがあるんですけど。それのデモを星野源くんが作ってきた時も、『Funky Drummer』のサンプリングの上にコードを乗っけて。めちゃくちゃファンキーなんですよ(笑)。
(高橋芳朗)だからやっぱりヒップホップジェネレーションならではの曲作りっていう感じ、しませんか?
(浜野謙太)そうだったんだな!と思って。『それいいね!』ぐらいにしか思ってなかったんですけど、いま考えると、星野源くん、やっぱりすげーかっこいいことしてたんだなって。
(高橋芳朗)いや、めちゃくちゃかっこいいですよ。つーかそれ、聞きたいですね。いずれなんか、未発表音源集みたいなものも。
(浜野謙太)ちょっと、聞かないと。リーダーに(笑)。
(高橋芳朗)(笑)。お願いしてみてください!
私的秘蔵ファンク曲
(高橋芳朗)続いての選曲テーマはこちら。『私的秘蔵ファンク』。まあ、プライベートな1曲。とっておきの感じだと思うんですけども。いってみましょう。じゃあハマケンさんの選曲、お願いします。
(浜野謙太)はい。ということで私、この秘蔵の曲をですね、自分の本棚、CDライブラリーから探しても、どこにあるか見つからなかったのでiTunesでダウンロードしました(笑)。
(高橋芳朗)(笑)。便利な世の中になりました。はい。
(浜野謙太)『Give Me A Chance』。シャロン・ジョーンズ&ザ・ダップ・キングス(Sharon Jones & The Dap-Kings)。この人たちのことをですね、調べればわかるんだと思うんですけど。僕はあんまりちゃんと調べてなくて。
(高橋芳朗)まあ、現行のファンクバンドですね。
(浜野謙太)そうなんです。いまの人たちで。で、まあ機材なり音質なりをその頃のレアグルーヴを忠実に再現しようとしている人たちなんですけども。で、やっぱりやる曲やる曲、かっこいいんですよ。で、7インチっぽい曲ばっかりで。その中でも、この曲はですね、僕が大好きなファンクの特徴であるメジャーかマイナーかわからない。これが遺憾なく発揮されている曲で・・・
(プレゼン時間1分間終了のゴングが鳴る)
(高橋芳朗)(笑)。曲をお願いします!
(浜野謙太)『Give Me A Chance』。シャロン・ジョーンズ&ザ・ダップ・キングス。
(浜野謙太)お聞きいただいているのはシャロン・ジョーンズ&ザ・ダップ・キングスで『Give Me A Chance』です。まあ、メジャーかマイナーかわからないっていうのは僕、さっき流させてもらった『Since You’ve Been Gone』。ブーツィーのどこに行くか分からないベースみたいなのから、もう頭がなっているんでしょうね。あれに感化されて。なのでこの、ちょっともうどこに行くか、行き先がわからないぐらいのベースラインがすごい好きで。
(高橋芳朗)うねってますもんね!
(浜野謙太)うねってます。結果、プラマイゼロになる、みたいな。
(高橋芳朗)(笑)
(浜野謙太)その感じが、なんか無機質な感じみたいなのが好きなんですね。機械っぽいというか。
(高橋芳朗)はい。というわけでハマケンさんの秘蔵ファンク。シャロン・ジョーンズ&ザ・ダップ・キングス『Give Me A Chance』、聞いていただきましたが。続いて私の選曲、いってみたいと思います。私が選んだ曲はこちら!J.C.デイビス(J.C. Davis)の『A New Day』。1969年の作品でございます。
(浜野謙太)おっ、いい年。
(高橋芳朗)いまから10年くらい前ですかね?結構ファンクの貴重音源を掘るのがちょっとしたブームになって。その流れでいままで一部のマニアがウヒャウヒャ楽しんでいたようなレアなファンクの曲をまとめたCDが大量にリリースされて。で、そういうCDのライナーノーツ見ると、すごいんですよね。いまの、貴重音源の発掘の仕方が。中古盤屋を巡ってレコード掘るとかじゃなくて、当時のプレイヤーの住所を調べて、その自宅に押しかけてですね・・・
(浜野謙太)マジですか?
(高橋芳朗)はい。いわゆるプライベートプレスっていうんですかね?本当、仲間内だけで録音して、本当身内だけに配ったようなレコードを買い取って、それをCD化したりとか。
(浜野謙太)そんなことやってる!?
