松尾潔 メロウなクリスマスソング特集2016 後編

松尾潔 メロウなクリスマスソング特集2016 後編 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でクリスマスソング、ホリデーソングを特集。お気に入りの曲の数々を紹介していました。

(松尾潔)改めましてこんばんは。松尾潔です。『松尾潔のメロウな夜』、先週・今週と2週間に渡ってメロウなホリデーソング。メロウなメロウなクリスマスソング、たくさんありますね。2回ではお届けしきれないのですけどもね。とても、僕のお気に入りのもの全てをお届けするわけにはいきませんが、それでもいつもよりもよりリラックスした気分で、僕自身も楽しみながらマイクに向かっております。

今週で11月の放送はひとまずお終い。そして次回は12月5日となります。12月5日の『メロウな夜』はみなさんお待ちかね。今年最後のリクエスト特集です。いまからでも間に合いますので、この番組のホームページの方にお越しください。そしてそこからリクエストをお待ちしております。そして12月12日が『松尾潔のメロウな夜』、今年2016年の最後の放送となってしまいます。12月12日はこれまたみなさんお待ちかねでしょう。久保田利伸さんが久々のゲスト出演です。久保田さんへの質問、そしてリクエスト、なんでも彼は答えてくれると思います。ぜひ、そちらの方もみなさんのお声をお待ちしております。

さて、ではメロウなホリデーソング特集後編。いよいよスタートでございます。いまバックに流れておりますダニー・ハサウェイ『This Christmas』。この曲は『メロウな夜』の中では本当にクラシックスの中のひとつと言いますか。「メロ夜スタンダード」と呼んで差し支えない曲です。まあ、いろんな人のバージョンもこの番組の中では紹介してまいりましたが。

今日はと言いますか、今年はこちらをみなさんにご紹介したいです。デイヴ・コズというサックスプレイヤーがいます。この人は黒人ではないのですが、たいへんファンキーなプレイでブラックミュージックシーンでもたいへん人気のある人です。まあ、スムース・ジャズと呼ばれるシーンの帝王の1人ですね。で、デイヴ・コズっていうのはたいへんに社交的な人でございまして。アメリカでラジオ番組の人気ホストとしても知られております。

まあ、彼らしいアルバムが2年前に出ていましてね。デイヴ・コズ&フレンズという彼の人脈を見せつけてくれるようなそんなクリスマス・アルバム、ホリデー・アルバムが出ております。デイヴ・コズ&フレンズで『The 25th of December』というアルバムがあるんですが。その中で、この番組のリスナー、もうみなさん大好きですよね? エリック・ベネイがデイヴ・コズと共演していつものようにあのメロウな歌声を披露しております。曲はこれから聞いていただきます、ダニー・ハサウェイのカバーで『Thie Christmas』。

Dave Koz『This Christmas (feat. Eric Benet)』

お届けしたのはデイヴ・コズ feat. エリック・ベネイで『This Christmas』でした。これはサックスプレイヤー デイヴ・コズを中心とした仲良しミュージシャン、仲良しシンガーたちで作ったアルバム『Dave Koz & Friends: The 25th Of December』に収録されております。2014年、2年前のリリースでした。さあ、ホリデーソングを続けてご紹介しますよ。いまバックに流れておりますのはザ・ウィスパーズの『A Song For Donny』。これ、以前にもこの番組で曲の成り立ちをご紹介しました。この『A Song For Donny』というタイトルがついていますがダニー・ハサウェイの『This Christmas』の替え歌であると。そして、若くして亡くなったダニー・ハサウェイへのレクイエム、トリビュートソングでもあるという話をいたしました。

まあ、このようなリスペクトの示し方のは僕の好むところでありまして。まあR&B流儀と言いますか、その人の代表曲の形を借りて音楽的にその気持ちを示すという。非常にオーソドックスでありながら奥行きのある、そんな表現方法じゃないかなと思うんですけども。これからお聞きいただきます曲というのも、実はうっすらとダニー・ハサウェイへの敬意というかリスペクトが感じられます。ウィル・ダウニングの『Love On Christmas Morning』という曲です。これは、ウィルの2004年リリースのアルバム『Christmas Love & You』というアルバムの中に収められているんですが。曲を聞いていただければわかります。曲の間奏の部分でね、『This Christmas』のあのフレーズが出てくるんですね。あのフレーズがね。その使い方がたいへん小粋と言いますか、洒脱と言いますか。R&B聴きにはたまらないセンスですね。

