山崎怜奈とジェーン・スー 悩み相談を語る

山崎玲奈とジェーン・スー 悩み相談を語る 山崎怜奈の誰かに話したかったこと。

ジェーン・スーさんが2020年12月2日放送のTOKYO FM『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』に出演。山崎怜奈さんと悩み相談などについて話していました。

(山崎怜奈)ジェーン・スーさんはですね、これまでたくさんの著書も書かれておりますが。私、たくさん愛読させていただいております。ちょっと、カバーを付けてこなくて申し訳ないんですけども。『ジェーン・スー相談は踊る』。そして『女に生まれてモヤってる!』。さらには後ほど紹介させていただく新刊も出版されています。何だろう? 私が好きな言葉を……スーさん、ご存知の方は多いと思いますし。いろんな面をお持ちなので、スーさんの中で好きな言葉を私が紹介させていただきます。

『女に生まれてモヤってる!』の中に「個であることが命取りな時代が来ている」とか書かれているじゃないですか。あと「落ち込んでいる人の励まし方がわからない」っていう話が『ジェーン・スー相談は踊る』っていう本の中に書かれていたりとか。「自信とプライドの総量は一緒だから、ヤバい人に『大丈夫?』って聞いちゃいけないんだよ」とか。そういう言葉をストレートに伝える、その言い切る時の勇気に私、すごく救われていて。

(ジェーン・スー)ありがとうございます。まだお若いのに……人生、何回目ですか?

(山崎怜奈)フフフ、人生まだ1回目ですね(笑)。

(ジェーン・スー)いや、わからんぞ? 3回くらい……さっき、外で声を聞いていて「ああ、これは人生3回の人の声だな」って思って。

(山崎怜奈)そんなことはないんですよ(笑)。

(ジェーン・スー)落ち着きはらっていて。

(山崎怜奈)落ち着きはらっちゃっているからこそ、この自分は全く経験しえない人生を送ってる人に寄り添う言葉ってどうしたら生まれてくるですね?

(ジェーン・スー)いやー、もう試行錯誤です。今から考えたら最初の頃にやってた相談の回答っていうのは「すいません! もう1回、やり直していいですか?」って言いたくなるのもありますし。

(山崎怜奈)へー! スーさんでもそう思うんですか?

(ジェーン・スー)思いますよ。今だっって、たぶん5年後に聞いたら「うわー、なんか言ってる。私!」みたいなのもあると思いますし。正解はないじゃないですか。それで相手の人のテンションも分からないし。ただ最近、気をつけていることで言うと、もう自分が嫌で嫌で仕方ない時ってあるじゃないですか。自分のことが大嫌い。土に埋めたいぐらいの時ってあるじゃないですか。

(山崎怜奈)あります。

(ジェーン・スー)嫌なことがあって、自信がなくて。そして、あまりにも自分が嫌いすぎて最終的に「世界が悪い」みたいなことになっている時ってあるじゃないですか。

(山崎怜奈)悪循環ですね。

(ジェーン・スー)そうですね。ああいう時のテンションを覚えておこうと思って。

(山崎怜奈)「覚えておく」?

(ジェーン・スー)それでぐらい自尊感情が減ってる時に、誰かから言葉を投げかけられた場合、どういう言葉だったら沁み入るかな?っていう。そこでなんかゴーン!って、「なに言ってるのよ! しっかりしなさいよ!」って言われたらたぶん、傷つくし怒っちゃうし。「こういう自分のことが大嫌いな時に、人になんて言ってもらえたら私は少し元気になるかな?」っていうのを考えて答えるようにはしてますね。

自尊感情が減っている時、どんな言葉なら沁み入るか?

(山崎怜奈)だからスーさんの言葉って骨からしみ出た言葉みたいな感じがするんですね。

(ジェーン・スー)骨からなんかしみ出たら病院に行かなきゃいけないよ(笑)。骨髄液じゃん、それ(笑)。

(山崎怜奈)本当にでも、なんか絶対に上辺じゃない、何かを通ってきた言葉が出てきているので。そういうことについても今日はお話を伺えたらと思います。若者にどうぞご教授ください。

(ジェーン・スー)人生3回目のくせに(笑)。

(山崎怜奈)違いますよ(笑)。

(中略)

(山崎怜奈)ジェーン・スーさんはパーソナリティーのベテランそして私は尊敬していますが。そして、お会いする前から結構本とかラジオとかSpotifyとかでいろいろと……。

(ジェーン・スー)びっくりだよ。乃木坂の方に届いているとは思ってないからね、こっちも。

(山崎怜奈)届いています。しみじみと。それこそ骨の髄までしみじみと(笑)。

(ジェーン・スー)いやいや、山の手のお嬢さんたちに……。

(山崎怜奈)「山の手のお嬢さん」?(笑)。

(ジェーン・スー)ちょっとね、下町の話は過激じゃないかなって。

(山崎怜奈)私、江戸川区出身なので。元の通っている血は下町なんですよ(笑)。

(ジェーン・スー)私、文京区なんで。あっちだ。大丈夫だね。

(山崎怜奈)あっちなんです。あと、学校も文京区だったので。

(ジェーン・スー)ああ、本当に?

