町山智浩『6才のボクが、大人になるまで。』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』で、同一出演者で12年間撮影した映画『6才のボクが、大人になるまで。(原題:BOYHOOD)』を紹介。この映画の魅力や意義、そして成功の理由を語っています。


(赤江珠緒)さあ、それでは今日の本題をお願いします。

(町山智浩)はい。今日はたぶん今年の映画の中でベストに入ったりアカデミー賞にノミネートされるような名作でした。『ボーイフッド』というタイトルの映画を紹介します。ボーイフッドっていうのは『少年時代』とか『少年であること』っていう意味ですけども。これはですね、2002年に6才で、小学校1年生だった男の子が12年でどのように成長していくか?を見ていく映画なんですね。で、舞台はテキサスなんですけども。主人公の男の子はですね、お父さんとお母さんが離婚した直後で。お母さんに引き取られて、お姉ちゃんと一緒に暮らしてるんですけども。お母さんが突然ですね、『私、大学に入って勉強して学校の先生になる』って言い出すっていうあたりから話が始まっていくんですよ。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)これね、6才の男の子が主役のメイソンくんっていう男の子を、実際に6才だったエラー・コルトレーンくんっていう子が演じてるんですけども。それから12年間、普通だったら映画っていうのは途中で役者が変わるじゃないですか。

(赤江珠緒)少年時代、とか。青年役とか。

(町山智浩)そう。少年時代にまたおっきい男の子が演じて、また高校ぐらいになるともう少し大きい子が演じてって。役者が変わっていくじゃないですか。そうじゃなくて、このエラー・コルトレーンっていう男の子がずっと、6才から18才まで演じていくんですよ。1人で。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)特殊メイクでやるんじゃなくて、実際に12年間撮影してるんです。この映画。

(赤江珠緒)えっ?1本の作品が、12年?

(町山智浩)撮影期間が12年間なんですよ。このボーイフッドっていう映画は。

(山里亮太)ドキュメンタリーっていうわけじゃないんですよね?

(町山智浩)ドキュメンタリーじゃないんですよ。ちゃんとしたお芝居で。いわゆるドキュメンタリータッチの、なんていうか8ミリで撮ったりとかビデオで撮ったりもしていなくて。ちゃんと35ミリフィルムでキチッと撮ったドラマなんですけども、12年撮影してるんですよ。

(赤江珠緒)じゃあ、エラーくんは学校で『僕、主役で映画出るんだ!』って言っても、12年後まで作品は出なかったってことですか?

(町山智浩)そう。だからこの子は普通だったら子役って最初に映画出ちゃって、みんなにチヤホヤされてだんだん悪くなっちゃって。途中で泥棒したり、麻薬やったり、酒に溺れたり、離婚したり、子ども産んだりいっぱいするじゃないですか。

(山里亮太)それ、誰かピンポイントで言ってるでしょ?町山さん。

(町山智浩)いろんなダメになる人、いっぱいいるじゃないですか。子役で有名になると。この子はなかったんです。それが。

(赤江・山里)はー!

(町山智浩)ずーっと映画に出続けてたんだけども、まったく公開されないから。12年間。グレないで済んだんで、逆に撮影が上手くいってるんですよ。これ、途中でグレちゃったら、映画撮影中止になっちゃったりしますからね。大変な事件を起こしたりしてね。そういうこと、なかったんです。有名にならなかったから。彼は。エラーくんは。名前はエラーですけど、エラーしなかったんですね。それはいいんですけども。

(赤江・山里)(笑)

(赤江珠緒)うまくかけなくていいです(笑)。

(町山智浩)はい。これね、撮影開始の段階では監督がリチャード・リンクレイターっていう監督なんですけれども。どういう話にするかはぜんぜん決めてなくて。とにかく、いままでの映画っていうのは要するに役者が変わるじゃないですか。子どもが。それが嫌だったから、本当に子どもがちゃんと年を取っていく映画を撮れないか?と。劇映画で。お父さん、お母さんも。っていうことで始めたんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、この人はなんでそれを思いついたかっていうと、この人はこの前にですね、ビフォアシリーズっていう三部作を撮ってるんですよ。

