宇多丸『マンダロリアン』シーズン2配信開始を語る

宇多丸『マンダロリアン』シーズン2配信開始を語る アフター6ジャンクション

宇多丸さんが2020年10月30日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で『スター・ウォーズ』のスピンオフドラマ『マンダロリアン』のシーズン2が配信開始された件について話していました。

(宇多丸)ちょっとカルチャーニュースをひとつ。今日はやっぱりこれはね、言っておかなきゃいけない。時が経つのは早いもの。ディズニープラスで……我々がディズニープラスに入る理由。「我々」には限らないですね。世界の皆さんがディズニープラスに入る一番のきっかけ。もちろん「『ムーラン』が見たい」。これで入った方もいらっしゃるかもしれません。でもたぶん、9割9分はこれを見るために入ってるんだと思います。『スター・ウォーズ』のスピンオフドラマ『マンダロリアン』シーズン2、本日から配信開始! 『ザ・ボーイズ』がひと段落したと思ったら、もう息もつかせず『マンダロリアン』という。

(山本匠晃)ああ……ディズニープラス、入ろうかな? 入ってないんですよね。

(宇多丸)あれ? 山本さんは『マンダロリアン』はご覧になってないんですか?

(山本匠晃)なってないんです。『アトロク』で話を聞くのみで。面白そうなんですけどね。

(宇多丸)『スター・ウォーズ』は?

(山本匠晃)『スター・ウォーズ』は一通り見ています。

(宇多丸)ああ、見ている。あの、まあ端的に言えば、めちゃめちゃ面白いんですよ。最高なんですよ。

(山本匠晃)そうか。もう『ザ・ボーイズ』はないからな。入ろうかな?

(宇多丸)もちろん『ザ・ボーイズ』みたいなああいう大人向けのエグいあれというよりかは、これは本当に文字通り老若男女が楽しめるSFアクションエンターテイメントという感じですけどね。『スター・ウォーズ』のスピンオフドラマシリーズっていうのはね、『クローン・ウォーズ』とかね、『反乱者たち』とかありましたけども。初の実写ドラマシリーズ。やっぱり実写だとこれは重みが違うということで。賞金稼ぎマンダロリアン……「マンドー」とかいろいろ言われてますけど。

まあ要するにマンダロリアンというある種族というか、集団というか。それがいて。それは傭兵で稼いでいる。鎧を着て、みんな共通というか、似たような感じの鎧を着て。賞金稼ぎで稼いでる、非常に戦闘的な集団がいて。これは何かと言いますと、改めて知らない方に説明するならば、ボバ・フェットとかジャンゴ・フェットとか。要するに『スター・ウォーズ』の『帝国の逆襲』とか『ジェダイの帰還』に出てきたボバ・フェット。ハン・ソロを固めて持っていっちゃったあのボバ・フェットとか。

あとはいわゆる新三部作、エピソード1、2、3の中に出てくるジャンゴ・フェットというあの銀色のやつ。あれの種族なんですね。

で、話としては『スター・ウォーズ』エピソード6『ジェダイの帰還』の後の話。だから一旦、皇帝もあれになって帝国も破れちゃいましたっていう。もう帝国がない状態。で、一応共和国が銀河を治めているんだけども、なんか見ているとどう見ても無法地帯やないか!っていう(笑)。しかも、帝国軍の残党がいて。その残党たちが帝国軍の復活を目指していて、それが後にファースト・オーダー的なものになっていくのかもしれませんが。そういう状態の中で、そのマンダロリアン族の1人、マンドーと呼ばれる主人公。まあ「名無し」と言ってもいいでしょう。

これは明らかにクリント・イーストウッド『荒野の用心棒』を模したような、ちょっと全体に一番色濃いのはマカロニウエスタンテイスト。賞金稼ぎですから。だから、そういうマカロニウエスタンの超かっこいいところ。でも、同時に話によってはもう完全に『七人の侍』風であったりとか。

マカロニウエスタンテイスト

あるいは、設定そのものがいわゆるちっちゃい、「ザ・チャイルド」という……これ、シーズン1からぜひ見ていただいたけども。まあ、もういいよね? 世界的にも今、人気あって。すごい人気アイコンになっちゃっているから。まあ、「ベイビーヨーダ」っていう、あのヨーダの種族の幼いバージョン。と言っても、50歳なんですけどもね。

だから俺、「なんて効率が悪い生き物なんだ!」っていうね。「50年生きていてこの進みっていうのは……あいつ、長く生きてるけど意味ねえじゃん?」っつって(笑)。ま、あそんな話をしてましたけど。そのちっちゃい子と一緒に旅するというか、逃亡するというか、そういう話でもあるので。言っちゃえば『子連れ狼』でもあるわけです。

(山本匠晃)そういうイメージなんだ。

(宇多丸)あと、話によっては戦争映画イメージもあるし。そして、前に高橋ヨシキさんをお招きして解説していただいた時にもそのデイブ・フィローニという、まあ『クローン・ウォーズ』とか『反乱者たち』とかにいろいろ関わってきたクリエイターがとにかくそのジョージ・ルーカス大好きっ子で。そのジョージ・ルーカスのビジョンを……「自分は何もしてません。自分はジョージ・ルーカスのビジョンもいかに殺さないように世界観を広げていくかだ」っていう。

