安住紳一郎さんが2025年11月9日放送のTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』の中で番組で行ったアジフライプレゼント当選者からのお礼メールを紹介。自身が魚が好きになったきっかけである地元・芽室フードセンターでの幼少期のサンマ販売の思い出を話していました。
(安住紳一郎)そして11月に入りましたけれども。私が休みを取る前の前の前の週からですね。10月はプレゼントウィークということで、皆さんにお楽しみいただきました。先々週はアジフライのプレゼント、20人の方ということでね。長崎・松浦の私が仕事先でいただいて美味しかったと思うアジフライを皆さんにもということで、プレゼントさせていただきましたが、お礼が届いていますので、いくつか紹介します。
この方は「わびさび」さんですね。ありがとうございます。「先週末にエンマキさんの冷凍アジフライが当選し、家族でいただきました。開けた瞬間、『デカッ! 大きい! 多い!』とその大きさとたっぷり16枚の量に驚き、手のひらサイズの堂々たるアジフライに『これは!』と家族でひとしきりざわつき、いつもは揚げ焼きが基本の我が家なんですが、今回ばかりはたっぷりの油を使って本気のフライを作りました。薄い衣はサックサク。一番の感動はアジのみずみずしさ。まるで海からあがったばかりのようなみずみずしさに『これ、冷凍なの?』と驚きました。まずはおすすめと聞いた何もかけずに一口。その後はソース、タルタル、塩と味変もしっかり楽しみました。
普段は魚を敬遠しがちな娘もパクパク食べてくれたこともあり、気づけば家族で争奪戦に。『足りない! 足りない!』の声に食事中に二回目を揚げに走る事態になりました。日本遠洋旋網漁業協同組合の皆様、美味しいアジフライと遠い長崎・松浦の海に思いをはせる時間をありがとうございました。いつか松浦にも家族で行ってみたいと思います。この度は貴重な経験をありがとうございました。ああ、美味しかったなー」。ありがとうございます。なんかね、思いが伝わってきて。
(中澤有美子)本当。幸せですね。
(安住紳一郎)ねえ。いいですよね。娘さんもたくさん食べたっていうね。そう。なんかね、魚って一回、とても美味しいっていう経験があるとね、そこから急に魚がなんていうか、身近に感じて。食べられるっていうことはありますよね。
(中澤有美子)すごくありますね。本当にそうです。
(安住紳一郎)なんか実感こもってますけども。ありましたか?
(中澤有美子)その記憶でいろんなお魚、いろんな場所で食べられるようになるってあるんですよね。
(安住紳一郎)ありますよね。あ、何か具体的なことを思い出したんですか?
(中澤有美子)私、ウニのデビューなどもそうだったですし。ボタンエビとか……ごめんなさいね。面白くないんですけど。結構、うちの娘も本当にそうだったなと思ってダーッといろんな思い出が浮かんじゃって。すいません。
(安住紳一郎)ああ、娘さんとね。じゃあ、ひとつどうぞ。
(中澤有美子)以上です(笑)。
(安住紳一郎)えっ、嘘? 聞きたいじゃない? なんかすごく「具体的なやつ、思い出した!」みたいな。
(中澤有美子)ごめんなさい。変なジェスチャーしちゃって(笑)。以上です。
(安住紳一郎)嘘? 本当に? 遠慮せずに……。
(中澤有美子)いやいや、でも本当に……「本当においしいな」っていうものをたとえば北海道など、現地に行っていただくとその記憶で今度はスーパーなどで購入した普通のものでもいけるんですよ。その記憶を探して「見つけた!」ってなるから。それまでは食べれなかったものが急に食べれるようになります。
(安住紳一郎)そうですよね。あ、いや、そういう一般論化した話じゃなくて。自分が「これだ! これになったんだ!」っていうのは?
(中澤有美子)「どこのあそこだった」みたいなことですよね。忘れました。
(安住紳一郎)忘れた? ガックリ(笑)。ああ、そうか。そう。私もね……私、いいですか?
