東野幸治『THE SECOND』を振り返る

佐久間宣行 制作者目線で見た『THE SECOND』の素晴らしさを語る 東野幸治のホンモノラジオ

東野幸治さんが2023年5月26日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオ』の中で司会を務めた『THE SECOND』を振り返っていました。

(東野幸治)『THE SECOND』、お疲れ様でした。いえいえ、どういたしまして。東野幸治のホンモノラジオ! どうも、こんばんは。東野幸治でございます。今夜も1時間、お付き合いしてください。私の話を聞いてくれるのは、この方。

(渡辺あつむ)渡辺あつむです。

(東野幸治)よろしくお願いします。いや、無事本当にザセカンド、終わりました。お疲れ様でしたでした。やから、別に家に帰って見てるわけでもないからなんか、わかってるようで、わからんし。で、だから出演してくれた漫才師の皆さんの意見であったりとか、世の中の意見とかをね、総合的にネットでピラピラピラピラ、チラチラチラチラ見てると、なんかやってよかったな、よかったな、楽しかったなっていう声が非常に多かったんで。まずはね、一安心というか、よかったかなとは思うんですけれども。あつむくんはご覧になりましたか?

(渡辺あつむ)はい。録画で拝見しました。

(東野幸治)あれ、だからなんか本番前とか、ちょうどだから先週の土曜日、『THE SECOND』が19時から23時すぎぐらいまで、4時間強の生放送で。コンビ組んで16年以上の漫才師たちがエントリーして、8組残ってそこからのトーナメントっていうことなんですけれども。だから本番前とか、なんでしょうか? 1時間半ぐらい前にフジテレビに入って。で、ちょっとリハーサルして。で、大きいスタジオにちっちゃなカンペで。「やってくれたな!」と思いながら(笑)。

で、何となく普段眼鏡してるから。リハをやりながら。で、センターまでが遠いんです。だから漫才を見てる時の端っこでアナウンサーの宮司さんという女性のアナウンサーと僕、そしてアンバサダーの松本さんの3人がいてて。横から見てる状態。そこからもカメラでね、我々を映してるから。なんか「次の人はこの方です」とか「次の漫才師はこの方です」っていう振りがあるんですけど。我々と25メートル、30メートル離れたカメラの間のどセンターでカンペを出してるから。

まあまあ、一応眼鏡で何となく見えたんですけど。初めてですね。4時間強の生放送で。1回、楽屋に帰って。すごいあの距離が気になって。コンタクトを入れてもう1回、行きました(笑)。「見えるかな?」と思って。ディレクターもスタッフも「なんであいつ、もう1回来たんだ?」みたいな顔をしていたけども。「ちょっとチェックしたいんですよね」って言って見たら、まあまあ、ギリギリ見えるぐらいの感じ。

(渡辺あつむ)ギリ?

(東野幸治)ギリですよ。だから……。

(渡辺あつむ)えっ、一か八かでやってたんですか?

(東野幸治)やってた(笑)。

(渡辺あつむ)すごいっすね!

(東野幸治)いや、俺、そんなん言うたら、上をあがったらちょっとあれやし、どうしよう思うて。タキシードじゃないですか。タキシードの内ポケットに、普段使ってる眼鏡を差し込んで行ったろうかな思ったんですよ(笑)。ほんで始まって、「あれ、見えへんな?」と思ったら漫才中にコンタクトを外して眼鏡でやろうかなと思ったけど。やっぱりね、16年以上のね、一生懸命戦ってる人たちにこれは申し訳ないということで。1回、上がってやったわけですけれども。

で、スタンバイしてる間にだからいろんな……久しぶりに会う各プロダクションの人たちがみんな、出世していて。だから「東野さん、ご無沙汰しています」って言われたら、太田プロの社長になっていて。「ああ、ご無沙汰しております。日本テレビ、いましたもんね」みたいな話をしたりとか。あと、なんかスピードワゴンはホリプロコムかな? そういう、ホリプロさんの子会社みたいなところなんですけど。その方の、よく知ってるマネージャーの人の顔を見たら「東野さん、ご無沙汰しております。僕、今ちょっと代表になったんですよ」「そうなんですか」とか。

