ランジャタイのお二人が2023年12月17日放送のNHK総合テレビ『立川志らくの演芸図鑑』に出演。ネタを披露後、立川志らくさんとの対談の書き起こしです。
(立川志らく)さあ、それではお呼びしましょう。ランジャタイのお二人です。どうぞ。
(ランジャタイの2人が坊主頭で登場)
(国崎和也)お願いします。すいません……。
(立川志らく)あら(笑)。あれ? 2人とも、髪型が……意味がわからないんですけども(笑)。
(国崎和也)2人とも。はい……。
(伊藤幸司)はい。ちょっと志らく師匠のために今日はちょっと……。
(立川志らく)「志らく師匠のために」?(笑)。
(国崎和也)もちろんですよ。
(立川志らく)ああ、足、崩してくださいよ。私は正座の方が楽なんで。
(国崎和也)ああ、大丈夫ですか? ありがとうございます。
(立川志らく)いいです、いいですよ。
(国崎和也)大丈夫か?
(伊藤幸司)大丈夫?
(立川志らく)誰に聞いてるのよ(笑)。
(国崎和也)フフフ(笑)。すいません(笑)。
(伊藤幸司)じゃあ、カツラの方をちょっと……。
(国崎和也)ヅラの方だけ、すいません……。
(ランジャタイの2人がカツラをかぶる)
坊主で登場して志らく師匠から促されるまで足を崩さず坊主で正座してるのランジャタイすぎて最高?すみませんと言いながらちゃんとカツラはかぶる pic.twitter.com/76U0yoXzgU
— ぺんみ (@pen_penmi) December 16, 2023
(伊藤幸司)すいません。意味のわからないことをして……。
(立川志らく)もうわけがわからない……(笑)。いや、あのね、今のネタ(『バーベル』)は何だったの?(笑)。
(国崎和也)フフフ(笑)。志らく師匠が好きな我々の漫才ですよ(笑)。
ランジャタイ『バーベル』
(立川志らく)なにしろね、私はいろんな人とこの番組で対談をやるんだけど。人間国宝の雲助師匠とかとやっているんだから。
(国崎和也)同期だ!
(立川志らく)なにが同期だよ(笑)。
(国崎和也)同期ですよ。
(伊藤幸司)同期ではないです。
(立川志らく)人間国宝とランジャタイ、両方の相手しなくちゃいけないじゃないから。大変なんだよ(笑)。
(国崎和也)すごい番組ですね(笑)。
(立川志らく)いや、まあまあ、今日はねあなた方のことを知らない視聴者もいっぱいいらっしゃるんで。どれだけぶっ飛んでるかっていうことをね、話をしたいと思ってます。
(国崎和也)ありがとうございます!
(立川志らく)すごいですよ、あなた方。やってることが。談志が「落語はイリュージョンだ」って言った、そのイリュージョンを落語家が体現できないのをあなた方がね、体現しているんですよ。
(国崎和也)本当ですか!?
(立川志らく)そうですよ。
(伊藤幸司)そんな嬉しいお言葉!
(立川志らく)今日はだからね、2人がどんな風に出会って、どんな風にネタを作ってるのかっていう。そういうの、一切知らないので。ネタはどうやって作ってるんですか?
(伊藤幸司)台本はないですね。
(立川志らく)台本はない?
(国崎和也)ネタ、僕がバーッて考えて。自分で1回、演じる……「演じる」でもないですけども。携帯とかで撮るんですよ。で、それを見て、面白いなと思うものをいっぱいストックしておいて。で、本当に劇場の出番前に口頭で言って、そのまま出ていくみたいな。
(立川志らく)えっ、その映像は見せない?
(国崎和也)見せない。
(伊藤幸司)僕、見たことないです。
(立川志らく)じゃあ、ぶっつけ本番?
(国崎和也)もうぶっつけ本番です。
(伊藤幸司)舞台上で初めて知ることもありますし。
ネタはすべてぶっつけ本番
(立川志らく)それは初めて聞きましたよ。じゃあ、稽古してないんですか?
(国崎和也)僕ら、全くしないんです(笑)。
(立川志らく)知らずにやっているの?(笑)。
(伊藤幸司)知らずに。
(立川志らく)その時に思いついたツッコミで?
