町山智浩 デビッド・フィンチャー『ゴーン・ガール』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』でデビッド・フィンチャー最新作『ゴーン・ガール』を紹介。大ヒット小説を映画化した本作の魅力を熱く語っていました。


(古谷有美)それでは映画評論家の町山智浩さん。今週もアメリカカリフォルニア州バークレーからお電話でのご出演です。もしもし。

(町山智浩)あ、もしもし。町山です。よろしくお願いします。

(古谷有美)お願いします。はじめまして。古谷です。

(町山智浩)あ、どうも。はじめまして。よろしくお願いします。

(古谷有美)よろしくお願いします。

(山里亮太)町山さん、古谷さんもね、結構映画とか見るみたいなんですよ。

(古谷有美)大好きです。

(町山智浩)ああ、そうなんですか。どんなのがお好きですか?

(古谷有美)なんでも見ますけど。小さい時からビデオレンタルショップに家族で行って毎晩なにか借りて見てましたよ。

(町山智浩)毎晩見てたんですか(笑)。すごいですね。

(古谷有美)まだビデオの時代ですけどね。VHSの。

(山里亮太)好きな作品とか言ってみたらどうです?

(古谷有美)ええとですね、『レインマン』。

(町山智浩)ああ、はいはい。古いですね。でも(笑)。

(古谷有美)そうなんです。古めのものが。『グッド・ウィル・ハンティング』とか。

(町山智浩)ああ、はいはいはい。

(古谷有美)ヒューマン系、好きですね。

(町山智浩)今日、ご紹介する映画はグッド・ウィル・ハンティングで主人公のマット・デイモンの友人役をやっていたですね、ベン・アフレック主演の映画なんですよ。あの、アゴが割れている人ですね。

(山里亮太)(笑)。そういう紹介になります?ベン・アフレック、いま代表作いろいろあるから、わかります。僕らも。

(古谷有美)(笑)

(町山智浩)ああ、そうですか(笑)。ええと、今回ね、アカデミー賞をとりそうな映画なんですけど。いまの時期、アメリカはアカデミー賞をとりそうな映画が毎週公開されるっていう状況なんですけども。今回紹介する映画、『ゴーン・ガール(Gone Girl)』は確実にアカデミー主演女優賞いくだろうと思いますね。

(町山智浩)主演女優賞?

(町山智浩)主演女優賞候補になるだろうと思います。ゴーン・ガールっていうタイトルはですね、ゴーン(Gone)っていうのは『行っちゃった』とか『いなくなっちゃった』っていう意味ですね。あの『風と共に去りぬ』が『Gone with the wind』でしたけど。これは『行方不明になった女の人』っていう意味ですね。

(山里亮太)ほうほう。

(町山智浩)で、これはベン・アフレックとですね、奥さんの夫婦がいて。その奥さんの方がある日突然行方不明になるというミステリーです。はい。これ、原作がものすごく売れてるんですよ。

(山里亮太)へー。

原作は大ヒット小説

(町山智浩)日本でもかなり売れてると思いますよ。一時、アマゾンで買えなくなっていた状況がありましたけど。売り切れで。

(古谷有美)全米で600万冊以上・・・

(町山智浩)そう。全世界で600万冊ってすごいですよね。こんなに売れたらもうなにもしないけどね。俺(笑)。

(古谷・山里)(笑)

(町山智浩)これ、女の人が書いたんですけど。ギリアン・フリンっていう女の人が書きましてですね。これね、日本ではね、『イヤミスの傑作』って言われてるんですよ。『イヤミス』っていうのは『嫌なミステリー』っていう意味だそうです。読んだ後、いやーな気持ちになる本なんですけども。

(古谷・山里)へー!

(町山智浩)これがですね、めちゃくちゃ面白かったですよ!抱腹絶倒でした。

(山里亮太)えっ!?

(古谷有美)抱腹絶倒?