あとは、マセキのご存知、田村さん。ちょっと恰幅のいい『サンクチュアリ -聖域-』に出ててもおかしくない(笑)。卑怯な取り組みをしそうな……(笑)。「あ、おはようございます」って。でもあの人は言うたら外見はちょっと怖そうですし。横柄に見えがちやけども。でもあの人、意外と古くて。俺、1回ね、喉の声帯の手術したことあるんです。ポリープの手術。ちょっとさすがにもう声カスカスで。「これ、あかんな。1回、手術せなあかんな」って。入院してっていうので5日から1週間、休んだんですけど。

で、その手術もお医者さんが忙しいから、まとめて順番に手術するんですけど。俺の前、田村さんやったからね。だから一緒に順番に手術するっていう感じで。なんか意外としゃべったりするんで。「ああ、ご無沙汰してます」みたいなのがあって。で、吉本からはだから岡本社長もやってきて。「久しぶりやな」みたいな話をしつつ。

で、いろいろ考えたら渡辺プロダクションだけ、挨拶をなにもしてなかった。来てなかった? いや、わからん。超新塾とかは渡辺違うんかな? だからぐらいの感じで、言ったら始まったみたいな。その緊張の面持ちですし。で、そのルールの方もだから何となく、お客さんが審査するみたいなんが言われてたりとか。3点、2点、1点みたいなんとかもあったりとか。

「もうスタッフにいらんこと言うの、やめよう」

(東野幸治)で、最初、それも聞いたのも2、3ヶ月ぐらい前ですけど。今回、トータルで言うと本当に思ったんが「もうスタッフにいらんこと言うの、やめよう」思うて。だから、自分のキャリアとか経験とか……もう55歳、6歳。ほとんどのスタッフが年下じゃないですか。で、この『THE SECOND』っていうのをやるってことになった時に打ち合わせ来て、説明を受けた最初が「審査員なんですけども、お客さんにしようと思うんです」って。「ええっ?」って……(笑)。

(渡辺あつむ)威圧感、あるなー(笑)。ベテランの威圧感(笑)。

(東野幸治)「ええっ? 審査員、お客さんがやるんすか?」って。俺、全然知らんし。予選も始まってないし。こっちは55歳。今年、56歳になります。もうほぼ35、6年、言うたら業界の最前線で……(笑)。

(渡辺あつむ)おお、自分で言うた(笑)。

(東野幸治)もうこんなん、自分で言います。業界の最前線で戦ってきた男の勘ですよ? 「ええっ? お客さんが審査するんすか? 大丈夫っすか?」って(笑)。バシーン!って言って。「いや、ちょっといろいろ考えて」って。総合演出の日置さんっていう方が「いろいろ考えて、やろうと思うんですよ」って。「いや、もう引き受けたし、別に全然いいんですけど」みたいな。それが第一陣なんですよ。

で、また、その言うたらこの『THE SECOND』の本番前に何度か「こうなりました、ああなりました」って。すごい総合演出が真面目な方で、毎回楽屋いらっしてくれて。言うたらもう俺の中でね、「審査員がお客さんだ」っていうので、どうもそれが引っかかってたから。また次に来た時も、もうベテランの勘がね、もうアンテナがすごい張ってるから。「あれ、ほんまに審査員がお客さんって、大丈夫ですか? なんとか審査員を芸人さんにする方法を考えたら……」って(笑)。今、思えばね、総合演出、嫌な顔してた(笑)。

(渡辺あつむ)そらそうや(笑)。

(東野幸治)ほんで、でも「俺は別にルールとか、スタッフ皆さんが考えたことを一生懸命やるだけなんで、全然いいんですけど」って。「全然いいんですけど」言うてもグチグチグチグチ、ずっと言ってるのよ。で、また帰っていく。で、またしばらくして来たら、また違う報告みたいなのがあって。「東野さん、審査員なんですけど……」「ああ、考え直したんかな?」と思ったら、「終わってから、感想を求めようと思うんですよ」「やめといた方がいいでしょう?」って(笑)。

「ええっ? 素人は何を言うか、わかりませんよ?」って(笑)。いや、こっちもなんにもわかってないからさ。「いや、いろいろと実は予選でもいろいろ聞いていて。もちろん顔も映さないので。『どうかな?』っていう反対の意見もあったんですけども、やってみたらより、みんな真剣に審査をするから。コメントを求めるっていうのは、責任感も出るから、やりたいです」って言って。

