石野卓球さんが2013年2月にTBSラジオ『伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう』に出演した際の書き起こし。ピエール瀧さん、伊集院光さんらとサシャ・バロン・コーエンの『ブルーノ』について話していました。
(伊集院光)さあ、お待たせいたしました。映画には一言も二言もあるゲストの方に、週末借りたいおすすめの一本。週末これ借りよう作品を伺います。先週に引き続き、今週のゲスト、電気グルーヴ。そして、今回は石野卓球パートでよろしくお願いします。
(石野卓球)よろしくお願いします。
(ピエール瀧)よろしくお願いします。
(伊集院光)この間、会ってちょっとお酒飲みに行った時に聞いたら、映画もそうだし、アメリカの、海外のドラマもそうだし。見てるよね。
(石野卓球)ドラマはさほどでもないけどね。ものにもよるけど。映画見ていて、邦画でいちばんガッカリするのが、瀧が出てきた瞬間(笑)。
(伊集院光)(笑)。いい映画だったのに・・・っていう(笑)。
(石野卓球)うわー、感情移入できねーよ、もう!っていうね。あるんですよ。たまに。すごい出てるから。
(ピエール瀧)まあねー。
(石野卓球)で、そこまでクレジット見ないじゃないですか。彼がどんなの出てるなんて、いちいち。それで借りてきて見たりして。金返せ!ですよ。本当(笑)。
(小林悠)(笑)
(伊集院光)いいところで出ちゃって(笑)。
(石野卓球)そうそうそう(笑)。
(小林悠)瀧さんは言わないんですか?『あれ、出てるよ』みたいに。
(ピエール瀧)だって、『あれ、出てるよ』っていちいち言っても・・・っていう。だって、知らないしさ。その時は。
(石野卓球)そうそう(笑)。
(伊集院光)俺もあるもん。ゲームでさ、なんかさ、すっごい人殺しする役で出てくるのよ。急に。でも、ちょっとこう、頭が飛んじゃった軍の人みたいなので出てきて。真っ暗闇で襲ってきたりするんだけど。でもぜったいこの人、最終的に面白いことを言うはずだから・・・みたいなことが、ゲームを台無しにしますね。
(ピエール瀧)『なーんつってなー!』なんていう(笑)。言わねえんだ?みたいな。逆に。
(石野卓球)(笑)
(伊集院光)5人殺して、『なんちゃって』って言うタイプなのに、なんにも言わないから。何なの?どうなの?みたいなさ。
(ピエール瀧)いやー、それは本当ね、身近な人たちには迷惑をおかけしてますよ。本当に(笑)。その気持ちはわかるもん。だって。
(石野卓球)恐ろしいよ。本当に。
(伊集院光)だけど、銀幕には呼ばれちゃっててしょうがないと。
(ピエール瀧)しょうがないんだよ、俺。
(伊集院光)力を貸してくださいっていうことでね。ええ。さあ、そんな卓球さんですけども。週末これ借りよう作品、なんでしょうか?
(石野卓球)はい。僕が持ってきたのは、『ブルーノ』という映画です
(伊集院光)ブルーノ?これは、いつごろの?
(石野卓球)これはね、2009年。ちょっと前ですね。
(伊集院光)でも、奇しくも先週瀧くんが紹介してくれた『アンヴィル!』も2009年。
(石野卓球)あ、そうだね。
(伊集院光)奇しくも、1時間21分も同じっていう。
(石野卓球)上映時間まで同じ。
(ピエール瀧)あ、本当だ。
(伊集院光)あ、電気グルーヴのお二人はもう、1時間21分の作品を専門で?
(小林悠)(笑)
(石野卓球)それ以外は見ないから。これは短すぎるとか、長すぎるとかね。
(伊集院光)超面白いけど、26分あるっていったら、もう見ないんだ。
(ピエール瀧)それ以上長くなったら、寝ちゃうんだろうね。もうね。持たなくて。
(伊集院光)どんな映画ですか?
