振付師の竹中夏海さんがTBSラジオ『タマフル』に出演。一世を風靡したアニメ、美少女戦士セーラームーンとグループアイドルの共通点について語っていました。
(宇多丸)今夜お送りするのはこちらの特集です。『グループアイドルを楽しむ基礎教養としてのセーラームーン入門特集 by 竹中夏海』!『えっ、宇多丸さん、アイドル評論とかやってるのに、セーラームーンのこと、知らないの?嫌だ、ちょっと、本当に嫌だ!』なんて言われないために、私、宇多丸のように『月に代わって、お仕置きよ!のあれでしょ?』程度しか知らないセーラームーン弱者の全てのお前らにおくる、グループアイドルを理解する基礎教養!基礎教養としてのセーラームーン入門を今夜はお送りします。今夜の講師はどうかしすぎている美人振付師こと、竹中夏海先生です。よろしくお願いします!お久しぶりです。
(竹中夏海)お久しぶりです。よろしくお願いします。
(宇多丸)ご無沙汰しております。いらっしゃいませー。
(竹中夏海)あ、どうもー。
(宇多丸)ということで、お久しぶりのこの番組なんですが、竹中先生。簡単にご紹介させていただきましょう。竹中夏海さん。1984年生まれ、振付師。2009年から振付師として活動。これまで、PASSPO☆、アップアップガールズ(仮)、夢みるアドレセンス、そして南波志帆さんなどの振付を担当されてきました。当番組は2013年1月にアイドルダンスの振付特集。こちら、本業のね、解説で初出演していただき、ただその時のヴァイブス・・・なんかこう、キテる。このヴァイブスを受けてね、3週間後に再登場。その時は、アイドルダンスの振付特集からの、アイドルとしての大江戸線特集!
(竹中夏海)はい。
(宇多丸)こちらをお送りさせていただきました。そして続きましてね、これも待望でしたね。非常に声が多かった。タレご飯特集!これも私が改めて説明いたしません。昨年1月でございます。タレご飯特集。センスのいい特集を連発していただいている竹中先生ですが、今夜は、今週火曜日に発売されたばかりの単行本。『アイドル=ヒロイン: 歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい』の中身に寄せて、竹中先生のメインフィールドであるアイドル、そしてセーラームーンについて解説する特集となっております。よろしくお願いします。
(竹中夏海)よろしくお願いします。
(宇多丸)ということで、あくまで、セーラームーンを通してアイドルをさらに理解を深めるという特集なわけですよね。まず、なぜ今回ですね、『アイドル=ヒロイン』。この本を出されたのか?というあたりを伺いたいんですが。
(竹中夏海)あの・・・すごいムカついてて。
(宇多丸)お、おおう・・・おうおう・・・
(竹中夏海)(笑)。えっ、どうしよう?ムカついてる話は後からにしますか?
(宇多丸)いいですよ、いいですよ、もう、ツカミで。
(竹中夏海)遊びますか?ムカついてる話、先でいいですか?
(宇多丸)もうぜんぜん、好きにしてください。はい。
(竹中夏海)あの、アイドルを好きではない、興味が無い方たちの、本当一部の方なんでしょうけど、アイドルを興味が無いなら無いで構わないんですけど、鬼の首を取ったように、なんか『曲を作ってないじゃん』とか、『振付を自分たちでやっているわけじゃないじゃん』とか、『組まされてるじゃん』とか。お笑い芸人の方だったり、バンドの方だったり、だいたい自分たちで組むじゃないですか。この人って選んで組むじゃないですか。まあアイドル、そういうことはほぼないので。
(宇多丸)うんうん。まあ、定義上、もはやね、むしろ組み込まれている部分ですからね。
(竹中夏海)っていうのを、別に誰に向かって言ってるのかわかんないですけど、そういう風に・・・『自分たちの意思でやってないじゃん』みたいなことを・・・
(宇多丸)『操り人形じゃん』みたいなね。
(竹中夏海)みたいな言い方を、なぜかする方々に言いたいのは、じゃあセーラームーンは・・・
(宇多丸)じゃあセーラームーンは・・・(笑)。いいっすね。いきなりね、ドーン!と。じゃあセーラームーンは!
(竹中夏海)(笑)。じゃあセーラームーンにも、同じことを言えますけど!?
(宇多丸)(笑)。
(竹中夏海)これについてはどうお考えですか?
アイドルと同じ構造がセーラームーンにも当てはまる
(宇多丸)セーラームーンもアイドルと同じ、あなた方がバカにしているような構造は、セーラームーンにも当てはまるけれども、それすらも否定するつもりなのか?と。
(竹中夏海)どうですか?っていう(笑)。
(宇多丸)いや、なるほど。ちょっとこれはあれですかね?今日、特集をうかがっていくにつれて、その通りだ!っていう風になっていくと?
(竹中夏海)はい。そうなるといいんですけど(笑)。私はそう思っています。
(宇多丸)いま、いきなりもう、なんて言うんですかね?距離を取ったボクシングをするのかな?と思ったら、いきなりドン!と。スッと言われてドン!っと、ストマックにきたっていう。よかったですけどね。はい。
(竹中夏海)(笑)
(宇多丸)まず、ちょっとしたアイドルに関しての無理解みたいなのがいまだにあるみたいなのに対する苛立ちみたいなのがあるんですかね?わかりますよ、でも。『またそこからですか?』みたいなね。ありますよね。まあ、ある意味それを啓蒙していくために・・・というのがあるんでしょうか?今回の本は。『アイドル=ヒロイン』。
(竹中夏海)そう、ですね。あとは、もともとヒャダインさんとtofubeatsさんと雑誌の企画で鼎談させてもらった時に、ヒャダさんから、『女性が女性アイドルを好きな感覚ってどういうものなんですか?』って聞かれて。で、私もそれまであんまり考えたことがなかったんですけど。まあ、恋愛感情とはちょっと違うものなので。考えた時に、『セーラームーンに好きな感覚に似てますかね』っていうところから、自分で言ってみて、結構しっくりきて。
(宇多丸)うん、うん。
(竹中夏海)で、考えてみたら考えてみるほど、共通点みたいなものだったりとかがあったので。
(宇多丸)セーラームーンは当然ね、女の子が基本的には好むものですからね。
(竹中夏海)そうですね。
(宇多丸)そう考えると、割とわかりやすく。
(竹中夏海)そうですね。整理できたというか。
(宇多丸)はー。あ、それまでは割と自覚的にご自分で好きな気持ちとかを分析されてみたってことはあまりなかったんですね。
(竹中夏海)は、ぜんぜんなかったんですけど。だから聞かれてみて、考えて見ると・・・っていう感じですね。
(宇多丸)ここのところ実際、たとえば10年前とかと比べると、女性が女性のアイドルを好きというアイドルファンがすごい増えたというか、普通になりましたよね。
(竹中夏海)そうですね。増えていると思うし・・・
(宇多丸)もちろん、モーヲタの一部とかもいたけど。昔も。でも、それはもうすごい希少価値というか。
(竹中夏海)おおっ!?っていう感じだったのが、いまだと、まあ増えてきてますよね。
(宇多丸)まあ、そういう現象も増えてきたっていうのもあるんでしょうかね?
