町山智浩『英雄の証明』を語る

町山智浩『英雄の証明』を語る たまむすび

町山智浩さんが2022年3月29日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でアスガー・ファルハディ監督の映画『英雄の証明』を紹介していました。

(町山智浩)それで今日、紹介する映画は今週末公開の映画で。その『セールスマン』を撮ったアスガー・ファルハディさん監督の新作で。『英雄の証明』っていう映画なんですけども。これ、イランでは借金をして、その借金が返せないと刑務所に入られちゃうんですよ。で、主人公のラヒムっていう男は莫大な借金、400万ぐらいの借金をして返せなくて刑務所に入れられちゃうんですけど。ところが、たまたま彼が保釈された時にお金を拾っちゃうですね。お金が入ったバッグを。「これで借金を返そう」と思うんですけど、やっぱり息子がいるんで。息子の前で悪いことをしたくないっていうことで、張り紙をいっぱいして。「お金を落とした人、僕が持ってます」って言って落とし主を見つけて返すんですよ。

で、それがテレビのワイドショーとかで「素晴らしい男だ、英雄だ!」とされて、彼がスターになっちゃうんですね。それで「代わりにお金も返してあげましょう」って寄付も集まったりして。それで、その刑務所からも出れることになったり、新しい仕事が見つかったりするんで彼は「やった!」と思うんですけれども……そうすると、最初に彼にお金を貸した、別れたカミさんのお兄さん。義理の兄が来て、「離婚はするし、金は返さないし。なんだ、こいつは? どうせお金を拾ったっていうのも嘘だろう?」って言って、ネットにそれを書き込んで。そこからネットで「あいつは嘘つきで偽物の英雄だ」っていう噂が広がっちゃうんですよ。で、主人公の彼は自分が本当にお金を返した英雄であることを証明しなければならなくなる。息子のためにも。それが『英雄の証明』っていうタイトルの意味なんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうですか……。

(町山智浩)それで実際は何も悪いことをしてないし、本当にお金を返しただけなのに、やっぱりそのネット世界で大変な嘘つきの悪者という風に仕立てられていくという……。

(町山智)怖いですね。その作られたイメージっていうのはどちらにも……黒にも白にもあっという間に変わってしまうというのが怖いですね。

(町山智浩)変わっちゃうんですよ。もうみんな、無責任な噂だったりをするわけですからね。っていうイランの映画にもかかわらず、世界中どこでも起こりうる、ものすごい怖い話を描いてますね。

(赤江珠緒)なるほど。それが『英雄の証明』。

(町山智浩)はい。素晴らしいがなんでぜひ、ご覧ください。

(赤江珠緒)『英雄の証明』は4月1日から公開でございます。

『英雄の証明』予告

<書き起こしおわり>

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