町山智浩 2015年 第87回アカデミー賞直前予想を語る

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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、2015年の第87回アカデミー賞を直前大予想。受賞が濃厚な作品や候補者を紹介していました。


(赤江珠緒)さあ、今日はですね、日本時間の来週月曜日に発表される本家アカデミー賞の大予想ということですから。去年町山さん、本当、筆頭部門以外すべて本命を当てたということでしたけれども。

(町山智浩)いや、もう何年もやっていますから。わかりますから。だからいままで、アカデミー賞とか予想をする人って他にもいたんですけれども。いい映画かどうか?とかで予想をするんですよ。そうじゃなくて、誰が投票するか?とか、過去にどういう人がとっているか?とかから予想するんで。自分が好きじゃなくても、これがとりそうだっていう話をしてるんですよね。

(赤江珠緒)なるほど!

(町山智浩)そう。だから競馬とかそういうのとあんまり変わらない予想の仕方をしてるんで。ちょっと他の人たちとは違うというところなんですよ。だからあの、もうほとんど外さないですよ。

(山里亮太)すごい自信。たしかに、そうですよね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)ただね、これもね、また面白くないんですよ。どうして外さないかっていう理由が。アカデミー賞っていうのは投票する人たちはハリウッドで働くアカデミー会員で。要するに、まあ俳優の人であるとか、撮影監督であるとか、現場で働いている人たちなんですよね。それぞれの人たちの組合の組合賞っていうのがあるんですよ。

(赤江珠緒)ほう。ええ、ええ。

(町山智浩)だからそれでだいたい予想がついちゃうんですよ。実は。

(山里亮太)ええーっ!?

(赤江珠緒)そうなんですか。

(町山智浩)そうなんです。特に俳優賞とか俳優関係については、俳優組合賞でとった人が、たいていとります。アカデミー賞でも。っていうのは俳優の人数がすごく多いんで、俳優組合の票がアカデミー賞に影響を与えることが多いんですよ。

(赤江珠緒)あと、俳優の人間関係みたいなので、ちょっと嫌われている人は・・・

(町山智浩)俳優の人間関係はでも、わからないですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうですか。

(町山智浩)これはわからない。だって、レオナルド・ディカプリオがぜんぜんノミネートされないんですよね。アカデミー賞に。いくらがんばっても。その、お尻にロウソク挿したりしてもダメなんですよ。

(山里亮太)(笑)

(赤江珠緒)そこはいいんですよ!その紹介、入れなくても。

(町山智浩)(笑)。なんでだろう?でも、すごく一生懸命彼、プロデューサーとして映画を作ってやってきているのに、ノミネートされることが少ないっていうのは、会った時は、『やあ、ディカプーちゃん!』とか言ってみんなやってるんだろうけど。仲良く。でも、陰で嫌われているのかな?とか思うわけですよね(笑)。

(山里亮太)そういう背景があるかもと。

(町山智浩)そう。だから、そういうのは本当にわからないですよね。だからディカプリオ自身は『なぜ、俺はノミネートされないのか?みんなあんなニコニコしてるけど、陰で俺の悪口を言ってるんだ!』っていう風に思っているでしょうね(笑)。

(赤江珠緒)うわー!

(山里亮太)ドロドロするんだな、そこらへんが。

(町山智浩)そう。だから、どんな賞よりもアカデミー賞がうれしいっていうのは、友達が俺のことを好きかどうかがわかる賞なんですよ。

(赤江珠緒)そうですよ。関係者が入れるっていうね。

(町山智浩)そう。ファンとかよりも重要ですよね。自分の、いまここに座っているあいつらが、実は俺のことを嫌っているんじゃないか?とかね(笑)。

(赤江・山里)うわー!

(町山智浩)そう。だからすごく怖い賞ですよね。アカデミー賞っていうのは。内輪の人気投票なんで。本当に業界の中だけでやりますからね。はい。ということでね、今年もそういう点でちょっといろいろ予測いきたいと思いますけども。

(赤江珠緒)はい。今年はどうなるでしょう?

