高橋芳朗　イ・ヨンジ『Small girl feat. D.O.』を語る

（高橋芳朗）私が選んだ2024年、私の1曲は……イ・ヨンジ『Small girl feat. D.O.』です。今年の私ニュースとしては、やっぱりK-POPが熱かったなと。で、最近のね、韓国の尹錫悦大統領に抗議する弾劾デモでさ、K-POPの最新ヒットとかをバンバン流しながらペンラを振り回しつつシュプレヒコールしてるっていう。「ああ、こことここがこう接続するんだ」っていう、あの光景に衝撃を受けまして。やっぱり今年の1曲はK-POPから選ぼうかなと思った次第でございます。

で、このイ・ヨンジは韓国・ソウル出身の22歳のラッパー・シンガーでございます。2019年にデビューして先週ちょうどね、初来日公演を行ったばかりなんです。彼女が注目を集めたきっかけは2019年に現役高校生を対象にしたラップオーディション番組『高等ラッパー（School Rapper）』番組で。ラップ始めてまだ数ヶ月だったにも関わらず、最年少かつ、女性として初優勝をしました。

（宇多丸）へー！

（高橋芳朗）まあ、そういう感じです。そうそう。それでもう今ではね、ラッパーとしてだけでなく、結構マルチな活動を展開しておりまして。自分でホストを務めるYouTube番組があるんですよ。お酒を飲みながら、K-POPスターとトークを交わす番組なんですけど。「つまらないものですが」というタイトルなんですけどね、これがもう登録者数が400万人を超える超人気コンテンツで。彼女のね、結構あけすけなキャラクターがすごい人気なんですけど。でもトークがとにかく達者なんで。今ではテレビの司会もやったりして、大人気です。それで去年はね、コーチのグローバルアンバサダーに就任したりしております。

（宇多丸）全方位的だな。

（高橋芳朗）で、この『Small Girl』は今年の6月に彼女がリリースした初めてのEPからのヒット曲で韓国のチャート1位になってますね。K-POPのボーイズグループのEXOのD.O.がゲスト参加してるんですけど。内容が彼女、身長が175センチあるんです。そのコンプレックスに基づくラブソングで。自分よりも背が低い彼氏と付き合ったことがあったんですって。で、彼氏とある日、一緒にいた時に155センチぐらいの小柄なかわいい女の子が「元気ー？」っつってその彼氏に近寄ってきたんだって。で、それを見てすごくモヤモヤしてムカついたんですって。で、家に帰ってからその感情をぶつけたのがこの曲だという。

（宇多丸）へー！

（高橋芳朗）で、普段は自分の身長が高いことを誇りに思ってるんだけど、でもやっぱり彼氏の前ではかわいく見られたいっていうところですね。でも「少し傷ついたけども、もどかしい気持ちを曲にして金稼いでやったから満足してる」っていう。

（ジェーン・スー）OKだ！

（高橋芳朗）これ、ジェーン・スースタイルですね。

（ジェーン・スー）155センチが走ってきた時にムカつくのも含めて、よくわかりました（笑）。

（高橋芳朗）じゃあ、聞いてください（笑）。

（宇多丸）フハハハハハハハハッ！

（高橋芳朗）ありがとうございます。

（宇多丸）おしゃれだし。でも歌詞ね、すごい切ないっていうか。

（高橋芳朗）そうそうそう。だからイ・ヨンジが最初のバースでちょっとそのね、自分のコンプレックスを吐露していたら、後の客演のD.O.が彼女をフォローするみたいな、そういう構成の曲ですね。