このウィル・ダウニングの『Love On Christmas Morning』、作者はご本人もたいへんに優れたシンガーソングライターです。ブレンダ・ラッセル。名曲、たくさんありますね。『If Only For One Night』とかね。まあ、その彼女の曲の中でもこれは割と隠れ名曲のたぐいかもしれませんけども。ウィル・ダウニングが丁寧に歌っております。そして、曲の途中でキーボードのソロを聞かせてくれるのは2年前に惜しくもなくなりました。ジョー・サンプルです。ジョー・サンプル、好きな方多いですね。クルセイダーズの中心人物であり、ソロプレイヤーとしてもね、たいへんにリリース作品が多いです。インディア・アリーとのね、コラボレーションアルバムなんていうのもね、この時期になると聞きたいもののひとつなんですが。今日は、ウィル・ダウニングとジョー・サンプルの共演を聞いていただきましょう。『Love On Christmas Morning』。

Will Downing『Love On Christmas Morning』

Toni Braxton『Holiday Celebrate』

ディープボイスの男性、女性それぞれお聞きをいただきました。ウィル・ダウニングで『Love On Christmas Morning』。そしてトニ・ブラクストン『Holiday Celebrate』でした。ウィル・ダウニング、先ほどお話しましたように故・ジョー・サンプルがキーボードののソロを取っているというお話をしましたけども。この番組であんまり話すことはありませんけどもね、そのスムースジャズ……もっと立ち入ったところに入っていくとフュージョンという音楽が華やかだった頃のスターたちがこの曲には結集しております。ドラムスはマイケル・ホワイト、ベースはアンソニー・ジャクソン、キーボードはレックス・ライドアウト。レックス・ライドアウトはR&Bシーンの要人でもありますね。

そして、なんと言ってもウィル・ダウニング、愛妻家でもありまして。奥様のオードリー・ウィーラーもコーラスで参加しているという、まあ人の体温が伝わる、そんな1曲でしたね。そして、そういった人たちを包み込む器としてのブレンダ・ラッセルの曲作り、やっぱり冴えていますね。まあ「冴えていますね」っていうか、10年以上前の曲のことを言っているんですけども。本当、ブレンダ・ラッセルの曲っていうのはタイムレスな魅力に満ちていると痛感いたしました。アルバム『Christmas Love & You』から『Love On Christmas Morning』、ウィル・ダウニングでした。

そして、トニ・ブラクストン『Holiday Celebrate』。去年のいま頃の『メロウ・クリスマス』という特集。まあ、『メロウなホリデーソング』と今年、ちょっとタイトルを変えていますけども。実態はもちろん一緒ですが。ブラクストンズの曲をご紹介したんですよね。

松尾潔 メロウなクリスマスソング特集2015 前編
松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』で『メロウなクリスマス』と題し、クリスマスソングを特集していました。 (松尾潔)改めましてこんばんは。松尾潔です。『メロウな夜』、12月の放送は2回。ということは今年の放送も今回を含めてあと2回...

で、今年はそのブラクストンズの中の中心の中心とも言っていいでしょう。トニ・ブラクストンのちょっと懐かしい、15年前にリリースされました『Snowflakes』という彼女のソロ名義のホリデーアルバムの中から『Holiday Celebrate』をお聞きいただきました。トニ・ブラクストンはこのアルバムを出した後ですね、しばらくたって病気の問題なんかもありましてね。長いスランプに入るし、もう歌うのを止めようかという時期もあったんですけども、妹たちのがんばり、励まし、そしてベイビーフェイスとのリユニオンがあって、いままたシーンの最前線にカムバックしております。そういったことに思いを馳せながら、15年前野『Holiday Celebrate』を聞いていましたらやっぱり気持ちが温かくなりました。

