安住紳一郎 高校野球中継とプロ野球中継の決定的な違いを語る

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 753

安住紳一郎さんが2007年8月にTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』で話したトークの書き起こし。高校野球中継フリークの安住さんが、高校野球中継の魅力や、プロ野球中継との決定的な違いについて話していました。


(安住紳一郎)先週の水曜日、休みで。ずっと家にいて。で、あの、またちょっと高校野球、好きなもので。ずっと家にいて、また1日4試合見ちゃうというですね、贅沢な休日の過ごし方をしたんですけども。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)今年はね、ちょっと特待生問題とかあり、ねえ。最近の高校野球は私立のね、高校が強くて。その、ね。広告塔代わりにね、使っているというような評判もあって。ちょっとね、純粋に応援できないかな?みたいな気持ちになっている自分もいるんですけど。ねえ。他県からね、集めちゃってね。青森山田高校とかひどいなと思ったりするんですけども。やはり、ちょっとまあそういう、ちょっと斜に構えた見方をしながらも、やはりこう、3年間野球一筋にかけてる人たちのプレーっていうのは筋書きのないドラマ、感動してしまうというところはあるんですけども。

(中澤有美子)そうですよねー。

(安住紳一郎)抱き合いますからね。ホームインするとね。私達、職場でね、いい仕事をしても抱き合うってことはないですからね。

(中澤有美子)そうですね(笑)。残念ながら(笑)。

(安住紳一郎)もう、なんの迷いもなく、バッ!って抱きついたりするじゃないですか。やっぱりね。

(中澤有美子)心は通じあってるんですね。やっぱり。

(安住紳一郎)うん。やっぱりちょっと、大人の思惑で動かされているところもあるという高校野球ではありますが。やはりそういう、選手一人一人の表情を見ると、まあそうも言い切れない部分があるんじゃないですか?っていうね、感じになりますよね。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)悪く利用しようとしてるのは、大人だけだよ!というね。うん。自由だー!っていうことですよ(笑)。

(中澤有美子)はい(笑)。

(安住紳一郎)さて、でも私はやはりこの高校野球ファンという以上に、高校野球中継ファンということをずいぶん前から申し上げていたと思うんですけども。小学生の自分から、北海道の山奥の家で高校野球を見ながら、自らスコアブックをつけていたぐらいな。ええ。

(中澤有美子)おっしゃってましたね。はい(笑)。

(安住紳一郎)相当な高校野球中継ファンなんですよ。

(中澤有美子)中継ファン(笑)。

(安住紳一郎)これも繰り返しになりますけれども、NHKの三大サンクチュアリ中継と言われております、NHKの持っている高校野球中継、国会中継、大相撲中継。これは、こう新しいものを良しとしない。前近代的な、工夫とかを良しとしない世界じゃないですか。アンタッチャブルなね。古き良きテレビ中継のスタイルが残っているという。そういうところにこう、テレビマン、放送マンとしてもグッと心をひかれるものがあるんですけども。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)昨日、寝てないものでちょっと弁舌がさわやかでございますが。申し訳ございません。

(中澤有美子)そうですね(笑)。ちょっと、ハイピッチで。ええ。

プロ野球中継と高校野球中継で決定的に違うところ

(安住紳一郎)それで、昨年も申し上げましたけれども、プロ野球中継と高校野球中継で決定的に違うところはなにか?という質問をしたと思うんですが、中澤さん、覚えてらっしゃいますか?

(中澤有美子)ええと、ええと、なんでしたっけ?(笑)。

(安住紳一郎)毎年言わんとダメなのかい!?

(中澤有美子)すいません(笑)。

(安住紳一郎)ラジオをお聞きのみなさんも、去年言いましたよ。プロ野球中継と高校野球中継。テレビの中継で決定的に違うところがひとつあります。それは一体なんでしょうか?