(町山智浩)面白かったです。はい。一言でいうと、ジェットコースター映画なんですけども。あっちに行ったかと思うと、こっちに振り回されて。今度は上下が逆になって、みたいなのがずっと繰り返される映画ですね。

(山里亮太)へー!うわー!もう楽しそうな香りしてきた。

(町山智浩)面白いんですよ。で、ストーリーを言いますと、まずこのベン・アフレック。アゴ割れくんがですね、結婚5年目なんですけども。で、その奥さんがですね、ちょっと名前をあんまり知られていない女優さんなんですけども。ロザムンド・パイクっていう女優さんが演じているエイミーっていう奥さんがいまして。突然、家からいなくなっちゃうんですね。

(山里亮太)はいはい。奥様が。

(町山智浩)で、家がちょっと荒らされてるんですよ。コーヒーテーブルだけひっくり返ってたりして。で、ドアは開いてるんですね。で、警察に行きますと、奥さんが誘拐されたのかもしれないということで、全米手配みたいな感じになるんですね。手配じゃないな(笑)。こういうの、なんて言うんだろうな?まあ、行方不明ということで報道されるわけですけども。すると、このベン・アフレックはそれなりにいい男ですから。昔はイケメンで人気者だったんですけどね。で、奥さんも美人なんで、もう美男美女のカップルで奥さんが行方不明っていうことでもって、テレビでワイドショーで大騒ぎになるわけですよ。

(古谷・山里)うんうん。

(町山智浩)で、彼氏の方は『かわいそうな旦那さん、素敵なのに!』みたいな感じで奥さんとか女の子に大人気になっちゃうんですね。でもって全米が大騒ぎになっていくんですけれども。それと並行して、この奥さんが書いていた日記が時々出てくるんですね。要するに奥さんがいなくなったっていう話の間に、奥さんが書いた日記っていうのが、まず2人が出会った頃のラブラブな感じとか、そういうのがどんどん。どういう夫婦だったのかっていうのが、過去が描かれていくわけですよ。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)で、この人は大スターみたいになっちゃうんですね。この旦那さんは。テレビのワイドショーのせいで。ところが、だんだんその日記の方がおかしくなってくんですよ。素敵な旦那だと思って結婚したら、働かないし、文句ばっかり言うし、奥さんのせいにするし、終いには殴るし・・・ということがだんだんだんだん話が進んでいくうちに、えっ?あんなに完璧な旦那さんだと思ったのに、違うじゃないか!?ってことが見えてくるんですね。

(山里亮太)ほうほうほう。

(町山智浩)観客に。それと、一方でその旦那さんの身元とかいろいろ洗っていると、警察が家とか現場検証とかしていると、まず台所にものすごい大量の血の跡が発見されるんですよ。血を拭いた跡なんですね。血液反応っていうのは拭いたあとも残るらしいんですよ。で、これは奥さんの血だと。誘拐されたんじゃなくて、これだけ出血してるってことはここで殺されている可能性があると。これ、じゃあ血液を消して偽装したのは誰なんだ?っていう話になってくるんですよ。

(山里亮太)はいはい。

(町山智浩)で、旦那さんのいろんなものを調べていくとですね、まずクレジットカードで破産していることがわかるんですよ。で、家とか旦那が働いている場所、バーなんですけど。バーを経営していることになっている、その名義も奥さんだってことがわかるんですよ。で、旦那が短大で講師をやっているんですけど。英語の。そこでその生徒に手を付けていることもわかってくるんですよ。

(古谷有美)えーっ!?