(町山智浩)いちばんわかんないのは作品賞なんですよ。作品賞は全員が投票することができて。で、作品賞だけとったりすることがあるんですよ。他でぜんぜん賞をとらないのが。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)で、この間とったのが、『それでも夜は明ける』っていう映画だったんですが。アメリカでの奴隷として12年間虐待を受けた男の実話を描いた映画で。あれなんか、ほとんど他の賞をとらなくて、作品賞だけとったりしてるんですよ。

(赤江珠緒)ほー。作品賞っていうのは、どこを評価されているんですか?全体のバランス?

(町山智浩)作品賞はね、とにかく全員が投票するんです。投票者、全部で6千人かなんかいるのかな?それが全員が今年いちばん良かった映画っつって投票するんで。かなり予想がつかないんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)だから、監督賞をとれなくても作品賞とったりすることもあるんですよ。で、前にベン・アフレックが『アルゴ』でとった時は、ベン・アフレックは監督賞にノミネートすらされていなかったのに、作品賞をとっているんですよ。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)でも、監督として評価されてないのに作品だけとるって、すごく変なことなんですけど。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)そういうことも、よく起こるんですよ。で、これは予測しにくいんですが、今年は本命は『6才のボクが、大人になるまで。』だと思われています。

[関連リンク]町山智浩『6才のボクが、大人になるまで。』を語る

(町山智浩)で、対抗でギリギリでどうなるかわからないのが、ここでも紹介した『バードマン』なんですよ。

[関連リンク]町山智浩 マイケル・キートン主演映画『バードマン』を語る

(山里亮太)はいはいはい。

(町山智浩)で、バードマンはマイケル・キートンっていう60過ぎの俳優が、昔、『バットマン』の主役だった人ですけども。昔、バードマンというスーパーヒーローの役をやっていて、いまはショボいおやじになっちゃった人が、ブロードウェイの芝居で再起をかけるという話がバードマンなんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、これは映画としては俳優の話ですから、票が集まりやすいんです。

(赤江珠緒)ああ!なるほど、なるほどね。

(町山智浩)集まりやすいんです。ただ、6才のボクが、大人になるまで。っていう映画は、これ、インディペンデントで撮られていて、ハリウッドじゃないところで、テキサスで撮影されていて。すごく不利だったんですよ。で、この映画っていうのは6才の主人公の男の子が大学に入る18才になるまでの12年間を、12年間に渡って夏休みだけ撮り続けた映画なんですね。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)で、だからお金がいつ儲かるかわからなかったわけですよ。つまり、12年間まったく、資金回収の見込みがないまま撮影が続けられたんですよ。

(赤江珠緒)ねえ。この俳優の僕もぜんぜん出ているって周りに知られなかったっていうね。

(町山智浩)知られちゃうと、チヤホヤされたりして映画に影響が出るからってことでもって。映画に出ていることは秘密にされていたんですね。主人公の男の子は。

(赤江珠緒)ねえ。だから日本で言うなら、『北の国から』を全部撮って、最終的に撮ってから出すっていうことですよね?

(町山智浩)そうそうそう。で、これはハリウッドで絶対作れないですよ。だって、お金をいつ回収できるかどうか、わからない映画だから。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)これはテキサスの映画コミュニティーが作れたんですね。だから、お金はわからないけど、撮りましょうっていうことで。だから、通りにくいんですよ。ハリウッド関係してないから。あんまり。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)ところがこの映画のDVD販売権をパラマウントっていうハリウッドの大手映画会社が買いましたから!

(赤江珠緒)(笑)。ちょっと、そういう事情?

(町山智浩)(笑)。だから、DVDがアカデミー賞とれば売れるから。急に金、ボーン!とつぎ込んでいま、キャンペーンやってるんですよ。

(赤江・山里)はー!