(中澤有美子)悪く言わない。

(安住紳一郎)悪く言わない。たしかにそうなんです。解説者、アナウンサーは選手自身を責めたりしません。非常に微妙な言い回しで、『はい。ちょっとボールが甘かったような気もしますけども、これは打ったバッターを褒めるべきでしょう』という風にね、上手くフォロー、転換しますけれども。まあ、そういう傾向がある中継スタイルの中で、見ていて決定的にひとつ違うのはですね、高校野球中継は、エラーをした選手のプレーのリプレイ、スロープレーを出さないというね。

(中澤有美子)あ、そっかそっか。はい。

(安住紳一郎)ということなんですよね。『いまのスクイズ失敗のシーンをもう一度、見てみましょう』とかいうことはないんですよ。

(中澤有美子)絶対ないんですね。そうです。

(安住紳一郎)ということで、私達は見逃してはなるまい!ということで釘付けになってしまうという、そういう側面もあるんですけども。まあこれはね、そろそろモザイクとかをかけてね。選手の顔にモザイクをかけて、『それでは6回の表。ある野手のエラーをご覧ください』とかいう風にするべきだ!って俺は言ってるんだけども(笑)。

(中澤有美子)(笑)。

(安住紳一郎)まあ、それは無理としましてもですね、そんな高校野球中継ファン。フリークの私としてですね、今回ちょっと気になっていることがひとつあるんですが。5年ぐらい前から気になり始めたんですが。もし、ラジオをお聞きのみなさんでテレビを見ていて共感するという方がいらっしゃるかもしれませんが。ちょっと最近の選手それぞれの、ガッツポーズが派手なんですね。

(中澤有美子)ああ、そうですか。

(安住紳一郎)これは5年くらい前から私、危惧していたんですけども。

(中澤有美子)危惧することでしょうかね?(笑)。

(安住紳一郎)ちょっとね、派手になってきたというか、なんかこう、劇的なプレーの後に自然に出てくるガッツポーズはいいんですけども。ちょっとね、テレビ中継をされているっていうのを意識しすぎたガッツポーズが多くなってきているんですよ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)これはね、ちょっと由々しき問題だなと思いまして。

(中澤有美子)パフォーマンスが入っていると?

(安住紳一郎)パフォーマンスがちょっと入ってきてるのがね、ちょっと残念だなと思うんですけども。あの、まあ非常に固いと評判の高野連ですからね、このへんはちょっとあの、ね。特待生問題と並びに、ガッツポーズ問題にもしっかり取り組んでほしいなという風に思っているんですが。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)守備中のタイムは3回までって決まってますからね。ガッツポーズも1試合3回までとか、そういう風に決めてもらってもいいんじゃないかな?って思うぐらいなんですが。うーん。

(中澤有美子)(笑)。いいと思いますけど・・・

(安住紳一郎)ああ、そうですか。まあ、ひとつのあくまで例なんですけども。水曜日ですとですね、東東京の帝京高校。ベスト8に残って、今日試合、これからありますけれども。がんばってほしいんですけども。帝京対、鹿児島の神村学園の試合があったんですよ。帝京のね、ワンサイドゲームになってしまったんですが。

(中澤有美子)そうでした。

(安住紳一郎)ええ。神村学園がね、1回の裏にね、いきなり2ランホームランを4番バッターがね、キャッチャーだったんですけど、打つんですよ。それはね、帝京のピッチャーの見事な145キロぐらいのストレートをですね、1、2の3ではかったような感じでですね、元日ハム、いま巨人の小笠原のようなフルスイングでバーン!って振りぬくわけですよ。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)で、レフトスタンドにまっすぐ飛んで行くわけ。で、優勝候補の帝京のピッチャーから1回裏に初っ端をくじくね、ホームラン。すごい!興奮してるの。見てる方もね。で、神村学園が若干不利じゃないか?って言われていたものですから、むしろこう、神村学園にグッと心がひかれるわけ。なかなかいい選手だ!と思ったんですけども。その4番バッターの子がね、ガッツポーズを2回するんだけれども。1回目はセカンドベース上で、まずひとつめのガッツポーズね。ひとつめのガッツポーズ。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)最近お決まりのグーじゃなくて、1番のね。数字の1。右手の人差し指だけをまっすぐ伸ばして、セカンドのベース上で『1』ってやるのね。で、まあその1もね、若干年代の違う俺としては不満があるんだけれども。