怪優 サシャ・バロン・コーエン
(石野卓球)これはね、なんつーのかな?ドキュメンタリーと、あと架空の部分がごっちゃ混ぜになっているんだけど。で、イギリスのコメディアン、サシャ・バロン・コーエンによるシニカルムービーって、この資料にもあるんですけど。『ボラット』とか、最近だと『ディクテーター』っていう映画が出ているんだけど。
(小林悠)ボラット、見ました。
(伊集院光)もうなんか、さっきからこのタイトルを聞いてから、小林悠、目を輝かせてる。
(小林悠)ブルーノ、見たかったんですよ。ずっと。機会がなかったので。
(石野卓球)この人が、サシャ・バロン・コーエンが、いろんなキャラクターになりすまして、いろんな所にいって、騒動を起こすんだけど。で、それをカメラで撮って、それをまとめて映画にするっていう。
(伊集院光)へー!うわっ、めちゃめちゃ面白そう!
(石野卓球)ドッキリカメラと言えば、ドッキリカメラなんだけど。
(伊集院光)でも、映画のテイっていうか、になっているの?
(石野卓球)うん。たぶんね、作り方としてはその間をフィクションで埋めていくみたいな。で、ストーリーになっているっていうの。好きでしょ?(笑)。
(伊集院光)めちゃめちゃ・・・なんかちょっと、焼きモチ焼いちゃうぐらい。
(石野卓球)で、もともとはこのブルーノの前はボラット。ボラットの前もね、『アリ・G』っていうね、ヒップホップのBボーイみたいなね、キャラクターを演じてたのね。で、毎回毎回ぜんぜん違うキャラクターで、違う扮装して、その人になりきるっていうやつなんだけど。
(伊集院光)超おもしろいわ。
(石野卓球)で、このブルーノは、オーストリアのウィーン出身の、ゲイのファッションレポーターっていう。
(一同)(笑)
(伊集院光)なんか、何ランクか上がっていってますね。いま聞いた限り(笑)。
(ピエール瀧)設定がいいよね。
(石野卓球)そう。
(ピエール瀧)ゲイのファッションレポーターっていう(笑)。
(石野卓球)ほんでね、この彼がまたいろんなところに行って騒動を起こすんだけど。で、それがね、ただ単にドッキリカメラ的なものではなくて、すごい差別的な人間のところに行って、その人の裏側をあぶり出す見たいな。
(伊集院・小林)うわー!
(石野卓球)ところがあって。
(伊集院光)たとえば、表向きはすましているようだけど、たとえば、ゲイに対してすごく攻撃的な人とかに行ったりすると、それは現れますよね。絶対ね。
(石野卓球)そうそう。そこをね、ガンガンあぶり出すのね。で、見ていてこっちが怖くなるようなね、ところとかもあったりとかね。たとえば、アーカンソー州とかってゲイに対してすごく保守的で。厳しいところなの。そこの、プロレスのリングみたいな、格闘技のリングみたいなところで、真ん中で男同士で、最初は戦っていたんだけど、そのうちキスしだしたりとか。
(小林悠)ええーっ!?
(石野卓球)で、周りも大ブーイング。客とか泣き出すやつとかもいて。なんだ、これ!?みたいなさ。死ね!みたいなね。
(伊集院光)へー!
(石野卓球)もう見ていて、ドキドキするのね。もう、ひどいの。とにかく。
(伊集院光)すごいね。
(ピエール瀧)あの、言っちゃいけない順に言っていくみたいなね。
(伊集院光)へー!でもなんか、それがすごいのが、そういうことってそれこそ、電波少年の松村くんもいっぱいやってきたけれども。それをさ、映画にするかっこよさっていうのかな?なんか・・・
(石野卓球)そうそう。それがすごいんだよね。
(伊集院光)そのフィクション、ノンフィクション、間をはさみながら、最終的に一本の映画にするわけでしょ?これ。
(石野卓球)そう。バラエティーではないのね。確実にもう、映画になっているっていう。
(伊集院光)うわー、すげーな。なんか、すごい面白そう。
(石野卓球)そうそうそう。で、そんなネタがいっぱいあるんだけれども。で、全体の大まかなストーリーとしては、そのブルーノがウィーンで活躍していたの。ファッション番組のテレビレポーターで。なんだけど、そこを干されて。で、今度アメリカに渡って、今度はアメリカのセレブを相手に有名になるっていう目標を掲げて、いろいろ起こす珍騒動っていう。一応そういうストーリーがあるんだけどね。
(伊集院光)オチもちゃんとあるわけ?
