東野幸治 是枝裕和『怪物』で心臓がキュッとなったシーンを語る

東野幸治 是枝裕和『怪物』で心臓がキュッとなったシーンを語る 東野幸治のホンモノラジオ

東野幸治さんが2023年6月9日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオ』の中で是枝裕和監督、坂元裕二脚本の映画『怪物』を見た話を紹介。劇中で東野さんの心臓がキュッとなったシーンや、映画を見た後に取った行動について話していました。

(東野幸治)『NieR:Automata』、2周目をやっとやりだしました。東野幸治のホンモノラジオ! どうも、こんばんは。東野幸治でございます。今夜も1時間、よろしくお願いします。私の話を聞いてくれるのはこの方です。

(渡辺あつむ)渡辺あつむです。

(東野幸治)よろしくお願いします。『NieR:Automata』、1月、2月ぐらい前にこのゲームにちょっとハマって。元々、アニメでやっていて。それがバチッて作るクリエイターの人がいなくなって。「中止します」みたいな。「そんなこともあんねんな」と思って。続きが見たいっていうことで調べたら、元々ゲームが出てて。ほんで、そのゲームでその続きを知ろうと思ってやるんですけど。調べたらゲームソフト、ダウンロードも入れて世界で750万本。

(渡辺あつむ)素晴らしい!

(東野幸治)で、なんか大昔に人間が住んでる地球に宇宙人がやってきて。その「機械生命体」と言われるブリキのロボットたちが人間をおっぱらって。人間は月に行く。で、機械生命体が地球を支配している。ほんで、月から人間がアンドロイドを作って、たまに行ってはなんとか地球を取り戻そうとする。そんな何千年間のお話の、何千年後の設定でゲームをする。

ほんで、なんかヨルハ部隊っていう部隊に司令が出て。女性のアンドロイド、2B。それと男の子みたいな9Sっていうその2体が指令に従いながら、地球の中で機械生命体と戦っていく。で、最初はその2Bという主役の女の子を自分が操作して、戦って。無事、強いやつをやっつけて終わったと思ったら「次、2周目をやってください」ってなって。それで静かに置いたんですよ。「ちょっと待て……」と(笑)。で、よう調べたら「3周目がおもろいです」ってなって。「いや、3周目!?」みたいになって、ちょっと静かに置かせてもろうて(笑)。

(渡辺あつむ)普通は「まだやれる! 嬉しい!」じゃないんかな?(笑)。

2周目以降はやらずに静かにゲームを置く

(東野幸治)いや、そう。めちゃめちゃおもろかったし。イージーモードやから、そんなに苦労せんと敵も倒していけるから。普段ゲームしないおじさんからすると、最高やし。なんとなくアニメの続きもわかったから。「いやいや、目線変わるだけやん?」みたいなね。こっちは、ゲームを知らんおっさんからするとね。いや、本当に上からで申しわけない。ほんで、置いていたんですよ。

ほんで、今週の月曜日。『ドッキリGP』の収録があって。そこでいつも打ち合わせするプロデューサー、チーフディレクター、担当のD。そんな3人でいつも楽屋にいらっしゃって。で、その言うたらチーフD。総合演出みたいな方が「東野さん……」って。今度、なか東野の顔犬みたいな。その『ドッキリGP』の中で子供たちになぞなぞかな? 教えようっていうんで、「逆さ東野」みたいなんを80万か90万かけて、作るんですよ。で、それがあまりにも見てる方が不快な気分になって。抗議が殺到して、企画がなくなったんすよ。

でも、このかけた80万、90万をなんとかしたいってことで。その顔を使って、冷蔵庫を開けたら東野の顔があるとか。お鍋を開けたら東野の顔があるっていう、言うたらザコ要因になったのよ。東野の顔だけが。それでなんとか、お金を回収せなあかんっていう時に、一時、アメリカあたりの軍用ロボットみたいなんで……映像、見たことありますけど。まるで犬みたいなロボットがあって。それが今から3、4年ぐらい前。SNSでちょっと話題になった。

それが今、ちょっと日本でお得な感じで買えるみたいで。そこに東野の顔をつけたんです。それが、顔犬。で、その顔犬を言うたら女性のモデルさんとか、アイドルとか、リアクションが大きい人。スタッフが「ちょっと暗いところでロケするから」って言って、楽屋から離れたところに迎えに行って。で、暗いところを歩いていって角を曲がったら東野の顔犬がワーッて迫ってくる。で、「ギャーッ! やめてよー!」とか。なんかもう、やす子にいたっては俺、顔を思いっきり蹴られたりとかして。ワーワーってなって。ちょっと話題になって。