(町山智浩)で、完璧な旦那だと思ったら、どうも違うことが見えてくるんですね。で、終いには奥さんに多額の生命保険をかけていたことも判明するんですよ。で、今度はテレビのワイドショーとかが、この旦那がやったんじゃないか?っていうことで、今度は旦那を糾弾していくんですよ。

(山里亮太)うわー、1回ヒーローになったけども。

(町山智浩)そう。魔女狩りみたいにして。っていう話がこの映画の全体の1/3です。最初の。

(山里亮太)なるほど!そこらへんからどんどん、またジェットコースターに、いろんなことになっていく。

(町山智浩)なっていくんですけど。このストーリー自体はですね、アメリカで実際にあったことが元になっていますね。

(古谷・山里)へー!

(町山智浩)はい。スコット・ピーターソン事件っていうのが2002年にあってですね。これ、うちの近所だったんですけど。バークレーっていう所なんですけど。クリスマス・イヴに27才の妊娠中の奥さんが行方不明になったんですね。スコット・ピーターソンっていう旦那の奥さんが。で、みんなこのスコット・ピーターソンに同情したんですけども。で、みんなで一生懸命探したり。うちの近所もみんな海岸とか全部探したりしたんですよ。普通の人たちが協力して。ところがぜんぜん出てこなかったんですが。この旦那に愛人がいることが発覚したり、いろいろおかしなことがわかってきて。で、最後はこの奥さんの遺体も発見されて。この旦那が殺したってことがわかった事件があったんですよ。

(古谷・山里)うわー・・・

(古谷有美)じゃあ町山さんが実際に近くで感じられたことに。すごく近い・・・

(町山智浩)バークレーの堤防のところで旦那は釣りをしていたっていうアリバイを言っていたんで。うちの近所の堤防なんですよ。それ。でもクリスマス・イヴに釣り、しないですよね。普通。そこからおかしいっていうことがバレていったんですけど。それが元の事件で。あと、そのワイドショーでまだ犯人と決まっていないし、逮捕されていない人を糾弾していくっていうワイドショーは実際にアメリカにあるんですよ。

(山里亮太)えっ!?

(町山智浩)これ、CNNで放送しているナンシー・グレイス・ショー(Nancy Grace Show)っていうやつなんですけども。これはナンシー・グレイスっていう女性のキャスターがですね、進行中の事件に関して勝手に犯人を推理してその人を糾弾していくっていう番組なんですよ。

(山里亮太)ええっ?大問題でしょ、普通。それ、だって・・・

(町山智浩)これ、本当にいまでも続いているんで信じられないんですけど。これ、自分の子どもがいなくなったって言っていた奥さんを、『本当はアンタが殺したでしょ?』って追求していって、その奥さんが自殺するっていう事件まで起こってるんですよ。

(山里亮太)えっ?そんなことしてないのに?

(町山智浩)わからないです。死んじゃったから。

(古谷有美)その真相は闇の中・・・

(町山智浩)捜査の妨害に近いようなことをやっているワイドショーがあるんですけど。それが、この2つがだいたいモデルになってるんですね。このゴーン・ガールっていう映画は。で、監督はですね、デビッド・フィンチャーっていう監督で。この人はいまハリウッドでは最高の天才の1人なんですよ。最初はですね、『セブン』とかですね、『ファイトクラブ』っていう。見ました?

(古谷有美)見ました。

(町山智浩)すごい映画なんですよ。ブラッド・ピットですけど。両方とも。ものすごい技術を使った、ものすごい高度でアートみたいな映画だったんですね。最初の頃は。でもだんだんだんだん、この地味な、だけれども細かい演出に変わっていって。で、今回のゴーン・ガールだと、もう本当に一見普通の映画に見えるっていうところまでですね、逆に技巧を高度に完成させちゃってますね。すごいですね。

(古谷・山里)へー。

(町山智浩)で、この人はもう『ソーシャルネットワーク』っていう映画でアカデミー賞候補になっている人なんですけど。アカデミー賞に最も近いところにいる監督ですけども。今回もこういう話を聞いていると、ものすごい怖いサスペンスのように思うじゃないですか。

(古谷有美)はい。ハラハラしちゃいます。

(町山智浩)コメディーなんですよ。

(古谷・山里)えっ?

