※以下、2週間後の映画を見た感想編です。(ネタバレ含みます)
(伊集院光)さあ、先週あれ見たよ編ですけども。本日の映画には一言も二言もあるゲストは、先週に引き続き、電気グルーヴのお二人です。
(ピエール瀧)よろしくお願いします。
(石野卓球)よろしくお願いします。どうも。
(伊集院光)で、今回は石野卓球パートということなんですけども。卓球さんは、瀧くんおすすめのやつを見てたじゃないですか。
(石野卓球)うん。先週。アンヴィル!ね。
(伊集院光)なんで、見てないの?
(ピエール瀧)すっかり忘れてた。
(一同)(笑)
(伊集院光)なんか、面白いのはここに4人いて、3人見てるっていう状況がちょっと面白いなと思って。
(ピエール瀧)だからこれ、たぶん話を聞いたらもう見なくていいんじゃねーか?って(笑)。
(一同)(笑)
(伊集院光)えー、ちゅうことで、石野卓球パートですけども。作品はですね、イギリスのコメディアン、サシャ・バロン・コーエンがブルーノというオーストリアのファッションレポーターになりきって、世界中でさまざまなことを巻き起こす映画、ブルーノなんですけど。もうね、いちばん最初に何よりも質問。
(石野卓球)うん。
(伊集院光)この映画を見る人は、全員このからくりっていうか、サシャ・バロン・コーエンっていう人が、各地で要はドッキリカメラをやってるわけじゃん。そのドッキリカメラの映像の間に、ちょっとストーリーをつけて、いろんなカットを撮り直して、一本のストーリーにしているわけでしょ?
(石野卓球)はい。
(伊集院光)そのことをどれぐらい知って、これを見るの?
(石野卓球)どうだろう?みんな知ってるんじゃないの?
(伊集院光)っていうかあの映画のさ、頭にさ、そういうのがついてれば、そりゃあいちばんわかりやすいの。俺、やっぱり映画ってパッケージだけで見れるもんだと思っているから。でも、それに全く触れないでしょ?
(石野卓球)そうね。そういえば。
(小林悠)そうですよね。言われてみれば。
(伊集院光)だから、俺、いつも想像しちゃうのは、これ、なんも知らないで見ると、どんな感じに見えてんの?っていう。なんも知らないで見てると、ひどい主人公のひどい映画だよ。
(石野卓球)うんうん。そうね。その視点、なかったね。そういえば(笑)。
(伊集院光)だから今回たぶん、この番組的にいちばん成功だと思うのは、これ聞いて見た人はすごい面白いと思う。すごかったね。でも。
(石野卓球)うん。どうでした?(笑)。
(伊集院光)あのね、ええと、『どうかしてる』がいちばん正しいと思うんです(笑)。
(一同)(笑)
(伊集院光)どうかしてる。いちばんすごいと思ったのが、そういうさ、ゲイとかをすごく差別的に見ている人たちがいっぱい集まっているプロレス会場にブルーノが行って。『俺は男らしく生まれ変わった!』みたいなことをみんなをずっとアジって。演説すっごいして。最高潮に達したところに・・・自分のゲイパートナーのやつが入ってきて。
(一同)(笑)
(伊集院光)『目を覚ませ!』って言われて、観客は唖然としてるんだけど、金網デスマッチのリングに、なんか自然にそいつが押し込まれてきて。最終的に、抱き合って熱いキスを交わし始めたの。
(ピエール瀧)(笑)
(小林悠)ねえ!
(伊集院光)そん時の、そのゲイに対する超差別主義のみんなの、最終的に怒号に変わっていく感じと、それがケツにスロービデオになって・・・あれ、タイタニックのテーマだっけな?