「ああー」って。いや、いいんですけど。俺も「生放送でそんなの、大丈夫なんかな?」みたいなのが。で、いざ始まったわけじゃないですか。めちゃめちゃ良かった! フハハハハハハハハッ! 恥ずかしい(笑)。とにかく、恥ずかしい。あんまり総合演出の顔、見られへん買った。3回、4回、楽屋での俺の横柄な態度に……(笑)。

(渡辺あつむ)とんちんかんな審査、なかったですもんね。

(東野幸治)なかったし。ネットでいろいろ調べたら、なんかそういう審査するっていうことに対して、しゃべることによって集団心理で……だからお客さんじゃなくて、ちゃんと厳正に審査しなきゃいけないっていう気持ちになるみたいなことを大学で学んだ、みたいなことがその総合演出のインタビューかんなんかに載ってるのよ。それ、言うてくれたらこっちかて……自分、汚いな思うて。大学を出してくれたら、こっちも高卒やから。「ああ、さよか!」みたいな。こっち、知らんからさ。偏差値の低い普通科やねんから(笑)。「それ、言うてや!」みたいな(笑)。

ほんで、元テレ東の佐久間さんとかも「あの審査がよかったよね」って言っていて。「ええっ?」って思って(笑)。こっちも、立場がないというか(笑)。で、なおかつ後で聞いて。知らんかってんけど。そのそれぞれの座ってる……100人かなんか、審査員がいてて。その後ろにも200人ぐらいいてて。もう、すごい数なのよ。で、前の方にいてるっていう状況。後で聞いたら、その審査する人たちには総合演出の手紙が封筒に入っていて。「ありがとうございます。いい大会にしたいみたい思いがあります」みたいなんを言っていて。「えっ、それ、東野幸治と日置でやってや」みたいな(笑)。

(渡辺あつむ)乗っかるな、乗っかるな(笑)。

(東野幸治)いやいや、乗っかりたいやん? 「ああ、東野さんも同じ気持ちやねんな」みたいなのを後で見てくれたらさ……(笑)。

(渡辺あつむ)その「東野幸治」って書くことで、そのカードが信頼度がなくなるんすよね。「嘘っぽいな」って。

(東野幸治)「嘘っぽい」ってなんや?(笑)。ほんまに……「えっ、そんな風にやってんねや」とか。あとは、そのセットもいろいろ、試行錯誤したりとか。言うたら3点、2点、1点の見せ方みたいなのも、何あれ? なんかわからんけど、しゃれてるやん?(笑)。

(渡辺あつむ)あの色がね、違う時に。

(東野幸治)「おおおーっ!」みたいになって、なんとなく画面に釘付けみたいな感じじゃないですか。ってなって。ほんでそれも素晴らしいし。俺もやっぱり責任があるから。なんか、トーナメントをやるみたいな感じで。俺もね、一応意見を言うとかなあかんなと思って。打ち合わせの段階で「それはわかりました」と。

そういう風にして3点、2点、1点って。でも、トーナメントをしてるから8組、4組、2組ってなって決勝。だから「これ、1回勝ったら春の選抜高校野球みたいに抽選みたいなんにしたら、盛り上がるんちゃいますの?」って言ったら向こうはうんともすんとも言わなくて。恥ずかしかった(笑)。恥ずかしいわ! あながち、悪い意見でもないんやけどな(笑)。

(渡辺あつむ)出たー。会議で既にボツになっているやつー!(笑)。

(東野幸治)フハハハハハハハハッ! 言うてくれや! 「ああ、それは会議でボツになりました」って。なんか、俺がしゃべったらシーン……ってなるのよ(笑)。キョトーンってなって。「このおじさん、なにをしゃべっているの?」みたいな(笑)。

(渡辺あつむ)一番若手の作家が言うたやつー!(笑)。

(東野幸治)「いいじゃないですか? くじを引いて」みたいな(笑)。で、それもなくなり。で、ごくごく本当にシンプルな感じでっていう。なんだったら俺、もうトップバッターが金属バットで。金属バットって俺、面白いんやろうなと思ってて。1回、M-1グランプリの敗者復活かなんかで見たぐらいで。で、何となく芸風の感じとコメントぐらいしかわかってなかったけど。でもこんなね、言うたら16年以上の漫才コンテストのトップってやっぱり、トップには似合わん漫才のタイプやろうなと思ったら、めちゃめちゃ良かった。トップバッター、すげえ面白いなと思って。

