町山智浩が語る『グランド・ブダペスト・ホテル』の元ネタとテーマ

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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』で、ウェス・アンダーソン監督の映画『グランド・ブダペスト・ホテル』を解説。その元ネタとなった作家シュテファン・ツヴァイクの生涯について語りました。

グランド・ブダペスト・ホテル (字幕版)

(町山智浩)今日の本題はですね、6月6日から日本で公開される映画で、『グランド・ブダペスト・ホテル』というタイトルのアメリカ映画です。アメリカ・ドイツ合作か。はい。これはね、ウェス・アンダーソンという監督の作品なんですけど。ウェス・アンダーソン監督って、名前ご存知ですか?

(山里亮太)私、はじめましてです。

(赤江珠緒)『ダージリン急行』は見ました。

(町山智浩)あー。どうでした?

(赤江珠緒)なんかね、絵本みたいな感じで。すごく画がきれいでしたね。

(町山智浩)そうそうそう。色がきれいで、画がきれいで。しかも、真横とか真正面からのカットばっかりなんですよね。

(赤江珠緒)あー、あ、そうですね。上から撮ったりとか。面白い角度の画、ありましたね。

(町山智浩)カメラが大抵、固定なんですよ。だからいわゆるテレビドラマとかでカメラ、動くじゃないですか。やたらと。そういうのと違って、なんかもう、絵みたいなんですよ。それぞれのカットがね。

(赤江珠緒)そうそう。本当に絵みたい。うん。

ウェス・アンダーソンの美学

(町山智浩)そうなんですよ。本当に独特のこの人の世界。ウェス・アンダーソン監督の美学っていうのがあるんですけども。この人、結構若くてね。45才ですけど。『天才マックスの世界』っていう映画でデビューしてですね。『ライフ・アクアティック』とかですね、『ファンタスティック Mr.FOX』とか、『ムーンライズ・キングダム』っていう。もうどれもこれも色がきれいで、画がきれいで。絵本というかね、お菓子細工みたいな。

(赤江珠緒)あ、そうですね。わかるわかる。本当に色合いも繊細な、いろんな色がね。

(町山智浩)そう。ピンクとか黄色とか。ものすごく色を選んでて。そちらに今回のグランド・ブタペスト・ホテルの写真があると思うんですけど。

(山里亮太)たしかにきれいね!

(町山智浩)ピンクのホテル。

(赤江珠緒)本当ですね。砂糖菓子のような。

(町山智浩)そうそうそう。時々、洋菓子屋さんにケーキでできたお城とか飾ってあったりするじゃないですか。あれが全編そういう世界なんですよ。この人の映画は。でね、すごく中身もね、コメディーなんだけども爆笑っていう感じじゃなくて。なんかほのぼのした感じなんですけどね。で、その人の新作がグランド・ブタペスト・ホテルで。アメリカで大ヒットしたんですね。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)でね、これ主役はね、レイフ・ファインズっていうね、イギリスの名優で。アカデミー賞もとっている人ですけど。『イングリッシュ・ペイシェント』とかですね、そういった映画で。まあ、なんていうかイギリスっぽい感じの人ですよ。

(赤江珠緒)そうですよね。なんかアメリカ映画っぽくない感じがしますね。

(町山智浩)そう。洒脱な、おしゃれな感じの人ですよ。で、その人がこのグランド・ブタペスト・ホテルのコンシェルジェなんですね。で、このホテルは高級ホテルで。世界中のお客さんが集まってくるんですけど。そのホテルそのものじゃなくて、レイフ・ファインズが演じるですね、このコンシェルジェ目当てで来るんですね。

(赤江・山里)ふーん。

(町山智浩)世界中から。お客さんが。これね、舞台は1930年代で。このホテルがあるのは、ヨーロッパの架空の国でですね、ズブロッカ共和国というところにですね、ある架空のホテルに、架空の世界一のコンシェルジェ、グスタフっていう男がいるんですね。で、ヨーロッパ中のお金持ちが来るんですけど、なんで来るか?っていうと、このグスタフさんは集まってくるマダムの夜のおもてなしが得意なんですよ。