(小林悠)流れてましたね!(笑)。
(伊集院光)タイタニックのテーマが後ろにずっと流れ続けるっていう(笑)。
(石野卓球)バカだよね(笑)。
(伊集院光)だから、途中から本当、目を覆って。信じられない!みたいになっちゃっているマッチョの、本当のいわゆるストレート主義の人がいて。あれ?俺、変な読み方をしたけど、この人、実はそういう要素もある人なんじゃない?っていうぐらい・・・
(石野卓球)そうそう。ねえ。
(ピエール瀧)その話をずーっと聞いていて、こいつ、そういう局面の、それこそグワーッて泣いてるのを見て、爆笑するタイプだよね。やっぱり。
(伊集院・小林)(笑)
(石野卓球)そうね話(笑)。
(伊集院光)それが、どっちもイケるよね。たぶん爆笑っていうと単に超どっきりかかっているやつっていう見方もできるけど、なんかわかんないけど、ちょっとそういうことに裏読みしたい映画の意味みたいなのを読みたくなっちゃうと、なんかその、差別をする側が滑稽に映る瞬間みたいなのも見えるから。すごいよ。
(石野卓球)逆にそのさ、ゲイに対してすごく厳しく律しているところっていうのは、自分で自分を律しているみたいなところもあってさ。自分がそっちに行っちゃうかも知れないっていうところを押さえつけることによって行かないようにしているっていう。で、むしろそういう要素はそういう人の方が持っているんじゃないか?って思うんだけどさ。
(ピエール瀧)ああー。
(石野卓球)で、そこをさ、なんかおちょくるというかさ、揺るがすんだよね。そのブルーノが。
(伊集院光)すっごいわかる。なんだっけ?政治的なとこも行っていたよね?
(石野卓球)ええと、パレスチナ。
(伊集院光)真面目なユダヤ教の人の前で、それをおちょくったような格好をしていって。追いかけ回されるというか。民衆がもう許せない!と思った瞬間が映っていて。最初はポカンとしているのに、急に追っかけはじめた時の。で、『車、出せ!』ってやってるじゃない?
(卓球・小林)(笑)
(伊集院光)あん時、すごいと思ったのが、たぶんあの相方の人も、ぜったいあの中での役名じゃない。ずっと。おそらく。付き人さんも。あの状態で、役名で呼んでいたでしょ?それがすごいと思って(笑)。
(石野卓球)すごいよね(笑)。
(伊集院光)あれは、本当に死ぬところで。だって、あれ本当に殺されるでしょ?車、出さなかったら。でも、そこで役名で呼ぶんだっていう。
(石野卓球)うん。プロ意識。
(伊集院・卓球)(笑)
(伊集院光)いま、プロ意識って言った瞬間から、『はい、プロ意識です』って言ったら負けな感じの、クソ映画なの。たぶん、ここまで聞いても見て、ぜんぜん面白いよね。おそらく。
(石野卓球)そうね。
(ピエール瀧)その、ずっと言っていた、チンチンがしゃべるはどうだったの?
(小林悠)(笑)
(伊集院光)チンチンがしゃべるところね、ボカシだったけど。
(ピエール瀧)どうだったの?
(伊集院光)そのシーンは、番組審議委員会ってあるじゃない?いわゆる番組審議委員会だよね。要するに、このVTRをこれからレギュラー番組にしていいかどうかを審査するっていう。割とそういうのに選ばれるような人が、もう本当に会議室の机に座って。『それじゃあいまから、今度この局でかけるかどうか、審査にかかっている番組をやります』みたいな。で、その・・・(笑)。もう決定的にクソみたいな番組なのよ、もう。
(石野卓球)(笑)
(伊集院光)ブルーノ主演の。ハリソン・フォードが出るって言ってるんだけど。
(石野卓球)ハリソン・フォードインタビュー(笑)。
(小林悠)(笑)
(伊集院光)もう、ハリソン・フォードが歩いているのにつきまとってるだけなんだけど(笑)。
(小林悠)『失せろ!』みたいな感じでしたけどね(笑)。
(石野卓球)(笑)
(伊集院光)そいでその、番組の途中途中にCMに行くアタックとかジングルがあるんですけど。そのたびに、裸になって『ブルーノ!』ってなって。だから番組審議委員会の堅いおじさん、おばさんたちが、もう本当に怒っているの。だまってずっと怒って。終わるまで感想を言えないから、我慢してるんだけど。で、その最後のところに、番組の『おしまい』っていうのが、グルグル回ったチンポがポーン!と止まって。『ブルーノ!』って言うんだけど(笑)。
(石野卓球)そう。俺ね、実はね、そこ海外で見たことがあって。目もついている。
(伊集院・小林)(笑)
(ピエール瀧)なんだって(笑)。お前の中では、そこはいちばん映画史として革命なんだろ?だから。
(石野卓球)そうそう。本当に。これ以下、見たことがない!っていう。極北ですよ、もう。
(伊集院光)要は黒澤明が家をどかしたのと同じ感じで、チンチンをしゃべらせたっていう(笑)。
(石野卓球)ベクトルが逆側なだけで。
(伊集院光)(笑)。でも、あの番組審議委員会、本当にああいうのがあって。俺はそれに参加させられたことがある。俺がマジックミラーで。それは新番組がもう始まっていて、不調なの。不調の2週間、3週間目ぐらいにそれをやりますと。要するに、継続するかどうかをやるっていう事になったんだけど。その時のプロデューサーがちょっとおかしい人で。『見た方が参考になるから』って言われて、もう見た時の、もう本当に3ヶ月ぐらい、人の目が見られないぐらい。きちんとした大人の人が、『なんなの?この真ん中にいる太った人の魅力の無さは』みたいなことをガンガン言うの!