(町山智浩)(笑)。これ、何ヶ所か笑うポイントがあってですね。観客、爆笑してましたよ。そこが上手いなと思いましたね。原作にはそういう感じじゃないんですけど。これ、デビッド・フィンチャーの技だなと思ったんですね。で、さっき映画1/3が、その旦那が疑われるところまでが前半の1/3って言ったじゃないですか。で、その次の真ん中の1/3っていうのが、では奥さんはどういう人だったのか?っていう話になるんですよ。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)で、もう言えません!はい。

(山里亮太)うわっ!そうか、ネタバレになっちゃうから。

(町山智浩)もう言えないんですよ(笑)。

(山里亮太)これはそうか・・・いや、でも町山さんのテンションから、相当これは面白い映画なんだろうなっていうのが伝わってきます。

(町山智浩)一言でいうと、その真ん中の1/3に入ったところで、奥さんの映像になって爆笑が起こりますよ!

(山里亮太)爆笑!?

(町山智浩)はい。

(山里亮太)結構シリアスな感じ。しかも、その今回だって主演女優賞とるだろうって言われている・・・

(町山智浩)これはすごいんですよ。このロザムンド・パイクっていう女優さんは全くって言っていいほど大きい役をやったことがないんですよ。いままで。で、あんまり知られてなくて。この原作が大ベストセラーになったんで、『あのすごい奥さんエイミーを演じるこのロザムンド・パイクって誰!?』っていう話になったんですよ。アメリカ中で。

(山里亮太)あっ、逆に。

(町山智浩)これ、誰やねん!みたいな。聞いたことない!見たこともないよ!って。この人がやった最近の映画って、『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』って僕が絶賛していた映画ぐらいなんですよ。

(山里亮太)はー!の、ヒロイン。

(町山智浩)そう。あと、007で悪役をやっていましたけど。あんまり知られてないんですね。でもこの映画での奥さん役はすごいです!ものすごい芝居です。

(山里亮太)へー!うわっ、気になる!

(町山智浩)ものすごい芝居ですよ。

(古谷有美)でも本当に奥さんが鍵というか肝になる話ですもんね。これね。

(町山智浩)これはアカデミー賞いくでしょう。まあ少なくとも候補にはなるでしょうね。

(山里亮太)なるほど。主演女優賞をこのロザムンド・パイク。

(町山智浩)そう。でもどういう風にすごいか、言えなくて!言いたい!

(古谷有美)言いたそう(笑)。町山さん。

(町山智浩)あのね、この奥さんのキャラクターは、あるものすごく有名な映画のヒロインに非常に近い人なんですけど。その映画のタイトルを言っただけで全部バレちゃうんですよ。

(山里亮太)あっ、でも町山さん、それは爆笑が起こるってっていうのは、その映画を知っているから。そのパロディー的な感じで爆笑が起こる感じなんですか?

(町山智浩)そういう感じではないんですけど。あの、その映画はちなみにヒントを一発だけ言いますと、パンツを履いていない女の人が主演の話なんです。

(山里亮太)えっ?あれかな?僕でも知ってる?

(町山智浩)もう言わないで!もうこれ以上言わない。はい(笑)。

(古谷有美)ストップがかかっちゃった。

(山里亮太)町山さんね、『言ったらヤバイ』って言う割にね、もう言いたくてしょうがないっていう。

(町山智浩)もう言えない。まあね、爆笑が起こるところはね、この奥さんが『マンモスハッピー!』みたいなことをするところがあって。そこで笑うんですけど(笑)。死語ですが。はい。ええと・・・まあいいや(笑)。

(山里亮太)(笑)

(古谷有美)町山さん、楽しそうですね。

(町山智浩)いや、いいんです。いつも楽しいんです。はい。映画の話をすると、どんな嫌なことも忘れます。はい。

(古谷・山里)(笑)