(山崎怜奈)なのでたぶん通ってる血は一緒ということで。今日はそんなスーさんにお話を伺いたいと思うんですけれども。『ジェーン・スー生活は踊る』の相談コーナーを長年やっていらっしゃるじゃないですか。それで、他人の悩みに答える。他人の相談に答えるコツについてこの時間をお伺いしたいと思うんですけれども。センシティブな内容への向き合い方って難しくないですか?

(ジェーン・スー)難しい。正解はないし。あと私、専門家じゃないし。たとえば臨床心理士みたいな資格を持ってるわけでもないし。カウンセラーの民間資格を持ってるわけでもないし。でも「聞いてほしい」って言ってくれたんだから、聞くしかないかなっていうところですね。

(山崎怜奈)元々やられるようになったきっかけっていうのは何だったんですか?

(ジェーン・スー)それがいまだにちょっとよくわかんないんですけど。あの『トップ5』っていう番組をやってたんですよ。TBSラジオで。その時に、発言小町とかああいう新聞の相談コーナーとかを読んで、それに勝手に……別に聞かれてないのに勝手に「私はこう思う」みたいなことを答えるコーナーっていうのがあって。

(ジェーン・スー)それをやっていたら、「じゃあ、本当に相談番組やってみる?」ってことは、まずは『相談は踊る』っていう番組が土曜の夜に始まって。それで今度、月曜日から木曜日の『生活は踊る』になった時に、その相談コーナーも中に入れましょうっていうことで。だから時間帯はどんどん変わってるんで、相談の内容も変わってるんですよ。

(山崎怜奈)なるほど。でも自分が全然わからない経験をしてる人の相談って、どこまで踏み込んでいいのかとかも難しいじゃないですか。そういうラインってどういうところで勉強されたんですか?

(ジェーン・スー)勉強してないですよ。だから毎日、間違いながらでやってますけど。真意が伝わらないこともあるし。あと、先方の真意っていうのが私にたぶん伝えきれない時もあると思うんですよ。だってメールで1回もらうだけで直接、電話で話すわけでもないから。だから、まあスタッフが相談を選んでくれるんですけど。その中でも、なるべく意思疎通ができそうなものをたぶん選んでくれてるんだと思うんですけどね。センシティブなことに足を踏み入れる時に、まあちょっと先ほども話しましたけど。やっぱり自分が弱っている時に言われて傷つかない言葉を使うっていうのは気をつけますね。

(山崎怜奈)難しいですよね! なんかそれこそ、そのスーさんの口から発したもう正直な裏表のない言葉を、悪意に絡めて受け取っちゃう人もいるじゃないですか。でもその人もその人でたぶん、なんか気持ちの面でちょっと弱っているからそうしちゃうんだろうなって……。

(ジェーン・スー)フフフ、あんた、さては最近困っているね?(笑)。

(山崎怜奈)困っているんです(笑)。

(ジェーン・スー)相談のテイであんた、自分の話をしたね?(笑)。

(山崎怜奈)そうなんです。でもそのパワーに……。

(ジェーン・スー)それはもう、しょうがない! それは本当にね……。

(山崎怜奈)でも、そのスーさんみたいなスッと言ってくださるその言葉に、私みたいにすごく救われてる人もたくさんいるんです。でも「頑張る」っていう言葉って、自分の首も絞めるし、相手の首も絞めかねないじゃないですか。どうしたらいいですかね? なんか、背中を押してあげた方がいいんだろうけど、その背中を押すことが相手を苦しめてしまう時ってあって。

(ジェーン・スー)でもさ、でもさ、玲奈さんが話してる相手っていうのは、想定している人っていうのがいるわけじゃないですか。でも、それに対して言ってくるのってそこじゃない人じゃん。

