松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で大人気ラップグループ ミーゴスを紹介。大ヒット曲『Bad and Boujee』と松尾さんお気に入りのメロウ曲『Say Sum』について話していました。
さて、いまアメリカのヒットテレビシリーズの話をしましたけども、ヒットと言えば全米ナンバーワンヒットを先ほど獲得したミーゴスというラップグループはご存知でしょうか? 彼らはジョージア州アトランタを本拠地とするラップグループでありまして。数年前からね、ミーゴスの名前は耳にするようになりました。そして、彼らの音楽ももちろん、耳にするようになったんですが。ラップのフロウにね、非常に特徴があって。あとやっぱり、1分も聞いていれば、「ヤバいやつら」っていうのがすぐにわかっちゃうんですね。で、今回1位をとった『Bad and Boujee』っていう曲。これなんかももう……まあ、「Boujee」っていうのは「ブルジョワジー(Bourgeoisie)」の略称ですね。まあ、意訳すると「セレブ」ってことですね。『Bad and Boujee』っていうのは「ヤバいセレブ」って言えばいいんでしょうかね?
Migos『Bad and Boujee』
そういうわかりやすい曲ですし、曲の頭のところでね、「俺たちはすっごい金持ってるんだけど、それっていうのは金持ちの親とか家の金とかじゃなくて、全部自分たちがラップしてハッスルして稼いだ金なんだぜ!」ってことで、「オールドマネーじゃなくて、ニューマネーだ!」とかそういうことを言うんで、こういうところがウケたりもするんでしょう。
You know, young rich niggas
You know so we never really had no old money
We got a whole lotta new money though, hahhttps://t.co/QKEAvkmAnV— みやーんZZ (@miyearnzz) 2017年2月9日
まあ、『Bad and Boujee』をいま、BGMでお届けしていますが、あまりにもこの『メロウな夜』でお届けするには粗野な曲でございまして(笑)。ちょっと番組でご紹介する曲じゃないかな? と思いまして。僕がミーゴスを紹介するにあたって今日、ご用意した曲は昨年の5月にリリースされたシングルです。『Say Sum』という曲。本当に歌心あふれる曲なのでこれをご紹介したいと思います。では、聞いていただきましょう。ミーゴスで『Say Sum』。
Migos『Say Sum』
Sevyn Streeter『Before I Do』
ミーゴス、セヴン・ストリーターと2曲続けてご紹介しました。ミーゴスの『Say Sum』という曲、これ本当メロウでしょう? 僕、これの曲が始まって1分ぐらいのゾクゾクッとする感じ。本当に細かい話をすると、ミーゴスの音の作り方とかっていうのは、トラックの1個1個の音素材にかけている我々音楽を作っている人間の間で言うところの「EQ」って言われている音のエフェクトの処理とかがついつい分析したくなるぐらいの、そういう仕掛けが上手い人たちの、いまのところ僕がいちばんメロウじゃないかな? と思っているのが『Say Sum』という曲でございました。
続いてご紹介しましたセヴン・ストリーターなんですけども。セヴン・ストリーターは以前にもこの番組でご紹介しましたね。それこそ一昨年、2015年のメロウ・トップ20の13位でしたね。『Shoulda Been There』っていうB.o.Bっていうラッパーをフィーチャーした、それも僕にとってはメロウっていう認定をした曲なんですが。今回のセヴン・ストリーターの『Before I Do』はちょっと結構僕の中では必殺に近いぐらいのメロウ度合いですね。これはまあ、聞く人が聞くとわかると思います。アリーヤの『At Your Best』っていう曲をサンプリングしております。
で、この『At Your Best』という曲、もともとアリーヤ・バージョンのプロデューサーであるR.ケリーの第フェイバリットのアイズレー・ブラザーズがオリジナルでございまして。そういう意味じゃあ、アイズレー・ブラザーズのメロウグルーヴの孫にあたる1曲がこの『Before I Do』ですね。セヴン・ストリーター、1986年生まれ。もう30才になる女性です。今年、31才ですね。でも、自分のことを「ガール」って言っていますね。「でも」って言っちゃいけないのかもしれないけども。もうすぐ出るアルバムタイトルが『Girl Disrupted』っていう……「Disrupted」っていうのは「混乱した」とかっていう意味ですから、まあ意訳すると「悩める女の子」っていうことになるんでしょうか? 「お悩み中」ぐらいのニュアンスかもしれませんけども。
まあ、恋愛ですとか人生におけるままならぬことに直面しながらも、そこから逃げ出すわけでもなく、弱さを隠すわけでもなく、自分の思うところを歌にして、それが受け入れられているというそんな女性ですね。もともとね、リッチガールっていうガールズグループの一員だったんですけども、ソロになってからのキャリアも結構なものになってきました。ソングライターとして大変評価されている人で、いろんな人たちに曲を提供してもいるという才色兼備で語られる人なんですけども。この曲でも「I wanna go, to another level, with you」みたいな。「あなたともっとイケてるところに行きたいの」みたいなね。それが、恋愛におけるアナザーレベルというのと、「人生の新しい局面に行きたい」っていうところまで描けるのが彼女のキャリアでしょうね。セヴン・ストリーターの『Before I Do』。今年番組でオンエアーした曲。まだ2月に入ったばかりですけども、屈指のメロウナンバーと言えるんじゃないでしょうか。
<書き起こしおわり>