安住紳一郎が語る 地方出身者の孤独な成人式の思い出

安住紳一郎「そんな彼(彼女)がいまの夫(妻)です」メッセージを語る ラジオ

(安住紳一郎)それでサボテン持って帰って。アパートの部屋で、サボテンとの語り合いですよ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)だって、することないんだもん。張り切って行ってさ。

(中澤有美子)もう・・・泣けるのに笑っちゃう(笑)。

(安住紳一郎)ハタチになって人生初の杯をサボテンと酌み交わすのよ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)『おう、サボテン。お前はその鉢の中で大きくなるのか?慣れない気候はこたえるだろ?砂漠育ちに都会の孤独はどうだ?俺は、俺は負けてしまいそうだよ』。本当もう、サボテンと気持ちが重なっちゃってるのね。都会の砂漠のサボテンですよ。こちらは。

(中澤有美子)そうかそうかそうかー。

(安住紳一郎)『俺も故郷の同級生と騒ぎたかったよ!君も1人なのか!?いや、ダメだ。こんな簡単に孤独に音を上げるようじゃダメだ!上京した時の青雲の志を忘れるな!』とこう、サボテンも言っているわけ。

(中澤有美子)サボテンが言ってくれた(笑)。

(安住紳一郎)そう。サボテンが言ってくれてるの。で、私はそんなサボテンからの言葉にですよ、都会の孤独に打ち勝つべく、素早く立ち上がりました!

(中澤有美子)はい!

(安住紳一郎)『おう、俺は負けてられないぞ!北海道から出てきたんだから、友達いなくてもやっていけるよ!成人式の孤独なんて、なんだ!トゲなんか、無くしちゃいないんだから!』。与野市の成人式、午前中だったんですよ。

(中澤有美子)はい。

立ち上がるハタチの安住紳一郎

(安住紳一郎)埼玉にお住まいの方、おわかりでしょうけど、与野市っていうのは周り浦和市に三方向、南、西、東と囲まれていまして。もう、歩いてすぐの距離に、浦和市の市民ホールとかいっぱいあるんですよね。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)それで、浦和市の成人式が午後からだったんですよ。

(中澤有美子)ほうほうほう。

(安住紳一郎)私、さっそく孤独に打ち勝つために、午前中与野市の成人式に出た後、サボテンと話をした後、浦和の成人式に出てきたんです!

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)2回目。

(中澤有美子)本当!?(爆笑)。

(安住紳一郎)浦和市の成人式。呼ばれてもいないのに。

(中澤有美子)い、行けました?

(安住紳一郎)行けました。招待状なくてもね、中に入れたんですよ。で、午後からの浦和市の成人式に出て。で、私はもう強い人間になっているから。

(中澤有美子)そうか。はい。

(安住紳一郎)もう今度は堂々としたもんですよ。もう最前列のパイプ椅子。浦和、当時南浦和から近くの市民ホールみたいなところに行った記憶があるんですけれども。もう最前列のパイプ椅子。君が代を大きな声で歌いあげて。

(中澤有美子)(笑)。すごい!強い!

(安住紳一郎)『きーみーがー!』って。もう周りからは『右翼の活動青年か?』みたいな。『なんだ、この人?1人で来て、君が代を堂々と歌って』って。

(中澤有美子)誰とも交わらず(笑)。ええ、ええ。ほー。

(安住紳一郎)で、ちょうど15年前の成人式を私は与野市の成人式に午前中。で、午後からさっそく孤独に打ち勝つために、浦和市の成人式と。2回出てきたという。

(中澤有美子)そうでしたかー!

(安住紳一郎)よく、エド・はるみさんが自分のお齢を説明する時に『成人式を2度終えたくらいです』というような説明をよくされていますが。

(中澤有美子)そうですね。著書もそのような題名で。

(安住紳一郎)そんなような話を聞くと、いつも私は心の中でこうつぶやいています。『エドさん、私も成人式2回出てます』と。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)うん。当時からちょっと変わってたんでしょうね。私ね。

(中澤有美子)そうですね(笑)。

(安住紳一郎)でもね、なんか許せなかったんだね。やっぱりね。

(中澤有美子)そうかそうか。

(安住紳一郎)ハタチでは受け止めきれない疎外感。で、ちょっとやっぱりもう1回出てみようと思って(笑)。

(中澤有美子)(笑)。なんかこう、リベンジっていうか、なんだったんでしょうね?うん。

(安住紳一郎)まあちょっと都会に負けたくないっていう気持ちがたぶんね、強かったんだと思います。まあ、典型的な田舎者の青臭さですけども。いまとなってはいい思い出だなというところ、ありますけれども。