(竹中夏海)そう。で、それについて説明がまだそこまでされてないかな?と思って。まあ、私の目線にはなってしまうんですが。だいぶ偏った私の目線にはなるんですが、一応セーラームーンを補助線に、ちょっと女性が女性アイドルを好きになる理由みたいなものを解説してみようかなと思いました。
(宇多丸)なるほど。もちろんね、美少女戦士セーラームーン。90年代に一世を風靡した人気テレビアニメ。もちろんその存在をね、知らない人はいないと思うんです。『月に代わって、お仕置きよ?』。さっきから、これ何度も言うたびにイラッとしてるかもしれませんけど・・・
(竹中夏海)疑問形で言われても・・・『お仕置きよ?』って言われても・・・
(宇多丸)自信がないんです!
(竹中夏海)『お仕置きよ!』。
(宇多丸)そうですね(笑)。『お仕置きよ!』っていうのをあの・・・疑問形で言ったらあれですからね。違うんですよ、違うんです。なんでこの口調になるかと言うと、私、宇多丸。恥ずかしながら実はセーラームーンについて、まったくの門外漢でございます!っていう。
(竹中夏海)へえっ!
(宇多丸)いや、ちょっと待ってください・・・
(竹中夏海)(笑)。いやいや、しょうがないっす。
(宇多丸)いま、嘲笑を・・・嘲りのニュアンスが・・・
(竹中夏海)しょうがないっす。
(宇多丸)ねえ。まあ、門外漢なんですよ。なので、ちょっと今日を通じて勉強させていただきたいんですけども。ちなみにセーラームーン、単にファンであるというよりも竹中さんは実はもう、ほぼ当事者というか。関係者。中の人っていう。
(竹中夏海)いや、本当に昔・・・20年くらい前なんですけど。一瞬子役時代があった時に、セーラームーンのミュージカルで、ちびうさ役を一夏・・・
竹中夏海さん^^
ちびうさとちびピエロが可愛かった^^
これからも活躍してほしいです。 pic.twitter.com/SCutgzxz5p
— だるたにゃん@ʕ•̫͡•ʔlove☆彡 (@optima_star) 2014, 2月 5
(宇多丸)ちびうさというキャラクターがいて。
(竹中夏海)はい。ちびうさというキャラクターがいて、それを子役である竹中がやらせていただきました(笑)。
(宇多丸)うん。でも、もう完全に、中の人っていうか当事者ですもんね。
(竹中夏海)ですね。当時は、そうですね。はい。
(宇多丸)そのちびうさの役をもらう前から、でもセーラームーンはファンではあったと?
(竹中夏海)ファンっていうか、まあもう本当に私の世代はきっとみんな女の子ならだいたい通るところというか。
(宇多丸)普通に通るところであると。まあそのちびうささんを演じた、その経験なども活かされているのかもしれません。セーラー戦士の竹中先生にですね、今夜はグループアイドルとセーラームーンの関係を教えていただきたいと思います。それを通じて、アイドルに対する理解も深まるし、セーラームーンに対する理解も深まるという。我々ね、弱者にとっては一石二鳥でございます。
(竹中夏海)はい。
セーラームーンの基本的な部分のおさらい
(宇多丸)ということで、本編にまいりましょう。まずは前編。テレビアニメ版セーラームーンの歴史やキャラクターなど、基本的な部分からちょっと勉強させてください。申し訳ございません。よろしくお願いします。
(竹中夏海)よろしくお願いします。
(宇多丸)さあ、ということでセーラームーン、基礎的なところですけども。まず、まあ放送年とかそんな感じでしょうか?差し当たって、どのあたりにやっていたのか?
(竹中夏海)はいはいはい。
(宇多丸)いつからやってた?いつからいつまでとか。
(竹中夏海)あ、92年からなんだ。じゃあ、ほぼ原作と同じなんですね。このへん、私はアニメから入ったんで。
(宇多丸)あ、原作のマンガがあるんでしたっけね。
(竹中夏海)はい。『なかよし』でずっと。
(宇多丸)『なかよし』でやってたマンガがあって。で、まあアニメの方は92年から。あっ、ちょっとすいません。怒らないでください。セーラームーンはいろんなシリーズがあったんですね。その後も。
(竹中夏海)そうです。だからドラゴンボール、ドラゴンボールZみたいなことですね。
(宇多丸)なるほど、なるほど。じゃあ基本的には同一世界観の中で、歴史が紡がれていくという考え方ですね。
(竹中夏海)そう。だからこれもアイドルと近くて。追加メンがどんどん増えていくみたいな感じです。
(宇多丸)とか、元のメンバーもいないけど、あれはつながっていくとか?
(竹中夏海)いなくはない。卒業はしないです。
(宇多丸)卒業はしないんだ。じゃあ、数がどんどん増えていく。そういうスタイルなんだ。なるほど、なるほど。で、まず物語。設定っていうか、そのあたりをお願いします。じゃあ。
(竹中夏海)物語は、まず泣き虫の主人公がいまして。中学2年生の月野うさぎちゃん。この子がセーラームーンに変身するんですけど。まあ、ある時、人間の言葉を話す不思議な黒猫ルナという猫がおりまして。が、『うさぎちゃん、あなたはセーラー戦士だから、目覚めなさい』と。で、うさぎは泣き虫だし、もう本当ドジっ子なので、『えー!戦いたくない!』って泣きながら言うんですけど。でもまあ、徐々に・・・で、『仲間のセーラー戦士がこの町のどこかにいるから、探してちょうだい。で、戦ってちょうだい』とルナに言われて、戦っていくという、立ち向かっていくという。で、徐々に強くなって行くっていう。はい。
(宇多丸)なるほど。最初からじゃあ、運命づけられて。それこそ自分の意志ではなく、指名されちゃって。
(竹中夏海)そう。だからルナがプロデューサーとかマネージャーみたいな。
(宇多丸)はあはあはあ。で、言われた通りに、通りなんだけど、本人としては『とはいえ、でも私、そんな大それたことを・・・』みたいな?