(町山智浩)でですね、これ、主演がベン・アフレックなんですけど。ベン・アフレックはね、この人、実は似たようなことにあったことがあるんですよ。この人、昔イケメン俳優だったんですけど、ジェニファー・ロペスっていうセクシーな女優さんと付き合っていて。あんまりイチャイチャしてるから、マスコミにものすごく叩かれたことがあるんですよ。それで人気がもう一気に落っこっちゃったんですよ。で、仕事なくなっちゃって。で、再起する時に映画監督として再起したんですね。

(古谷・山里)うんうん。

(町山智浩)で、『アルゴ』っていう映画で最近、アカデミー作品賞を受賞しましたけどね。

(山里亮太)面白かったですもんねー!アルゴ。

(町山智浩)そう。アルゴでもう本当にハリウッドに返り咲いたんですけども。その前にマスコミに散々弄ばれて、仕事なくなっちゃったことがあるんで。結構この映画、リアルなんですよ。

(山里亮太)そういうなんかこう、マスコミへのメッセージみたいなのがあったりするわけですか?

(町山智浩)あります、これは。マスコミが要するにそういう犯人とかを作り出していくっていうところですね。それをまた・・・あっ、いま言いそうになりましたけど(笑)。言えないんで・・・

(山里亮太)危ない!

(町山智浩)まあ、いろいろあります。ちなみにこのベン・アフレックは今度の『バットマン対スーパーマン』。スーパーマン対バットマンでバットマンやるんですよね。

(古谷有美)うわー、見たいなー。

(山里亮太)バットマン対スーパーマンやるですか、今度。

(町山智浩)バットマンとスーパーマンが、なんか戦うのかよくわからないんですけど。共演するんですよ。今度。

(古谷有美)どっちが勝ってもなんか、複雑な思いですよね。

(町山智浩)複雑なんですけど。それでバットマンやるんですよ。でね、アゴが割れている人はバットマンやるっていう決まりが昔からあって。要はスーパーマンとかバットマンっていうのはアゴが割れてなきゃいけないっていうのがあったんですよ。

(山里亮太)ああ、最低の条件として、まず割れてないといけない。

(町山智浩)そう。結構あったんですよ。だから彼は一応アゴ割れっていう条件を満たしてるんですけど。

(古谷有美)ああ、じゃあアゴパス的な。

(町山智浩)アゴパスってよくわからないですけど(笑)。

(古谷有美)アゴが割れてるからいいよっていう。

(町山智浩)なんかよくわからないですが(笑)。はい。いや、でもね、この映画はね、本当に面白いのに何も言えないという。困ったな(笑)。

(山里亮太)町山さん、このテンションだけで十分にね、我々わくわくできますよ。町山さんがこんだけ熱持って。

(町山智浩)本当ですか?あのね、この映画ね、まずすごいのは、それってなんて言うかミステリーだったり、ちょっとブラックコメディーみたいなところがあって。で、観客をものすごくハラハラさせたりするんだけども、その後半1/3はですね、まあ言えないですが(笑)。

(古谷・山里)(笑)

(町山智浩)この映画のテーマみたいなものがストレートに出てくるんですよ。で、これはただのサスペンスものとかミステリーものとは違って、この話を通して実は誰にでもあることを象徴してるんですよっていう展開になるんですよ。どんな人でも生活の中であることを、この映画では誇張してドラマにしてみましたよっていう映画なんですよ。

(山里亮太)じゃあ自分にも当てはまることが。

(町山智浩)ええと、山里さんには当てはまらないと思います!

(山里亮太)ちょっと待って下さいよ。

(古谷有美)どういうことかな?誰にでもって・・・

(町山智浩)(笑)。

(山里亮太)誰にでもから外れるの!?

(古谷有美)人じゃないってことですか?