(伊藤幸司)そうです。
(国崎和也)だから、初めの方が面白かったりします。
(伊藤幸司)それはあります。
(国崎和也)一番初めにやったのが。
(立川志らく)一番最初が。ツッコミの方が知らないっていうのは、すごいですね(笑)。
(伊藤幸司)だから、楽しいですね。わくわくするというか。「今日はどんな感じになるかな?」って。
(立川志らく)でもそれでリズムが崩れるとか、ないですか?
(伊藤幸司)全然。崩れてもいいもんね。なんなら。
(国崎和也)崩れても、そっちの方向に行きますし。
(立川志らく)じゃあ、その国崎くんが自分でスマホで撮った映像があるっていうんで。ちょっと見てみましょうか。
(国崎和也)はい。「仏が沼にはまったよ」っていう。
(立川志らく)「仏が沼にはまったよ」?
(国崎の映像が流れる)
(映像の国崎)ズボッ! えっ? 仏がっ! 仏が、沼に、はまったよぉーっ! (欽ちゃんの仮装大賞の得点ゲージのように)ドゥッ、ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥ……ドパーンッ! やったーーーーーっ!
(立川志らく)これ、家でやっているんですか?(笑)。
(国崎和也)いや、これはバイト場の休憩室とかでやっていて。
(立川志らく)休憩室? なおおかしいよ(笑)。通報されるかもしれないよ。「変なやつがいる」って(笑)。
(国崎和也)本当に誰も来なかったんで。何もない空間に1人っていう時間で、マジックミラーがあって。鏡に向かってずっと、自分で何かをやってたんですよ。その所作というか、手とか。で、自分で撮ってワーッてやるのを9時間。それを9年間、やってたんで。だから、さっきみたいなことを9時間、ずっと(笑)。それがたぶん、自分の中で所作とかに全部つながっていて。
(立川志らく)あなた方の場合はネタはぶっ飛んでいるんだけど、きっちりしているんですよ。あれでもうグチャグチャだったら、きっと見てたらなんにもわかんなくなっちゃうじゃない? ちゃんとその、猫が出てきたとか、犬が出てきたとかね、店に入ったとか。それが全部わかるから。
(伊藤幸司)たしかに。一発で伝えますからね。彼は。それはすごいですね。
(立川志らく)「仏が沼にはまった」っていうそのワードだけで面白いですよね。わかる人には。「仏が沼にはまるって、どういうことなんだ?」っていうね。
(伊藤幸司)タイトルだけはあるんです。全部。台本はないんですけど。僕一応、それを持ってきたんですけど。もしよかったら、ねえ。
(国崎和也)昔のタイトルなんで。
(伊藤幸司)ちょっと古文書みたいになっちゃっているんですけど。タイトルだけ、こうやって書いてあって。
(国崎和也)そう。忘れちゃうから。
(ボロボロのノートを渡す)
(立川志らく)すごいですね。えっ? 「鼻くそボクサー」とか書いてますよ。これ、全部ネタ? すごいネタ数があるけども。
(国崎和也)めっちゃあります。300ぐらいあると思います。
(伊藤幸司)下手したら、もっとあるかも。
(立川志らく)それが結局、実を結んだってことですもんね。
(国崎和也)いろいろ……そうですね。
(立川志らく)これはもう、理屈から来る笑いは勝てないですよ。何だかわかんないけど、面白いっていう。だから……2人は不思議な芸人なんですよ(笑)。
(伊藤幸司)嬉しいですね。
(立川志らく)ちょっとじゃあ、憧れの芸人の話を伺いたいんですけども。お互い、憧れてる芸人っていうのは誰ですか?
(伊藤幸司)ダウンタウンですかね。本当に小・中とずっと見てて。発想がなんか、かぶるなみたいに思いだして。松ちゃんが言うこととか、結構同じことを今、浮かんでるな、みたな状態になって。ある時、見ていたら松ちゃんがボケるよりも僕の方が早かった時があったんです。それで「これは行けるな!」っていう風に思いまして。
(立川志らく)松ちゃんを超えた?
(伊藤幸司)その瞬間は、松ちゃんを超えたんです。「俺の方が早かった。これは行ける!」っていうことで、NSCに……。
(立川志らく)これ、ダウンタウンの前で話、した?(笑)。
(国崎和也)なんか話したんですけど、無視されてました(笑)。
(伊藤幸司)フハハハハハハハハッ!
(立川志らく)無視(笑)。国崎くんの方は、どうですか?
