宇多丸さんが2024年7月4日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』の中で東京都知事選を目前に控えた中で小池百合子都知事の都政を振り返り。関東大震災の虐殺被害者に対して都知事が長年送ってきた追悼文を送ることを小池百合子都知事が「諸説ある」という理由で取りやめ続けていることについて話していました。
(宇多丸)といったあたりでですね、今日はこの後にムービーウォッチメンがあるんですけども。その前にですね、ちょっと複数の方からこちらのメールもいただいてるんで、読ませてください。「宇多丸さん、スタッフの皆さん、こんばんは。東京都都知事選が今週の日曜日、7月7日にあります。特定の候補者などの応援はできないと思いますが、番組としてのメッセージとして『選挙にちゃんと行け。そして自分でちゃんと選べ』ということでRHYMESTER『The Choice Is Yours』をかけてください。この番組でもずっと扱ってきたいろいろな問題もありますし、リスナーの皆さんも思うところもたくさんあると思いますので、都民ではありませんが、よろしくお願いします」。ありがとうございます。
あと、こちらの方も「もうすぐ都知事選ですね。RHYMESTERの『The Choice Is Yours』が聞きたいです。よろしくお願いします」という。まあ、選挙が近づいてくると『The Choice Is Yours』は割とかけがちですけどね。もちろん、なんですか? だから公平を期するためにいろいろと、偏った言い方しちゃいけないからとか何とか。で、それを怖がるがあまり、選挙の話ができないみたいなのって、おかしな話でして。要は、特に現職の方、小池さんはずっと長く都知事をやられていて。その間にやってきたこと、やってこなかったこと、やれなかったこと。「言ってたのにあれ、どうなってるのかな?」っていうこととか、いろいろあるわけで。それの検証というのは選挙するにあたっては絶対に必須なことなわけですから。
特に現職っていうのは厳しい目で見られて当然だと僕は思うんです。その実績がありや、なしやっていうことが問われてるとも言えるわけですから。まして、非常にお強い状況でもあると聞きますから、これはもう全然全然、そんなのはいいんです。まあ、この番組との並びで言うならば先々週ですか。『あんのこと』の映画評の中も触れましたけども。たとえば、しつこいようですが言いますけども。これ、なんというか直近のトピック……子育てのいろんな支援であるとか。そういうような直近のトピックではないように思えるかもしれないけど、僕はでもこれが非常に根本の話だと思いますけども。
「諸説ある」ので追悼文を送ることをとりやめる
(宇多丸)関東大震災の時の虐殺事件があったということに対して小池さんは「諸説ある」と言って追悼文を送るのを取りやめた。それまでの前任者たち……石原慎太郎さんとかでさえ追悼文を送ってたんです。「さえ」っていうのも失礼な話ですけどね。まあ、要するにご本人んのお考えとは違ったかもしれないけど、そういう人でも、形式的にではあれ送っていた追悼文を送ることを小池さんはやめるという、結構具体的なアクションを起こされていて。で、その理由としては「諸説ある」っていう。その「諸説」っていうことは、つまりは「虐殺事件というようなことはなかった説もある」とおっしゃりたいんでしょうか? それはとんでもない暴言だと私は思います。
というようなことをおっしゃってる人が今回の選挙で「首都防衛」なんていうことを掲げていて、それを私はなかなか驚くというか。「怖いことを言いますね」っていう風に私は思います。私個人としてね。
小池百合子都知事の「首都防衛」
(宇多丸)なので、小池さんはそういう方、そういう考え方をする方であるという……もちろん、「だから、いい」っていう人がいたら、私は「はあ、そうですか」と思いますけども。そういう人がいるというのももおかしくはないでしょう。まあ、それを考慮に入れて……つまり、その人権とか人道とか人命とかっていうの根源のことですよね。実際、この東京もですよ、たとえば地震とかだってこれから起こる可能性があるわけですよね。また大きい地震が。そういう中で、たとえばヘイトな空気っていうのがないわけじゃないですよね? 「ないわけじゃない」どころじゃないですね。海外の方に対するそういうのもやっぱりあるわけで。
そういう中で、実際に関東大震災の時に何が起こったのかを知れば、知るほど、そこで「防衛」なんて言葉を使うっていう。「これはなかなか強い言葉をお使いになるけども。それは大丈夫ですか?」っていう風に私は思います。ということも検証のうちだと思うんです。つまりその小池さんの都政の中で、小池さんがまさに選択的にされたことなんで。それは選択だし、全然こういうこと考えるべきですしね。他にもいろいろ……もちろんね、「こういうことがあるから、いい」とかね、どうだこうだってあるでしょうから。それぞれが決めてくださいという。でも、まあ……わかるね? あ、わからない? なにを言っているんですしょうか。
まあ、そんなこんなでなかなかね、良くも悪くもっていうか、どうなのかな?っていうぐらいも百花繚乱な都知事選でございますが。都知事選って割と昔からそうなりがちだけども、今回は特に……というところがありますが。だからこそ皆さん、しっかりしてくださいということも含めましてお送りいたしましょう。RHYMESTERの2013年リリースアルバム『ダーティーサイエンス』に収録されているこちらの曲です。『The Choice Is Yours』。
RHYMESTER『The Choice Is Yours』
(宇多丸)はい。我々RHYMESTERの『The Choice Is Yours』という曲でございます。選挙のたびにかけたりしておりますが。まあまあ、私なんかに言われないでも皆さんね、TBSラジオなんか聞いてる方は当然、おわかりでしょう。ちゃんと意識を持って……選挙時に急にいろんなことを見聞きしても……っていうのもあるんですが。「普段からちゃんと考えておけよ、お前」っていう、それは当たり前なんですけども。ぜひ7月7日、期日前投票もできますからね。ぜひぜひ皆さん、ちゃんと権利というか、なんというか。この社会をどうしていくかというのは大人の義務でもございます。
人道的なことというのを考えるのも本当に大事なこと。現在進行形です。パレスチナのああいうこととかを「他人事だ」って済ますこの現在のこの地球上の状況、未来に対してめちゃくちゃ恥ずかしい状況を我々は放置している。つまり「チョイス」してしまってるという現状だと思うんです。少しずつこの現状を何とかしていこうというのであれば、投票行為というのはひとつ、たとえそのわずかに見えようとも。でも都の投票とかって数を見ると結構、意外と生々しい数字として見えたりしますんで。ムダではございません。ぜひぜひ権利であり義務、行使してはいかがでしょうか? すいませんね。「お前にそんなこと、言われたくねえ」っていうのもあるとは思いますので。私に言われたことは忘れてください(笑)。
<書き起こしおわり>