(町山智浩)だからこれも目があるんですよ。アカデミー賞はキャンペーンが行われるんですよ。

(赤江珠緒)ええ、ええ。

(山里亮太)へー!とるために?

(町山智浩)パーティーやったり、試写やったり、いろいろあって、手紙が送られてきたりするんですね。『お願いします』みたいな。

(赤江珠緒)ちょっとロビー活動みたいなのが。

(町山智浩)そうそう。ロビー活動があるんですけど。それはやっぱりお金がないとできないんで。最初、6才のボクが…がノミネートされても、キャンペーンできないんじゃないか?と。インディペンデントで作っているからと言われたんですが、パラマウントが入りまして、DVDを売りますからって、勝負をかけてるんですよ。

(赤江・山里)はー!

(町山智浩)っていうんで、これは6才…かバードマンか、どっちかわからないです。

(赤江珠緒)なるほど。

(山里亮太)そういう角度から見るんですね。うん。

(町山智浩)そう(笑)。はっきり言って、ロビー活動ってかなりしっかりやると、それでかなり賞を動かせるんですよ。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)直接だって、票を持っている人にそんな働きかけちゃっていいんですね?

(町山智浩)だって、誰が票を持っているか?はわかるからですよ。6千人の会員で、名前全部わかって。住所もわかっているから、すごく簡単にロビー活動が行われるんですよ。

(赤江・山里)うわー!

(町山智浩)はい。そういうことはよくありますが。まあ、そんな感じですね。で、監督賞はこれはリチャード・リンクレイター一発だろうと思われます。リチャード・リンクレイターっていう人は、6才のボクが、大人になるまで。を撮った人なんですけど。とにかく、12年間地道に、できるかどうかもわからない映画を撮り続けたってことで、偉いで賞、苦労したで賞ですね。これは。

(赤江珠緒)そうですね。執念感じますね。たしかに。

(町山智浩)これ、普通できないですよ。こんな大変なことはっていうことで、賞をとれるんではないかな?と思われます。まあ、ご苦労さん賞だと思いますけれども。で、主演男優賞はさっき言ったバードマンのマイケル・キートンだろうなと。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)とにかく、情けない男なんだけど、昔スーパーヒーローだったっていう。まあ、男は若い頃はみんな自分がスーパーヒーローだと思っている人が多いですからね。ところがもう、娘に『あんたはダメなのよ。お父さんとしてもダメだし、役者としてもダメよ』とか言われて、どよーんと落ち込んで、パンツ一丁で町を駆けたりとかですね、もう、散々なことをしていますんで。このバードマンの中では。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)これも、まあ俳優として、いろんな苦しみがありますよね。投票する人たちの。そこの鋭いところを突くんじゃないか?と。

(赤江珠緒)そうですね。俳優さんなら、なおさら感情移入しちゃうでしょうね。

(町山智浩)そうなんですよ。まあ、この映画の中でいちばん嫌なシーンは、ホームレスの人がウワーッ!とか言って酔っ払って暴れているんですよ。で、それを見たマイケル・キートンがなにを言ってるのかな?と思って聞いてみたら、シェイクスピアの芝居のセリフなんですよ。

(山里亮太)はあ。はっ・・・

(町山智浩)ホームレスの人がシェイクスピアのセリフを言ってるってことは・・・?

(山里亮太)元、そういう役者さん?