(高橋芳朗)やってるんですよ。まあ、そういう、再発ブームの時に出たのがこのJ.C.デイビスの『A New Day』なんですけれども。まあでも、この人はJBのバックで演奏してたサックスプレイヤーなんですけどね。
(プレゼン時間1分間終了のゴングが鳴る)
(高橋芳朗)はい。じゃあ聞いてください。J.C.デイビスで『A New Day』。
(高橋芳朗)はい。というわけで私的秘蔵ファンク、私、高橋芳朗の選曲でお聞き頂いているのはJ.C.デイビスの『A New Day』。これ、結構ちょっとおしゃれ目のファンクなんですけども、ジャスティン・ティンバーレイクがサンプリングしてるんですよ。
(浜野謙太)このドラムとか、完璧ですよ。なんでこんな、ガラクタみたいな音っていうか。いい意味で。
(高橋芳朗)そうですね。当時のレコード技術だからこそなせる魔法みたいな音なんでしょうね。
(浜野謙太)ねえ。こういうの、たぶんなんかこう、いろいろ機材をやったり、そういうコンポをかけないと、いまじゃ再現できないっていうか。
(高橋芳朗)だからまあ、これをそのままサンプリングして使うっていうかね。
(浜野謙太)ああ、そうなんですか。
(高橋芳朗)というわけで、私的秘蔵ファンクでした。
別ジャンルの中のファンク曲
(浜野謙太)さあ、続いての選曲テーマですけども、『別ジャンルの中のファンク』!
(高橋芳朗)おおー。
(浜野謙太)いろいろな音楽のジャンルに影響を与えているファンクですけども。ここでは、ロックとか、その他別ジャンルの中にうかがえるファンクに注目して選曲していきます。
(高橋芳朗)じゃあ今回は、僕から選曲したいと思います。私が選んだのはこちら!キース・リチャーズ(Keith Richards)の『Big Enough』。1988年の作品です。
(浜野謙太)おおっ!
(高橋芳朗)僕、もともとロック少年だったんですけども。黒人音楽を聞くようになったのは結構ロックを媒介として聞くようになったところが大きくてですね。まあ、ポール・ウェラーとかもそうだし、ビートルズもそうだし、ホール・アンド・オーツとかもそうなんですけども。やっぱりローリング・ストーンズの影響が、存在がいちばん大きかったですね。
(浜野謙太)あ、そうなんですね。
(高橋芳朗)はい。で、ストーンズは結構ありとあらゆるブラック・ミュージックにチャレンジしていて。まあファンクも当然取り入れているんですけど。で、ストーンズのファンクの代表作として、『Hot Stuff』っていう1976年の作品があるんですけど。それをグッと完成度を高めたような曲がこのキース・リチャーズの『Big Enough』という曲で。これ、ベースがブーツィー・コリンズ。キーボードがバーニー・ウォーレル。で、サックスがメイシオ・パーカー。要はジェームズ・ブラウンとかPファンクの黄金時代を支えた名手たちが結集している曲になるんですよ。
(浜野謙太)なるほどね!
(高橋芳朗)だからキース・リチャーズが初めてのソロアルバムを作るに当たって、アルバムのこれ、1曲目なんですけど。ロックンロールじゃなくて、ファンクをやっている!っていうところがかっこいいな!と思います。
(プレゼン時間1分間終了のゴングが鳴る)
(高橋芳朗)はい。じゃあ聞いてください。キース・リチャーズで『Big Enough』です。
(高橋芳朗)キース・リチャーズ、『Big Enough』。聞いていただきました。
(浜野謙太)もう、あれですね。Pファンク。
(高橋芳朗)そうですね。Pファンクオールスターズがバックを務めていると言っても過言ではないと思います。
(浜野謙太)あれなんですよ。今度のJBの映画(『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』)のプロデューサーがミック・ジャガーさんですし。だから、ジェームズ・ブラウンの一派とローリング・ストーンズっていうのはやっぱり深いつながりがあったみたいですね。
(高橋芳朗)そうですね。あの、映画の劇中でも、ちらっとストーンズが出てきたりするんですよね。たしかね。
(浜野謙太)それでJBが『ようこそ』みたいなことを言うんですけど。『ようこそ、アメリカへ。ぶちのめしてやる!』みたいな。なんかそんな勢いで言うんですけど。
(高橋芳朗)ミック・ジャガーがプロデュースしてるのに、そんなシーンが入っているっていうのがまたね、いいですよね。
(浜野謙太)ただなんか自伝を読むと、すっごい仲よかったみたいですけども(笑)。
(高橋芳朗)うんうん。じゃあ今度は、ハマケンさんの選曲。別ジャンルの中のファンク。どんな曲を選んだんでしょう?
