渡辺志保 Gunna『fukumean』を語る

渡辺志保 Gunna『fukumean』を語る INSIDE OUT

渡辺志保さんが2023年6月19日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でガンナがリリースした新作アルバム『a Gift & a Curse』についてトーク。その中から『fukumean』を選曲していました。

(渡辺志保)ちょっと時事的なことも含めて、今日の1曲目はめっちゃ悩んだけど、ガンナのアルバムからにします。

(DJ YANATAKE)でも意外と、Apple Musicのチャートで1位とかになってるんだよね。

(渡辺志保)いやそうなのよ。なので私もざっと海外、USのヒップホップメディアをどういう風に書かれているのか、チェックしたんですよ。で、まだガッツリ長文のレビューとか……たとえばピッチフォークのレビューとか、そうしたものはまだアップされていないんですけれども。なんか、ざっと見るにやっぱりそのリスナーとかメディアも、ちょっと懐疑的な受け取り方というか。「これをどう受け取っていいか、わからない」っていう。「Mixed Review」とか「Mixed Feeling」みたいな。なんかみんな、ちょっと困惑しながら聞いたというのが最初のリアクションなのかなという印象でした。

で、『a Gift & a Curse』というタイトルのアルバムを金曜日に発表したわけなんですけれども。で、そのアルバムのリリースに先駆けて『bread & butter』っていうタイトルの新曲をガンナは元々リリースしてたんですよね。それも結構生々しく、昨年逮捕されてからの裁判を経て、司法取引を経て、釈放というか、シャバに戻ったということについて書いていて。「弁護士と検察側にはめられて大金をムダにした」とか、そういうリリックがあって。

(渡辺志保)それで、今回のアルバムに関してもここ1年ぐらい、ずっとガンナは「スイッチした(密告した)」ということを叩かれていたわけですけれども。それに対する反論であったりとか。あとは檻の中にいるままのヤング・サグに対して、そのブラザーへの忠誠心を示すようなリリックがたくさんあったりして。本当に生々しい、ちょっとドキュメンタリーっぽい感じのアルバムになってるなという風に私は感じまして。

それで、ゲストがいないんですよね。フィーチャリングが誰もいなくて。全部で15曲収録されているんですけれども。15曲、頭からケツまでずっとガンナが1人でラップしてるんですよ。で、基本的にここ何十年もヒップホップってフィーチャリング文化っていうか。日本のものもそうだし、もちろんアメリカのものもそうだけど。やっぱり誰もゲストがいないアルバムって逆にちょっと珍しいぐらいだし。こうしたがガンナとかヤング・サグとか、アトランタのラッパーとかみんなそうですけど。皆さん、お互いのアルバムとかにそれぞれゲストで参加し合いながら作品を完成させるっていうのがひとつ、セオリーみたいなところありますけれども。

今回は全15曲、全部自分でスピットしていて。私が読んだレビューというか、記事の中にも「これは1枚のアルバムに15曲入っているけども、その15曲でひとつの曲になってるみたいな感じもする」っていうような記事を拝見して。「ああ、なるほど」みたいに感じました。もちろん、彼らがいるクルー、YSLに関する裁判は今も続いてるし。結構その裁判もしっちゃかめっちゃかなのかなと思わせる記事なんかもありますので。ちょっと見守らねば……というところではあるんですけれども。今日はそこから『fukumean』という曲をかけたいと思うんだけど。

で、それでガンナガアルバムを出しました。シャバに戻ってから一発目のアルバムですねってことなんですけれども、時を同じくして謎のQRコードがたくさん。で、ガンナのアルバムとどれだけリンクしているのか、わからないけれども。ヤング・サグが……彼はまだシャバにはいなくて。刑務所? 拘置所? どっちなんだろう? そういったところにいるヤング・サグのInstagramに謎のQRコードが現れて。それを私も読み取ってアクセスしたんですけど。そのQRコードにアクセスすると、カウントダウンの日付が表示されるんですよね。

ヤング・サグの謎のQRコード

(渡辺志保)で、さっきもまた「情報が更新されるかな?」と思ってもう1回、読み取ったんだけど。「2 Days ○○ Hours」みたいな。そういうアラートで刻々とカウントダウンされている状況になっていて。で、そのカウントダウンに沿っていくと、今週の水曜日に何かがありますっていう感じなんですけど。このヤング・サグがだから何かをリリースするっていうことだと思うんだけど。これをたとえばドレイクとか、あとメトロ・ブーミンとかもだったかな? いろんなアーティストがこのQRコードをポストしていて。いったい何のプロジェクトなんだろう?っていうので、界隈をざわつかせているところであります。

(DJ YANATAKE)なるほど。ちょっと志保さんに聞きたくて。もちろん今、まだ全容とかはあれだと思うんですけど。ガンナのはやっぱりさ、スニッチしたっていうことでさ、結構キャンセルっぽくなっちゃうわけじゃない? でもこの今、出てる曲とかアルバムとかで、その弁明みたいのもあるんだけど。それで今のキャンセルの流れをひっくり返せる感じ、しますか?

(渡辺志保)うーん。でもなんか、逆に全く無視ではないというか。なんだろう? 別に全てをもう100%、キャンセルっていう風潮ではないかなって思いますね。だって結構有名なプレイリストとかにも軒並み、このアルバムからの曲が入ってるし。なので、本当にリアルなアトランタのストリートで何が起こってるかはわからないけど。いわゆる世界のヒップホップヘッズからは、一定の支持を受けているという印象を持ちました。

(DJ YANATAKE)なるほど。もうちょっと勉強して、追いかけてみます。

(渡辺志保)そうなんですよ。で、今週はAki Ikejiriさんと一緒に『ATL夜会』っていうイベントをやるので。ちょっとこのへんの話もじっくり聞きたいなという風に思っています。

(DJ YANATAKE)実際、ガンナへの現地の反応みたいなの、知りたいよね。

(渡辺志保)そうそう。そうなんですよ。というわけで、ちょっと私ももっと情報を拾いながらアルバムを聞き込んでいきたいと思っているところです。というわけで、今日の1曲目はガンナで『fukumean』をお届けします。

Gunna『fukumean』

<書き起こしおわり>

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