星野源『全日本ブレイキン選手権』を生観戦した感動を語る

星野源『全日本ブレイキン選手権』を生観戦した感動を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2023年2月21日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で『全日本ブレイキン選手権』を三浦大知さんと一緒に生観戦したことを紹介。現場で体感したブレイキンの素晴らしさや感動を話していました。

(星野源)僕の言ってないことっていうか、好きなもの。あんまり人に言ってなかったけど……っていう。これは「人に言ってもわかってもらえない」とか、そういうことじゃなくて。俺、なんか常々あるなって思ってるのが、「バックグラウンド趣味」というか。「バックグラウンド更新」とか、あるじゃん?パソコンの更新をする時に、更新をしながら他の作業もしたい時に、バックグラウンド更新っていうのを勝手にしておいてもらって。それで普通にパソコンいじるみたいな。

なんかそういう感じで、表で意識しないんだけどなんかずっと追いかけていて。「あれ? これ、趣味なんじゃね?」ってしばらく経ってから気付くものみたいな。なんか、その自分の趣味としてカウントしてなかったんだけど、よく考えたらものすごく、ずっと追いかけてるみたいなものってなんかあると思うの。そういうバックグラウンド趣味みたいなものが。

で、僕にとってそれが「ブレイキン」だったんですよ。で、ブレイキンって何だろう?って思う人もいるかもしれないすけど、違う言い方をすると「ブレイクダンス」。で、ブレイクダンスの正式名称って「ブレイキン」とか「ブレイキン」っていうんですよ。

で、僕は13年前ぐらいにブレイクダンスの動画にすごくはまって。そこからずっと定期的に追いかけてですよ。でも、何て言うか、趣味っていうには……自分がやるわけじゃなくて、単純に見るのが好きで。定期的に「ああ、そういえば」って思い出してチェックするみたいな感じだったんですよ。

だから自分が好きなものって、そんなに大きくカウントはしてなかったんだけど。「あれ? そういえばずっと追いかけてるな」と思いだしたんですよ。で、僕は最初、涼宮あつきさんっていうB-BOY、ブレイカー。ブレイクダンスを踊る人のことB-BOY、B-GIRL、ブレイカーっていうんですけども。B-BOYの涼宮あつきさんという人がすごく好きになって。その最初のきっかけは『B-BOY商店街』っていうイベントの映像なんですけど。それは、僕がすごく好きな『らき☆すた』というアニメ作品の『もってけ!セーラーふく』っていう曲があって。その曲で女の子たちがそのキャラクターの服を着つつ踊るみたいなシーンが、ショーケースみたいな感じなのかな? そういうショーがあって。

で、ダンスバトルイベントなのかな? そのシーンにMCの人が「参加したい人は参加して踊ってください」っていうことを言って。そこで、ネルシャツにたぶんバンダナを巻いた人が乱入して、完璧に踊りつつ……で、すごい沸くんですよ。急にオタクの人がワーッて入り込んできて、めちゃめちゃ踊るから。でも、踊るんだけど肝心なところは女性たちをすごい立たせるっていう。今でもたぶんね、バズってるんですよ。その動画って。すごい前の動画で。

で、たしかそれをそれを見たぐらいで……僕、その『らき☆すた』がめちゃくちゃ好きで。DVDを流してないと寝られない時期があったんですけど(笑)。そういうのもあって、そこから「ああ、この人はブレイクダンスの人なんだ」ってなって。そこからその人の動画とかを探すようになって、涼宮あつきっていう人がすごく好きになって。

【涼宮あつき】B-BOY商店街 vol.27

(星野源)で、そこからいろんな……その方がオタクの服装をしてるんですけど。実際にオタクでもあるんだけど。でも、世界大会とかにたくさん出てるB-BOYでブレイカーの人だったんですよ。で、いろんな大会で、ファッションはB-BOYなんだけど、振りでアニメの……かがみんっていう役があるんだけども。そのかがみんがオープニングで踊る、こういうダンスがあるんだけども。それをブレイクダンスの途中に急に入れてきたりとか。

なんていうかその、でもその時、まだアニメっていうものとか、オタクっていうものがまだまだ虐げられてるというか、社会的にまだちょっと言うのが恥ずかしい。「オタクだ」ということを表明するのは恥ずかしいみたいなのがまだあった時期で。僕はそういうのを「なんかしんどいな」と思ってたんですよ。音楽もそうだけど。でも、そういうのをぶち壊していく人たちというのがいっぱいいて。桃井はるこさんとか、いろんな人がいて。その涼宮あつきっていう人も、ブレイクダンスのその自分のステージの中で、自分の好きなものっていうのを織り込みながら。