(竹中夏海)『えっ、そうなの?』みたいな戸惑いながらも、まあでも、どんどん戦っていかなきゃ行けないので。現場で経験を重ねていってだんだん強くなっていくという。
(宇多丸)なるほど。まあ、後に英雄になる主人公が、何らかの使命っていうか、使命を指名されて、背負わされてっていうのはまあ、ある意味昔からある定形かも知れないですね。
(竹中夏海)うん、そうですね。
(宇多丸)いろんなところに戦士がいてっていうのは、それこそ里見八犬伝でもなんでもいいですけど。そういうのも、昔からいろんなのを探せばね、地球上にある、いろんなところにある話かもしれないけど、そういうような構造を持っていると。
(竹中夏海)そうです。しかもこう、普通のあどけない中学2年生の女の子っていうところがまた、そこがいいっていう。
(宇多丸)なるほど。まあ主人公は泣き虫の月野うさぎさん。他にどんなキャラクターがいるのか?
(竹中夏海)が、ええとまあ、5戦士。まず、初期メンですね。
(宇多丸)初期メン5名ってこれ、モーニング娘。もね。最初5人ですからね。
(竹中夏海)そう。で、まあうさぎをセンターに・・・
(宇多丸)あ、センターがいる。それはそうだね。
(竹中夏海)センターはうさぎちゃん。セーラームーンです。で、セーラーマーキュリーという、青担当です。青担当の秀才。水野亜美ちゃんっていう子がセーラーマーキュリーに変身するんですけど。もうIQ300の天才少女で。すごく優しくておだやかで。あとは、ブレーンなんです。頭がいいから。あと、Base Ball Bearの小出さん曰く、亜美ちゃん、マーキュリーはショートなんですけど。
(宇多丸)そうですね。ショートカットの。
(竹中夏海)ショートヘアーで、おとなしくて秀才みたいなのって、当時結構新しかったんじゃなかったかな?って。だいたい元気っ子でしょ?髪の毛短い子って。
(宇多丸)活発な、スポーツ少女みたいなのがショートとして表現されがちなところを、ボーイッシュだったりね、されがちなところを、むしろ・・・
(竹中夏海)むしろ秀才なおとなしめの子で。小出さん曰く、『水野亜美がいなかったら、綾波レイは生まれてない』っていう風に。
(宇多丸)ああー。
(竹中夏海)後の綾波レイは生まれてないっていう。
(宇多丸)しかも、いまに至るまで、ショートヘアーの文学少女じゃないけど、ショートヘアーちょっとこう引っ込み気味みたいなのって、ちょっと定形としてある気がしますけどね。
(竹中夏海)そう。いまとなってはそうですよね。
(宇多丸)でも、ここまでは、これ、ちょっとフレッシュだったんだ。
(竹中夏海)うん。ちょっと。で、男性ファンは結構ごっそりここに。セーラームーンおじさんはみんなここに。
(宇多丸)あ、そうですか。セーラームーンおじさん(笑)。
(竹中夏海)あの、おっきなお友達みたいなのは当時、うん。そうですね。
(宇多丸)他にどんな方がいますか?
(竹中夏海)で、ええと、火野レイちゃん。これはセーラーマーズという火星を守護に持つ、赤担当です。
(宇多丸)あ、なんだ。ゴレンジャーとかね、そういう戦隊物って赤っていうのがメインになるけど、女の子の場合は・・・
(竹中夏海)やっぱり、うさぎはね、セーラー戦士の格好としてはピンクの要素が入ってないんですけど。あんまり。でも、やっぱりピンク。
(宇多丸)テーマカラーはピンク的なこと。
(竹中夏海)ピンクが主役というのはちょっと女の子物だなっていう感じがするんですけど。
(宇多丸)じゃあ、この赤のセーラージュピターさんはどんなキャラクターなんですか?
(竹中夏海)あ、マーズです。
(宇多丸)ごめんなさい。マーズか。火星なんだから、そりゃそうだ!失礼いたしました。
(竹中夏海)(笑)。で、火野レイちゃんは、割と気性が激しくて。うさぎへのツッコミみたいな感じです。で、これいいのは、うさぎに対して当たりが普段いちばん強いんですけど。亜美ちゃんとかは優しいんで。けど、レイちゃんはすごいキツイんですけど、最後の最後、いちばんうさぎが戦っていてピンチの時には、レイちゃんがぜったいに手を差しのべるっていう。
(宇多丸)まあちょっといまで言う、ツンデレ的な?
(竹中夏海)まあ、そうですね。ツンデレ。元祖ツンデレみたいな。
(宇多丸)それこそ赤で、髪の毛長くて。なんかちょっと和っていう感じもあるから、なんかアスカ的な、ねえ。
(竹中夏海)ああ、でもちょっとそうですね。
(宇多丸)ニュアンス。赤っていうのをね、含めてそんな感じがしますね。
(竹中夏海)そうなんです。アニメ版は特に、ちょっとコミカルな要素もあるんですけど。原作の方はもう、ザ・お嬢様で。『・・・ですわ』みたいな感じのキャラです。
(宇多丸)はいはい。セーラーマーズ。
(竹中夏海)で、次は緑担当。セーラージュピター。これが木野まことちゃん。ええと、いま、水野亜美ちゃん、火野レイちゃんと来て、今度、木です。木野まことちゃん。は、木星を守護に持っていて。背が高い女子です。この子ね、元祖ギャップ萌えというか。すごく、雷とかを使うんですね。技とかで。すごく強いんですけど、普段はめちゃくちゃ家庭的。
(宇多丸)ああ、なるほど。うんうん。
(竹中夏海)で、優しくて。うさぎがだから、レイちゃんとかに『うさぎ!』って怒られるんですけど、まこちゃんの後ろに隠れて、『まこちゃん、助けてー。レイちゃんが怖いよー』ってうさぎが言うっていうような・・・
(宇多丸)ちょっと母性的な感じだ。
(竹中夏海)そうですね。気が優しい力持ちみたいな感じです。
(宇多丸)はいはい。わかりました。セーラージュピター。
(竹中夏海)これで次が、来ました。俺たちの美奈子!