先週のこの放送の中で、かつて夫婦だった男女シンガーを1曲ずつ聞いてもらいましたね。ケニー・ラティモアとシャンテ・ムーアのホリデーソング、この番組でご紹介したんですが。今週もちょっと、それにならったというか、まあシャレのつもりです。「クリスマス休戦」っていう言葉がございますけども、これぐらいの時期には、かつて愛し合った2人が一緒に並んでもいいんじゃないか? ということで、トニ・ブラクストンのかつての夫、ケリー・ルイスというキーボードプレイヤー、そして音楽プロデューサーとしての肩書の方が大きいんでしょうかね? 一時はおしどり夫婦としてもよく知られていたんですが、残念ながら結婚生活は破綻してしまったんですが。ケリー・ルイスがもともとメンバーとして活躍していたのがミント・コンディションというグループですね。

続いては、そのミント・コンディションのクリスマスソング、ホリデーソングをお聞きいただきたいと思います。今日、ご紹介する曲は昨年この番組で最も回数が多く、頻繁にご紹介したホリデーソング『Not What I Wanted』。「去年の」というよりも、ここ数年、いや、この10年ぐらいの中の数あるホリデーソングの中で僕が最も好きなオリジナル曲のひとつですね。歌詞の中からクリスマスとか、そういう言葉や意味合いを取っちゃえば、音だけで聞くと1年を通して楽しめるんじゃないかな?っていうぐらい普遍的な魅力のある曲だと思います。まあ、ミント・コンディション自体がいまのR&Bシーンの中でラスト・ソウルバンドと言ってもいいぐらいの生演奏にこだわったバンドですからね。そちらの音作りの方もぜひじっくりお聞きいただければと思います。では、ご紹介しましょう。2015年リリースのアルバム『Healing Season』の中から、ミント・コンディションで『Not What I Wanted』。

Mint Condition『Not What I Wanted』

Mary Mary & Kelly Price『In Love At Christmas』

2曲続けてメロウなホリデーソング、お聞きいただきました。2015年、昨年リリースのアルバム『Healing Season』の中から、ミント・コンディションで『Not What I Wanted』。もう本当にビターな味わいのクリスマスソングですね。そして、ケリー・プライス feat. メアリー・メアリーで『In Love At Christmas』。これは早いものでもう15年前、2001年にリリースされましたケリーのアルバム『One Family』に収録されていました。実は、こちらの方にはリクエストをいただいております。東京都にお住まいの35才の女性リスナーの方、ありがとうございます。「このクリスマスシーズンはいい音楽もたくさんありますが、無音ですごすのもいい瞬間があったり。そんな中、浮かぶのはいつもこの『In Love At Christmas』です」という。無音より、さらにすぐれた瞬間ということですね。なかなか表現に技有りですね。

「……いまだマイ・ベストですね。こんな素敵なシチュエーションはまだ訪れてくれませんが。たしか、前回リクエストした時は久保田利伸さんに取られてしまいました」と。そうそう、久保田さんがね、あれは何年前でしたっけ? この番組に年末にお出になった時にこの曲をリクエストされたこと、ありましたね。でも、これはクリスマスソング。と言うか、サンタもいらない、トナカイもいらないという曲ですけどね。あと、この方、「やっとミント・コンディションのクリスマスアルバムを手に入れ、『Not What I Wanted』を楽しんでおります」という。これ、僕今日スタジオに入ってこのリクエストメールを見たんですけど、僕のこのミント・コンディションとケリー・プライスという2曲の選曲の流れを予見するかのようなないようですね。いささか驚きました。ありがとうございます。

では、続けてファンキーなクリスマスナンバーを2曲、お楽しみいただきたいと思います。まずは、こちらから。1999年にリリースされたクリスマスアルバム『My Christmas Album』の中からラサーン・パターソンで『Christmas At My House』。

Rahsaan Patterson『Christmas At My House』

Paris Bennett『Deck The Halls』

メロウにメロウにお届けしております今夜の『松尾潔のメロウな夜』。ホリデーソング特集でございます。2曲続けてご紹介いたしました。さっき、曲を聞いていただく前に「ファンキーな」と言ったんですけども。やっぱり2曲続けて聞いてみますと、ファンキー、かつメロウですね。まずはラサーン・パターソンで『Christmas At My House』。そしてパリス・ベネットの『Deck The Halls』と続きました。ラサーン・パターソンの『Christmas At My House』という曲はもうやっぱり時期が99年発表というのもあって、その頃ラサーンがよく言われていたようにやっぱりスティービー・ワンダーへの眼差しというのはもう本当に強く強く感じられますね。