(山里亮太)あれ?かわいい感じの話じゃないんですね。

(町山智浩)かわいい感じの話じゃなくて(笑)。80才とか。あのね、すごいお金持ちのマダムが来てですね。ティルダ・スウィントンっていうまだ40代ぐらいの女優さんがですね、84才の大富豪の未亡人を演じてるんですけども。が、来てですね、どうもエッチをしてるらしいってことを聞いてびっくりして、ベルボーイの男の子がいてですね、アジア系の。でもって、『あの人となんかしてるんですか?コンシェルジェは?』って聞くと、コンシェルジェは『いや、彼女は実はああ見えてベッドでは最高なんだよ』って言うんですよ。

(赤江・山里)ふん。

(町山智浩)で、びっくりして『マダム、84才ですよ!』って言うと、そのコンシェルジェがですね、『いや、俺もっと年上ともしたことがあるから』って言うんですけど(笑)。そういう万能な、やたらとストライクゾーンの広い男がレイフ・ファインズなんですね。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)ものすごく広いんですよ、もう。どこでも投げちゃう人なんですけど。で、そうやっていたら突然そのマダムDっていう大富豪が突然謎の死をとげるんですね。で、遺書には『私の素晴らしい財産はグスタフというコンシェルジェに譲る』って書いてあるんで。で、そのマダムDの息子がですね、『これは陰謀だ!彼が遺産目当てで私のお母さんを殺したんだ!』って言って。それで警察にレイフ・ファインズが追われるっていう、ドタバタコメディーなんですね。

(赤江珠緒)うんうんうん。

(町山智浩)で、そのヨーロッパの美しいアルプスの風景をバックにですね、いろんなアクションとか展開するんですけど。すごく間抜けなアクションなんですけど。どれもね。で、楽しいコメディーなんですよ。この色の中でですね。ピンクですからね。全編ね。

(赤江珠緒)そうですね。なんかエレベーターの中も真っ赤ですもんね。

(町山智浩)エレベーターの中、真っ赤だったりね。ケーキ屋さんが出てくるんですけど、美少女がやっているケーキ屋さん。そのケーキ屋さんの車とかケーキの箱とか、全部ピンクだったりね。まあ本当、絵本を読んでいるようなね、感じなんですね。で、すごく楽しい映画なんですけど、これ見てて絶対見た人は、『ああ楽しいな、本当にかわいい映画で』ってみんな思うと思うんですけど。おもちゃ箱をひっくり返したような感じなんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうですね。

(町山智浩)それもヨーロッパのすごくおしゃれな、木工細工のおもちゃ箱みたいなね。アメリカンな感じとか日本的なおもちゃじゃなくて、ヨーロッパのお金持ちが遊んでいるようなおもちゃですよ。

(山里亮太)いいとこの子のおもちゃだ。

(町山智浩)そうそうそう。いいとこの子のね(笑)。で、遊んでいるような。津川雅彦がやってそうなおもちゃ屋みたいなね(笑)。感じなんですけど。

(赤江珠緒)北欧みたいな感じのね。

(町山智浩)そう。すごいリッチで楽しい感じになるわけですよ。で、最後にでも、ドーン!と終わるんですよ。突然。

(赤江・山里)えっ!?

(山里亮太)それはもう、モヤモヤっとする感じのですか?

(町山智浩)もう、ええっ!?っていう感じの終わり方をするんですよ。この楽しいお菓子みたいな映画が。『えっ、これで終わるの?』って思うと、最後に字幕が出てくるんですね。『この映画は、シュテファン・ツヴァイクの著作と生涯にインスパイアされた』っていう風に出てくるんですよ。

(赤江珠緒)シュテファン・ツヴァイク?