(中澤有美子)そうですね(笑)。

(安住紳一郎)『なんだよ、『1』って?誰が流行らせたんだよ?』っていう感じもあるんだけれども、ここ5年くらいは1なんだよね。で、1番!っていう風にやった後に、手を胸元の方にグッと引き寄せるわけ。セカンドキャンバスを踏みながらね。ちょうどあの、『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』のミリオンスロットの要領でこう、グッと引くわけ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)で、こうなんか、計算されている感じがあるのね。

(中澤有美子)なるほどね。ちょっと慣れている感じ?

(安住紳一郎)ちょっと慣れている感じがあったんだ。こう、1番ってやって回るんだったらいいんだけど、1番の後に、ミリオーンスロット!ってやったんだよ。

(中澤有美子)ググっと(笑)。

(安住紳一郎)それがね、ちょっとね、嫌な予感がしたの。そしたらね、やっぱりね、今度わかっているのかわかってないのかわからないんだけども、ホームランを打った時の中継の定番のスタイルっていうと、ちょうどバッターランナーが2塁のキャンバスを回ってきたところで、今度はカメラが切り替わって、マウンド上で打ちひしがれる投手の表情ね。これを一瞬パーン!って映像で抜くわけ。で、その後さらに2塁キャンバスからサードの方を回ってきて、それでホームに向かうというね。3塁コーチャーとにわかにね、言葉を交わして回ってくるあたり。ここがね、非常にその、スポーツマンとしては、いちばんいいシーンなわけですよね。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)なぜならば、打ったバッターがはじめてこちら正面に顔を見せる瞬間だから。

(中澤有美子)ああ、そっかそっかそっかー。

(安住紳一郎)そういう非常に大事なシーンなわけ。で、こういちばん、3塁側のベンチの横からカメラが抜いているわけですよ。ええ。で、いちばんいいシーンなわけ。でね、その選手はなんとびっくりしたんだよ。カメラ目線で、サミー・ソーサのガッツポーズをやったの!

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)左の心臓を1、2って叩いて、ビュッて出したの。

(中澤有美子)ええーっ!?

(安住紳一郎)モーニング娘。かサミー・ソーサか?みたいな感じになったわけですよ。それをさ、カメラ目線だったの。ヤクルトの外国人選手だったらわかるけれども、それはどうなんだ?って思ったの。

(中澤有美子)わかってるんだ、カメラの位置も。

(安住紳一郎)カメラの位置、わかっている。まあ、ちょっとまあね、意地悪な言い方かもしれない。もしかすると、3塁側のチームメイト、あるいは3塁コーチャーにやったのかもしれないけれど。でも、あれはね、たぶんカメラの位置をわかっていたんじゃないかな?と思うんだよね。うーん・・・

(中澤有美子)おー。余裕ありましたね。

(安住紳一郎)うん。余裕あったね。まあ、1回の裏。はじめての打席っていうのもあったのかもしれないけどね。サミー・ソーサのポーズだからね。

(中澤有美子)しかもね。ええ(笑)。

(安住紳一郎)俺たちはアジア人だぜ?っていう話だから。

(中澤有美子)欧米か!?と(笑)。

(安住紳一郎)本当にね。それでね、ちょっと神村学園びいきだった俺が、ザーッとね、引き潮のように波が引いちゃったの。

(中澤有美子)早かったですね(笑)。

(安住紳一郎)うん。『負けろ!神村学園』なんて思ってたの。うん。そしたら案の定ね、俺の呪いが通じたかのように、帝京のワンサイドゲーム。神村学園ボロ負け。鹿児島ね。残念だったけども、ちょっとホッとした。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)うーん。まあ、高校野球で選手個人にね、別に問題はないと思うんですけども。まあ、見ている方の勝手な心の流れなんですけどもね。

(中澤有美子)そうでしたか(笑)、

(安住紳一郎)やっぱり、町の印象の最後の輪郭っていうのは人で決まるじゃない?だからやっぱりね、こう、ちょっとね。おかしな意見かもしれませんけども、一応鹿児島を代表してるってことを忘れないでほしいなっていうね。うーん、感じはありますね。とてもいい選手ですから、これからもたぶんね、プロ野球にも入ってくるかもしれませんけどれ。私は、忘れないよ!