(宇多丸)俺たちの(笑)。
(竹中夏海)セーラーヴィーナス。愛野美奈子。これ、私の推しです。
(宇多丸)ああ、推しメンがいるんだ。
(竹中夏海)オレンジ担当ですね。で、金星です。
(宇多丸)髪もこれ、金髪ですよ。
(竹中夏海)金髪なんです。いや、で、これ、なんで美奈子が・・・で、この子、女子人気です。完全に。男の子人気が亜美ちゃんだとしたら、もう美奈子は本当に女子人気の・・・
(宇多丸)あの、女子校でいちばんスターになる感じっていうか、女子校で人気、下級生に出るような。
(竹中夏海)もう本当にカースト最上位な感じの、華やかで・・・
(宇多丸)お蝶夫人な感じというか。
(竹中夏海)あ、でも結構おちょけるんですよ。
(宇多丸)ああ、そうですか。
(竹中夏海)そうなんです。コミカルなところはあるんですけど、もうね、いろんなアイテムがちょっとズルくて。だって名前も、これだんだんうさぎが探していくんですけど・・・
(宇多丸)そうですね。火、水、木ってきてね。なんだよ、『愛』ってなんだ!?
(竹中夏海)いや、『愛』ってなんだ!?じゃなくて、『愛』なんだ!
(宇多丸)ああ、そうなんだ(笑)。ツッコミどころじゃなくて、それは・・・『愛』ときた!
(竹中夏海)『愛』ってきた!かわいいー!なにそれ!
(宇多丸)ああ、じゃあ最後に残った1人、誰なんだ?で、グイ上がった!みたいなのがセーラーヴィーナスでもあるみたいな。
(竹中夏海)水、火、木って来たから、次にまた来週新しい戦士が出てくるんだ。ああ、金野とかかな?って思ったら。
(宇多丸)ねえ。金山さんとか、そういう感じかな?と思ったら。カネヤンみたいで嫌ですもんね。やっぱね、それは金田とか・・・
(竹中夏海)それはちょっとわかんないですけど(笑)。愛野!で、しかも決めゼリフだったりとか技も『ヴィーナスラブミーチェーン』っていう感じの。みんな、雷とか水とか火って来て・・・
(宇多丸)ちょっと自然現象とかね、そういうものをベースにしてるのに。
(竹中夏海)愛!概念!もう、概念で戦う!
(宇多丸)(笑)。ちょっと次元が違う人が来ちゃったみたいな。
(竹中夏海)しかも、ちょっとアイドルユニットにもあるあるなんですけど、美奈子は先に、最初に目覚めたと思っていたうさぎよりも先に、実は戦士として目覚めているんですよ。
(宇多丸)ああー。
(竹中夏海)で、先に謎の戦士として活躍してるんですよ。で、アイドルユニットでもよくあるじゃないですか。このオーディションに受かって、みんなで新ユニットとして始まったけど、実はその前にも違うアイドルグループでやっていた、みたいな。だからちょっとアイドル経験長いみたいな感じが美奈子なんで。ちょっといろいろ特別なんです。で、このうさぎを守る4守護戦士。水、火、木、愛ってきて、美奈子ちゃんがリーダーなんです。その4戦士の。
(宇多丸)セーラーヴィーナスがリーダーなんだね。いちばん経験もありますしね。
(竹中夏海)そう。経験もあるしっていう。で、なんかだから、もともと、うさぎが実は前世でプリンセスだったっていう設定なんですけど。最初はうさぎがプリンセスだってことは明かされてなくて。プリンセス・・・で、それは目覚めなさいって言ったルナも知らなくて。うさぎがまさかプリンセスだとは。
(宇多丸)はいはいはい。まあその、セーラー戦士としての能力は知っていたけれど。
(竹中夏海)そうそう。で、『プリンセスと仲間の戦士を探しなさい』って最初言っていたぐらいで。で、うさぎがそのプリンセスだって敵にバレると狙われるんで、『私がプリンセス』って美奈子が言って、ダミーとして戦ってたんですよ。
(宇多丸)ちょっと、なんか影武者じゃないけど。盾になるぐらいの。
(竹中夏海)そうなんですよね。っていうのが、ちょっといろいろ特別なんで。で、しかも華やかで。で、うさぎとキャラ的には似てるんですけど、うさぎよりもポジティブ。うさぎの方がちょっとネガティブ。
(宇多丸)ああ、やっぱり『私なんか・・・私なんか・・・』みたいなのが主人公なんだ。
(竹中夏海)主人公。だから、本当は、よくアイドルグループでもいる、なんならセンターよりも人気もあるし、華やかで目立っちゃうけど、ただまあ、この子をセンターに置いちゃうと、あまりにもちょっとグループの成長物語という意味で出来上がりすぎているから、あえてちょっと陰があったりツッコミどころのある子を真ん中に置いて、この完璧な子は端に置くみたいな。
(宇多丸)センターを最初からやりたがっている子を置くより、嫌がっている子を置いた方が伸び率が期待できる問題ってありますよね。それこそ、あっちゃん(前田敦子)なんかそうですよね。
セーラームーンを大江戸線の駅に置き換える
(竹中夏海)あっちゃんとかはそういうことだと思うんですけど。だから大江戸線で言うと・・・
(宇多丸)ちょっと待ってください!(笑)。あの、生身のアイドルでたとえる前に、大江戸線に・・・まあ、この番組ではね、大江戸線の文脈が先にありますけどね。まあ、大江戸線でもいいですよ。大江戸線にたとえると?(笑)。
(竹中夏海)大江戸線だとだから・・・
(宇多丸)これ、やっぱり金星は六本木ですか?
(竹中夏海)六本木ですね!そう。
(宇多丸)やっぱりね。
(竹中夏海)すごい!宇多丸さん、すごい!
(宇多丸)すいません、私ちょっと竹中先生の論理に乗りすぎてしまっていいものか?っていうのがあるんですけど・・・
(竹中夏海)10ポイント!
(宇多丸)じゅ、10ポイント?10ポイントいただきました。六本木、金星。
(竹中夏海)はい。うさぎが飯田橋だとしたら、美奈子が六本木。
(宇多丸)うさぎが飯田橋。やっぱりセンターですもんね。不動のセンター。すいません。アイドルとしての大江戸線にたとえてますよ。他も一応たとえないの?いいの?(笑)。
(竹中夏海)ええとね、まず亜美ちゃんは男の人が放っておけないっていう意味で、やっぱり赤羽橋かな?