(赤江珠緒)あー!以前、町山さんにご紹介いただいたね。

(町山智浩)はい。あれは『ビフォア・サンライズ』っていう映画が元々あってですね。それがまあ、大学生の2人がですね、男と女がですね、フランスの女子大生とアメリカの男子学生がですね、ウィーンで出会って一晩、恋をする話っていうのがビフォア・サンライズっていう映画だったんですね。それが1995年に彼が撮って。その後9年後に、その2人が9年後にどうしたか?っていう映画を撮ってですね。それは『ビフォア・サンセット』っていう映画なんですけど。その、さらに9年後に、2013年ですけども、その2人がどうなったか?っていう映画で、『ビフォア・ミッドナイト』っていう映画を撮ったことがあるんですよ。彼が。リチャード・リンクレイターが。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、それはイーサン・ホークっていう俳優さんがですね、アメリカの学生を演じたんですけども。この三部作は本当にだんだん年取っていって、最後は2人が結婚して子どもができて、っていうところで、だんだん倦怠期になるところまで描いてるんですよ。18年間で。最初は初々しい初恋のロマンチックな映画だったのが、だんだん現実的になっていくんですよね。18年間で。で、しかもそのシナリオに主役のイーサン・ホークとフランス側のヒロインを演じたジュリー・デルピーが協力して。2人とも離婚を経験してるんですよ。その18年間に。それも中に入れて、人生の彼らの経験、リチャード・リンクレイター監督自身の経験も全部入れて、三人でシナリオを書いていったのがその三部作なんですね。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)で、それと同じことを子どもでできないか?って考えたんですよ。彼は。リンクレイターは。で、まず出発点はリンクレイター自身がですね、監督自身が6才の時に両親が離婚して。お母さんが大学に入り直したんですね。30過ぎて。で、そこを出発点にしたんですよ。で、それをエラーくんに演じさせて。お父さんをイーサン・ホークにして。イーサン・ホークもテキサス出身なんでね。で、お母さんをパトリシア・アークエットさんっていう女優さんで。この人は『トゥルー・ロマンス』でヒロインをやっていた人ですけど。

(赤江珠緒)あー!

(町山智浩)その2人に演じさせて。そっから始めるんですね。話を。

(赤江珠緒)エラーくんがまた、6才の頃かわいいですね。

(町山智浩)すっごいかわいいんですよ。この子。で、最初はお姉ちゃんがいてですね。お姉ちゃんがですね、監督の娘さんが演じてるんですけど。お姉ちゃんが結構いじめるんですね。弟を。すると、『お姉ちゃんがぶった!』とか言ってるんですよ。それがね、最後の方になると、低い声になって。声変わりして。

(山里亮太)声変わり!そうか。1年ごとにやっているから。

(町山智浩)そうなんですよ。最初は『ママー!お姉ちゃんがぶった!』とか泣いてるんですけど。最後の方になると、『お母さん、大丈夫かな?』って感じになるんですよ。

(赤江珠緒)ねえ。ヒゲ面になってますね。

(町山智浩)頼りになる男になるんですよ。で、この映画が面白いのは、夏休みしか撮影してないんですよ。12年間、毎年夏休みだけ撮影してるんですよ。

(赤江珠緒)『北の国から』みたいなね。

(町山智浩)そうなんですよ!要するに夏休みだから子どもが休まないわけですよ。学校をね。だから、なんて言うのかな?子役としての特権みたいなものは与えられないんですよ。この子たちには。だから普通の子として成長していくのを撮ってるんですね。で、話は毎回毎回夏休みに集まるたびに、俳優たち全員集まって。俳優と監督が。で、『この子はこの1年間でどうなっただろうか?これからどうなるだろうか?』ってことで話を作っていったらしいんですよ。

(赤江・山里)へー。

(町山智浩)毎回。だから、ものすごくね、この撮影が始まった後にイーサン・ホークが実際に離婚したりですね。子どもを抱えて。で、このエラーくんもですね、両親が離婚したりして。現実と映画がどんどん交じり合っていくんですね。で、彼らが体験したことをまた話の中に入れていくから。互いに相互作用でですね、現実と映画の境目が非常になくなっていくところがちょっと怖いんですけども。で、いろんな話があってですね、新しいお父さん、再婚するんですね。お母さんがね。で、大学に通っている間に大学の先生、教授と結婚して。で、結構お金持ちでですね、プール付きの家に住んで、結構リッチになるんですよ。このお母さん。