(国崎和也)あんまり言ってないですけど、春日三球・照代さんとかは、すごい好きですね。
(立川志らく)ほうほう。世代じゃないけれども。
「春日三球・照代がすごい好き」(国崎)
(国崎和也)うん。芸人になってから、YouTubeとかで見たと思うんですけども。もう抜群に面白くて。1回、寝ていたんですけど。朝、間違えて再生して。1回、あったんですよ。それで漫才が聞こえて、笑っちゃって起きちゃって。相当面白いなって思って。その、笑っちゃって目が覚めるなんて。そういうのがありましたね。春日三球・照代さん。
(立川志らく)あの、ちょっと聞いた話なんだけども、深見千三郎先生のお墓でネタをやるとかって。よく意味がわからなくて。世代どころじゃない。私だって生の舞台、見てないんですよ。たけしさんの『浅草キッド』だとか、萩本欽一さん、欽ちゃんの大師匠さんであるとかね、そういう伝説の、幻のお笑い芸人だって言われている、その人に対する尊敬の念みたいなものがあるんですか?
(国崎和也)あります。その深見千三郎さんの生きざまというか、すごい目に浮かぶようで。その、芸に生きるとか。すごいそれが面白くて。それで年に1回、僕がお墓に行って。その年に一番面白かったネタを千三郎さんのお墓の前でずっとやってたっていう。夜だとね、すごい怖いですから。本当に墓場で運動会みたいになりますから(笑)。日中に必ず行って。
(立川志らく)フフフ(笑)。日中だって怖いですよ? お墓の前でネタをやられたら。
(国崎和也)その後ろが公園なんですけど。1回、お母さんと子供が遊んでたんですけど、僕のネタを見て1回、逃げていって(笑)。
(立川志らく)お坊さんに通報されるよ(笑)。
(立川志らく)今、バラエティなんかでいろいろと引っ張りだこにはなってるんだけども。今後、どうなっていきたいですか?
(伊藤幸司)自由にやっていきたいですけどね。何かにとらわれることなく。僕は。
(国崎和也)エンターテイナーみたいな。
(立川志らく)常にボケまくるみたいな。もう、ボケてないと気が済まないんでしょう?
(国崎和也)そう。なかなか、そういうのがあるんですよ(笑)。
(立川志らく)ボケに命をかけてるっていえばかけている。
(伊藤幸司)あと、お金もガンガン使いますしね。ボケに。今、全財産がないんですよ。
(国崎和也)全財産、なくしたんですよ。僕。
(立川志らく)なにに使っちゃったの?
ボケで全財産を使い果たす
(国崎和也)『ガキの使い』っていう番組の「七変化」っていう、こういうところで1個1個、ボケていくんですけど。その時に外国の、なんでかわかんないけどものすごい高いオブジェとか、あるじゃないですか。あれを本当にその場で全財産分、買うっていうボケをして。それで全財産、なくなって。
(立川志らく)それ、だいたいどのぐらいのお金?
(国崎和也)469万。
(立川志らく)469万円!?(笑)。もう、めちゃくちゃだよ(笑)。
(国崎和也)今、もうめちゃくちゃです(笑)。
(立川志らく)でね、私はランジャタイの話をね、Twitter、Xやなんかでも話をすると、ファンが「また志らくさん、ランジャタイが好きなんだ。どこまでファンなんだ」ってみんなが言うんだけども。私はね、あなた方にも言ったけど。ファンではないんですよ。同じ方向を見ている同志だと思ってるわけ。キャリアは全然違うし、やってることも違うんだけども。「ライバル」とは言わないけれども、同志なんだなっていう風に思っています。
(国崎和也)めちゃくちゃ嬉しいです。
(伊藤幸司)嬉しい!
(立川志らく)はい。今日はこの顔で、おしまいになります(笑)。
(国崎和也)おしまい?(笑)。
(伊藤幸司)あっという間でしたね!
超貴重なバイト時代のネタ作り映像、もはや古文書なネタ帳、憧れの芸人話でお馴染みのダウンタウン、深見千三郎師匠に加えて春日三球・照代師匠のお話も。
ランジャタイがここまで原点を網羅的に語ったのは初めてなのでは。志らく師匠への信頼を感じる対談でした。
最後に未来を語る粋な最終回でした。 pic.twitter.com/TlvI36uqd8— ゆきえ (@yukiebibipipi) December 17, 2023
<書き起こしおわり>