ジェーン・スー悩み相談「恋愛経験ゼロの私が職場の先輩に告白されました」

ジェーン・スー悩み相談「恋愛経験ゼロの私が職場の先輩に告白されました」 ジェーン・スー 生活は踊る

ジェーン・スーさんがTBSラジオ『生活は踊る』の悩み相談コーナーで「恋愛経験ゼロなのに職場の先輩に告白されて動揺している」という27歳女性からのお悩みに回答をしていました。

(堀井美香)今日のお悩みは通算1527件目のご相談でラジオネーム「匿名希望」さん。27歳女性の方です。

(ジェーン・スー)これ、いままででいちばん長いよ! A4で3枚あるよ!

(堀井美香)ですから今日は朗読会に……。

(ジェーン・スー)回答じゃない。ほぼ朗読。

(堀井美香)みなさま、本日は『A’LOUNGE』にようこそ(笑)。それではまいりましょう。ラジオネーム匿名希望、27歳女性です。一通目のメールから行かせていただきます。「スーさん、堀井さん、こんにちは。どうしたらいいのかわからないことが起きたので、整理も兼ねてメールを送らせていただきます。先日、職場の2歳上の男性に告白されました。日頃からお世話になっていて、頼もしく大変優秀な方で、周囲が一目置くような存在です。私は歳の近い後輩ということもあり、私や私のひとつ下の後輩とで飲みに行くことが多く、かわいがってもらっているという自覚はありました。

その方は結婚して子供もいたのですが、つい先日離婚され、その報告も後輩と私を交えた席でされていました。私は『後輩として何かサポートしたいな』と思う程度には親しく思っていました。離婚の報告があった後の先月末、後輩の男の子2人と私と先輩の4人でバーベキューをしている時、私がお手洗いに行こうとしたら、辺りは暗いので先輩がついてきてくれました。周辺にトイレがなく、先輩の家がいちばん近い距離だったので、お手洗いを借りることになりました。

2人で家から出た時、先輩から空いているスケジュールを確認され、『デートしよう』と言われ、私は『デート』という言葉に動揺したまま応じていました。当日までデートといった意味を考えこみ、『観光したいだけかもしれないし……』ということにして行ってきました」。

(ジェーン・スー)「……普通に観光をして食事をした後、少し遠方だったらで終電が早く、ギリギリに駅に着いた時に先輩から呼び止められてゆっくり抱きしめられて、『かわいい。キスしたい。嫌だったらやめる。ダメ? 嫌なら抵抗して』と迫られました。私はこれまで恋愛経験がゼロのため、ひたすら動揺して咄嗟に『好きなんですか?』と恫喝したら『好き』と返されました」。恫喝?

「……電車に2人で乗っている時間も同じ質問を2回もしてしまい、途中の駅の近くのお店で始発を待つ間に手を両手で握りられながら『付き合わないか? 嫌いじゃなかったら付き合おう』と彼から言われ、私が戸惑いまくり煮え切らないでいると、『こんなにも返事を待たされたのは初めてだ』とか『匿名希望ちゃん、悩んで楽しそうやな。青春やな』とも言われました。また、『いずれ言うつもりだったけど、好きかどうかの確認をこの歳になってされると思わなくて恥ずかしかった』と言われました。

どうしたらいいですか? いろんなことが一気に入ってきて、免許取り立てでカーレースに挑んでいるような気分です。このメール、本当に脳のオナラですね。私は少なくとも先輩が危険な男に思えますが、性的に大変魅力的だとも正直、思っています。断るのは惜しいですが、ホイホイOKもしたくない。本当にどうしたらいいですか? スーさん、堀井さん、ビンタをお願いします」。

(堀井美香)こっちを向けっ!(笑)。

(ジェーン・スー)いやいや、そういうコーナーじゃないんでね(笑)。「歯を食いしばれ!」とかじゃないんで(笑)。で、その後にスタッフとのメールのやり取りが数往復あったらしいんですよ。それで「その先輩と先週の日曜日、17日にまた遊びにいく約束をしていたことを思い出したという。そこには行くつもりだけど、お付き合い自体を断る予定です」と言っていたんですが、週明けにスタッフから連絡したところ、こんなメールが来ました。