(山崎怜奈)たしかに。

(ジェーン・スー)で、そうじゃない人が言ってきたことに関しては、相手の人を傷つけるような言葉だった時には「やめて」ということは言うべきだと思うけど。たとえば玲奈さんが誰か相談してるAさんがいます。Aさんに通じるような言葉を伝えたら今度、それを全然関係ないBさん、Cさんが「それは間違ってる」とか。「えっ? あなたが相談されたわけじゃないでしょう?」っていうようなことを言った場合に……じゃあ、まあ私が言われる分には別にいいですよ、それは。

だけど、「その答えが結局、私に相談をしたAさんを傷つけてませんか?」っていうことになった時は、言うけれども。でも、それ以外の時はもうね、何を言っても通じない場合もあるし。あと、もうたぶん私もそうですけど。玲奈さんもそうですけど。「いるだけで憎い」という人はいるので。

「いるだけで憎い」という人もいる

(山崎怜奈)フフフ、まあね。「出る杭は打たれる」とか言いますからね。

(ジェーン・スー)まあ、出ちゃったんでしょうね。それでやっぱり、「この気持ちがわかるか?」って言われたら、100パーセントはわからないじゃないですか。あと、やっぱりその「人の前に出る仕事をしてる時点で、我々の気持ちはわからないんだ」っていうことを言う人もいるし。なかなか難しいんだよね。さっきもちょっと生放送で言ってきたところなんですけども。

(山崎怜奈)おお、そうなんですね。

(ジェーン・スー)「にゃろう!」っていう話をしてきたところで。でも、ご自身もSNSを見ていたら、曲解されてちょっと傷付いてるんだろうな、みたいなのを思わせるようなのがあったから。

(山崎怜奈)そこを汲み取ってくださったんですね。ありがとうございます(笑)。

(ジェーン・スー)「ああ、わかるよ、わかる。これ、わかる!」って思いながら。

(山崎怜奈)ねえ。でも、やっぱり「誠実」っていう言葉とか、「誠実でいたいと思ってます」みたいなのも、口に出すと恥ずかしいし、ちょっと偽善っぽく聞こえちゃうけど。それが本当に発された、「そうありたいな」って思わせるような言葉を出せる人もいるじゃないですか。私、スーさんは本当にそういう方だなと思っていて。

(ジェーン・スー)いや、もうすごい極端な話を言うと、人前に出る仕事をしていて、一番嫌われないのは、ずっと突っ込まれていることですよ。そのポジションにいれば嫌われることはないですよ。ただ、それをするのか、自分が発信する側に行くのかっていうところじゃないですか。「発信」っていう言葉は最近、かっこ悪いなと思っていて。誰か他の言葉を考えてほしいなって思っているんですけども。「発信って……」って思って(笑)。

(山崎怜奈)でも「発信」でたぶん大丈夫だと思うんですけど。発信する側、最近多いですよね。

(ジェーン・スー)山崎さん……今、「山崎さん」って言っちゃったけど。さっきは「玲奈さん」って言っちゃったな。

(山崎怜奈)どっちでも大丈夫です。

(ジェーン・スー)山崎さんはたぶん、思っていることをちゃんとまっすぐ伝えたいという意思があるわけじゃない? で、「その意思自体がすでにウザい」とか言う人は世の中にいるんですよ。もうね、「意思を持つことが嫌だ」っていう人もいるので。

(山崎怜奈)ねえ。でもなんか無限にうなずきあってる人たちだけだったら、こんなに世界は発展してない気がするじゃないですか。

(ジェーン・スー)そう。だから間違えた時には謝る。誤解があった時には解消する。だけど、それ以外の時には、やっぱりいっぱい応援してくれる人もいるわけじゃないですか。そっちに目を一生懸命向けるんですよね。わかってくれている人の方がだって、数は多いんだもん。

応援してくれる人に目を向ける

(山崎怜奈)うん。なんか思いましたけど。ちょっと曲を1曲、かけた後にまたお話ししようと思ってるんですけど。スーさんって欠点を肯定する力が果てしなく広いじゃないですか。果てしなく広い。

(ジェーン・スー)昨日ね、干し芋を2袋、食べちゃったんだよ。

(山崎怜奈)そういうこと!?(笑)。

(ジェーン・スー)お腹が空いていたんだと思う(笑)。

(山崎怜奈)でもなんか、もうまさに『これでもいいのだ』って思わせるような言葉をたくさんくださるスーさんとお話していて、私もちょっと今、すでにもう救われた気持ちでいますけれども。まだまだお話を伺いたいので。その前に1曲、お届けします。スーさんの大学の先輩方。この方の1曲です。ライムスター feat. mabanua『Future Is Born』。

<書き起こしおわり>

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