(東野幸治)で、スタッフが「これ、いけるな」ってなって。TikTokで東野の顔犬と女性アシスタントディレクターが2人で散歩したりとか。なんかかわいい、かわいいしているその切り抜き動画が400万回再生ぐらいしたから。それでガチャガチャみたいなんのを作ろうってなって、それを持ってきてくれて、ワーッて話題になった。で、そのトップの総合演出のディレクターが僕がそれをインスタに上げたので。たぶん会議で「東野さん、インスタ上げてくれたよ」「ああ、東野さんもちゃんと前向きに番組に参加してくれて嬉しいな」と思って。それで東野の見たら『NieR:Automata』をやっているっていうのを見つけて。「ええっ?」ってなって。

それでその今週の月曜日の打ち合わせでドッキリの説明とか、VTRの説明なんかもすっ飛ばして。「東野さん、『NieR:Automata』をやってるんですか?」みたいになって。「ああ、やってますよ」って言って。「いや、僕もね、やったんですけど。えっ、何周やりました?」「1周ですけど」「3周ですよ!」って言われて。すごい言われて。

で、「3周、やらないといけないんです。なおかつ、3周やった後、僕はまだやってないんですけど……購入はしたんですけど。その、地球にエイリアンが攻めてきた時のゲームもあるんですよ。絶対やってくださいよ!」って言われて。「ああ、わかりました、わかりました」って。ちょっと半ばね、右から左へ受け流すじゃないけども。なんとなく、それで「まあまあ、またやりますわ」みたいな感じ。その時は正直、あんまり心が動いてなかったんですよ。

で、「お願いしますね。やってくださいよ。面白いですから。またその話、しましょう」みたいな感じで打ち合わせして。ほんでドッキリを収録して。夕方ぐらいに終わったから。「ああ、時間、空いてるな」と思って。「また次回、2週間後、お願いします!」って。もうドッキリに熱い男やから。「面白かったですよ」ってなんか一言、二言、いつも終わりしな、あったら言うように心がけていて。

「ありがとうございます」とか「2週間後、お願いします」みたいなこと言って。それで俺、映画を見に行ったんすよ。『怪物』。坂元裕二さん脚本で、是枝監督で、音楽が坂本龍一。出演が安藤サクラ、瑛太、田中裕子さん。言うたら坂元組みたいな。それで「怪物、だーれだ」みたいなお話で。いろんな視点から描くみたいな。「現代の『羅生門』だ」みたいなキャッチコピーがあって。「どうかな」と思って見に行った。

いや、めちゃくちゃおもろかって。なんかドキドキしながら。若干、是枝さん寄りの作品やなと思って。それは、まあネタばらしになるから言わないですけど。その中で2ヶ所、子供がいじめのシーンがあって。教室でいじめられてる子の机の上にいじめっ子の子がゴミを集める。ほんで、言うたらその映画の中の主要なキャストの子がいじめに参加はしていない。でも、勇気がないから言えないっていうので。

で、いじめっ子のやつが「おい、お前! ○○! お前もここにゴミを乗せろよ」みたいな感じで言われて。「うん?」ってリアクションをしたら「ドッキリだよ、ドッキリ!」ってなって。そういう言い方をしていて。それが2ヶ所ぐらい、あって。「ドッキリだよ、ドッキリ!」って。それを俺、見ながら心臓がキュッとなって。

「ドッキリだよ、ドッキリ!」

(東野幸治)なんか……「坂元さん、それはないんちゃいますか? 俺、このラジオで一生懸命、坂元さんの作品を見て『おもろい! 最高や! ほぼ同世代。最高! 天才脚本家!』って言っていたけど……坂元さん、そういう風に思っていたんですか? 俺、『ドッキリGP』のMCやってるんですけど……」って(笑)

それで「ドッキリだよ、ドッキリ!」って。それでそこに参加する、しないみたいなシーンがすごい……だからたぶん、日本中で『怪物』を見て俺だけ、あのシーンでキューッてなって。一番、泣きそうになったんですよ(笑)。ほんで、家に帰ってあのドッキリのチーフディレクターがキラキラした顔。『NieR:Automata』とか、「2週間もドッキリ、お願いします!」って顔が浮かんだから、2周目を始めたんですよ(笑)。

(渡辺あつむ)なんちゅう物語!(笑)。ようわからん物語(笑)。

(東野幸治)いやいや、違うねんって。なんか、彼のためにもやってあげなあかんな思って(笑)。

(渡辺あつむ)この主人公に感情移入、できない……(笑)。

(東野幸治)なんか、その2週間後に「『怪物』を見たんですけど」って言うた方がええのか、言わん方がええのか。でも、悩みもあるし。とにかく俺が今、できるのは『NieR:Automata』の2周目をやること。それしかできなかったんや(笑)。こういう場合、「『怪物』っていう映画、見ました?」「いや、見てないんですけど」「なんかね、出てくるんですよね」みたいに言って。ほんで、スタッフもそれを言われたら、絶対に見に行くやん?