(町山智浩)将来当てはまるかもしれません(笑)。当てはまるといいなと思います、はい。

(山里亮太)町山さん・・・男女の話だね、きっと・・・

(町山智浩)あのね、この奥さんが言うあるセリフが最後の方でテーマとしてバーン!と出てくるんですよ。これ、言えませんが。漢字で二文字のことを言うんですね。『××』と言います。いま、ここで。『あのね、××っていうのはこういうものなのよ』っていうセリフを言うんですよ。奥さんが。あと、『これが××っていうものなのよ』って訳してもいいんですけど。まあ、そういうことを言うんですよ。

(古谷有美)なんだろうな?この漢字・・・

(町山智浩)この漢字二文字っていうもののメタファーとしてこの物語全体があるんだっていう話なんで。ミステリーに興味がない人でも、これはもう人生とかそういったものを知るために、男も女も見た方がいい映画だなと思いましたね。

(古谷有美)ちなみに原作は小説ということですけれども。その小説、読んでなくても、映画からでも楽しめますか?

(町山智浩)ええとね、これはね、小説は上下巻に分かれてるんで。上巻だけ読んで映画館に行くのがいちばんいいと思います。

(古谷有美)へー!うわっ、新しい!

(山里亮太)そうします。じゃあ、僕。

(町山智浩)ぜんぜん読まなくて行ってもいいですけど。そう言うと本屋さんに悪いので。出版社の人に(笑)。上巻だけ読んで行くっていうと、どこにも角が立たないと思うんですよ(笑)。

(山里亮太)あ、じゃあまあ見なくても大丈夫というのもどっかで。心に留めておいていいですね。

(町山智浩)まあ、そうなんですけど。ただね、原作者がシナリオを書いていて。映画の方は、特に後半の1/3はかなり原作と違う話になっていて。さっき言った非常に重要なセリフっていうものも、映画版にだけあるみたいですね。

(山里亮太)あ、原作者が足したんですね。

(町山智浩)はい。わかりやすくしたんだと思いますが。

(古谷有美)じゃあ本を読んで、エイミーってどんな人がやるんだろう?って思いながら映画館に行くっていうのがいいんでしょうかね?

(町山智浩)ああ、それはね・・・それは文庫の上下巻の下巻の方の問題なんでね(笑)。難しいですが。まあでもね、日本でも売れてるんで、読んだ人もいっぱいいると思うんですけど。まあ原作読んだ人って大抵映画見ると『違うじゃねーか!』とか言うじゃないですか。原作読んだ人、大満足ですよ。

(山里亮太)へー!それはすごいですね。原作を超えてくるって、あんまりないですから。

(町山智浩)原作を読んだ人でも、ぜんぜん大満足の映画でした。僕は原作、ちなみに先に読んでましたけど。

(山里亮太)それでもこれだけのテンションで。

(町山智浩)もう大満足でしたね。

(山里亮太)うわっ、見たいなー!これは。

(古谷有美)なんかそわそわしちゃう。

(町山智浩)これはもうすごいんでね。もう1人の、ロザムンド・パイクっていう女優さんがスターになる瞬間を見る感じでしたよね。

(古谷・山里)なるほど。

(山里亮太)主演女優賞も、町山さんの予想だととるだろうと。とってスターになるっていう・・・

(町山智浩)まあとるだろうというか、候補には絶対になるでしょうね。

(古谷有美)発表がまた楽しみですけども。

(町山智浩)あと、おまけですけどベン・アフレックのオールヌードもあります!

(山里亮太)あらっ!