で、ジョン・ファヴローというね、『アイアンマン』とかMCUシリーズで一躍男を上げたあのジョン・ファヴローが製作総指揮に入って。だからみんな、もう『スター・ウォーズ』がそもそも好きなやつらが、いろんな考え方はありましょう。いろんな考え方はあると思います。エピソード7、8、9。いろんな考え方はあると思いますが……「俺たちの好きな『スター・ウォーズ』はこれだ!」っていうことを突き詰めた結果、たとえばこれも高橋ヨシキさんをお招きしての『マンダロリアン』特集でお話をしていただいた時のことを皆さん、思い出してください。

あのドアの横に立てかけてある棒でさえ。物干し竿1本にもこだわりを持って作った結果……だから言っちゃえば二次創作な観点ですよ。もちろん。作り手たちも「ファンムービー」って言っいます。だのに、抜群に面白いだよ、やっぱりこれ。ちゃんと作ると。結局。「結局、分かってるやつが作ればきっちり面白いじゃないか! 最高じゃないか!」っていう。

もちろん、スピンオフだからね。そのナンバリングタイトルとはちょっと重みが違うので、そういう気楽さも当然あると思うんだけど。なので『マンダロリアン』はとにかくめちゃめちゃ面白くて。私も正直、なんて言うのかな? 『スター・ウォーズ』に対してナメくさった態度を取ってました。「へえ? 『スター・ウォーズ』、ですか……? 皆さん、お好きですよね? 皆さん、本当に『スター・ウォーズ』、お好きですね?」なんて。そういう態度を取ってきましたよ。

(山本匠晃)アハハハハハハハハッ!

(宇多丸)ヨシキさんからたまに来るメールとかにも「本当に『スター・ウォーズ』、好きですね」って(笑)。あの人がそもそも、全く熱が冷めてねえじゃねえか!っていうね(笑)。まあ、そういう感じでそういう態度を取ってきたんですが、やっぱり『マンダロリアン』を見ちゃうとね。「なんだよー、やめらんねえじゃねえかよ、『スター・ウォーズ』!」みたいな。で、こういう人はやっぱり多いみたいで。という感じなので、ぜひ山本さんもこれは本当に、めちゃめちゃおすすめです。

(山本匠晃)これ、ディズニーの動画配信サービス、ディズニープラスでということなんですが。これはそんなに月々、そんなにお高くないですよね? ああ、税抜で700円という。

(宇多丸)でね、これも『ザ・ボーイズ』と同じく、一挙配信じゃなくて毎週1話ずつ配信なんです。で、1時間ずつ。でも1時間ごとに毎回、それこそタイカ・ワイティティとかさ、名だたる監督とかが参加したりしていて。それで第1話の監督はジョン・ファヴローだそうです。『アイアンマン』とか『ジャングル・ブック』とかのジョン・ファヴローですよ。だから……まあ、いいでしょうね。いいでしょう。で、ちなみにその『マンダロリアン』のファーストシーズンに関しては作り手たちのメイキングみたいなのものも話数分配信されていて。

こでの連中のキャッキャウフフぶり。もう、何て言うかな? 「俺たち、夢かなえてるぜ!」っていう。マジで俺たち、最高なんですけど!」みたいな。でね、それぞれの監督の持ち味というか。それをどうやって入れ込んだか、みたいな解説もされていてね。すごくそっちのメイキングも面白いですし。まあ、これを見るためだけでもディズニープラス入る価値は確実にあるかなという風に思いますね。

で、しかもこれはこれからさ、ディズニープラス。『ムーラン』がディズニープラス配信になったりとかして。ちなみに日本は『ムーラン』とかのああいう劇場公開しなかった配信が4Kじゃないんだよねー。そこがどうなっているんだよ、おい! おい、700円、毎月払っているんですけどぉ?(笑)。

(山本匠晃)フフフ、こちとら(笑)。

(宇多丸)「安くはないんですけどぉ?」みたいな(笑)。それはあるけども、ほら。『ソウルフル・ワールド』っていうピクサーの新作も配信でのリリースが決定しますから。だからその意味でも、要するに映画を何本か見ることを考えれば……っていうのもありますし。もちろん、ディズニーの旧作も様々なのが揃っているし。この間、いろいろと発表になりましたよね。

ディズニーの旧作の中で、たとえば人種差別的な描写であるとかに関して、よりただし書きを強調した形でこれからやるようにしますみたいな。そういう時代の変化に合わせた是正とかもされているようですし。なので、山本さんにももちろんおすすめです。本当にもう、なんていうか主人公がひたすらかっこいいアクションエンターテイメント……本当にかっこよさを極めるためだけのっていうかさ。で、毎回毎回、アクションの一工夫がただ事じゃないの。

アクションの一工夫がただ事じゃない

向こうからやってくるAT-ATに対してどういう風に距離を詰めて戦うか? チキンウォーカーに対してどう戦うか? とか。あとはジャワの乗っていたサンドクローラー。あのサンドクローラーの中にいかにして入るか?っていう、今度は縦のアクションであるとかね。毎回毎回、アクションの……あとはスナイパー戦もあるしね。もうたまんないよ!

(山本匠晃)宇多丸さんがそこまでおっしゃるなんて……相当ですね。ああ、これはもう、Amazonの『ザ・ボーイズ』に代わって、入ろうかな?

(宇多丸)最高です!

<書き起こしおわり>

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