シュテファン・ツヴァイクの影響

(町山智浩)インスパイアっていうのは影響されたっていう意味で。シュテファン・ツヴァイクっていう作家の書いた本に影響されたのがこの映画であるっていう風に出てくるんですね。これね、なんだかわからない人がほとんどだと思います。日本の観客も、アメリカの観客もわからないんですよ。

(赤江珠緒)あ、そうですか。

(町山智浩)このツヴァイクっていう作家は、ほとんど忘れられた作家なんですよ。一時は世界一のベストセラー作家だったんですよ。1930年代には。それが、いまでは誰も覚えていないような作家になったんですね。で、このツヴァイクさんっていう人の話をね、ちょっとしようと思うんですけど。

(赤江・山里)はい。

(町山智浩)ツヴァイクの本でいまでも買えて、昔からずーっとロングセラーで続いている本っていうのは2冊あるんですけど。ひとつは『ジョセフ・フーシェ』っていう本ですね。岩波文庫からずっと出てるんですけど。僕、高校の頃に読まされて。もうひとつも高校の頃に読まされて、もうひとつの方は『マリー・アントワネット』っていう本なんですよ。

(赤江珠緒)マリー・アントワネット?はい。

(町山智浩)このツヴァイクさんっていう人はね、なんていうか伝記小説みたいなものを書いていて。その2冊はフランス革命におけるマリー・アントワネットと、フーシェっていうのはですね、秘密警察の署長なんですね。フランス革命時代の。で、そのフランス革命の頃ってコロコロと権力者が変わったわけですよ。で、権力者が変わると、その権力者についていた人は皆殺しにされちゃうわけですね。処刑されて。それなのに、この人は何回権力が変わってもずーっと生き続けて。しかも、その権力側について、反政府活動家を狩り立てて殺すっていう仕事をやっていた男なんですよ。フーシェっていうのは。

(赤江・山里)はい。

(町山智浩)すごいですよ。ねずみ男みたいなんですよ。体制が右から左にどんどん変わっても、常にそこで反政府者狩りをしてた男なんですよ。で、とんでもない人生なんですよね。裏切り、裏切り、裏切り、裏切りなんですよ。で、そのことを書いた本がジョセフ・フーシェっていう本。これはもう名作で。僕、読んだんですけど。もう一つのマリー・アントワネットの方は、池田理代子さんがベルサイユのばらを描く時に、このツヴァイクが書いたマリー・アントワネットを参考にしたと言われているんですね。

(赤江珠緒)じゃあもう、日本でもお馴染み、あのベルばらの・・・へー。

(町山智浩)だから、マリー・アントワネットはどういう人だったかっていうのはいろんな意見があるんですけど。とりあえずツヴァイクが書いたのは、その何も知らないお嬢様でもって、フランスに来ちゃったら旦那は女の人に興味がないし。で、ハンサムな外国の貴族に惚れちゃって。で、チャラチャラ遊んでたら、大変な民衆が苦しんでいてお金がなくて。で、処刑されちゃいましたっていう話っていうのを基本的に考えたのがツヴァイクさんなんですね。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)そのベルサイユのばらにおけるマリー・アントワネットの姿っていうものは。それで、結構日本ではその2冊はいまでも売れてるんですけど。それ以外のものはほとんど絶版、絶版になっちゃって。最近、やっと復刻が出たりしてるぐらいなんですよ。でも、この人は1930年代には世界で最も翻訳された作家で。世界最初の、物書きにおけるスーパースターと呼ばれた人なんですね。ツヴァイクっていう人は。

(赤江珠緒)そんなに?

(町山智浩)そう。でもね、ぜんぜん知られてないです。まあ、メロドラマっぽい話が多かったんですよ。女の人が主人公の話が多くて。たとえば、『変身の魅惑』っていうタイトルの話があって。これはオーストリアの・・・ツヴァイクっていう人はオーストリアの人だったんですけど。オーストリアの郵便局で働く、婚期を逃して30になろうとする地味な女の人がいて。それがたまたまスイスの高級ホテルに、おばさんに呼ばれて行くんですけども。そこでそれまでの人生を全部隠してですね、すごく貴族の、いいとこのお嬢さんのふりをして、すごくきれいなお化粧ときれいなヘアメイクをして、生まれ変わるんですよ。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)そうすると、みんな『どこのお嬢さんだろう?』ってことでもって、次々とお金持ちの美男子たちがやって来て、『デートしてくれ』っていう感じになって。っていう夢みたいな話なんですね。それは。それが変身の魅惑っていう話で。そういうの、ぜったいにいい感じでしょ?これ。