本当に、いまこそ聞き応えのあるナンバーかなと、いい寝かせ時なのかなという気がいたします。ラサーン・パターソン『Christmas At My House』。これ、歌詞の方も僕の好きなパターンの作詞術というか。「子供の頃はママがクリスマスプレゼントをどこに隠したのか? その隠し場所を探したもんだよね」という、そういう語りかけるような。誰もが経験している昔……子供の頃の話を語りかけるようにして始めていくというこのストーリーテリング。本当にこの時期、そしてホリデーソングにぴったりという気がいたします。『My Christmas Album』というコンピレーション・アルバムですね。この中に収録されていたんですけども、先週ご紹介いたしましたシャンテ・ムーアの『Christmas Morn』という曲もこのアルバムに収められていました。ぜひ、探して聞いてみてください。これ、本当に聞き応えのあるアルバムです。

そして、パリス・ベネットの『Deck The Halls』。パリス・ベネットをご紹介するのはこの番組では初めてですね。まあ、「超」がつくほどではないが、有名……まあ、有名でもないのかな? 人気ゴスペルシンガーの1人ですね。パリス・ベネット。『Deck The Halls』、日本では『ひいらぎかざろう』っていうタイトルで歌われることが多いですね。「あっ、このサビの部分、子供の頃に歌ったことがある」なんて方もいらっしゃるかもしれません。『ひいらぎかざろう』。アレンジでこんなにファンキーかつメロウに仕上がるんですね。パリス・ベネットの歌い方っていうのはもう本当に伸びやかで、「童心を取り戻すかのような」と言えばいいんでしょうか? まあ、聞いている僕もなんかほっこりしますよね。こういう曲を聞くと。

いやー、本当に楽しい(笑)。メロウなホリデーソング特集もいよいよ終盤に近づいてまいりました。2曲続けてご紹介したいと思います。2曲とも、この時期の定番曲ですね。先週もご紹介した『Have Yourself A Merry Little Christmas』。先週はキーシャ・コールのバージョンでお届けしたんですが、今週はアンソニー・ルイスという男性シンガーのバージョンでお楽しみいただきたいと思います。これは2013年リリースですね。これは僕は、アレンジ。特にリズムのアレンジが大好きなんですよね。アンソニーのボーカルももちろん素敵です。伸びやかです。

そしてもう1曲。去年はたしかこの曲がいまアメリカの、特にアフリカン・アメリカンのコミュニティーにおいて新定番として人気が著しいっていう話をした記憶があります。『Mary, Did You Know』。今日はジョナサン・マクレイノルズのバージョンでお楽しみいただきたいと思います。ジョナサンはもう本当にゴスペルシーンでいま最もイキのよい若手の1人ですね。若手スターと言って差し支えないと思います。若い男性ボーカル、2曲続けてお楽しみください。アンソニー・ルイス『Have Yourself A Merry Little Christmas』。そしてジョナサン・マクレイノルズで『Mary, Did You Know』。

Anthony Lewis『Have Yourself A Merry Little Christmas』

Jonathan McReynolds『Mary, Did You Know』

この番組『メロウな夜』ではね、誰にでも楽しんでいただける、でも他のどんなラジオプログラムとも違う、そんな選曲を心がけているんですけどね。まあ決してね、奇をてらうわけではないんですが、いまお聞きいただきました2曲というのは本当にこの番組でしか聞けない2曲かもしれませんね。『Have Yourself A Merry Little Christmas』、アンソニー・ルイスバージョン。そして『Mary, Did You Know』、ジョナサン・マクレイノルズでした。

(中略)

さて、楽しい時間ほど早く過ぎてしまうもの。今週もそろそろお別れの時が迫ってまいりました。ということで、ザ・ナイトキャップ(寝酒ソング)。今夜はキース・スウェットの『It’s Christmas Again』を聞きながらのお別れです。これからおやすみになるあなた、どうかメロウな夢を見てくださいね。まだまだお仕事が続くという方、この番組が応援しているのはあなたです。次回は来月12月5日、月曜夜11時にお会いしましょう。リクエスト特集です。お相手は僕、松尾潔でした。それでは、おやすみなさい。

Keith Sweat『It’s Christmas Again』

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/40704

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