(中澤有美子)(笑)。やりすぎな、ガッツポーズを忘れない。そうですかー。

(安住紳一郎)ちょっとね、うん。どうかな?って思いましたけどね。うん。なんかやっぱり弓道の試合とか合気道の試合とかでやっぱりガッツポーズが派手だとやっぱりね、日本人としてはやっぱり馴染みにくいところがあるじゃないですか。

(中澤有美子)たしかにそうですね。こう、抑えた美というか・・・

(安住紳一郎)でしょう?で、こう試合開始の時とか、礼儀で礼とかさ。グラウンドを去る時にはさ、『グラウンドに礼!』みたいなことをやってさ、ちょっと日本人の美徳みたいなのを出しておきつつ、そういうところで裏腹なことをされると、見てる方としては戸惑う!

(中澤有美子)そうか(笑)。貫いてほしいわけですね。

(安住紳一郎)貫いてほしいですよね。あと、タイムの要求ね。左手の手のひらにこう、右手を直角にさして、アルファベットのTの字をね、文字って。審判に『T』って出すんだけれども。自分の都合でね、試合を止めようとするんだから、偉そうにこう、『T!T!T!』ってやる人、いるんですよ。『タイム!タイム!タイム!』って。喫茶店でウェイター呼んでるんじゃないんだからさ。こうさ、ちゃんと止めて。『タイムお願いします!』って言うべきだと思うんだよ。俺はね。

(中澤有美子)なるほど(笑)。そうか、そうか。

(安住紳一郎)と、思うの。うん。

(中澤有美子)小刻みにイライラッと、『T!T!T!』ってやっちゃダメ?

(安住紳一郎)ダメ。こうやるとさ、『はいはいはい』みたいな。返事を何回もしてるみたいな生半可な印象を与えるじゃない?あれはこう、止めてほしいよね。『T!タイムお願いします!』って言ったほうがいいんじゃないかな?と思うんですけどね。

(中澤有美子)あくまでも謙虚な姿勢でね。

(安住紳一郎)そうですよね。まあ、高校野球は主役は高校生ですから。別に見ている方がね、道徳観とか爽やかさを求めるのは間違いかと思いますけども。でも、もう高校野球はやっぱりね、さらに後輩のみなさんとか、あるいは大人のみなさんが、なにかこう、一生懸命やっている高校生の姿を見て、律する感じのところがあるプログラムなわけですから。

(中澤有美子)あ、そうですね。原点に帰ろうというかね。

(安住紳一郎)選手宣誓とかでも言ってるでしょう?なんか。『我々の元気あるプレーで!』みたいな。なんか、うん。

(中澤有美子)そうですよね。

(安住紳一郎)で、宣誓しているわけだから。やっぱり約束は守ってもらわなくちゃ困るよ!っていうことだよね。

(中澤有美子)でも・・・(笑)。そ、そうか、そうか。

(安住紳一郎)まあ、間違った意見だとはわかっているけれども、高校野球は全国民が見る道徳番組だと思っているわけよ。

(中澤有美子)ああ、そうか(笑)。

(安住紳一郎)NHKも3チャンネルで中継するでしょ?教育テレビなんだよ、あれは。

(中澤有美子)そうだったんですね(笑)。ちなみに安住さんの理想とするガッツポーズというのはどんな感じなんですか?

(安住紳一郎)ガッツポーズ?ガッツポーズはね、やっぱりね、ホームランの時とかは、しちゃいけないと思う。

(中澤有美子)あ、しない?