(町山智浩)元。そう。売れなくなった俳優なんですよ。それでドーン!って落ち込むシーンとかあって。こういうのは、アカデミー会員たちはみんな、ドーン!と来るだろうと思います。はい。

(赤江珠緒)身につまされる!っていう方もね。

(町山智浩)身につまされると。で、それに対向するのがですね、『博士と彼女のセオリー』っていう映画で。ホーキング博士を演じたエディ・レッドメインさんですね。はい。

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(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、彼はとにかくすごいのは、ホーキングが若くて、もうハリー・ポッターみたいに若々しくてかわい子ちゃんだった頃から、いまの状態になるまでを1人で演じてますから。で、彼自身は、レッドメインさんは30ぐらいで若いんですけども。10代ぐらい、ハタチぐらいから現在の50ぐらいまでをいきなり、1人で演じていくというね。現在じゃないや。ちょっと前の、50ぐらいまでを。はい。それはすごいですよ。それでどんどん体が変形していくのも、自分でやっていってですね。本人もすっごい辛かったと言ってますけれども。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)これはまあ、アカデミー賞では非常にその、あれなんですけども。身体に障害のある人を演じると、アカデミー賞をとる可能性が高いんですよ。過去の例から見ると。

(赤江珠緒)なるほど。

(山里亮太)あっ、なんか前回も教えてくれましたね。結構辛い状況になっている役を演じる人に票が集まりやすいと。

(町山智浩)そう。いままでとっているのがすごく多いんですよ。だからそういう点からすると、レッドメインくんがいままでのジンクス通りだと、とる可能性があるんですね。

(赤江珠緒)ねえ。しかも、実話だし。難しい役ですもんね。

(町山智浩)それでみんな、ホーキング博士知っているから。うわー、似てる!みたいな。知ってる人、有名な人を演じると賞をとりやすいんです。これ、そっくりさん賞ですね。ものまね賞。だからこの人も、すごくとる可能性が高いです。だから、この2つで争っていますね。

(赤江珠緒)主演男優賞。

(町山智浩)主演男優賞は。で、次、主演女優賞は、これは前も紹介した『アリスのままで』で、若年性アルツハイマーになる50才の女性を演じたジュリアン・ムーアさん。

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(赤江珠緒)そうですね。こちらも難病でね。

(町山智浩)これ、難病も強いんですよ。アカデミー賞は(笑)。これがね、はい。でも、これはまあ、もう鉄板だろうと思われますね。本当に、もう大学教授で、それも言語学を教えていた人がどんどん言葉をアルツハイマーで失っていくという、すごい切ない話をですね、最後本当にボロボロになるまで演じていますんで。この人、いままでずっととれなかったんで・・・っていう意味もあって、まあジュリアン・ムーアかなと。

(赤江珠緒)あー。固いんではないかと。

(町山智浩)固いんではないかと。でも、大逆転があるとしたら、『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイクさんですね。

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(赤江珠緒)ほう。

(町山智浩)はい。もう、あれはとんでもない演技なので(笑)。ゴーン・ガール見た人だったらわかると思いますけど。

(山里亮太)ロザムンド・パイクって、どの役の人でしたっけ?

(町山智浩)ゴーン・ガールでいなくなっちゃう奥さんですよ。

(山里亮太)あ、あの人。すごかったですね、あれ。

(町山智浩)はっちゃけてましたけどね。後半ね。

(山里亮太)とんでもない。ビン使って、とんでもないことやるんだから。

(町山智浩)そう、もうヌードはやるし・・・あっ、いろいろ言ってますけど(笑)。ちょっとまあ、いろいろありましたね(笑)。はい。大変なことをしてますんで。まあ、彼女が対抗で来るかな?というところで。で、次。助演男優賞ですが。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)助演男優賞は、前に『ウィップラッシュ』っていう原題で紹介した、ジャズのドラマーの修行映画で、日本語タイトル『セッション』に決定したそうですけども。それで鬼コーチ。もうどうしようもない鬼指揮者を演じるJ・K・シモンズさんがまあ、助演男優賞だろうなと。

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(赤江珠緒)ねえ。ドラマーの話なのに、格闘技みたいだったっていう映画ですよね。