(山里亮太)ほう。

(町山智浩)ところが・・・っていうね。それは言えないんですけど。とんでもない事態になったりするんですけどね。というね、まあ普通にとんでもない話は起こらないんですけど。突拍子もないことは起こらないですよ。本当に子どもがですね、育っていく間に体験するようなことをですね、自然に話に入れて。しかも、それでも面白いっていう映画がこのボーイフッドなんですね。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)でね、こういう映画って本当に作るの難しくて。世界的にあんまり例がないんですよ。だからたぶん映画史に残ると思うんですけど。映画史に残っている最も有名なこの種類の映画っていうのはね、フランソワ・トリュフォーというフランスの有名な映画監督が撮ったシリーズがあるんですよ。アントワーヌシリーズっていうのがあるんですね。これはトリュフォー監督が1959年に27才の時にはじめて撮った映画が、自分の子ども時代の話なんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)『大人は判ってくれない』っていうタイトルの映画で。彼は27才ですけど、自分が12才ぐらいの頃に体験したことをもとに話を作って。で、ジャン=ピエール・レオっていう子役ですね。子役に自分とよく似たアントワーヌっていう少年を演じさせたんですね。それは1959年で。そこから20年間ですね、ずーっと撮り続けるんですよ。彼は。

(赤江珠緒)20年も。

(町山智浩)アントワーヌの成長を。で、20年間に5本撮ってるんですよ。で、これが面白いのは、まず話の中にトリュフォー自身がその間に体験したことを盛り込んでいくんですね。だから自分自身の回想みたいなことになってるんですけども。それをどんどん成長していく俳優のジャン=ピエール・レオが演じていくんですよ。だんだんこのジャン=ピエール・レオがトリュフォーそっくりになっていくんですよ。顔が。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)これは怖いですよね、映画って(笑)。

(山里亮太)生き方で形成されていくんだ。顔とかが。

(町山智浩)うん。これは怖いなっていうのがね、アントワーヌシリーズっていう映画で。あとはですね、ドキュメンタリー映画で『セブンアップシリーズ』。アップシリーズ(Up Series)っていうドキュメンタリーがあるんですよ。これ、あまり日本では見られていないんですけども。これ、1964年から撮影が始まっていて。これ、ドキュメンタリーなんですけども、イギリスのなんですね。で、イギリスの14人の子ども。小学生を7年ごとに記録していくドキュメンタリーシリーズなんですよ。

(赤江珠緒)14人も!?はい。

(町山智浩)14人もいて。で、現在2012年に作られた『56 Up』。だから56才になるまでのやつが撮られていて。まだ撮り続けられるんですよ。

(赤江・山里)えーっ!?

(町山智浩)永遠に撮り続けられるんですよ。全員がいなくなるまで(笑)。すごいんですよ。もう8本作られてるんですよ。7年ごとに。これ、すごい記録で。映画っていうよりは、もうなんて言うか、イギリスっていう国の社会状況を記録する貴重な映画になってますね。

(赤江珠緒)あ、そっかそっか。服装とか、そういう流行とかも。その時じゃないと撮れないっていうのもありますよね。

(町山智浩)そうなんですよ。で、しかもイギリスっていうのは日本みたいに均一な社会じゃなくて階層社内なんですね。階級社会。だからものすごい金持ちの土地持ちと、すごい貧乏な労働者階級の間でものすごい貧富の差があるんですけども。この14人の子どもっていうのはバラバラなんですよ。階級が。で、お金持ちの子どももいれば、福祉にたよって暮らしている子どももいて。あと、イギリスにはイギリスが昔植民地にしていたアフリカとか外国の植民地の血が混じった、アフリカ系の子とかもいるわけですね。結構。移民で。その子たちもいて。バラバラなんですけど、この子たちがどうなっていくだろうか?っていうのは、実際は政府とか社会っていうのはその子たちがどう育っていくか?って追っかけていかなきゃならないけど、実は一人ひとり追いかけてないじゃないですか。どの国も。絶対に。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)でも、これは14人のサンプルを追っかけることになってるんですよ。その人たちがどうなるか?っていう。だからたとえば上流階級の子はそのままいい大学に行って弁護士になったりするんですよ。この14人のうち。で、中産階級以下の労働者階級の女の子とかは、やっぱり18・19で子どもを産んじゃって。旦那もやっぱり学校を出てなくて、学歴もないから仕事もなくて、そのままどんどん貧乏になっていったりする子もいるんですよ。で、もう本当、福祉にたよって暮らしている子もいるんですね。どうしてそうなったか?っていうのは、このシリーズ。アップシリーズをずっと見ていくとわかるようになってるんですよ。この映画。

