赤坂アカ『推しの子』の着想を『かぐや様』実写映画撮影現場を得た話

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『かぐや様は告らせたい』や『推しの子』の赤坂アカさんが2024年11月23日放送のJ-WAVE『TOKYO M.A.A.D SPIN』に出演。大ヒット作品『推しの子』の着想を得た『かぐや様は告らせたい』実写映画の撮影現場での出来事を話していました。

(鳥嶋和彦)それで、『推しの子』。連載会議を通ったけれども。当初から「行ける」と思っていた?

(赤坂アカ)そうですね。『推しの子』に関しては結構、分析がいくつかはあったんですよ。

(鳥嶋和彦)聞かせて、聞かせて。

(赤坂アカ)当時のアイドル物っていうとどうしてもかわいい女の子たちの爽やかな青春。部活系の空気があるアイドル物しかなかったんですけど。僕、『かぐや様』が映画化とかして現実をちょっと見せていただいたので。

(桂正和)ああ、そうか。

(鳥嶋和彦)要するに原作者として現場に行って、その撮影風景とか、現場を見たわけね? それで頭に入ってくるものがあったと?

『かぐや様』実写映画撮影現場で見えた「現実」

(赤坂アカ)そうです。「アイドルってこういうのだよ」とか。僕も結構、人の話聞くのが好きなので。「実際、あの時ってどうでした?」とか「こうでした?」とか。で、空気感がだんだん「あれ? これは面白いぞ」ってなって。実写化する時にキャスト発表とか、あったりするじゃないですか。で、一番最初のファーストカットのところとか、やっぱり叩かれるんですよ。「こんなんじゃない! 原作と全然違う!」って。

で、一番最初に役者さんに会った時に「本当に私で大丈夫でしたか?」みたいな感じで。すごい笑ってるんですけど。やっぱり後々、聞いてみるとネットですごいそういう風に言われてるのが心にグサグサ来ていて。それでも笑顔を崩さなかったっていうのを見て「ああ、嘘なんだな。表では見せてないけども、ちゃんと傷つくし。じゃあ、それがテーマでいいんじゃない?」みたいな。

(鳥嶋和彦)要するに、その落差がものすごくあなたの印象に残ったわけね?

(赤坂アカ)残りました。で、僕が今まで思っていた芸能界と全然違うなって。

(鳥嶋和彦)それこそキラキラしたものだと思ってたのが、そうじゃないと。要するにあなたがずっとゲームの同人からやってきた、ものを作る現場ってそんなに綺麗事じゃ済まないよっていう。

(赤坂アカ)そうです。それで「今、世に流通してるアイドル物、芸能界物っていうのは真じゃないんだ。じゃあ真を書きゃ、売れるでしょう?」っていうところもちょっとあって。

(鳥嶋和彦)要するにシリアスだけれども、それは真だ。逆に言うとキラキラしてるけど、真じゃないものがあふれていて。だったら、リアルを書けば、絶対通じるという自信があったわけね?

(赤坂アカ)だって、世の中の漫画を流行らせるのって、タレントですよ。じゃあ、そのタレントに向けて「あなたの物語」っていうのを書けば、絶対に感動してくれると思うじゃないですか。

(桂正和)なるほどね(笑)。

タレントに向けた「あなたの物語」を描く

(赤坂アカ)僕らだって、超売れてる漫画物があるって言ったら絶対に読むじゃないですか。「編集者が主人公でなんと1000万部、売れている作品があるんですよ」って言われたら、絶対に見ちゃいませんか? 僕らは僕らの物語が見たい。それと同じようにタレントさんはタレントの物語が見たい。だからある程度、そこの筋は見えてたところはちょっとあって。あとは「うまくかかってくれますように」じゃないですけど。ちゃんと面白いものを書いて、ちゃんと真なるものを書けば、ちゃんとマーケティングもついてくるはずだっていうのが『推しの子』にはありました。

(桂正和)いやー、すごいな。

これは赤坂アカさんの編集者的気質が出まくっているエピソードですね。「今、世に流通してるアイドル物、芸能界物っていうのは真じゃないんだ。じゃあ真を書きゃ、売れるでしょう?」「世の中の漫画を流行らせるのって、タレントですよ。じゃあ、そのタレントに向けて『あなたの物語』っていうのを書けば、絶対に感動してくれると思うじゃないですか」などパンチラインが炸裂しまくっていてしびれてしまいました。

それもこれも赤坂先生が実際に撮影現場に足を運んで、制作者や出演者とコミュニケーションを取っていたからこそ。現場でネタを拾ってそれを作品にしていくという基本的な作業の積み重ねですごい作品というのは生まれるんだなと改めて感じさせられたトークでした。

『TOKYO M.A.A.D SPIN』2024年11月23日放送回

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