(堀井美香)はい。「たくさん、話したいことがありすぎてどうしようかと……日曜日、17日に約束の通り会いました。結論から言うと、押しの強さに流されて、付き合うことになり、キスをしまし。流されたというか、ほだされました。それまでの1週間で顔を合わせることがあり、彼はいつも通りでしたが私はもう顔がこわばっていて、かなり不自然なことに。それ以降、気を取り直して他の方を交えていつも通り会話できるようになりましたが。一通目のメールでは『職場』と書いていましたが、本当は私は大学院生で、彼は研究員として私の通う大学に所属しています」。

(ジェーン・スー)なんでちょっと嘘をついたの?(笑)。

(堀井美香)「……日曜は朝から紅葉を見にお寺へ出かけました。緊張も解けてだんだん普段通りに話せるようになったところで、『先週は踏み込みすぎた』と彼から謝られました。『駅に着くまで手をつないでみない?』と聞かれましたが、私はもういっぱいいっぱいで思わず『無理です』と断りました。そこから過去の恋愛について聞かれ、実は経験がないこと。いまの状況でどうしたらいいのかわからないことなど正直な思いをぶっちゃけました。もうこの時点で相手の目を見ていません。彼からは『そんな少女漫画みたいなこと言われたら、俺が照れるよ』と返されました。

電車で改めて『先週のことを反省して慎重に接しようと思った。本当に好きなんだ。嫌がるようなことはしたくない。困っていたら言ってほしい。それすら言いづらくしていまっているのではないか、心配をしている。気持ちを言わないとなにも変わらないから、困らせることを承知で伝えた』など、言葉を聞いている限り彼も正直な気持ちを話しているように思えました。そこまでの気持ちを示されたので『慣れるまで手をつないでいよう』と言われて応じてしまいました」。

(ジェーン・スー)応じるんかい!(笑)。

(堀井美香)「……ただ、応じておいてなんですが、本当に急すぎて。私からしたら彼の迫り方がプロのやり口だったので。『離婚したてで寂しさを紛らわせたいところにチョロそうな後輩がたまたまいただけでは?』という疑いが拭えませんでした。あとで先輩にそう言ったら『心外だ』と言われました。ここまで読んでいて聞いていても『はいはい、ご勝手に』案件になりつつあるとは思うのですが、先日先輩と電話で話して感じていたことは『私は本当に先輩が好きではないのでは? 性欲に負けただけなのでは?』という気持ちです」。

(ジェーン・スー)いままでの話の中のどこに性欲があった?(笑)。「……これまで人を好きになったら、その人がいま何をしているかなど関心がわいていたのですが、私は先輩に対してそういう気持ちが少ない気がします。『一緒にどこに行ったら楽しそうだな。これは興味がありそうだな』とかは思うのですが。彼から向けられている全力の好意に対して私はこの中途半端な感覚でいていいのだろうか? 交際を承諾しておいて、今更悩んでいます。最初のメールと悩みが違ってきました。大変お恥ずかしいのですが、頭がグチャグチャでどうにかなりそうなことだけは確かです。何か一言だけでもアドバイスをいただければ幸いです」。ええと、読むのに7分かかりました(笑)。

(堀井美香)7分40秒(笑)。

番組史上最長のお悩み

(ジェーン・スー)最長です(笑)。もうスタッフがね、ウヒウヒ喜びながらこれを持ってきてね。いろんな真剣な相談もたくさん来ているんですよ。そんな中で……匿名希望。恋愛経験がない時、それはいろいろと不安になることってありますよね? 「バツイチ、離婚したばかりで……」とか。でもなんかずいぶんとしっかり……さすが、いまの恋愛だなって思わない? 我々の頃はここまでしてこなかったというかさ。「嫌だったらちゃんと断ってくれ」とか「付き合いたいと思っているんだけど、どうだ?」とか「嫌なから拒絶してくれ」とか。ちゃんとその段階を踏んで相手の……。

(堀井美香)そうですね。「付き合いませんか?」「はい」みたいな。

(ジェーン・スー)「NO」って言わない限り「承諾だ」と見なされて、いろんなトラブルが起きてきたわけじゃないですか。デートレイプ的なことも含めて。だけどそういうことが起こらないようにとにかくすべて承認を得てから前に進んでいるっていう。「手をつないでいいですか?」とか。前だったら聞かなかったでしょう?