(町山智浩)もうほとんど、だから戦争映画みたいな感じでもありますね。特に、やっぱり『フルメタル・ジャケット』っていうベトナム戦争に行った若者がですね、訓練期間に教官にものすごい精神的拷問を受けるっていう映画があって。それによく似た映画ですね。このセッションっていう映画は。

(赤江珠緒)セッション。

(町山智浩)もうとにかく、ドラムを叩いていると、『お前はクズ野郎だ!』ってずっと言い続けるわけですよ。で、言うだけじゃなくて、ビンタしますから。バンバンバンバーン!って。『ぜんぜんリズムが出来てねー!』みたいな。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)すっごいんですよ。それで、ムチを使ったかと思うと、急に『君は素晴らしいね・・・』ってやったりするんですよ。

(山里亮太)アメ。

(赤江珠緒)うわー!

(町山智浩)アメとムチだから、おかしくなっちゃうわけですよ。やられている方は。で、相手の精神を徹底的に破壊してくるですね、ジャズのオーケストラの指揮者の役。J・K・シモンズさん。これはすごいですね。これは恐怖の、地獄から来た殿山泰司みたいな感じなんですね。はい。

(赤江珠緒)(笑)。ん?

(町山智浩)(笑)。という感じでですね、これはまあ助演男優賞決定だろうと。で、助演女優賞はですね、6才のボクが、大人になるまで。のお母さん役のパトリシア・アークエットさんですね。

(赤江珠緒)へー。やっぱり6才のボク…いろいろとりそうですね。

(町山智浩)で、この人、12年間お母さんを演じてきたんですけど。この人、この映画の12年前はまだセクシー女優だった頃を引きずってるんですよ。映画の始まりは。男の子6才の段階では。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)それが12年間、どんどんどんどん普通のお母さんになっていくっていうね。演技かどうか?っていうか、体型的な問題なんですけど。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)ただ、逆にハリウッドの女優さんたちってぜんぜん変わらないですから。年とっても。普通。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)だからもう、すごくリアルに変わっていくっていうところがね、役作りかどうかはわかりませんが(笑)。

(赤江珠緒)自然体に役作り。

(町山智浩)ねえ。他の人たち、ぜんぜん変わんないですよ。50過ぎても。ねえ。でも、この人はリアルに変わっていくところでね。あと、やっぱり最後の方でまあ、息子が大学行く時にですね、『えっ?もう?』みたいなところですっごく泣かせるシーンがあるんですよ。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)これはまあ、映画をご覧になったらわかるんですけれども。子どもとか本当、あっという間に家を出ちゃいますからね。そのへんの悲しみをしっかり演じてるんで、このパトリシア・アークエットさんが助演女優賞間違いないだろうと言われています。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、あと細かい賞になってくるんですけども。時間がないんでポンポンポンって言っちゃいますと、オリジナル脚本賞はね、『グランド・ブタペスト・ホテル』っていうここでも紹介しましたが。の、ウェス・アンダーソン監督が脚本賞をとるだろうと思われます。

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(赤江珠緒)あの左右対称のキレイな映画ね。はい。

(町山智浩)そう。っていうのはね、脚本賞っていうのはハリウッドでいままで認められなかった非常に斬新な天才系の映画作家。特に監督に対して与えられることが多いんですよ。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)つまり、アカデミー賞っていうのははっきり言って投票する人はみんな、じいさんばっかりなんですよ。

(赤江珠緒)ふんふんふん。

(町山智浩)投票者の平均年齢が60才を超えてるんですよ。だからなかなか若い人たち、若い才能を見つけにくいんですよ。アカデミー賞っていうのは。ただ、脚本賞だけは、若い人にあげようよっていう不文律みたいなのがあるんですよ。

(赤江珠緒)なるほど。

(町山智浩)だから40前後の新星に、『あなたは作品賞とか監督賞はまだあげられないけども、ハリウッドはウェルカムだから』っていうことであげる賞なんですね。だからいままでもクエンティン・タランティーノとかですね、そういう人たちがとっているんですが。それでウェス・アンダーソンはここで脚本賞をとるだろうと言われているんです。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)これは変なアカデミーの慣習みたいなもんですね。で、撮影賞はバードマンのエマニュエル・ルベツキで。この人、2年連続で、去年『ゼロ・グラビティ』でとって、今年もとると思います。はい。

(山里亮太)ほー!

