博多大吉さんが2023年12月27日配信のTBSラジオ『大吉ポッドキャスト いったん、ここにいます!』の中でM-1グランプリ2023を振り返り。令和ロマン優勝で終了した今大会後、今田耕司さんと食事をしながら話したM-1大学お笑い時代の到来について、話していました。
(博多大吉)終わった後、今田さんとね、2人きりでご飯を食べに連れていってもらって。いろいろそこでお話をさせてもらったんやけど。「時代がもう変わってきている。間違いなく、もう変わった」と。なぜなら、令和ロマンって5年目の子で。僕が「すごいですね」みたいなことを言っていたのよ。そしたら今田さんが「でもあの子ら、大学やんな?」って。言われたら、そうなんですよ。お笑いサークル出身なんよ。令和ロマンもそうやし、真空ジェシカもそうじゃない?
(御舩陽平)そうですね。はい。
(博多大吉)大学お笑いのサークルをやってる人たちが今、こうやってM-1の舞台に出てくる時代になっていて。僕は「5年目で、すごいですね」って言ったんやけど、今田さんがおっしゃっていたのは「でもあの子ら、大学で4年間やってるんやから、もう芸歴9年やで?」って。
(御舩陽平)実質、そうっすね。
令和ロマンは実質芸歴9年
(博多大吉)そう言われて「あっ!」と思って。たとえば吉本に入って、NSC入って、卒業して。「さあ、今から舞台」ってなった時にまず、舞台にどれだけ立てるか? よっぽどのやつじゃないと、そんな毎日のように出番なんかもらえるわけないし。いろんなオーディションとか勝ち上がってやっと、月に1回、2回、舞台に立てるかどうか。だけど、大学生のうちはやりたい時はいつでもやれるし。いっぱい舞台数、踏めるし。なにより、やっぱり大学のお笑いサークルってみんなでやる。いろんなコンビがいて、いろんなサークルメンバーがいて。たとえばあるコンビがやっているネタを見て、違うコンビが「こうしたらいいよ」とか「このボケするんだったら、こっちのボケの方がいいんじゃない?」とか、みんなで協力してやっている。
それは、みんなでネタを作っているんじゃなくて、自分に何が合ってるかをみんなでブラッシュアップしていく。そういう風に、大学お笑いサークル出身の子は卒業してやってくる。で、実は今までの芸人はこれがないのよ。周りが全員、ライバルやから。他のネタを見て「あそこはこうしたら?」とか、「あのボケ、ちょっと違うね」って。もしかしたら先輩は言うかもしれんけど、同期とかまずは言わん。
(御舩陽平)アドバイスみたいなことはしないっていう。
(博多大吉)だから今までの芸人は自分たちが舞台を踏みながら、いろんなネタ試しながら、自分に何が合ってるかを何年もかけて見つけていく。でも今は、大学の4年間でそれをすでに身につけた状態で来るから、そらM-1に関して言うと『ドラゴン桜』じゃないけど。「M-1取りたいんなら、大学へ行け!」っていう。「NSCなんか、来るんじゃないぞ」っていう。「そういう時代にいよいよ入ったな」って言っていて。
(御舩陽平)なるほど!
(博多大吉)まあ、こんなこと言うとね、吉本から怒られるかもしれんけど。「M-1を取る最短距離はお笑いサークルかもしれんな」っつって。
(御舩陽平)大学お笑いを通った方が、M-1への近道かもしれないと。
M-1を取る最短距離は大学お笑いサークル?
?M-1グランプリ2023?
史上最多8540組の頂点に輝いた
19代目王者は…? #令和ロマン ?https://t.co/tUeUNIjjt3#M1 #M1グランプリ pic.twitter.com/UEs67YkfPz
— M-1グランプリ (@M1GRANDPRIX) December 24, 2023
(博多大吉)だから、ネタ云々じゃなくてそれは……自分らでもそうやったからね。何が自分たちに合ってるかっていうのは、自分たちでやって、やって。かっこよく横文字で言うとトライアンドエラーを繰り返しながらやるけど、基本的にアドバイスはもらえんからね。作家の方とかから「ちょっと、これ」っていうぐらいで。でも、やっぱり大学サークルっていう空間はそれをやっているところだから。それを経験して入ってきたやつと、NSCを出て周り全員がライバルだっていう状態でやっているのと、これはまた……っていう話は昨日、したな。これが、今年の一番の思い出かも。「令和ロマンすごいな」って手放して僕は喜んでますけども。裏には、そういう時代のうねりというか、節目が来とるんだなっていうのは思いましたね。みんなで言ってるんだけど、異常やん? 出場総数8500って、どこにおるの? 8500組も。漫才コンビ?
(御舩陽平)まあ、いるんでしょうけど……。
(博多大吉)だから日本中でそういうことをやってる人が今、おるんだろうね。だからプロとしてね、僕らは採点する立場に今、いるけども。まあ、この日以外はね、同じ舞台に立つ漫才師なんで。先輩であり、蹴落とされる対象なんでね。これはちょっと、ふんどし締め直して明日からも頑張らないかんなと今田さんがおっしゃってくれて。その言葉を胸に、今朝は『あさイチ』で上沼恵美子さんと対峙しましたよ。
(御舩陽平)そんな気持ちだったんですね?(笑)。
(博多大吉)「うーん……」って思ったけども。でも、頑張ろうと。本当にこれからもますます頑張らなきゃなと思わせてくれたM-1グランプリ2023でございました。まあ、偉そうに今年も能書きをたれましたけども。あくまでもこれは博多大吉という、福岡で生まれ育った中堅漫才師が「漫才とは?」ということ。「M-1グランプリとは?」ということと向き合って、自分なりの採点基準作って。
それで「点数入れろ」って言われたから点数を入れて。「ボタンを押せ」って言われたからボタンを押した結果なので。これが正解ではないです。7人の審査員全員がいろんな基準で審査した結果が、令和ロマンの優勝だと思いますので。このへんはひとつ、お間違えのないようにということと。あと、やっぱりどうしてもねちょっときつめに言うことになっちゃいましたけど。いろんな参加者。くらげとか、ダンビラムーチョとか、モグライダーとか、マユリカとか。挙げたらきりがないけどね。これはもう審査員の宿命だと思うので、ごめんね。機会があったら、酒ぐらいはおごるよ。焼き肉、行こうよ。塙くんと行きづらい若手も(笑)。僕となら、いけるかな? なんてこと言いながら、本当に今年もご清聴ありがとうございました。
<書き起こしおわり>