(浜野謙太)はい。僕の選んだ曲は、この曲です!Berryz工房『あなたなしでは生きてゆけない』。
(高橋芳朗)おおっ!これは意表をつく選曲。
(浜野謙太)僕ね、本当ファンク以外聞かないんです(笑)。
(高橋芳朗)(笑)
(浜野謙太)なので、すいません。本当になんか別ジャンルから探すのがすごく困難で。ジャズからは見つけられそうな気がしたんですけど、まあそれはちょっと、流れをくんでいるんでちょっと卑怯かな?ということで。これは、実は芳朗さんがやっていたトップ5金曜日の時に選曲で流れた曲で。僕、車を運転して聞いて、『あ、なにこれ?超かっこいいじゃん!』って(笑)。
(高橋芳朗)(爆笑)
(浜野謙太)で、iTunesでダウンロードした曲です。すいません!
(プレゼン時間1分間終了のゴングが鳴る)
(浜野謙太)聞いてください。Berryz工房で『あなたなしでは生きてゆけない』。
(浜野謙太)聞いて頂いているのはBerryz工房で『あなたなしでは生きてゆけない』です。
(高橋芳朗)いや、これはかっこいいっすよ!めっちゃかっこいいです。
(浜野謙太)これがなぜファンクなのか?と言いますと、僕、さっきも言いましたけど、ファンク以外、あまり聞かない(笑)。特にロックはぜんぜん入ってこないんですけど。なので、耳に入ってきた曲っていうのはファンクなんですよ。
(高橋芳朗)なるほど。ハマケンさんの耳に飛び込んで来たら全てファンクという。
(浜野謙太)ファンクなんです(笑)。これ、本当にかっけー!って。
(高橋芳朗)そうなんです。この曲はジェイZの『I Just Wanna Love U』っていう曲とか、ジャスティン・ティンバーレイクの『Rock Your Body』っていう曲がモチーフになっているんです。あの『Happy』でおなじみファレル・ウィリアムスが率いるネプチューンズっていうプロデュースチームが作った曲をモチーフにしてるんで。
(浜野謙太)あ、ネプチューンズっていうのはそのチーム名なんですね。
(高橋芳朗)そうです。そうです。だから、そりゃハマケンさんの耳に入ってきますよ。ファンクですから。
(浜野謙太)ファンクですね。なんだ、つながりあるじゃん!なんだ、それだと思いましたよ。
.
(高橋芳朗)(笑)
(浜野謙太)だと思いましたよー(笑)。
現代の音楽に息づくファンク曲
(高橋芳朗)さあ、ついに最後の選曲テーマになりました。最後はこちら。『ファンク現在進行形』。というわけで、ファンクはいまの音楽にも息づいているということを証明するような曲をお互いで選んでみたいと思いますけども。じゃあ最後はまた僕から、いってみたいと思います。私が選んだのはこちら。ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)で『King Kunta』。2015年3月にリリースされたばかりでございます。
(高橋芳朗)やっぱりね、最近、ヒップホップこそ現代のファンクなんだって思い知らされることが多くてですね。やっぱりファンクは60年代、70年代に人種差別に立ち向かう民衆を奮い立たせた音楽みたいな背景があるわけですけども。去年から、アメリカであの、黒人に対する白人警官の蛮行とか暴力が大きな社会問題になっているじゃないですか。
(浜野謙太)うん。
(高橋芳朗)で、ここに来て、アメリカの根深い人種差別が浮き彫りになってきているわけですけども。そんな状況の中で、60年代、70年代のファンクと同じような機能をいま、ヒップホップが果たしているなと。で、その急先鋒といえる存在がこのケンドリック・ラマーという人で。この『King Kunta』という曲はですね、ジョージ・クリントン率いるパーラメントのヒット曲のフレーズ。『We want Funk, We want Funk』っていうフレーズがね、最後の方に入っていたりして。まあ『往年のファンクスピリットをいま取り戻そう。原点を見つめなおそう』と。そういうメッセージが込められている曲なんじゃないかな?と思います。