ほんで、俺と同じように……一生懸命、番組をよかれと思って。みんなに少しでも笑ってもらいたい。7時~8時とか。2Hやったら7時~9時。どこから見ても、すぐに笑えるように。楽しく、笑えるような番組を心がけてるつもりなんですよ。我々は、でも「ドッキリだよ、ドッキリ」っていうのでキュッと……(笑)。「坂元さん……それ、ないんちゃいますか?」って。

『花束みたいな恋をした』、俺も絶賛しましたよ。なんやったらいつか、対談みたいなこともあったりするのかなとか。言うたら、この『ホンモノラジオ』でもゲストに呼びましょうかとか言ったら、結局「ちょっと仕事が忙しいから、ごめんなさい」ってなって、会えなかったけども……もう、会えないです(笑)。

もしかしたらその、お願いしてる頃に断った理由って「あいつ、ドッキリやっているだろう?」っていうのかも……時間的に言うとさ、2年前とかさ、1年前とかさ。だからいろんなことを考えたらさ、もう1回、言うよ? 『NieR:Automata』をやるやろ?(笑)。

(渡辺あつむ)わからへんねん(笑)。

(東野幸治)2周目。2周目、やるやん? とにかく……とにかく俺ができるのは3周回って、チーフディレクターに感想を言って。「面白かったですよ」って。で、「そうでしょう!」みたいな笑顔が……笑顔が見たいやん?(笑)。

(渡辺あつむ)「今のところ、わからないですけど。第5話ぐらいでこの気持ち、わかるんやろうな。我慢しよう」のやつです(笑)。

(東野幸治)フハハハハハハハハッ! 「なんやろう? この主人公。ちょっと変わってんな。なんかこの後、あんねやろうな。まあ、飛ばしておこう。気持ちは」って(笑)。

(渡辺あつむ)こっちの『怪物』はね(笑)。

(東野幸治)いや、なんかすごい思い出して。家に帰って、このゾワゾワした感じと、あの人の笑顔を見たら「俺がゲームをクリアせんと」って思って。「怪物、だーれだ?」って言いながら。「怪物、だーれだ? 怪物?」って。

(渡辺あつむ)えっ、言いながらゲームをしているんですか?(笑)。

(東野幸治)やってるよ(笑)。「おまえだー!」って言いながら(笑)。

(渡辺あつむ)『NieR:Automata』のストーリーと全然リンクしてないですよね?

(東野幸治)でもめちゃめちゃ……2周目、やったけど。同じところをやるけども。目線が違うから、発見とか。「ああ、こういう隠しアイテムがあったりすんねんな」とか。で、3周目に全ての謎が解けるっていう。その、言うたら『NieR:Automata』をやって。ちょっと『怪物』の傷をなんとか癒やしたいなと思いながら。いろいろとやっていて。

(中略)

(東野幸治)ええと、続いてのメール。「ダディ、あつむさん、こんばんは。ダディは是枝監督、坂元裕二さん脚本の『怪物』、ご覧になられましたか?」。先ほど、オープニングでしゃべらせてもらいまいた。「私は見ました。エンドロールにゆってぃさんの名前があったんですが、どこに出ているのかわかりませんでした。ネットでも調べてみましたが、誰もわからないようで『どこに出ていた?』とざわついています。映画の感想ではなく、すいません」。

いや、俺も全然気付けへんかった。ゆってぃさん。ただでも本当に映画自体は面白いんで。ぜひ見てほしいし。お客さんも入ってましたし。俺の前の回が終わって。俺、ちょっと早めに着いて。アイスコーヒーをちょっと端っこの方で立って飲んでいて。「ちょっと声、するな」と思ったら、俺と同世代ぐらいの俳優さんとか、スタッフさんみたいな感じが映画館で感想言い合いながら。ちょっと大きめな声で出てきたみたいなんで。

「ああ、やっぱり本職の人らも興味深く見てんねんな」みたいのは思いましたけれども。ぜひぜひ皆さん、見てほしいし。俺、ゆってぃは全然わかんないけれども。でも、なんか瑛太さんと安藤サクラさんと田中裕子さんはもうやっぱり、すごいなって単純に思いました。えぐいぐらい。俺の藤子・F・不二雄の『箱舟はいっぱい』の演技では、太刀打ちできへんわ(笑)。

(渡辺あつむ)はい(笑)。

(東野幸治)ちょっと爪痕ぐらいは残せるのかな思ったら、無理やわ(笑)。

(渡辺あつむ)吐き気しか、残せませんでした(笑)。

(東野幸治)いや、すごかったなと思ったんですけど。

<書き起こしおわり>

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