(赤江珠緒)いいですね。こういうのも、少女マンガの王道になりそうなお話ですよ。

(町山智浩)でしょう?そういう話とか、いろんなのを書いていてですね。オーストリアっていうのはその頃ですね、彼がいた頃はオーストリア・ハンガリー帝国っていうですね、2つの帝国が合体した帝国だったんですけども。そこはね、ウィーンっていう街が首都なんですけども。そこにヨーロッパ中の文化が集まっていた時の人なんですね。この人は。

(赤江・山里)うんうん。

(町山智浩)で、その頃のハンガリー帝国っていうのは、皇帝がですね、それまでずーっと差別してきたユダヤ系の人に対して、ちゃんとした人権とか選挙権っていうのを与えて。そのユダヤ差別を禁止するっていう政策をとっていたんで、ヨーロッパ中のユダヤ系の人が集まってきたんですよ。したら、非常に優秀な人たちが多いんで、すごい文化になっていくんですね。で、そのすごくリッチで。要するにその頃のウィーンって、シュトラウスの世界ですよ。みんながワルツを踊って、恋をして、いいものを食べて。

(赤江珠緒)華やかですね。

(町山智浩)そう。ソーセージ食べて、とか。そういう世界ですよ。

(山里亮太)ん?ソーセージ?

(町山智浩)そういう中で、すごく豪華絢爛たるメロドラマを書いていた人がツヴァイクっていう人なんですね。だからその頃、ウィーンに集まった人はたとえば精神分析医のフロイトとかいましたよね。あと、その頃小説を発表してないんですけど、カフカがいたり。あと、作曲家ではシュトラウスがいて、ブラームスがいて、ブルックナーがいて、マーラーがいて、シェーンベルクがいてっていうね。

(赤江珠緒)いろんな才能が集まって。

(町山智浩)そうなんですよ。ユダヤ系の人が結構多いわけですね。あと、哲学ではウィトゲンシュタインがいたりですね。そういう、ヨーロッパ中から迫害されてきたユダヤ人が一気に集まってきたんで、すごい文化になっていくわけですよ。で、その中で彼は生まれ育ったんですね。で、そういった文化を表現して、そういう小説を書いていてですね。で、彼自身は本に書いてるんですけど、『昨日の世界』っていう本を晩年に書いていて。それはオーストリア・ハンガリー帝国っていうのは10以上の民族がいる多民族国家だったんで、差別ができなくなるわけですね。

(赤江・山里)うん。

『昨日の世界』

昨日の世界〈1〉 (みすずライブラリー)
Posted with Amakuri
シュテファン ツヴァイク
みすず書房

(町山智浩)で、『私はそこで生まれ育ったから、私はユダヤ系でもなければ、オーストリア人でもなくて。ヨーロッパ人である。世界市民である』と。で、そのウィーンにおいて、差別がなくなって、国家とか民族がなくなって、全ての人が平和に暮らせるような世の中がやってくるんだってことを信じていたんですね。彼は。ところがその後、第一次世界大戦になってですね。バラバラになっていくんです。オーストリア帝国っていうのは。で、その後大不況になって。戦争で負けてですね。それから、その不況の中で将来が見えない若者たちがだんだん右傾化していくんですよ。

(赤江珠緒)うんうんうん。

(町山智浩)ところが、彼自身は第一次世界大戦が終わった時に・・・第一次世界大戦っていうのは世界最初の大量虐殺戦争だったんで、びっくりして。『これで国家っていうものが酷いことを起こすっていうことがわかったじゃないか。だから我々は、この第一次世界大戦という教訓を活かして戦争というものを克服するんだ。もう戦争の二度とない世界がくるだろう』っていうのを思っていたんですね。彼は。で、彼自身、世界的ベストセラー作家だったんで、世界中、どこに行っても。ムッソリーニまでも、彼が手紙を書いて政治犯を釈放したりしているぐらいの愛読者だったんですよ。ムッソリーニ。イタリアの。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)で、フランスのロマン・ロランとか、ソ連のゴーリキーとかですね。世界中の作家と仲良くしてですね。ネットワークを作っていたんですね。それが、このグランド・ブタペスト・ホテルの主人公の、世界中から愛されているコンシェルジェのモデルなんですよ。ツヴァイク自身が。