(町山智浩)で、とにかくバードマンっていうのは1週間ぐらいの出来事をワンショットで撮っているというですね(笑)。ノーカットで1週間を撮るっていうとんでもない撮影をしてますので。これは曲芸みたいなものなんで、それで賞をとるだろうと思いますね。はい。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、あとね、わかんないのはSFXですね。視覚効果賞。『インターステラー』がとったらすごいと言われてるんですよ。

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(町山智浩)インターステラーってまったく新しくないんですよ。撮影技術が。宇宙船とか全部、ミニチュアとか実物大のもので作っていて、コンピューターグラフィックスとかほとんど使ってないんですよ。だから、30年前、40年前の技術で撮っているのに、これで特撮賞をインターステラーがとったら、これはすごいなと。

(赤江珠緒)あ、かえってね。なるほど。

(町山智浩)そう。もう現代のコンピューターグラフィックスに対するアンチテーゼで。これ、とったら素晴らしいな!と思いますね。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)で、そんな感じであるんですけど、ちょっと一言、注意してアカデミー賞の授与式を見てほしいのは、日本人の人は、日本の人は、長編アニメ映画賞に日本の高畑勲監督の『かぐや姫の物語』が入ってるんで。ノミネーションで。これ、ご覧になってないですか?

(赤江珠緒)いや、予告とか映像だけね。ちょっと見ましたけど。

(町山智浩)これは技術的にすごいんでノミネートされてるんで。これがとるかどうか?ってことで見ていただきたい。ただ、強敵が『ベイマックス』があるんで。ちょっと難しいんですが。

(赤江珠緒)あー!ベイマックス。うん。

(町山智浩)ただ、短編アニメの方は日本の監督がとる可能性がすごく強いです。とるかもしれません。『ダム・キーパー』という作品がありまして。これ、素晴らしいんですけども。これ、堤大介さんっていう、ウチの近所にいる監督が撮りました。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)これがノミネートされています。ダム・キーパーっていう。これはかわいいブタちゃんの話なんですけども。ダムを守っているブタちゃんの話で。これが、コンピューターグラフィックスと手書きの、手塗りの筆書きのアニメを合成した、手書きのようでいて立体的であるというすごい技術を使っています。すごくあったかいんです。

(赤江珠緒)ほんわかしてね。毛糸みたいな絵ですもんね。

(町山智浩)そう。ピクサーとかの、『モンスター・ユニバーシティ』とかの光の感じ、暖かい太陽の光とか、この堤監督がやったものなんですよ。で、今回独立して作った、インディペンデントで作ったのがダム・キーパーで。これがとるかもしれないんですが。ただ、強敵がディズニーの『愛犬とごちそう』なんですよ。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)これはベイマックスの頭にくっついていたアニメーションなんですけども。これもコンピューターグラフィックスのようでいて、平面的であるっていう。いままでのディズニー・アニメのようでいて、コンピューターグラフィックスの立体感があるという、すごい技術なんで。この戦いなんですね。はい。ただまあ、日本の人はぜひ、ダム・キーパーを応援してもらいたいと思います。ウチの近所の人です。はい。

(赤江珠緒)へー!ああ、そうですか。

(町山智浩)歩いて5分くらいのところに住んでいます。はい。ということで、まあちょっと駆け足でしたが、アカデミー賞の予想でした。はい。

(赤江珠緒)今日はね、情報盛りだくさんということになりましたけどね。さあ、どうなりますか。今日は第87回アカデミー賞の直前大予想をうがかいました。

<書き起こしおわり>
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