(安住紳一郎)うん。寡黙にこう、回っていくのがすごくいいなと思いますけどね。

(中澤有美子)ほー!

(安住紳一郎)そりゃ誰だって、誉れな感じは伝わってくるわけですから。ええ。で、目線。表情でわかりますよ。

(中澤有美子)お顔の表情で。へー!

(安住紳一郎)ちょっとタッチプレーとかで出ちゃうのは仕方ないなと思いますけどね。守備のタイムは3回。攻撃のガッツポーズは3回!これ、徹底してほしいね!

(中澤有美子)(笑)。マックス3回まで(笑)。

(安住紳一郎)(笑)。まあ、そんなことを水曜日に家にいながら、お前はどれだけ真面目な立派な生活を送ってるんじゃ?と言われるとね、とても太刀打ちできませんけども。そんなような感じがしました。

(中澤有美子)そうでしたか(笑)。

(安住紳一郎)サミー・ソーサのガッツポーズはいかんよっていうことを言いたかったなと思って。せっかくのいいイメージが壊れるよっていうことをちょっと言いたかったなと思うんですけどもね。

(中澤有美子)個人的なね、意見ですけども(笑)。

(安住紳一郎)まったく個人的な意見で本当に反論、たくさんあると思いますけれども。私は言いたいことが言えて、とてもスッキリしています。俺がガッツポーズ!よしっ!

(中澤有美子)なんで!?

(安住紳一郎)言いたいこと言った!

(中澤有美子)うわっ、デカいですよ、いまのガッツポーズ(笑)。2回したよ、2回(笑)。

(安住紳一郎)日曜天国はじめて2年立つんですけども。私も実は、偉そうなことを言っておきながら、ラジオ番組を担当するのがはじめてでして。最近、ことにラジオを聞くようになりまして。今回も、高校野球をいつもテレビで見ていましたが、ラジオで聞いてみたらどうなるのかな?と思って、ラジオを少し聞いてみたんですが。

(中澤有美子)あ、そうでしたか。

(安住紳一郎)ライバル局になるんですが、NHKの第一放送を聞いてみたんですが。いま、高校野球に回そうと思っても、今日は試合開始が11時ですからやってませんよ「。ゆっくり聞いてくださいね。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)これ、NHKのね、ラジオの高校野球の中継も面白い。この高校野球中継フリークの私としては、また新たな1ページを加えた。

(中澤有美子)あ、そうでしたか。

(安住紳一郎)ラジオの中継もね、やっぱり面白い。なにが面白いって、はっきり言うけど、実況が下手!

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)これはラジオをお聞きのみなさんだったら、わかっていると思います。NHKの第一放送の高校野球の実況中継は下手なんです!

(中澤有美子)そうですか?

(安住紳一郎)これは、別に私は問題発言じゃないんです!

(中澤有美子)ないんですか?(笑)。

(安住紳一郎)なぜならば!と言いますと、NHKの高校野球のラジオの中継っていうのは、若手の登竜門なんですよね。普通のテレビの中継ですと、一線級のアナウンサーが、竹林アナウンサーとかが出てくるわけなんですけども。高校野球に限っては、地方で将来有望とされている、だいたい5年目から8年目くらいのアナウンサーが担当するんです。

(中澤有美子)ああ、そうですか。

(安住紳一郎)その高校野球の中継が上手にできた人が、後々東京局・大阪局でスターアナウンサーへの道が約束されるという、いわばNHKアナウンサーのオーディション担っているんですよ。

(中澤有美子)おおー!