(赤江珠緒)そうですよね。たしかに。

(町山智浩)で、その貧乏な人はどうしようもないのか?って思うと、意外とそうでもなくてですね。もう成功して弁護士になる人も出てくるんですけども。貧乏から立ち上がって。いちばんすごいのはですね、ある1人の子がですね、もう本当にチャラチャラした子なんですよ。自由気ままに生きてるんですよ。28UPっていうので28才になった時に、彼はホームレスなんですよ。で、その次の7年後に撮った時も福祉で暮らしている、施設に入って暮らしているんですよ。もう35かなんかで。

(山里亮太)35才で。

(町山智浩)で、もうこいつぜんぜんダメじゃねーか?って思ったんですよ。シリーズ頭から見ていくと。したらその後、そういう貧しい人たちのために組織化して。貧しい人たちを。で、その人たちを組織化してからですね、だんだん地方政治家になって。いま、政治家として成功してるんですよ。この人。35までホームレスだったのに!

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)最終作品で、56UPって56才で政治家になってるんで、みんなびっくりっていう。

(赤江珠緒)あ、そうですか。7年ってやっぱり変わっていったりするんですね。

(町山智浩)変わるんですね。人間はね。これはね、いろんなことを考えさせるんですよ。貧しいところに生まれたら、どうしようもないのか?とかですね。そうじゃないんだ!とかですね。なぜ人は、どうして学校に行けないのか?うまく仕事ができないのか?とか。そうしたことが14個のサンプルでよくわかるようになっていて。これ、すごいんで。これ作っている会社は現在、日本でもこれを撮影してるんですよ。

(山里亮太)えっ?日本人のバージョンですか?

(町山智浩)日本人の子どもたちをピックアップして撮影してるんですよ。イギリスの映画会社が。日本では知られてないですけど。これ、日本がやるべきなんですよね。これ、各国がやるべきなんですよ。生まれたところとか場所とか環境が違う子たちが、どう育っていくかを記録することで、社会をどうしたらいいか?っていうことを政府が考えられますよね。

(赤江珠緒)たしかに、そのスパンで見るってこと、なかなかないですよね。

(町山智浩)ないんですよ。っていうのは、毎回政治家とか政党が変わってったりしていって、どんどん政治状況とか政策は変わっていくからなんですよ。縦軸で追っていかないからなんですよ。その時、その時なんですよ。政府のやり方っていうのは。だからこれは、政府をこえた機関がずーっと撮り続けるべきなんですよね。

(山里亮太)それをでも、日本でもやっている。

(町山智浩)日本でも一応イギリスの制作局が日本でも撮っているらしいですね。

(山里亮太)へー!いつぐらいから?もう何才くらいになってるんですかね。その子たち。

(町山智浩)いや、撮り始めたんで、そんなにまだたってないです(笑)。

(山里亮太)始めたばっかりなんだ。

(町山智浩)はい。でもこれ、社会的に必要なんでやった方がいいと思うんですね。で、このボーイフッドの方に戻ると、ボーイフッドの方は普通の子を主役にした普通の子の生活っていうのを描きたいって言って始めたんですけど、やっぱり場所がテキサスだからちょっと違うんですよ。

(山里亮太)ほう。

(町山智浩)たとえばイラク戦争になると、お父さんのイーサン・ホークはイラク戦争に反対なんで、『戦争反対!』とか言っているとテキサスの人たちは『なに言ってるんだ、この非国民!』とか言って。周りの人に怒こられたりするんですよ。それとか、この男の子が中学生から高校生になる時に、おめでたい!っていって。おじいちゃんがプレゼントをくれるんですけど、プレゼントはショットガンなんですよ。

(山里亮太)銃だ。

(町山智浩)そう。これはリンクレイター自身がそうだったんですって。テキサスの子どもは銃が持てる年になると、みんな銃をもらうらしいんですよ。誕生日に。これはやっぱり銃社会。しょうがないですね。本当に。

(赤江珠緒)子ども用の銃が売ってるんですもんね。

(町山智浩)そう。それで裏庭で子どもに銃を撃たせるんですよ。だからそういう社会なんで、これはどうしようもない。これはテキサスならではだなっていうところが出てくるんですけどもね。でね、この映画やっぱり奇跡的に上手くいってるんですね。さっき言ったように途中で子どもがグレちゃったり、やる気をなくしちゃったりしたら終わっちゃうし。病気したりしても、たぶん撮影は続かないんですね。