(宇多丸)ああ、やっぱね。ちょっとガラスで繊細な。ちょっとすいません。大江戸線の話はまた後日。もうちょっとランクアップしてからお願いします。
(竹中夏海)はいはい。
(宇多丸)実際の、実在のアイドルユニットに置き換えると・・・っていうのでお願いします。
セーラームーンを嵐に置き換える
(竹中夏海)はいはいはい。で、これ、私、いきなりジェンダーめちゃくちゃになるんですけど、嵐。
(宇多丸)わかりやすいです。嵐はやっぱりさすがによく知らない人も、5人ともわかりますから。
(竹中夏海)国民的なので。まあ、私、嵐もすごく好きなので。
(宇多丸)もともと嵐ファンだったっていう?
(竹中夏海)です、です。アイドル、いちばん最初に好きになったのは実は女子アイドルではなくて嵐なんですけど。まあ、嵐だと、私の場合、ムーンは・・・ウサギちゃんですね。主役の。
(宇多丸)センターっていうのはね、だってね。
(竹中夏海)ええとね、いないんですけど、まあこれはキャラクターでわけて、ムーンは相葉ちゃんにしました。
(宇多丸)なるほど。はいはい。
(竹中夏海)まあいろいろと、ちょっと伸び率だったりとか。
(宇多丸)でもなんかその、なんて言うんですかね?『俺、なんか・・・』みたいな、ちょっとそういう感じは、相葉ちゃんかもしれない。
(竹中夏海)だし、ちょっとみんなが放っておけないというか。
(宇多丸)なるほど。助けてあげたくなる。
(竹中夏海)助けてあげたくなるっていう意味で、相葉ちゃんをムーンにすると、マーズはニノかな?と。レイちゃんですね。火。
(宇多丸)はいはい。
(竹中夏海)赤担当の火のレイちゃんは、ニノがね、やっぱね、相葉ちゃんに対してね、ちょっとレイちゃん・うさぎの関係に近いところがあって。ツッコミじゃないですか。ニノって。
(宇多丸)ちょっとキツイことを言ったりするけど・・・
(竹中夏海)言うけど、やっぱり最終的にいっつも相葉ちゃんに手を差しのべるのはニノかな?っていうのは思いますね。
(宇多丸)はいはい。
(竹中夏海)で、あと精神的にみんなの支柱になっているっていう意味で、あと、ギャップ萌えっていう意味で、ジュピターが・・・木の緑ですね。が、大野くんです。
(宇多丸)ああ、大野くんはやっぱり、そうですかね。
(竹中夏海)推しです。私の。
(宇多丸)事実上のリーダーだよね。一応ね。
(竹中夏海)あ、でもリーダーはヴィーナスです。
(宇多丸)あ、違う違う。嵐の中では。
(竹中夏海)嵐の中ではリーダー。そうそう。
(宇多丸)だから支柱っていうかね。
(竹中夏海)あとはなんか、おだやかなのと、あと変身すると、普段はおだやかなのに、変身すると強いみたいな。
(宇多丸)たしかに。まあ、アーティスティックなところがあったりとかね。
(竹中夏海)そうですね。ダンスがすごい上手かったりとか。
(宇多丸)戦闘能力が高い。
(竹中夏海)っていう意味で。
(宇多丸)そしてもう、わかってきましたよ。秀才と言えばもう、これはね・・・
(竹中夏海)あ、でもね、ちょっと・・・
(宇多丸)あれ?違うの?
(竹中夏海)これね、ヴィーナスをじゃあ先に。ヴィーナス、圧倒的に華やか。
(宇多丸)これは松潤でしょ?
(竹中夏海)やっぱりそうですね。そうそうそう。だけど、潤くん、あんまり真ん中にいること、実はそんなないじゃないですか。
(宇多丸)これはだからそれこそ、松潤真ん中に置いちゃうと、それは面白くないんじゃないの?的な。
(竹中夏海)そう。あまりに、彼の華が強すぎて。
(宇多丸)うん、そりゃそうだ。
(竹中夏海)だから潤くんが端にいたりするのは結構正解かなと。
(宇多丸)わかりやすいですよね。どこにいたってだって、目立つんだから。
(竹中夏海)そうそう。どこにいても目立つからっていう。で、そうなんです。マーキュリー。秀才。でも、秀才なんですけど、だからイコール、翔くんなんですけど。これ、あの秀才っていう部分だけじゃなくて、実はその亜美ちゃんと翔くんが似ているのは、亜美ちゃん、これはね、ヒャダインさんが言ってたんですけど。すごく男人気の高い女の子なんですけど、ツッコミどころも実はあって。
(宇多丸)ほうほう。
(竹中夏海)みんな、強いんです。他の戦士。雷だったりとか、火だったり、愛だったりで戦うんで。で、彼女だけ、水なんで。水蒸気とか、シャボン玉とか。ちょっとね、弱いんです。
(宇多丸)かわいらしいっていうか、それ攻撃になってるのか?っていうね。
(竹中夏海)そう。でね、いちばんセーラームーンのシリーズの最後の最終回の時に、一人ひとり、一対一で戦っていく。で、一人ひとり命を犠牲にして倒していくっていう。
(宇多丸)ああ、最終回よりの展開があるわけだ。
(竹中夏海)っていうのがあった時に、亜美ちゃん。このマーキュリーは、頭がいいので、1人だけ電子手帳みたいなアイテムを持ってるんです。それでみんなを指示していくみたいな感じのところがあるんですけど。その、電子手帳。最後の力を振り絞って、その電子手帳の角で敵を殴って倒すっていう・・・
(宇多丸)それは技っていうか、暴力?(笑)。
(竹中夏海)っていう、ちょっとポンコツみたいなところ・・・
(宇多丸)端的に暴力(笑)。
(竹中夏海)(笑)。もう最後の最後の力を振り絞って、物理的にっていうその・・・
(宇多丸)(笑)。まあでも、ねえ。いままでその、いろんな魔法的なものを使ってきたのが、物理か!っていう。
(竹中夏海)そうそう。物理かい!っていう、そのポンコツ感っていうかツッコミどころが櫻井翔くん的というか。ファンから見て、結構櫻井翔くん。外から見たら完璧なんですけど、よく見ているファンの人たちの間では、翔さん、ちょっと抜けているところがいいみたいな。
(宇多丸)ぽわーんとしてる。それこそ、育ちがいいからちょっと、ね。
(竹中夏海)意外とちょっと力みすぎちゃったりとか。なんかそういう、ちょっと残念なところがまた、愛おしいと。
(宇多丸)かわいらしい。
(竹中夏海)本当に男前で、秀才で、完璧すぎたら、入り込む隙がないんですけど。
(宇多丸)あれでたとえばこうさ、なんかやたらと弁舌鋭かったりしたら、ちょっとね、怖い感じしちゃうもんね。
(竹中夏海)そうなんですよ。ちょっとね、ダンスが実はちょっと、体が固すぎないかい?っていうところがあったりとか。みたいなところが、ああ、もうたまんない!って。翔くんのファンは。
(宇多丸)これ、だからやっぱり、能力的に言えばね、できないよりできた方がいいんだけど。やっぱ、ことアイドル的な魅力という話になると、その欠落部分っていうのは決してマイナスじゃないと。
(竹中夏海)愛しい部分に。愛らしさになるんで。
(宇多丸)っていうのはあるということですかね。はい。といったあたりでね、嵐にたとえていただいたところで、セーラームーン入門。竹中夏海先生。CMの後、さらに深い講義をうかがっていきたいと思います。
(CM明け)
(宇多丸)TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』。今夜は、グループアイドルを楽しむ基礎教養としてセーラームーン入門特集をお送りしたおります。ゲストは、どうかしている美人振付師、竹中夏海さんです。引き続き、よろしくお願いします。
(竹中夏海)お願いします。
(宇多丸)ということで、テレビアニメ 美少女戦士セーラームーンの基本的な構造というか、キャラクターについて説明。そしてなおかつ、嵐にたとえたことによって、これ、逆に知らない我々にもわかりやすくなったと思います。ここから後半は、より本質的な部分でセーラームーンとアイドルは似ているという・・・あ、その前に、なんか練習問題を出していただくということで。
(竹中夏海)はい。しましょうか。
(宇多丸)ごめんなさい。なんすか?練習問題っていうのは?
