吉田豪 アントニオ猪木の素顔 人間・猪木寛至を語る

吉田豪 アントニオ猪木の素顔 人間・猪木寛至を語る 上柳昌彦・松本秀夫 今夜もオトパラ!

(吉田豪)猪木さんのお兄さんが選挙に出た時も最高だったんですよ。猪木さんとあまり仲良くないんですけど、お兄さんが選挙に出て。お兄さんがまたかなりの変わり者で。夢枕に、たしかキリストかなんかが出てきて。『お前が世界の三大宗教を統一しろ』って言われて。『私はそのための活動をしていて、いま、フリーメーソンなんです』みたいなことを真顔で言う人なんですよ。

(上柳昌彦)ほー。

(吉田豪)で、その人が選挙に出た時もかなりそういうおかしなことばっかり言っていた時に、猪木さんが来る・来ないみたいな話になって。猪木さんが来て、猪木さんにビンタをするっていう。その人が。逆なんですよ(笑)。

(上柳昌彦)おお、おお。お兄さんが弟に。

(吉田豪)お兄さんが闘魂を入れられなきゃいけないはずなのに(笑)。お兄さんが猪木さんにビンタするっていう。見に行きましたよ、それも(笑)。面白かった。

(松本秀夫)それはでも、猪木さんがビンタされているところっていうのはレアですよね。

(吉田豪)レアでしたよ。またビンタも下手なんですよ(笑)。慣れてないから。

(上柳昌彦)慣れてないよね。うん。

(松本秀夫)その、くくりはできないかもしれないですけど、天然な・・・計算がある程度ある方なんですか?

(吉田豪)計算もあるでしょうけど、計算を超えてますよね。

(松本秀夫)計算を超えた行動が?

(吉田豪)大変ですよ。本当に、猪木さんのインタビューってまず面白くならないんですけど。気づかないでダジャレをよく言っていて。言ってるのにダジャレを削除しちゃったりするんですよ。ダジャレだって気づかないパターンが多くて。

(上柳昌彦)ダジャレを言うんですか?

(吉田豪)いや、ダジャレしか言わないですよ。モハメド・アリの話になると、かならず『まあ、これはアリがちな話ですが・・・』って、かならず『アリ』を入れてくるっていう(笑)。『彼には非常にアリがとうと言いたい』とか。かならず『アリ』を入れてきて。気づかないんです。

(上柳・松本)(笑)

(吉田豪)で、僕が雑誌やっていた頃に、校正とか僕が見て、『ダメですよ!気づいてないですよ!ここ、カタカナにしないと!』って僕がよく指示していて。『アリはカタカナですよ!』とか。『ダジャレです!』って(笑)。

(上柳昌彦)シャレなんですから!って。

スルーされがちな猪木ダジャレ

(吉田豪)で、ダジャレ言ってることに気づいて笑うとすごい喜んでくれるんですよ。試合後の会見とかを見ていて、猪木さんがダジャレを言ったのに誰も気づかないでスルーしてる時に、僕が離れで笑っていると、僕の方を見てもう1回ギャグ言ってくれたりして。

(上柳昌彦)かわいいですね(笑)。

(吉田豪)かわいいですよ。ダジャレ言いたがり。そして、気づいてほしがり。そういう感じですよ。

(松本秀夫)周りがでも、猪木さんがダジャレを言うっていうイメージに思っていないから。

(吉田豪)でも、ある時期からダジャレしか言わなくなってますよ。

(松本秀夫)ああ、そうなんですか!

(吉田豪)そこがいいんですけどね。

(松本秀夫)オヤジですね。それは。

(吉田豪)ダジャレとあと、本当にもう昔からずーっと言っている宝探しの話とかしかしなくて。だから、これ4・5年前ですかね?『Number』で石井館長との対談っていうのがあって。それがDynamite!っていう日本の格闘技史上最大の10万人興行が国立競技場で行われて。それの中心にいたのがその2人だっていうので、その思い出話をしてもらうみたいな企画だったんですけど。

(上柳昌彦)すごいじゃないですか。

(吉田豪)いざ始まったら、たしか猪木さん自体はあまり関わってないんですよ。猪木さん自体、その時実は対立する興行をやって大失敗して。そのペナルティーで、上空からスカイダイビングさせられて・・・みたいな時だったので、猪木さん的にはあんまり思い出したくもない話だったりしたせいもあるんだと思うんですけど。まあ、その話を振り返ろうとしてるのに、一切猪木さんがその話をしなくて。『宝探しをしたい』みたいなことを、ずーっと言ってて。その度に石井館長がなんとか話を戻そうとして。

(上柳昌彦)石井館長、大変ですね(笑)。

(松本秀夫)(爆笑)

(吉田豪)大変でしたよ。

(上柳昌彦)戻さなきゃ!って。

(吉田豪)噛み合わないなんてもんじゃなくて。

(松本秀夫)聞いても一切そのことには答えないで、もう?

(吉田豪)基本、自分の言いたい話しかしない人ですから(笑)。

(上柳昌彦)じゃあ質問と答えが全く違うっていうことは当たり前なんですね。

(吉田豪)当たり前です。インタビュー、大変だと思いますよ。みなさん。

(上柳昌彦)永久運動する機械が発明されたって・・・

(吉田豪)はい。永久電池ね。

(上柳昌彦)ご存知です?