(石野卓球)もちろん。うん。
(伊集院光)へー!これ、新しい手法だなー!
(石野卓球)これはすごく面白かったですよ。でね、彼はね、ゲイじゃないんだけど。そのゲイのね、なりきりっぷりがすごくて。いるいる!こういうやつ!っていうね。
(伊集院光)(笑)
(石野卓球)あのね、気に入らないことがあった時のね、突然キレる感じとかね(笑)。もう、本当。あと感情が、うれしい、悲しい、悔しい、怒り、以上!みたいなね(笑)。
(伊集院光)そういう演技力っていうか腕もすごいんだ。観察力と演技力みたいな。しかも、ガチでドッキリはやっているわけだから。割ってあるセリフじゃなくても、臨機応変になりきれる人なんだ。
(石野卓球)そうそうそう。
(伊集院光)それ、見どころ1になる?
(石野卓球)見どころ1、なるね。
(伊集院光)なる?なりきりっぷり。
(石野卓球)あとね、ウィーン出身だから、ドイツ語圏でしょ?英語のドイツ語なまりっていうのも逆手にとっていて。自分のことを『アイ』じゃなくて、『イッヒ』って言ったりとか。でも、英語なのね。
(伊集院光)それも上手いの。
(石野卓球)あと、スティービー・ワンダーのことを『スティービー・ブンダバー』っつったりとか(笑)。
(一同)(笑)
(石野卓球)あと、ブラッド・ピットのことは、『アドルフ・ブラッド・ピットラー』とか(笑)。
(小林悠)なんで!?(笑)。
(伊集院光)でも、それはさり気なく入れてくるわけでしょ?(笑)
(石野卓球)そうそう(笑)。
(伊集院光)すげーな!
(石野卓球)忙しいですよ。そこもわかると、なお面白いんでね。
(ピエール瀧)小林さん、超ヒットしてんのね(笑)。
(小林悠)(笑)。想像しちゃって、もう・・・ちょっとそれ、早く見たいですね。これね(笑)。
(ピエール瀧)まあ、これね。サシャ・バロン・コーエン、ケンブリッジ大学出身のインテリなイギリス人コメディアンっていう。イギリス人って、ユーモアのブラックっぷり、半端なかったりするじゃない?
(石野卓球)シニカルだよね。
(ピエール瀧)ねー。
(伊集院光)で、さらにそういう演技の勉強とかもすごいしているだろうから。おそらく、これぐらいの割合で入れたらイケるとか、これより多すぎると、わざとらしいしバレるとか。わかってやってるんだろうね。相当、計算でやっているんだろうね。
(ピエール瀧)作り方とか、どうなの?その、ドキュメントを撮って、撮れ高から間をでっち上げるのか・・・
(石野卓球)あのね、聞いたらこれね、最初に契約書を書かせるんだって。ドッキリでハメる前にね。で、契約書を書かせて、『いかなる使い方をされても構いません』みたいなことにサインをさせて撮っているから、後から訴えられるとか、ないんだって。
(伊集院光)だけどさ、それをさ、このブルーノさん?ブルーノさんとの絡みの契約書でしょ?そういうことだよね?
(石野卓球)だけどたぶん、そこは読まないでしょ。その場で、現場で。
(伊集院光)うまくなってるんだ。
(ピエール瀧)『そこまでの意味合いでサインしてねーよ、俺』って思うんだけど。ただ、『こっちとしてはこれがありますからね。ペラペラペラ』っていう。
(伊集院光)すごいね、契約社会って!
(石野卓球)あとね、すっごい俺、好きなのはこれ、映画史上に残る名シーンだと思うんだけど。あのね、チンチンがしゃべるの(笑)。
(小林悠)なにそれー!?