(竹中夏海)(笑)。じゃあこれ、まず先に、あと残り4戦士、いるんですね。
(宇多丸)あの、いま5人紹介していただきましたけど。
(竹中夏海)初期メンです。2期メンを説明しましょうか。
(宇多丸)2期メンがいる。
セーラームーンをモーニング娘。に置き換える
(竹中夏海)2期メンを説明した上で、ちょっと古いんですけど、『ザ☆ピース!』時代のモーニング娘。のメンバーの練習問題を出します。
(宇多丸)『ザ☆ピース!』はもう・・・はい。
(竹中夏海)では、まずセーラームーンの2期メンから行きましょうか。まず、ちびうさっていうのがまた別でいるんですけど。
(宇多丸)竹中先生が演じられたという。
(竹中夏海)ああ、そうです。そうです。これはちょっと未来のセーラームーンの娘っていう役どころなんですけど。
(宇多丸)複雑ですね。
(竹中夏海)はい。で、まあちびうさで、ちびっ子キャラがいます。それ以外に、あと4戦士いまして。セーラーネプチューンが海王星を守護に持つ海の戦士というか。は、実はセーラーウラヌスという戦士と、いわゆるちょっと百合っぽいというか、元祖百合っぽい感じというか。
(宇多丸)ああ、セットな感じ。
(竹中夏海)そうなんですよ。これね、性別がウラヌスの方がすごくボーイッシュで。普段は男の子なんです。不思議なことに。
(宇多丸)しかもね、すいません。本当いまね、すごく下品なことを・・・R.KELLYっていう下品な歌手がおりまして。ウラヌスということに対してすごく下品なたとえを言っていたんで。これが両性具有と言われると私、どうしても・・・あ、すいません!竹中先生、先をお願いします!
https://miyearnzzlabo.com/archives/17000
(竹中夏海)はい、先に行きます。で、ウラヌスと、普段恋人同士にあたるのが、このネプチューンという・・・
(宇多丸)あ、そこまで。恋仲までいっちゃってるんですね。
(竹中夏海)いってるんですね。だけど戦士になると2人とも、セーラー戦士になるという。ちょっと不思議な役どころなんですけど。で、それ以外にセーラープルート。冥王星は、すごく孤独な戦士で。みんなと戦うための戦士ではなくて、1人で時の扉というのがあるんですけど。守っているというか。
(宇多丸)じゃあその別の次元でずっとこう、孤独にいるみたいな。
(竹中夏海)孤独な番人みたいな感じです。で、これがね、最後の戦士。セーラーサターン。これは、みんな『愛と正義の・・・』とかそういう感じなんですけど。破滅と誕生の戦士。で、星をひとつ滅ぼすぐらいの力を持っていて。
(宇多丸)ちょっとダークヒーローというか。
(竹中夏海)そうなんです。ちょっと、もう本当にサターンが目覚めた時はヤバい!みたいな感じの。
(宇多丸)あ、完全に覚醒しちゃうとマズいみたいな。
(竹中夏海)覚醒しちゃうとマズい。滅んでしまうし、もう滅ばせて、また生まれ変わるしかないみたいな。
(宇多丸)セーラームーン、そんな物騒な設定、あるんすね。
(竹中夏海)ちょっと物騒なんですよ。サターンに関しては。で、かつ、ほたるちゃんはいままで初期メンの中で男性人気を1人で独占していたマーキュリー、亜美ちゃんの男性人気をこのほたるちゃんがかっさらって行きます。
(宇多丸)へー!それはあの、どの部分なんですかね?サターンは。
(竹中夏海)あの、ちょっと陰があるんですよね。その、底知れないみたいなところがありまして。っていうのを踏まえまして・・・
(宇多丸)いままで、9人出てきましたよ。
(竹中夏海)9人ですね。9人プラス、ちびうさ。という中で、ちょうど『ザ☆ピース!』の頃のモーニング娘。9人ですね。
(宇多丸)私ね、その頃、もう熱狂しておりまして。黄金の9人ですよ。もうベストメンバー。私、ねえ。思い出すなー、もうなー!あの頃を。なあ!いまも素晴らしいですけどね、もちろんね。
(竹中夏海)『ザ☆ピース!』の頃って、当時も結構すごいメンバー揃ったな!って言われていた時代ですよね。
(宇多丸)もう、最高です。それこそ僕、この頃のモーニングのメンバーの関係性。まあ、ハロプロも含めてですけど、それこそ関係性萌えですよ。だから誰推しとかって言われると、そういうことじゃねーんだよ!ってよくね、言っていたぐらいですよ。うん。
(竹中夏海)で、これ私、セーラームーンをキャスティングするならば、誰をムーンにするか?なんですけど、ここはやっぱりなっちかなと。
(宇多丸)なっちはそうでしょうね。
(竹中夏海)と、思ったんですね。まあ、キャラ的に言うと、本当は矢口っちゃんみたいなところもあるんですけど。
(宇多丸)ただ、矢口はやっぱりサポート的なところで活きる人でしょうからね。やっぱりセンターはこれはなっち。
(竹中夏海)そう。なっち。
(宇多丸)でもこれ、ごっちんの置き場が難しいぞ!後藤真希が・・・
(竹中夏海)いや、そうなんです。じゃあ問題です。ここで。練習問題です。ムーンがなっちだとすると、ゴマキは誰になるでしょうか?