(吉田豪)もちろんですよ。

(上柳昌彦)あれの話をずーっとしてらっしゃる時に、まあインタビューになっちゃって。

(吉田豪)できるわけないだろうっていうね。誰もが思ってるんですけど。

(上柳昌彦)どうすりゃいいんだ、この話。『永久に動く』ってずっとおっしゃってるんですよ。

(吉田豪)あの流れは全部面白かったですもんね。記者会見やったら全く動かない機械が・・・

(上柳昌彦)記者会見やった!そう、記者会見、数日後にあるっていう日で。ものすごい勢いで、僕とテリー伊藤さんの前で大熱演。

(吉田豪)すごいものができるんですよ!っていう。世界のエネルギーが変わります!みたいなことを言ってね。

全く動かない永久電池の機械

(上柳昌彦)で、テリーさんもああいう人ですから、『いやー!すごいことになりましたねー!これはすごいですよ!』ってやって。2人でこうなってるんだけど、どうすりゃいいんだ?って。でも、記者会見やるっていうんだから、ある程度はね・・・

(吉田豪)歴史に残る会見でしたよ。いざ始めたら、機械が全く動かなかったっていう(笑)。

(上柳昌彦)全く動かないんだよ(笑)。

(松本秀夫)猪木さんの目の前でですよね。

(上柳昌彦)うん。だからなんかね、そこをお茶目と思えばね、こんなにお茶目な方はいらっしゃらないなと思いましたね。

(吉田豪)まあ、関係者の人が毎回言うのが、『本当にアントニオ猪木は大好きだが、猪木寛至は大嫌い』みたいなことで。だから個人としては本当に最悪で・・・みたいな。ただ、スター性というか、そういうオーラはすごいし、モメた人たちがやっぱり度を超えて猪木さんのことを好きなんですよね。

(上柳昌彦)そうなんですよね。だから選挙でも受かるんですよ。あの、糖尿病かなんかになったんでしたっけ?痛風だっけ?なんでしたっけ?

(吉田豪)糖尿病です。

(上柳昌彦)あれ、氷を入れた風呂に。

(吉田豪)氷水ですね。

(上柳昌彦)氷水で治したとか。

(吉田豪)氷風呂につかって。

(上柳昌彦)あれは本当にやったみたいですね。

(吉田豪)キャベツ丼を食べて、ってやつですよね。キャベツ丼ってなにか?と思ったら、ただのキャベツの千切りを入れただけの丼っていう(笑)。

(上柳昌彦)氷張った風呂にかなりの時間入るんだよ。それで、なんか糖尿病を治したっていうね。

(吉田豪)レスラー、意外と糖尿病が多くて。たぶん食べ過ぎで。で、実はだからリング上で動くことが運動になって、みたいなパターンが多いんですよね。

(上柳昌彦)なるほどねー。

(松本秀夫)まあでもやっぱり僕ら、中学高校の時は猪木全盛で。クラスみんな猪木ファンみたいな。休み時間にね、卍固めをかけて・・・

(吉田豪)本当に猪木信者っていうかね、猪木のためなら死ねる!みたいな人たちがすごいいた時代じゃないですか。

(松本秀夫)卒業の時の寄せ書きに、猪木のサインを書いていた奴って結構いましたよ。

(吉田豪)僕もいまだに書いてますよ。僕のサイン、猪木さんのパクリですから(笑)。

(上柳昌彦)『闘魂』って書いて下に名前書くような。

(松本秀夫)それがね、寄せ書きに残ってるんですよ。何人もいるんですよ。それが。でもそれぐらいのカリスマっていうか、やっぱり猪木さんを超えるようなカリスマって出てこない。

(吉田豪)『馬場さんのためなら死ねる』みたいに言っているファンってぜんぜんいなかったですからね。

(松本秀夫)馬場さんは逆に人柄をみなさんね。

(吉田豪)そうなんですよ。その後、変わるって言うね。いざ会ってみると、やっぱり馬場さんの方が信用はできる、みたいな(笑)。

(上柳昌彦)猪木さんが北朝鮮に行きたがる、訪朝したがるっていうのはなにかあるんですかね?

(吉田豪)まあ、あそこまで入り込んだ人が猪木さんぐらいしかいないっていうのが。猪木さんとかデヴィ夫人ぐらいしかいないっていうのが大きいんでしょうけど。まあ、そりゃあ止められてもいくらでも行きますよね。

(上柳昌彦)行っちゃいますよね。

(吉田豪)僕、実はだからあの猪木さんの北朝鮮興行の時に、当時いた紙のプロレスっていう雑誌の社員旅行が北朝鮮なんですよ。

(上柳・松本)(笑)

(吉田豪)みんなで行って、そこで見る見たいな。

(上柳昌彦)見ようと。

(吉田豪)僕はそれをサボるぐらいで。そんなに思い入れもなかったっていう。

(上柳昌彦)あー、そうですか。さあ、みんなの党元所属議員らと新党結成。

(吉田豪)僕の予言はたぶん、そんなに長くもないうちに、なにか起きます(笑)。

(上柳昌彦)起きるんだろうねー。『こんなはずじゃなかった!』っていうのがね。

(吉田豪)あれ!?っていうね。

(上柳昌彦)あれ!?っていうのが。まあ、一応ね、そういうね。歳費という税金をもらってらっしゃるんで。まだ政治家ですからね。現役のね。

(吉田豪)僕なら猪木さんには一票入れないっていうのはありますよね。大好きですけど、票は入れません!っていう。

(上柳昌彦)それとこれとは別なのよというね。

(吉田豪)猪木さん、盛り上がると思ったらなんでもする人ですよっていう。これやったら面白くなるんじゃねーかな?って思ったら、どんな酷いことでもする人ですから(笑)。

(上柳昌彦)だからそういうプロデューサー的な直感はすごい方なんですよね。

(松本秀夫)でも、アリとやるなんてことは当時、思いつきもしなかったですもんね。試合の内容はまあ、別として。

(上柳昌彦)話は尽きませんが、今日はアントニオ猪木さんについて吉田豪さんにいろいろお話をうかがいました。ありがとうございました。

(松本秀夫)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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