(石野卓球)もう、映画の歴史の中で最低のシーンだと思うんだけど。チンチンがグルグル回って、最後、しゃべるの(笑)。
(伊集院光)おそらくいま笑ってんのは、俺たちの小学生だと思うよ(笑)。俺たちの小学生はいま、大喜びだと思うよ。チンチンがグルグル回って、しゃべるって聞いただけで、『お母さん、これ、見たい!』って言ってると思うけど。
(石野卓球)ただ、日本のだとね、モザイクがかかっちゃってるんじゃないかな?っていう。
(伊集院光)ええーっ!?そんなにいいシーンなの?そんなにリアルにチンチンしゃべるの?
(石野卓球)うん。これ以下ないだろう?っていうやつ。
(ピエール瀧)それはあとはお前がチンチンが好きだからだろ?(笑)。
(石野卓球)そうそうそう(笑)。
(伊集院光)ごめんごめん。見どころ2に、『チンチンがしゃべる』が入っちゃうよ。
(石野卓球)もちろん。もちろん。回って、しゃべる。
(小林悠)いま、真剣ですね。目が(笑)。
(石野卓球)昔、漫画で『へんちんポコイダー』ってあったでしょ?
(伊集院光)あった!永井豪とダイナミックプロ。
(石野卓球)あれの変身シーンと同じ回り方をするから。
(伊集院光)クルクルクルッ!って。
(石野卓球)で、尿道で、『ブルーノ!』ってしゃべるから(笑)。
(一同)(笑)
(石野卓球)最高ですよ(笑)。
(伊集院光)だってこの番組、いろんな人が来て。戸田奈津子さんとか来て。それでいて、『この監督はね・・・』なんてポイントを挙げてくれたけど。初めてだよ。『チンチンがしゃべる』って(笑)。
(一同)(笑)
(伊集院光)チンチンがしゃべるっていま、メモしてるからねー。
(小林悠)書いてる、書いてる。伊集院さん、書いてる!(笑)。
(伊集院光)すごいなー。
(ピエール瀧)いや、まあでも、『なに?それは見なきゃ!』ってやつもいるだろうからね。
(伊集院光)いや、いるいる。ぜったいいるよ。えっ、このあとポイント3ってあるの?
(石野卓球)ポイント3はね、エンディングがあるんだけど。それがまたすごいのよ。あのね、なんて言うか、ストーリーと関係ないんだけど。えっ、こんな人が!?っていうのがね、出てくるの。しかも、いっぱい。本物。しかも。
(伊集院光)いっぱい?
(石野卓球)いっぱい出てくんの。これ、普通に集めたら、いくらかかるんだろう?みたいな。出演料だけで。
(伊集院光)へー!想像もつかないな。
(ピエール瀧)大仕掛けが最後にある。
(石野卓球)大仕掛けが最後にある。ただそれ、ストーリーとはあんまり関係ないのね。
(伊集院光)『ストーリーとは関係なく、一人ひとり集めたらいくら掛かるんだろう、えっ、こんな人が?』って、俺の中でもうAKB48しか出てこないんだけど(笑)。
(小林悠)(笑)
(石野卓球)いや、金額的にはそんなもんじゃないね。本当。本当。
(伊集院光)ああ、そう?もうなんか俺、ちょっっと見るのが楽しみで。そしていて、怖い。
(石野卓球)あ、ジェラシー?
(伊集院光)ジェラシー。だってこれ見たら、俺、影響されちゃうと思うもん。影響されちゃうし、抵抗しちゃうじゃん。ぜったい。
(石野卓球)オカマキャラ?(笑)
(伊集院光)(笑)
(ピエール瀧)なるほど(笑)。
(伊集院光)で、周りからは『マツコ・デラックスを狙っている』っていう(笑)。マツコに挑戦状を叩きつけた感じになっちゃうっていう(笑)。へー。楽しみだね。
(小林悠)楽しみですね。これは、本当にもう。
(伊集院光)いやー、2009年公開、ブルーノ。この映画、楽しみにしておきたいと思います。