(プレゼン時間1分間終了のゴングが鳴る)
(高橋芳朗)はい。じゃあ聞いてください。ケンドリック・ラマーで『King Kunta』です。
(高橋芳朗)ファンク現在進行形というテーマで選びました、ケンドリック・ラマーの『King Kunta』でございます。この曲、『To Pimp A Butterfly』っていう3月に出たばっかりのアルバムに入っているんですけども。これ、ジョージ・クリントン、別の曲で参加してたりするんで。やっぱりファンクのスピリットがね、脈々と受け継がれていると。しかもそういう、なんて言うんですかね?人種差別とかが社会問題になっている時に、やっぱりこう、ファンクが闘争の音楽として人々を奮い立たせるんだなっていう。
(浜野謙太)改めて、『We want Funk』って叫ばれていると、ファンクってやっぱりなんだろうな?って思ってきますよね。
(高橋芳朗)うん。そうっすね。たしかに、改めて『We want Funk』っていう、第一線で活躍しているラッパーが言っているっていうのはすごい重いものがありますよね。うん。じゃあ最後、ハマケンさんの選曲、お願いいたします。
(浜野謙太)僕の選曲はこちらです。在日ファンクで『ぜいたく』。
(高橋芳朗)うん、来ました!
(浜野謙太)選曲させていただきました(笑)。この前ですね、5月6日に発売しましたホヤホヤのニューシングルなんですけども。『ぜいたく』。これですね、ドラマ『食の軍師』っていう漫画原作のドラマが実写になったんですけど。それのエンディングテーマをやらせていただいておりまして。カップリング『わからん』っていう曲もあるんですけど。この曲はこの曲で『おじゃる丸』のエンディングテーマ。ダブルタイアップ。
(高橋芳朗)はい。
(浜野謙太)そして3曲目には去年回ったツアーのライブ音源。これがなんと55分に渡るという。
(高橋芳朗)圧巻でした。まさに、ぜいたく。
(浜野謙太)まさにぜいたく(笑)。
(プレゼン時間1分間終了のゴングが鳴る)
(浜野謙太)そんなシングルになっております『ぜいたく』から、聞いていただきます。こちら、在日ファンクで『ぜいたく』。聞いてください。
(浜野謙太)お送りしているのは、在日ファンクで『ぜいたく』。
(高橋芳朗)ハマケンさん、歌詞とか曲のテーマ、サブジェクトとかを決める時っていうのは、どういう風に?いや、ファンクって、自ずと決まってきますよね?っていうか、なんて言うんだろう?フラストレーションとか鬱屈とか怒りとかを抱えている人がやっぱりやる音楽というか。あんまり甘いラブソングとかをこのビートに乗せようって気にはならないじゃないですか。
(浜野謙太)ただ、最近思うんですけど、最近のロックを聞いていて、最近の若い人の日本のロックとか、すげーかっこいいのいっぱいあるんですよ。でも、やっぱりロックの歌詞って、『壁をぶち壊す』みたいな意味がありますよね。だからこう、ちょっと汚い言葉も使うみたいな。なんかそういうのだけど、ファンクは合わないんですよ。
(高橋芳朗)ほうほう。
(浜野謙太)どうしても、建設的な歌詞じゃないと。なんか、一線を越えちゃいけないみたいなのがあるんですよね。
(高橋芳朗)まあでも、そうですよね。ユニティーを大事にする音楽でもありますからね。
(浜野謙太)そうなんですよ。家族だったら作る方みたいな。なんかこう、組み立てていく感じなのかな?っていうのはあるんですよね。だから、そん中でも、繰り返すんで強い単語が僕、ほしくて。キーワードをいろいろ探しているんですけど。ただそれも時間のかかる作業で。あ、この響き、いいな!と思って曲に乗せてもぜんぜん良くなかったりして。で、そこらへんに落ちている『ぜいたく』っていうのを乗せると、あっ、これ結構、怒りじゃないけどフラストレーションがバーン!とぶつかるな、みたいなのがあるっていうか。
(高橋芳朗)ということで、最後の選曲テーマ。私、高橋芳朗がケンドリック・ラマーで『King Kunta』。ハマケンさんが選んだ曲は在日ファンクで『ぜいたく』でした。
<書き起こしおわり>