(堀井美香)ねえ。優しいですよね。

(ジェーン・スー)「優しい」じゃないんだよ。それが普通の時代なの。だからすべて各2人で確認をして。

(堀井美香)確認をしてちょっとずつ前に進むという。

(ジェーン・スー)「YES」があってから進むという。まあ時代だなっていう感じもしますけども。ええと……いんじゃない?(笑)。

(堀井美香)いいんじゃないですかね(笑)。

(ジェーン・スー)もう、行っちゃえ、行っちゃえ!

(堀井美香)なんかね、昔にどうだこうだっていうのもあるけども、全然女性の生霊みたいなものも見えないですしね。物の怪みたいなのもついてない気がしますよ。

(ジェーン・スー)まあまあ、もしかしたら口も上手いだろうし、手も早いだろうし、子供もいて離婚したばかりでこうやって言ってくるなんて信じられないみたいなこともあるかもしれないけども……いいんですよ。いま、27歳でしょう? ワクチンを打つなら最後、最後。

(堀井美香)ツベルクリン反応。BCG、BCG(笑)。

(ジェーン・スー)そうそう。だから友達にはとてもじゃないけど正面きって「私はまともなことをしています」とは言えないような恋愛をしてみたりとか、あと自分で「これは好きとかじゃなくてただの性欲なのでは?」と思ったりとか。昔、聞いてた……「教科書で読んだのとは違う」みたいなことをやってしまったりとか、それで大きくフラれたりとか。そういう免疫……風疹みたいなワクチンを打つの、これが最後じゃない? このタイミングが。だから全然、何も考えないで付き合っちゃったらいいと思いますよ。ただ、避妊だけはちゃんとして。子供だけ作らないようにして。あとはもう全然普通に……ボロボロになろうが踏み込まれようが引きちぎられようが……。

(堀井美香)なんかちょっと上手にエスコートしてくださるような男性じゃないですか。話を聞いていると。

(ジェーン・スー)自分が鬼にならないことだけは気をつけてくださいね。頭からギュッと角が生えてきてさ。「私はあなたを恨んでいます!」みたいになっちゃうとさ。でも明らかに彼の方は「好き」と思ったら言っちゃう人だし。で、たぶんこれから先も「どうして、どうして?」みたいなことがたくさんあると思うんですけども。もう「どうして?」とは言わない。説明がつくことばかりじゃないし、説明がついたところでなんの保証にもならないし。

(堀井美香)身を委ねて。

(ジェーン・スー)身を委ねて。それだ。Shall we dance. 身を委ねて。

(堀井美香)なんかほら、瞳孔も開いて血色もよくなるでしょう? こういう時って。私達もそうですけども。

(ジェーン・スー)そうでしたね。

(堀井美香)ねえ。そうでしたね。もう瞳孔、開かんね(笑)。

(ジェーン・スー)もう瞳孔、閉じっぱなしだね。開かんね、瞳孔は(笑)。

(堀井美香)血色、悪いね(笑)。

(ジェーン・スー)あと、朝起きたらツヤツヤの肌じゃないね。好きすぎて胸が痛いとか……私、だってさ、あまりにも心配で、1人で部屋で胸を押さえて倒れたことがあるもん。あまりにも「ううう、これは……(バターン!)」ってなったこと、あるもん。

(堀井美香)フフフ、ないね(笑)。

(ジェーン・スー)ないね。いまあったら本当に119番だね。

(堀井美香)「ああ、これは悪い!」って第六感でわかっていてもグーッと行っちゃったりとかね。あったね(笑)。

(ジェーン・スー)あったねー!

(堀井美香)いまはもう全部見えちゃうもんね。

(ジェーン・スー)そうそう。

(堀井美香)「霊媒師?」とか思っちゃうもんね。「なんか女の影が見える……100人斬りだな、こいつは?」みたいな。ありますよね。

同じ戦場を歩いてきた帰還兵からのアドバイス

(ジェーン・スー)そうそう。わかりますよね。そう考えると、この時期は……我々、よく言うんですけども。私達は帰還兵なんですよ。あなたと同じ戦場を歩いてきて。「あそこに地雷が埋まっているぞ」「あそこは結構森が深いぞ」とか、そういうことを知っている帰還兵なんですけども。帰還兵が言います。この森は、行け!

(堀井美香)うん(笑)。

(ジェーン・スー)このジャングルは、行け。進んでも大丈夫。

(堀井美香)進め(笑)。

(ジェーン・スー)それで帰ってこれるから。なにも考えずに楽しんでこい!

<書き起こしおわり>

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