(宇多丸)これね、うーん・・・いままでいろいろとうかがってきましたけど、これ、だから後藤真希という人のどの部分をね、解釈するかによると思うんですけど。僕ね、ちょっとセーラームーンの方の本格知識がないので、ニュアンスとして間違っているかもしれませんが。どっかしら、やっぱり孤独っていうか、ちょっと1人の要素が。要するに、本来はグループにいる人じゃない人なんだけど・・・っていうニュアンスがあるのがやっぱりごっちんだと思うので。
(竹中夏海)はい。
(宇多丸)いま聞いた話だと、セーラープルートか、セーラーサターンじゃないの?っていう感じですかね。
(竹中夏海)どっちですか?絞ってください。
(宇多丸)うーん・・・ただね、やっぱりごっちんより陰がある人っていうのはあんまりいないので、サターンじゃないですか?やっぱり最終兵器。
(竹中夏海)正解です!
(宇多丸)(爆笑)
(竹中夏海)10ポイント!
(宇多丸)なんだよー!
(竹中夏海)いまのところ、20ポイント。
(宇多丸)やぶから棒に言われている感じなんで、なんかうれしいんだかなんだかわからないけど(笑)。ホッとはしましたよ。ああ、そうですか。サターンでいいですか、これ。
(竹中夏海)はい。
(宇多丸)これ、プルートと迷ったんですけど。
(竹中夏海)これね、私も迷ったんですけど、ちょっと・・・
(宇多丸)っていうか正解なんかないだろ!いま、トリックに気がつきましたよ。
(竹中夏海)あ、気づいちゃった。主観です(笑)。私の主観なんですけど、ちょっとね、プルートはたしかにグループアイドルで位置づけるのは結構難しいんですよ。で、私の中ではプルートは不在で。ちびうさをダブルキャストで辻加護にしてます。
(宇多丸)これはやっぱ話を聞くだにそうですよね。やっぱそうだ。ちびってついているだけで、もうミニなんですからね。
(竹中夏海)そうですね。じゃあ、ここで問題です。サービス問題。さっき言っていた、両性具有のセーラーウラヌスとセーラーネプチューンは誰でしょうか?
(宇多丸)まず、ウラヌスに関してはもういきなり浮かんだのはこれしかないです。やっぱり吉澤ひとみさんしかいないでしょう。
(竹中夏海)はい。
(宇多丸)これはやっぱりボーイッシュというか。美青年に近いような、宝塚感というか。で、それとコンビっていうと、それはりかっちしかいないわけだから。
(竹中夏海)正解!5ポイント!サービス問題なんで。
(宇多丸)なんか、バシン!って殴られながら褒められている感じ。まあ、ありがとうございます。
(竹中夏海)おめでとうございます。
(宇多丸)ほら、ユニットもやっていたりするからね。そういうことかな?っていう。単純にそこからの連想です。はいはい。ただ、りかっちはやっぱりね、明るい。ちょっとそれこそ、『私なんか、私なんか・・・』っていう意味では。しかも、『ザ☆ピース!』の時は石川さんね、センター的な位置でもありますから。そういう意味では、月野うさぎっていうのもありかな?っていう。
(竹中夏海)まあ、ありです。りかっちをうさぎに置くのもありなんですよね。
(宇多丸)で、なっちをむしろ母性的なキャラとして理解するみたいな。そういう・・・すいません。俺がこんなベラベラとしゃべってるのも・・・
(竹中夏海)いやいや、なっちはね、本当はマーキュリーみたいな男性人気のあり方というか。というのもあったと思うんですけどね。
(宇多丸)おとなしくてね、たしかに秀才。アイドルにおける秀才的なところはあるかもしれないですしね。はい。といったところで、すいません。練習問題をやっていたら、時間がかなり来てしまって(笑)。
(竹中夏海)(笑)
(宇多丸)まとめをひとつ、お願いしたいんですけども。
(竹中夏海)はい。そうですね。セーラームーンというキャラを補助線にすると、グループアイドルの関係性が理解しやすいということです。
(宇多丸)やっぱりその、キャラ分けが複雑なところも含めてよく出ているので、と。当てはめてみる遊び、思考実験が面白いかもしれないね。単純にね。
(竹中夏海)そうですね。だから、セーラームーンというのをちゃんとテンプレ、覚えてしまえば、詳しいアイドル、おすすめしたいアイドルをこういうもんだよって、おすすめしやすくなるわけです。
(宇多丸)なるほど。これっていうのはだから、まあセーラームーン。とはいえ、ヒーローものというか、悪と戦うストーリーものなわけで。まあ、たとえば男の子が好きそうな話に置き換えることもできるっていうことなんですかね?
(竹中夏海)そうですね。そうなる・・・なんかでも、男の子ものってまたちょっと違う・・・変身シーンがやたら長いじゃないですか。女の子のヒロインものって。
(宇多丸)ああ、たしかに。プリキュアなんか、もうそれに延々しめられてますよ、あれ。
(竹中夏海)そう。セーラームーンはね、やっぱりめちゃくちゃ長くて。そこから始まってるのかな?って。
(宇多丸)そこから始まってるんだ。あれってやっぱ、着替え?
(竹中夏海)あれはね、だから簡単に言うと、セーラームーンが戦うって、お出かけです。
(宇多丸)ああ、いちばんドレスアップして。
(竹中夏海)そう。だってセーラームーンが変身する時に、『ムーンプリズムパワーメイクアップ!』って言うんですよ。
(宇多丸)あ、もう完全にそう言うんだ。
(竹中夏海)そうです。だから、メイクアップして、お出かけしに行く。戦うっていうのを理由に、かこつけて、お出かけしている。
(宇多丸)おしゃれして、お出かけ。普段はできないようなおめかしして、お出かけ。
(竹中夏海)よっしゃ!っていう。
(宇多丸)よっしゃ!なんだ。はい。ということで、いやーちょっとね、いきなりちょっと時間がきてしまいましたけど。ちょっと時報またぎで告知をされていただきつつですね。グループアイドルを楽しむ基礎教養としてのセーラームーン入門入門特集ぐらいでしたけどね。竹中先生、ひとまずありがとうございました。
(竹中夏海)はい。ありがとうございました。
(時報明け)
(宇多丸)はい。まだまだね、実はセーラームーンとモーニング娘。歴代でたとえていくのが続いていて。やっぱり、究極の月野うさぎは道重さゆみさんなんじゃないか?という話のね。
(竹中夏海)そうですね。エターナルセーラームーンに最終的になるっていう。
(宇多丸)最終的に、そう。『私なんか・・・』にいちばん近いようなところにいた人が、いちばん偉大な存在にっていう。そういう意味では、なんですか。わかってきちゃったなー!やだなー!竹中先生!