(安住紳一郎)そういう風な耳で聞くと、また面白いという。

(中澤有美子)(笑)。へー。

(安住紳一郎)私が10年目なもんですから、ちょうど自分よりもちょっと下ぐらい。ほぼ同年代のみなさんががんばってやっているのを聞くのも、またそれは面白いというね。

(中澤有美子)そうですね。

(安住紳一郎)とてもとてもね、まだTBSですと僕とかですね、駒田ぐらいが担当して、がんばってやっているんだけども、まだまだ松下さんとか林さんとか椎野さんのようには上手くいかないみたいなところがある。けれども、いいところを見せて、はやく東京とか大阪に行きたい!っていう実況が聞けるという。

(中澤有美子)そうなんですね。緊張して、じゃあ臨んでいるわけですね。

(安住紳一郎)たぶんね、球児も緊張していると思いますが、NHKのアナウンサーもたぶん相当緊張してやっているんじゃないかな?と思いますね。

(中澤有美子)いいところを見せたい!うん。

(安住紳一郎)この大会で手柄のあった者は東京総局で召し抱えるぞ!みたいな感じですからね。うりぁーーーー!っつってね、やってるんだと思うんですけどね。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)ちょうどまあ、私も10年目ですけども、8年目ぐらいになってくるとですね、ちょうどアクセルがね、踏める状態になってくるんですよね。こう、なんか行ける時はブーン!って吹かせる。でも、ちょっとブレーキがまだおぼつかないっていうのが、だいたい10年目以下ぐらいのアナウンサーの特徴なんですよ。

(中澤有美子)ほー。

(安住紳一郎)私もそうなんですけども。まあ、お聞きのみなさんはわかっていると思いますが。調子のいい時は調子いいでしょ?私ね。

(中澤有美子)そうね(笑)。

(安住紳一郎)で、NHKのアナウンサーもブブブブブンッ!って踏むんだけれども、すごくいい時はすごくいいの。すごくいいの。

(中澤有美子)乗ってきた、乗ってきた。はい。

(安住紳一郎)『ピッチャーの太田が自らマウンドを切りまして、白いロージンバッグの炎がフワーッと上がりました』みたいな。いい実況をバーッとできる。なんか風景描写みたいなの、いいのを入れるんだけども。やっぱり高校野球ってね、こう動きが早いものですからね。ちょっとやっぱり、追いつかないところがあるんですね。

(中澤有美子)はあ。

(安住紳一郎)プロ野球とかはやっぱりエラーとか想定外のミスがなかなかないので、中継する方も楽なんですが。高校野球っていうのは本当いきなりね、セカンドからホームに悪送球して。で、ベースカバーに入ったピッチャーがまた悪送球みたいな。そしたらランナーがコケるみたいな。ものすごいことになって。

(中澤有美子)そうか、そうか。

(安住紳一郎)で、テレビと違ってラジオですから、全部中継しなくちゃいけなくて、もうてんやわんやになっちゃうんですよね。で、結構もう手がつかないみたいな感じになっちゃって。うん。で、なんかかわいそうだなとか思いながらも、『うん、いまのはいい手柄になったと思うよ』みたいな。いい情景描写とかいうのもあったりしてね。ちょっとなにか、人事には思えない感じの中継が続いているわけなんですけどね。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)で、またね、中継フリークとしては一言、みなさまに伝えておきたい事実がもう一点あるんですが。これはラジオになると、大変重要な問題になるんですが。プロ野球と高校野球で、ラジオを中継する上で決定的にね、違うところがひとつあるっていうかね。アナウンサーにとっては、とても注意しなくちゃいけないところがひとつあるんですが。

(中澤有美子)へー。

(安住紳一郎)これはね、ちょっと難しい問題なんですが。ピッチャーのね、投球間隔が違うんですよ。『第一球、投げました』。で、キャッチャーが捕りますよね。で、返球しますよね。で、ピッチャーが次、第二球投げますよね。その間隔がね、プロ野球と高校野球で決定的に違うんですよ。

(中澤有美子)あっ、高校野球の方が早い?

(安住紳一郎)高校野球の方が間隔が短い。試合時間も1時間ぐらい短くなるんですけども。だいたいね、一応私もスポーツアナウンサーをやっていましたから語っちゃいますが。プロ野球はですね、投球間隔がだいたい20秒から30秒。長い時だと35秒とか40秒くらいかかる時があるんですが。

(中澤有美子)ああ、そうですかねえ。

(安住紳一郎)高校野球はね、短い時だと8秒。

(中澤有美子)うわー!