(中澤有美子)お願いします。師匠、お願いします(笑)。
(安住紳一郎)私の……ほら、自分自身に興味があるから。しっかり記憶している。私、小学校4年生の時に芽室フードセンターっていうスーパーマーケットの前にトラック? なんだろう。農作物……畑の野菜とかを積むようなトラックに魚が積まれたトラックが横付けされたんですよね。サンマを乗せていたんですけど。それで、私が住んでた町は海のない町だったんで、その芽室フードセンターっていうところの大洋ホエールズの帽子をかぶったスーパーマーケットの経営者がいて。で、その大洋ホエールズの「W」の白いロゴを黒いマジックで塗ってるっていう……。
(中澤有美子)なんで?(笑)。
(安住紳一郎)なんかほら、そこから説明したい。
(中澤有美子)本当に目に浮かびました。
大洋ホエールズの「W」の白いロゴを黒いマジックで塗った経営者
(安住紳一郎)そうですね。たぶん、紺色の帽子として利用している芽室フードセンターっていうところの経営者がいて。それが近くの広尾の海かなにかで……離れているんですよ。車で2時間ぐらいかかるんですけども。で、サンマがすごく大量に取れて、余るくらいあがってるっていうのをたぶん聞きつけたらしくて。ちょっとヤマっ気のある芽室フードセンターの経営者は自分で畑なんかで使ってるトラックを板かなにかで塀をたくさんして。で、積めるだけ積んで広尾の港から内陸の私たちの住んでいる町の方まで、水をジャバジャバジャバジャバ、その板の隙間からこぼれてるんだよね。専用のじゃなから。たぶん今だとアウトなんだろうけど。「これはいい!」みたいなことでそのヤマっ気のある経営者だったから、それを持ってきて。
そして、そのトラックの荷台の上から肥料の入っている袋の空袋をどこかから持ってきて。で、農家の人が便利にいろいろ他に流用しているその袋に10匹入れて800円ぐらいで売ってたのかな? で、すごいなんかお祭りみたいになっていて。で、それまで私はあんまりサンマとか魚に興味なかったんだけれど、それの勢いに押されて。うちの母親も「じゃあ、買おう」っていうことになって。そして10匹入ったちょっと水も滴る感じなんだけど。それをビニールの肥料の袋に入れてもらって、車のトランクに入れて。そして家に帰ってその日、焼いたらすごくやっぱり美味しかったのね。それ以来、やっぱりなんかもう「サンマ、サンマ、サンマ!」っていう小学生になっちゃって。たぶん私はその味よりも、その時の大人たちの興奮とか……本当に今でも忘れられない。本来は魚を積むはずじゃないトラックの板の隙間から水がジャラジャラジャラジャラこぼれてる中で10匹、母親が買ってくれて。で、その食べたっていう興奮がいまだに私の魚好きをキープしてるんだね。
(中澤有美子)そう! そういうことなんですよね! そう! 本当にそうなんです!
(安住紳一郎)で、一番大事なのはその大洋ホエールズのWの白を黒に塗っていたっていうね。そのディテールがさ、グッとくるでしょう?
(中澤有美子)本当ですね!
(安住紳一郎)「ああ、おじさん、なんでホエールズの帽子を被ってるのに、ホエールズの個性を消しちゃってるんだろう?」みたいな。懐かしいな。
(中澤有美子)いい話!
(安住紳一郎)きっとね、このお嬢さんもそういう風に思ってくれるとね、いいな。
(中澤有美子)いいな。
(安住紳一郎)いいな。きっとね、彼女がね、50年後ぐらいに話してくれるかもしれません。楽しみにしてます。必ずして!
(中澤有美子)そうね(笑)。
安住紳一郎さんの思い出トーク、面白いですよねー。芽室フードセンターの大洋ホエールズのWの文字を黒く塗っているヤマっ気たっぷりの経営者というディテールが最高すぎます(笑)。
