渡辺志保が語る フレンチ・モンタナ『オチョシンコ』の本当の意味

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TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』のUS HIPHOP歌詞特集でフレンチ・モンタナの『オチョシンコ』の歌詞を解説。NFLプレイヤー、チャド・ジョンソンの名に由来する『オチョシンコ』の本当の意味とは・・・?ヒップホップライター渡辺志保さん、ライター・翻訳家・評論家の小林雅明さん、DJヤナタケさんと宇多丸さんが語っていました。


(渡辺志保)ちょっと私もですね、1ネタ用意してきておりまして。フレンチ・モンタナ(French Montana)というですね、パフ・ダディというヒップホップ大富豪がいますけど、パフ・ダディのレーベルにいる若い、フレンチ・モンタナというラッパーがいるんですが。彼がですね、去年『Ocho Cinco(オチョシンコ)』という楽曲を発表したんですね。



(宇多丸)オ・・オチョ・・・?

(渡辺)オチョシンコ。

(宇多丸)オチョシンコ?

(渡辺)そうです。オチョシンコは、スペイン語で『8』と『5』という意味なんですよ。で、オチョシンコって何の名前かって言うと、これ人の名前でもあるんですけど、アメフトの選手でオチョシンコ選手っていうのがいるんですよね。オチョシンコ選手、本名はチャド・ジョンソンなんですけども、自分の背番号が85だったので。

NFL選手 オチョシンコ・チャド・ジョンソン



(宇多丸)ははー。

(渡辺)で、85はちゃんと(スペイン語で)違う言い方があるんですけど、ちょっと脳みそが足りなかったのか、ハチゴーっていう。お前、それハチゴーだよ?っていう感じなんですけど、自分の名前をわざわざオチョシンコに改名した選手がいる。それがまずヒントになってるんですけども、なぜこの曲がオチョシンコというタイトルかと言うとですね、オチョシンコ選手が去年、DVで逮捕されちゃったんですね。

(宇多丸)うんうんうんうん。

(渡辺)で、そのきっかけがですね、奥さんが、オチョシンコ選手が買ったコンドームのレシートを発見しちゃったんですよ。で、『あんた、これコンドーム買ったって書いてあるけど、誰と使ってんのよ!?』ってことでケンカになってしまって、オチョシンコ選手が奥さんに頭突きしちゃったんですね。

(宇多丸)ほー。

(小林雅明)ここ、覚えておいてください。

(渡辺)頭突き。

(宇多丸)これ、大事。頭突きね。奥さんに逆ギレして頭突き。これ大事。

(小林)あ、頭突きの動きです。頭の動き。

(宇多丸)あー、OKOK。なるほど。

(渡辺)そうなんです。で、頭突きしたら奥さんが警察に通報して、お縄になってしまったというようなストーリーがあって、このフレンチ・モンタナのオチョシンコという曲があるんですけども。なので、そういう事件がありましたので、アメリカ国民のごく一部の間では、オチョシンコ選手=DVで捕まった、オチョシンコ選手=頭突きで奥さんにケガをさせたっていう意味が。そういうバックグラウンドがありますので、オチョシンコ=頭突きなんですね。で、頭突きというと、たとえばヒップホップの曲、まあロックでもそうですけど、頭を振ってヘッドバンギングする。

(宇多丸)首をこう振る動き、ありますね。ノリがね。

(渡辺)イコール・ノリノリだぜ!っていう。『お前ら、もっと乗れ!』っていうことで、『オチョシンコー!』っていうんですよ。

(宇多丸)あ、そうなの?その頭突き事件以降だよね?

(小林)これで終わらないです。この後が・・・

(渡辺)この後、もう1個ありまして。で、そのヘッドバンギングで頭を振る。もう1つ、頭突きの動作、これを女性限定なんですけども、女性が頭突きをする動作を・・・しかも頭に突くのではなくて、あれですね。社会の窓あたりですかね。

(宇多丸)要は、女性はあれですかね?ちょっとひざまずいて、ちょっと・・・

(渡辺)そうですね。男性は立っているだけで。それで、頭突きをする動作。まあ・・・

(宇多丸)ま、フェ◯チオですよね!

(渡辺)お口のご奉仕なんですけども。それもオチョシンコと言うようになった。

(一同)(爆笑)

(宇多丸)あ、あの渡辺志保さんね、言い換えた方が卑猥になってますよ!『お口のご奉仕』なんて・・・まあ、それがオチョシンコ的動き・・・女性の場合はオチョシンコ、そういうアレになる。

(渡辺)はい。なので、この曲も『お前ら、頭振って首振って盛り上がれ!』という意味と、『いい女にオチョシンコさせろよ!』っていうののダブルミーニングを持った歌なんですね。

(宇多丸)なるほどねー。

(渡辺)で、結構都内というか日本でも、このオチョシンコが浸透してきているのか、私もこの間、渋谷のクラブに遊びに行って、オチョシンコかかったらベルト外しだした男の子がいて・・・(笑)。『わかってんなー、コイツ!』みたいな。

(宇多丸)わかってる・・・わかってるけど、誰がやってくれるんだよ!っていう。待ってたらしてくれんのか?っていうね。

(渡辺)ハーイ!っていうね、奇特な女子がいるかもしれないですけど。

(宇多丸)逆にわかりすぎてるっていうね。あ、そうなんだ。へー。

(渡辺)そういうことがあったり。

(宇多丸)あ、いいですね。それ。やっぱり下世話な感じ。ヒップホップの週刊誌感覚な感じね。

(渡辺)そうですね。私もこういうの、本当に大好きなんで。

(宇多丸)動きと一致してるのがいいな。これな。有名人のそういうスキャンダル、ゴシップをネタにするだけではなく、それが新たなヒップホップの流行りに、動きに。

(小林)嬉しそう!

(宇多丸)その、たとえばマーシーが盗撮・・・盗撮の動きじゃねーし・・・ミラー、んんー・・・

(小林)そういうことですね。

(渡辺)だから奥さんが不倫して男を家に連れ込むみたいな、そういうことをタレントさんの代名詞で『矢口る』みたいな、そういう。だから女の子が『矢口る』みたいな曲を出して・・・

(宇多丸)全然いいよね!

(渡辺)そう。全然アリなんです。

(宇多丸)で、その時に、矢口さんすいませんね。出せば、そこでしか通じないニュアンスみたいなのがやっぱり楽しい。

(渡辺)で、それが爆発的ヒットになるっていうようなことがありますから。これも、大の男が4人5人集まってマイクリレーっつって、バースごとにいろんな人がラップしてるんですが。もう本当、見事なまでにみんな、お口のご奉仕してもらってその時、いかに気持ちがいいか?っていうのを、ひたすらラップしてるというような、すごく秀逸な曲なんです。

(宇多丸)オチョシンコ。あ、そうなんだ。

(DJヤナタケ)秀逸な・・・

(小林)秀逸かどうかは・・・

(宇多丸)いや、だけど下劣だけどよく出来てるよ!これ、いいな。オチョシンコ、知らなかった。ああ、そうなんだ・・・

(渡辺)是非これも、ググってみてください。

(宇多丸)(笑)。でもこれは、やっぱり曲だけいきなり聞いても、文脈ね・・・

(渡辺)そうなんですよ。だからサビの部分もひらすら『オチョシンコー!』って言ってるだけなんですね。だからこれが、私もオチョシンコって最初何のことやらわからなくて、ただ響き的にスペイン語だなっていう。そこでだんだん調べて行ったわけなんですけど。そしたら、こんなバックグラウンドがあったというですね。

(宇多丸)なるほど。

<書き起こしおわり>