(町山智浩)よくわからないですが(笑)。とりあえず、お股の間のモノもがっちり見えました!アメリカ版でした。はい。日本はどうなるか、わかりません。

(山里亮太)こっちでは編集されるかもしれませんけどね。残念だね、古谷さん。それは。

(古谷有美)そうですね。まあでもとりあえず、アゴが割れているところが注目です・・・

(町山智浩)誰がそれを目当てに行くのか、よくわかりませんが。はい。

(山里亮太)町山さん、いつもなぜかヌード情報をかならず入れてくれるんだよ。

(町山智浩)かならず、男のヌードがどこのポイントにあるか?だけはかならず言っておくことにしてるんですよ。

(山里亮太)かならず(笑)。このポリシーがよくわかんない(笑)。

(町山智浩)それで動員が変わるだろうと思いまして。

(古谷有美)せっかくいままでいい話を聞いたんですけれども。

(山里亮太)そうだよ。Xメンの時もね、ウルヴァリンのケツが見えるとか。

(町山智浩)あれ?いい話じゃないですか?いい話ですよ、はい!

(山里亮太)ありがとうございます。町山さん(笑)。

(古谷有美)さあ、ということで今日は映画ゴーン・ガールご紹介いただきました。日本では12月12日公開ということで。

(山里亮太)まだ先ですね。

(古谷有美)さあ、そして町山さん。再来週のスペシャルウィークでもアカデミー賞候補になりそうな作品をご紹介していただけるということですが?

(町山智浩)はい。ブラッド・ピットがね、第二次大戦の戦車兵を演じてですね。ドイツ軍の本物のタイガー戦車と戦う『フューリー』っていう映画をですね、現地で取材してきましたんで。それをお話します!

(古谷有美)いやー、非常に楽しみです!今日はありがとうございました。

<書き起こしおわり>

山里亮太・町山智浩『ゴーン・ガール』感想トーク

※映画公開後、山里亮太さんが『たまむすび』でその感想を町山さんに話していた模様です。(以下、ネタバレ気味です)

(山里亮太)あ、町山さん、『ゴーン・ガール』、見ましたよ。

(町山智浩)あ、どうでした?

(山里亮太)おっそろしい映画でした!

(町山智浩)ねえ。

(山里亮太)ありゃあ、もう結婚が遠のきますな。町山さん。

(町山智浩)いやいや、あんな人、いないから。

(山里亮太)いないんですかね?ちょっと怖くなっちゃって。

(町山智浩)あんな人、いないから(笑)。

(山里亮太)本当ですか?恐ろしい・・・

(町山智浩)いや、あれはなんて言うか寓話で。結婚するまではお互いになんて言うか、ひとつの殻をかぶっていると。相手に気に入られようとして。でも、結婚を続けていくんだったら、本当の自分っていうものを互いに出していかなきゃなんないよという話ですよ。

(山里亮太)なるほど。それを、ああいう風に表現して。ただ、本当の自分の部分のすごさがですね、想像をずっと超えてました。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)でも、それで仲のいい夫婦を演じていくし、その後旦那さんはいい旦那になるじゃないですか。

(山里亮太)まあ、そうですね。心からかはわからないですけど。あの表情、いろんな・・・なんかザワザワして終わりますよね。なんか・・・

(町山智浩)あれ、でもよく考えると2人、なんか愛し合っているみたいですよ。

(山里亮太)えっ?最終的に?

(町山智浩)だってあの彼女はね、本当に彼が嫌いだったら、だって出て行くはずだもん。

(山里亮太)なるほど。そっか。

(町山智浩)まあ、いいんですけど。オチみたいな話になっちゃうんで。あれですけども。

(赤江珠緒)話題ですもんね。ゴーン・ガールね。ちょっと見ないとね。「

(町山智浩)あれはまあ、夫婦のあり方みたいなものを誇張して描いている話ですよね。はい。だからあんなことはないですから。大丈夫ですよ。怖がらないで結婚してくださいよ。山里さん(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)ちょっと臆病になっちゃいましたよ。町山さん。あの映画を見て(笑)。

(町山智浩)あんなこと、あるわけないじゃないですか(笑)。それでビビッて結婚できないとか、それはないでしょ(笑)。

(山里亮太)町山さんのせいですよ、あれを紹介した(笑)。

(町山智浩)大丈夫です。

<書き起こしおわり>