(中澤有美子)そうですねー。

(安住紳一郎)そんなセピア色の青春の日々から15年ですか?平成6年。与野市の成人式でもらったあのサボテンは、いまも実家の出窓で元気に暮らしております。

(中澤有美子)あ、本当ですか!うわー。

(安住紳一郎)梅干しくらいのサボテンが、いまは折りたたみ傘くらいの大きさになっております。

(中澤有美子)そうですかー。

(安住紳一郎)ビヨーンってなってます。

(中澤有美子)畳んだ時の。ええ。

(安住紳一郎)元気にやってますねー。彼も。しかも、4年前にピンク色の花を咲かせまして。ええ。私はぜんぜん知らなかったんですけども、帰省した折。4年前、5年前に帰省した折に、その植木鉢の土の上に、茶褐色に薄汚れた花弁が何枚か落ちていて。で、『あれっ?母さん、これサボテン、花つけたの?』って聞いたら、『そうだ』って言うから。『ええーっ!?』と思って。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)もう私の友達ですから。

(中澤有美子)そうですよね。ええ。

(安住紳一郎)『なんで電話して教えてくれないんだよ!』って母親に言ったら、母親っていうか家の人はぜんぜんそういうコミュニケーションがあったって知らないから。このサボテンとウチの息子が。『ずいぶんおかしな子だな』という風に思っていたみたいですけれどもね。『あれ?なんでこんな植物に花がついたぐらいで。そんなに興奮する優しい子になっちゃったんだろう?』みたいな。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)そんな感じになっていましたけども。ええ。いまもサボテン、与野市からいただいたサボテン、元気に育てて。ええ。

(中澤有美子)そうなんですね。あー。

(安住紳一郎)花までつけましてですね、たいへん嬉しかったですね。

(中澤有美子)そうですね。

(安住紳一郎)また、東京に戻る時にはちょっとね、愛おしむかのようにサボテンを撫でてみようと思うとチクッと痛い。

(中澤有美子)そうですね(笑)。やっぱり寄せつけないですね。

(安住紳一郎)寄せつけないなっていうね。お互いがんばろうねっていう。『この痛みにまた耐えるんだな、俺は』っていう(笑)。うん。まあちょっといい話してるつもりなんですけど、ただのおかしな青年の話なんですけれども(笑)。

(中澤有美子)(笑)。まあちょっと、紙一重ですけど。ええ。

(安住紳一郎)まあ、ただ成人式に2回出てきたおかしな人ということなんですけど。

(中澤有美子)いや、ええ。うん。すごい、はい。感動しました。

(安住紳一郎)たぶん地方出身の方で成人式で孤独な思いを噛みしめている方がいると思いますので。もし、近くを1人で通っている新成人がいましたら、一言『おめでとう』と声をかけると、たぶんその青年の未来はたいへん明るいものになるんじゃないかなという風に思います。地方出身者からの関東のみなさんへの心からのお願いでございました。

(中澤有美子)はい!

(安住紳一郎)(笑)。そんな思い出はないんですか?

(中澤有美子)そうでしたねー。はい。

(安住紳一郎)そうですか。親元から成人式に行けるなんて、なかなか地方出身者からしてみるとね、本当にうらやましいことですよ。

(中澤有美子)そうだったんですね。ええ。なんか、そうですね。中学校とかの時のお友達と会うのが恥ずかしかったんですね。私は。

(安住紳一郎)あ、ハタチの頃ですか?

(中澤有美子)ええ、ええ。

(安住紳一郎)それは、整形前だからとかそういうことですか?

(中澤有美子)(笑)。うん。なんか変わった自分が会うのが恥ずかしかったんです。

(安住紳一郎)そうですよね。19、ハタチの頃ってまだ変わりきれてないから、変身途中の自分を友達に見せるみたいな。途中経過を伝えるみたいな感じで。もうちょっと完成形を見てほしいっていう気持ちになりますよね。

(中澤有美子)そう、そう。そんな感じだったような気がします。はい。

(安住紳一郎)以上、成人式の思い出でした。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)今年、新成人になるみなさん、本当におめでとうございました。

(中澤有美子)おめでとうございます。

(安住紳一郎)立派な大人になってください。

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