(赤江珠緒)この人がモデル。

(町山智浩)そう。奥さまから人気があったっていう点もモデルになってるんですけど。それと、要するに彼は世界中のコンシェルジェの裏ネットワークを持っているっていう設定になってるんですね。このグランド・ブタペスト・ホテルでは。それは彼自身が作ろうとしたインテリとか作家とか知識人たちの世界平和ネットワークみたいなものがモデルになっていて。で、グランド・ブタペスト・ホテルっていうホテル自体はオーストリアのウィーンそのものがモデルになっているんですね。で、そういうヨーロッパ文化の最高の地点にあったんだと。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)ところが、ナチがですね、ドイツで政権をとって。その後、オーストリアを併合しちゃうんですね。で、オーストリアの人たちもナチに自分たちで飲み込まれていくわけですよ。それまで、オーストリアはユダヤ系の人たちが政治的な中に入っていて。ちゃんと選挙権も持っていて、議員もいたんですけども。全ての権利を奪われたんです。ユダヤ人が。で、このツヴァイクっていう人は世界的なベストセラー作家だったにもかかわらず、出版物が全て禁書になって。ナチが。

(赤江・山里)はー。

(町山智浩)要するに、世界平和とか書いているわけですからね。で、禁書になっただけじゃなくて、焚書っていって、全部焼かれたんですよ。で、彼はとにかく驚いたのは、これだけ世界的名声を得て、人気を得て。それでもユダヤ系だっていうだけで叩き潰されるんだっていう・・・彼は甘かったんですね。で、結局国に帰れなくなって、ブラジルに亡命してですね、ブラジルで昨日の世界っていう本を書くんですね。それは、『私が信じた国とか民族とかがなくなって、戦争がなくなる世界を信じていたのは、もう昨日の世界なんだ』ということを書いて、自殺するんですよ。

(赤江珠緒)えー・・・

(山里亮太)絶望しちゃったんだ・・・

(町山智浩)っていうのがそのツヴァイクっていう作家の悲劇なんですけど。もうほとんど忘れられた作家なんですけど。ウェス・アンダーソンという監督は若いのにね、それを古本屋でたまたま見つけて。それからこのツヴァイクっていう作家にハマっていって、この人の話を作らなきゃ!っていうことで作ったと。この映画を。

(赤江珠緒)そうなんですか。なんかこう、かわいいかわいい感じの。

(山里亮太)おしゃれな感じの映画かな?って。

(町山智浩)そう。その裏にあるのは・・・だから日本も戦争が終わった後、憲法ができて。戦争をぜったいにしないよということで。もう僕が子どもの頃は、ぜったいに日本っていうのは永遠に戦争をしないんだと信じていたのに。もういま、ぜんぜんそういう雰囲気じゃないですからね。だから、ツヴァイクは信じていたけども、僕らも信じていたけども・・・でも、それも甘いかもしれないですよね・・・だって、戦争をしよう!憲法を変えよう!って言っている人がいるし。で、外国を憎んだり、よその国の人を憎んだりするっていうのをやめようって思ったはずなのに、もうコロッと変わっちゃいますからね。

(山里亮太)たしかに・・・

(町山智浩)で、ツヴァイクは自殺しましたけども。だからこれは怖いですよ。この人の話は、昔あったことじゃないですよ。いま、進行形ですよ。

(赤江珠緒)そうですよね。まさにね。

(町山智浩)という映画がね、グランド・ブタペスト・ホテルっていう。映画の中は、本当にかわいくて、楽しくて、お菓子みたいなんですけどね。その裏には、そういうツヴァイクっていう人のね、悲劇があったという話でした。

(赤江珠緒)じゃあ、この映画を見るには、このシュテファン・ツヴァイクさんっていう人のね、生涯っていうのを解説して頂いてよかったです。

(町山智浩)最近ね、少しみすず書房からね、『チェスの話』とかね、何冊か復刻されてますんで。まあ、読めると思います。はい。

(赤江珠緒)はい。わかりました。ありがとうございます。町山さん。

(町山智浩)はい、どうもでした。

<書き起こしおわり>

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