(小林悠)うわー・・・!
(伊集院光)もう一切、もう、思い出してもいま、涙が出る。
(ピエール瀧)えっ、伊集院、それどういう状態で見てるの?
(伊集院光)マジックミラー。
(石野卓球)裸で?(笑)。
(伊集院光)映画の通りなの。
(ピエール瀧)裸で(笑)。
(伊集院光)もちろんですよ。
(石野卓球)めっちゃ興奮したでしょ?(笑)。
(ピエール瀧)グルグルグル、ピーン!『いじゅういん!』って(笑)。
(伊集院光)そうそうそう(笑)。で、その後、『ひどいよ!』っつって(笑)。
(一同)(笑)
(伊集院光)って言っていた。まあ、いま思い出しても寒気がするような。で、全員真面目な人で。ちゃんとこれに関して、辛辣なコメントをするぞ!っていう感じなのよ。そりゃあ、その後3ヶ月で番組、終わるよね。すぐに終わるよね。もう、ぜんぜん。
(ピエール瀧)それは伊集院がマジックミラーの中で見ているのは、回さねえんだ。それは。
(石野卓球)(爆笑)
(伊集院光)回さねえんだよ。
(ピエール瀧)回せばいいのに。それをオンエアーすれば、まだしばらく続いたのに。
(石野卓球)昼の番組で?(笑)。
(伊集院光)で、そん時にね、そこのマジックミラーを開けて出ていきたいの。だって、ラジオはラジオである程度、もう過激なことを言っているから。出ていって、『お前、言いたいこと言ってんじゃねえぞ?』って言いたいんだけど。それは制止されて、行けないじゃん。でも、ブルーノは、行く(笑)。
(一同)(笑)
(石野卓球)行くんだよね!
(伊集院光)行ったらこうなるんだ!っていう。その時のことが(笑)。
(一同)(爆笑)
(ピエール瀧)なるほどね。
(石野卓球)ひどいよね(笑)。
(伊集院光)いやー、もうこの映画こそ、なんですかね?あの、『あなたの心にはなにが残りましたか?』っていう感じの。これ、ちなみにその、小林アナがすでに見ていたというこれの前作は名前、なんて言うんだっけ?
(小林悠)ボラットっていう。
(伊集院光)うわー、ボラットも見ちゃうな。
(小林悠)外見が全く違うんです。びっくりするぐらい。
(伊集院光)ボラットはどういう設定の役なの?
(石野卓球)それね、カザフスタンのテレビ局のレポーターっていう役なんだけど。
(ピエール瀧)もう、聞いただけでワクワクしたよね。いい設定だなー!っていう(笑)。
前作『ボラット』
(伊集院光)それも、これと同じスタイルで?
(小林悠)同じスタイルで。で、アメリカの田舎とかに行って、家に上がりこんで、いろいろまた問題を起こしたりして。
(石野卓球)ちなみにそれは、本当に正式にカザフスタン政府からクレームが入ったっていう。
(一同)(爆笑)
(石野卓球)で、ちなみにこのブルーノも、オーストリア人っていう設定でしょ?オーストリアで上映禁止になった。ナメんじゃねーぞ!って。人を茶化すのもいい加減にしろ!っつって(笑)。
(伊集院光)いや、ちょっとおすすめです。おすすめだし、ちょっと、いろんな俺、ヒントがあって。こういうことをやりたい、ああいうことをやりたいって思うようなやつでしたね。
<書き起こしおわり>