(赤江珠緒)そうか。そうですね。

(町山智浩)だからすごく偶然上手くいっていて。あと、やっぱりこれね、子どもが大きくなっていくのは当たり前なんですけども。これ、残酷なのはお母さんとお父さんも年をとっていくんですね。

(赤江珠緒)あ、それはそうですね。

(町山智浩)最初は30代はじめで若々しいんですよ。2人とも。パトリシア・アークエットなんて、その頃まだセクシー女優でイケてた年なんで。ところがそれが最終的には、最後は46・7になっていくんですね。するとやっぱりみんな、どってりとしちゃうんですね。

(赤江珠緒)わー、じゃあ年月みたいなのも、すごく感じますね。

(町山智浩)そう。首の、顎の下に肉がついたりとか。イーサン・ホークとか、顔シワシワになっちゃって、最後の方は。で、やっぱり白髪が入っていくんですね。で、こういうものっていうのはハリウッド女優とかハリウッド俳優の人は自分が年とったことを隠しているじゃないですか。いっぱいメイクしたり整形したりして。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)そうじゃなくて、1本の映画の中で見せられるから。結構残酷なんですよ。トム・クルーズ、すごい若い感じですけど、僕と年おんなじだけど。でも、やっぱりトップガンの頃と比べると年とってるんですけど。でも、比べないとわからないですよね。でも、これ1本の映画の中だから、すごくわかっちゃうんですよ。

(山里亮太)撮っていれば如実にわかるわけですからね。

(町山智浩)そう。残酷さがまたね、これはすごい。いろんな意味で実験的でもあるし、すごくしみじみとね、誰にでも感動できる映画でもあって。両方をいっぺんにやっているところがすごいなと思いましたね。

(赤江珠緒)これはリアリティーありますね。

(町山智浩)あと、これと同じことをやろうとした日本の監督もいるんですよ。実際に。昔。あの北の国からの倉本聰さんがですね、脚本じゃなくて監督もやったことがあるんですよ。昔。で、北の国からの蛍ちゃん。中嶋朋子さんを主演で、彼女が9才から14才に育つ間にずーっと映画を撮り続けてたんですよ。倉本聰監督が。

(赤江・山里)へー。

(町山智浩)これ、『時計』っていう映画でね。『時計 Adieu l’Hiver』っていう映画だったんですけども。これ、お父さんとお母さんがフィギュアスケーターで、中嶋さんをなんとか9才からですね、フィギュアスケーターにしようとする話をずっと。本当にフィギュアスケーターになることを期待しながら撮影していた映画なんですよ。でも、失敗したんですよ。これは。

(山里亮太)えっ?なんででしょう。

(町山智浩)フィギュアスケーターになれないですよ、誰も。そう簡単に。期待しすぎたんですよ。監督が、中嶋さんに。だから非常に、出演者にとっても心に傷が残る結果になって映画が終わってるんですね。時計っていう映画は。

(赤江珠緒)そんな本気でフィギュアスケーターに?

(町山智浩)やろうとしたみたいですね。

(山里亮太)最後、じゃあそういう悲しい結末で終わってるんですか?この時計っていう映画は。

(町山智浩)結構重い結末で終わってるんですよ。この映画。で、このボーイフッドの成功したのは、行き先を決めなかったことなんですよ。それは子どもが自分で決めることってことですね。

(山里亮太)集まった時に話し合って、こういう風な考え方だったら、こういう風に今年はやっていこうと。

(町山智浩)そう。それに従って監督が撮っていったんですよ。監督が決めていかなかったんですよ。だからこれ、どうなるかは主役の男の子が実際に選んだようになるんですけど。この映画の終わりは。だから、子どもが親の進路を決めちゃいけないんですよね。やっぱりね。

(赤江珠緒)あ、親が子どものね。

(町山智浩)親が子どもの、ですね。間違いでした(笑)。

(赤江珠緒)いま、すごい大事なところで。町山さん。

(町山智浩)すごい大事なことを言おうとしたのに、間違いました(笑)。そういうところも、シナリオが最初に決まってないということで(笑)。

(赤江珠緒)(笑)。そうそう。うちも決まってないですからね。

(町山智浩)という映画がボーイフッドでした。はい。日本でもたぶん公開されると思いますけど。まだ決まってないです。公開日は。

(赤江珠緒)ありがとうございます。今日は撮影に12年かけて少年の成長を描いた映画、ボーイフッド 少年時代というね、ことでございますけども。ご紹介いただきました。町山さん、ありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どうもでした。

<書き起こしおわり>

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