金属バットが口火を切る

(東野幸治)あれでお祭りというか、『THE SECOND』が始まったし。なんだったら「4本、おもろいネタをあげなさい」って言われたら、そこに入るぐらいの素晴らしい漫才やなと思って。まあ、結果的にああいう風になったけど。で、やっていくうちになんかどんどんどんどん、なんでしょうか? 俺も準決勝までのネタを見てないから。「ああ、こんな感じなんだ」とか。

流れ星☆のたきうえくんは三四郎の漫才のことを「ニッチなフランス映画」って言っていたけれども。「ああ、そういうことね。たとえ、悪いわ! 言わんとしたこと、わかるけれども……」みたいな(笑)。「ああ、こういうことを言っててんな」とか、なんとなく全部が紐解かれていったりとかしながら。4時間強。で、松本さんもおっしゃってましたけど最終的にギャロップと囲碁将棋の戦いがね、もうハイレベルな感じで。

「実質、これ決勝やな」みたいな感じで、あれも同点になって。同点……だからルールブックみたいなんがあって。「こういう場合はこうです。ああいう場合はこうです」って。で、最終的に決勝もほんまに同点で。3点を出した数も一緒やったら、最終的には誰かに選んでもらって決めてもらうみたいな。そういうルールブックみたいなんがあって。それぐらい、ちゃんとルールブックも「こういう場合はああする」とかってなっていて。俺なんて、ピンと浮かんだのがもうじゃんけんであっち向いてホイとかさ。

(渡辺あつむ)最悪や……(笑)。

(東野幸治)誰が最悪や?(笑)。

(渡辺あつむ)地元にも帰るな(笑)。

(東野幸治)プラプラするよ! 京阪神(笑)。大阪と宝塚の間、プラプラして。川西あたりをプラプラプラプラ(笑)。いや、ほんまにだから全部、やっているのよ。すげえ……フジテレビ、なんかすごいなと思いながら。で、かたやマシンガンズのパンクロックのような、シド・ヴィシャスみたいな。演奏めちゃくちゃやけど、なんかすごい目を引くな、みたいな。なんかセックス・ピストルズみたいな感じで、上がってくるで。ギャロップが3本、ちゃんと3本、違うネタで。なんか上手な6分……もうこれぞ、浪速の漫才師みたいな感じで上がってきて。タイプが違う2組で決勝みたいな感じで。最終的にはギャロップが優勝ということで。

だから本当に第1回『THE SECOND』としては大成功のような感想ですし。なんか、みんなやっていてよかったなって。みんなも笑顔やし、なんかよかったな、みたいな感じはしたんですけど。どうでしたか? 三度くんは。

(渡辺あつむ)そうですね。4本ネタもええけど、6分ネタもええなって。

(東野幸治)なんかちょっと演芸場みたいな香りもするし。

(渡辺あつむ)さすがフジテレビ、演芸の局やなって。

(東野幸治)たしかに、そうですよね。なんかフジテレビにしかできひん感じですよね。

(渡辺あつむ)なんか、画面から伝わってくる感じもすごい、よかったですね。

(東野幸治)なんかお笑い好きの人のために、お笑い好きのスタッフが、お笑い好きのお客さんの前で、テレビの前で素晴らしい漫才の皆さんを紹介するっていうところでございます。その後、ギャロップの林くんが再婚を発表するっていうところで。で、ちょっと離れるけど、和牛の水田くんも結婚を発表するっていう。おめでたい続きですし。なんかこの『THE SECOND』を見て。オール巨人師匠が「来年、出ようかな」とか。ほんこんさんが火曜日、『マルコポロリ!』で会ったんですけども。「ええ大会やないか。出たなったわ」って。

「いや、無理でしょう? 板尾さん」「そやねん」「思い切って、言ってみたらどうですか?」「ほんまやな」って(笑)。出たそう。だから、そういう意味で言うとみんなが「出たいな」って思ってくれたっていうので。さすがフジテレビだなということで。なおかつ、もう俺ごときが意見なんて、ちゃんちゃら……(笑)。俺が意見を全部出してやった大会やったら、もうどっちらけやったわ(笑)。いや、本当に素晴らしい。

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