(竹中夏海)(笑)。5ポイント!
(宇多丸)今日、最終的に25ポイントほどいただいております。さあ、ということで、今日話しきれなかった部分で。私の例題に時間を取っちゃって。あの、物語。セーラームーンのお話自体っていうのも、そのアイドルの構造と似ているという話。
(竹中夏海)そうですね。そう。ヒーローものが、実は古今東西、不可欠な三要素がありまして。それが全部、セーラームーンにも入っていて。アイドルにも実は入っているんじゃないか?っていうのが、『不思議な出生』『怪物退治』『財宝獲得』っていう、この三要素なんです。まあ、セーラームーンも、桃太郎とかも、なんでもまあ。
(宇多丸)不思議な出生っていうのは、まさに最初おっしゃっていた、アイドルっていうのは自分の意思でやってないじゃないかって言うけど、要は自分の意思ではないところで使命をおびてしまうというような、そういうことですかね?
(竹中夏海)そうなんですよ。これ、私の教え子のアップアップガールズとかでたとえると、不思議な出生がまず、ハロプロエッグをクビになった7人が不本意に集められたっていう意味で、不思議な出生。本人たちの意としてないというか。で、怪物退治が、ある意味ハロプロ退治。
(宇多丸)仮想的としてのハロプロ。うんうん。
(竹中夏海)そうですね。ハロプロは自分たちを捨てたというか。場所を退治するという意味で。で、財宝獲得は、そのハロプロの御用達のハコというか。横浜BLITZ、中野サンプラザ、いまだったら武道館だったりとか、っていうところを次々に目指していく。
(宇多丸)制覇、制覇していく。それこそ、自分たちがクビにされた屈辱の場みたいなものを制覇していく。
(竹中夏海)そうですね。
(宇多丸)面白いのは、そもそもでも、ハロプロっていうのの始まりであるモーニングも、オーディションに落ちた連中の寄せ集め。
(竹中夏海)そうなんですよ。
(宇多丸)で、本来はロック歌手になりたいみたいな子たちが、つんくというルナに集められて。勝手に使命をやられて、いやいや!なんて言いながら、なっていくみたいな。
(竹中夏海)そうなんですよ。
(宇多丸)だからある意味、輪廻の・・・
(竹中夏海)繰り返して。はい。そうですね。
(宇多丸)なるほど。なるほど。これ、いろんなあれは置き換えられるかもしれないですね。
(竹中夏海)そうですね。できますね。
(宇多丸)アイドルグループでも、フィットしないグループもいるわけですもんね。
(竹中夏海)そうですね。だから対して、アプガに対して私の同じ教え子のPASPO☆とかは、『ROOKIES』とかダメなやつらが・・・
(宇多丸)いきなりセーラームーンからROOKIES(笑)。
(竹中夏海)少年マンガっぽいんですよね。あの人たち。なんか、ダメなやつらが集まって、どうにかこうにかがんばっていくみたいなところっていうのは・・・PASPO☆はね、ヒロインものでは当てはめられない。
(宇多丸)あとは全員のキャラが立ちすぎていても難しいとか。
(竹中夏海)まあ、Berryz工房はアベンジャーズ。特殊能力。
(宇多丸)もう全員が特殊能力。しかも、ある意味、その特殊能力を持ちすぎていて、グループとしての一体感というよりは緊張感が見ものみたいな。
(竹中夏海)そうそう(笑)。はいはい。
(宇多丸)(笑)。面白いっすね。という話がどっさり書いてあるのが、今回の本ということですね。
(竹中夏海)はい、そうですね。
(宇多丸)ちょっと今回、時間がきてしまったので。申し訳ないけど、続きはぜひ、この本をですね、読んでください。お知らせ、お願いします。
(竹中夏海)はい。私が発売した『アイドル=ヒロイン』がですね、いま絶賛発売中でございます。それで、他に私がちびうさだったセーラームーンミュージカルがいま、また復活していまして。それの振付を一部担当されてもらったんですね。
(宇多丸)あ、すごいですね。なんか錦を飾るみたいな。
(竹中夏海)鮭みたいでしょ?(笑)。
(宇多丸)本当に(笑)。帰ってきて。
(竹中夏海)帰ってくる。で、その鮭が振付を一部担当した『美少女戦士セーラームーン Petite Étrangère』っていうののDVDが1月28日に発売します。2月1日にはその発売イベントもありまして、現役のセーラー戦士たちがちゃんとイベントにトークだったり、ライブで出演しますので。ぜひ。すごくアイドル性の高い子たちなので。
(宇多丸)これ、ミュージカルのセーラームーンも竹中先生、そうやって鮭として帰ってくるぐらいだから。ここにもその、輪廻の物語が。
(竹中夏海)そうなんですよ。しかも、今回の新セーラームーンミュージカルとしては第二作目なんですけど、第二作目で初登場のちびうさ。ちびうさが初登場した回なんですね。
(宇多丸)新しい子が入ってくる。
(竹中夏海)そうなんですよ。で、そこに鮭として、元ちびうさが。
(宇多丸)振付師ですよ。みなさん、鮭というとね(笑)。あと、あれですね、2012年からスタートしたセーラームーンの20周年プロジェクトに一端として、最新シリーズが昨年7月から?
(竹中夏海)ああ、そうですね。セーラームーンCrystal。
(宇多丸)ニコニコ動画などで配信スタート。で、今年の4月からは地上波でテレビ放送されることが発表されているということで、いまからでも見れますよと。あと、先ごろ初代のテレビアニメがNHK BSプレミアムにて4月から再放送されることが発表されたと。来てる!セーラームーン来てるぞ!と。
(竹中夏海)来てます。
(宇多丸)だから、いま乗るなら、お前ら、このタイミングだぞ!ということかもしれませんね。
(竹中夏海)そうです。乗っとけ!っていう。
(宇多丸)ということで、ぜひこの『アイドル=ヒロイン: 歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい』。ポット出版。竹中先生の本をぜひ読んでいただきたいと思います。
<書き起こしおわり>