(安住紳一郎)どんなに長い時でも、15秒くらいで投げてきます。早い時はね、8秒で。みなさん、ちょっとあの、ラジオとか聞いて測っていただきたいと思いますけども。早い人は8秒ごとに投げてくるんですよ。

(中澤有美子)あっ、そうなんだー。

(安住紳一郎)ええ。『第一球、投げました』。で、キャッチャーが捕って、キャッチャー返球して、ピッチャー捕って、サインを見て、構えて、第二球で、これ8秒。ポンポンポンポン投げてくるんですよ。

(中澤有美子)ふーん。

(安住紳一郎)すると、なにが問題になってくるか?っていうとですね、『第一球投げました。アウトサイド、外れましてストレート、ボール!』。で、解説者の人に話を聞くんだよね。

(中澤有美子)ああ、そうですね。いまのは・・・

(安住紳一郎)『いまのはどうですか?』とかいう風に聞くんだけれども、8秒しかないから話がほとんど進まない!

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)それで、中継アナウンサーがてんてこ舞いっていうことになるんですよね。

(中澤有美子)そうですねー。

(安住紳一郎)『佐賀北、ピッチャー中井。第一球を投げました。アウトサイド、スライダー外れてボール!ノーストライク、ワンボールです。今日の解説は県岐阜商から社会人松下電器の監督、川崎さんです。よろしくお願いします』『はい、よろしくお願いします』『ピッチャー、第二球を投げました。アウトサイド、ストレート、ボール!ツーボールナッシング』。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)『中井選手、やはりあれですかね?スライダーでしょうかね?』『そうですね。おっしゃる通り・・・』『第三球を投げました!今度は直球インサイド。これは決まった!早いテンポで投げてきます。ワンツー!話が途中になりました。川崎さん、やはり中井投手はスライダー。このアウトサイドがカギでしょうかね?』『そうですね。おっしゃる通り・・・』『第四球を投げました!』。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)もうね、話がぜんぜん進まないの。

(中澤有美子)すごい細切れ(笑)。

(安住紳一郎)ええ。細切れになっちゃって。で、もう最後の方はもう、聞いている方は『中井投手、アウトコースのスライダーのコントロール・・・』とか聞いてるんだけれども、ぜんぜんもうね、8秒間隔で投げてくるから、話がまとまらないわけ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)で、もう最後になると、『ピッチャー第五球を投げました。インサイド、直球決まった。ストライク!ツースリー。スライダーですね』『はい、スライダーですね』。もう、それしか言わないの(笑)。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)なんだ!?みたいな。『スライダーですね』『スライダーです』。うわー!っていう。自転車操業になっちゃうっていう。

(中澤有美子)大変ですねー!

(安住紳一郎)8秒間隔で話を聞くっていうのは大変ですよね。うん。プロ野球になると、まあ間隔があるんでゆっくり解説の人に話を聞くことができるんですけどね。川崎さんもね、繰り返し話になっちゃってね。最後は『はい、スライダーですね』しか言わなくなっちゃう。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)大変になっちゃう。ぜひNHKのアナウンサーもがんばっていただきたいなと思いますが。まあ、民法のアナウンサーもがんばっておりますんでね。ちょっとライバル意識を燃やしてますよ!聞いてますから、がんばってください!ねえ、はい。

(中澤有美子)はい(笑)。

(安住紳一郎)高校野球ね、今日11時からNHKでまたやりますけどね。ええ。日曜天国も放送してますんで。高校野球は来年もやりますけども、日曜天国は来年やるかどうかわかりませんから!

(中澤有美子)そうね、はい(笑)。

(安住紳一郎)同じ夏にかける思いということで、ぜひこちらにダイヤルを合わせたままにしていただきたいなと思います。

(中澤有美子)思います!(笑)。

<書き起こしおわり>