そのインサイダーとして、インサイドからその壁を破壊していく様子みたいなのを見ていて、めちゃくちゃ興奮したし。でも、そのヒップホップ文化っていうものとか、あとはブレイキンの文化っていうものをものすごく大事にしているし。かつ、それを後輩だったり、いろんな人に広げていこうとする姿勢みたいなところもすごく好きで。で、追いかけていたんですよ。で、いろんな大会とか、いろんなブレイカーの人たちを知って。めちゃくちゃ面白くて。

でも、それはバックグラウンド趣味だったんですよ。で、今年、なんか自分がものすごくアクティブなんですよ。前にも言ったけど。去年がちょっとしんどくて、抑うつ気味だったんですよ。いろいろね、なんか世の中がしんどすぎてっていう。世界的にもね。それにちょっと当てられちゃってしんどかったんだけど。なんかそれがどんどん元気になってきて。「今年はいろんなところに行きたいな」と思った時に「そうだ! ブレイクダンスの大会、見に行きたい!」と思って。で、ブレイキンの全日本ブレイキン選手権にこの間の日曜日、行ってきたんですよ。

(寺坂直毅)ああ、そうなんですか。

(星野源)そう。で、行ったら、NHKで生中継されていたんですよ。

(寺坂直毅)そうですよね。

(星野源)で、僕は三浦大知くんが友達で。大知くんがブレイカーの人たちとたくさん共演もされているし、詳しいから。あと、アンバサダーっていう、そのブレイクダンスがパリ五輪の正式種目になるということで。それもあって、番組のサポーターみたいな形で参加されてたから。「なんか近々、見に行けるのでおすすめ、ありますか?」って聞いたら「今度、これありますよ。よかったら一緒に行きましょう」って言ってくれて。それで一緒に行ってきたんですよ。

(星野源)で、めちゃくちゃ面白かったんです。やっと生で見れたの。その、13年ぐらい越しに。で、着いたら大会がやってるんだけど。その大会が2時間ぐらいかな? 同時にNHKで生中継されるっていうんで。そのブレイキンのバトル部分と、その間の番組部分みたいなのがちょっと繋がっていたの。で、見ていたら……初めての試合で、すごい興奮して。めちゃくちゃ面白くて。「これ、面白いわ!」と思って見ていたら、次がMCの時間になって。「岡村隆史さんです」ってなって、その番組の司会として岡村隆史さんが出てきたの。
「あっ、岡村さんだ!」と思って。で、僕、岡村さんがその日、出ることは知らなかったの。で、生中継することも知らなくて。でも、カメラが入っているから、何かをやるんだろうなって思ってたぐらいなんだけど。「ああ、岡村さんだ」と思って。で、その岡村さんが番組の司会というか、いろんな立場で解説したりとか、いろんな立場でしゃべってる中で、オープニングで……岡村さん、服装がすごい素敵だったんすよ。

で、服装が素敵で、それをいじられるっていうか、「素敵ですね」って言われた時に、冗談でというか。岡村さんが「いや、なんかあったら、みたいなこともあるんですけど」みたいなことを言ったら、会場が「うわーっ!」って盛り上がったの。で、俺も「イエーイ!」って言って。盛り上がったんですよ。で、会場も声を出しても大丈夫だから。そしたら、岡村さんが上着を脱いでブワーッてステージに上がってきて、ブレイキンをしたんですよ。

俺、目の前であの岡村さんのダンスを見れるとも思ってなかったから、めちゃめちゃ感動してしまって。俺、その『めちゃイケ』のゴリさんと一緒にやったブレイクダンスの回が大好きで。もちろんダンスも好きだし、ヒップホップ文化も好きだし。あれを土曜の8時にやったっていうのはめちゃめちゃ偉業だし、かっこいいなってずっと思ってたの。で、その岡村さんが今でも、やっぱりいろんな人からリスペクトされてるし。でも、その岡村さんが「もう踊らない」みたいな感じのスタンスなんですよ。

でも、その会場の盛り上がりにブワーッと押されるように、割とすぐ。で、そのスタッフさんも目の前で「×、×!」ってやっていたの。「岡村さん、そのノリに乗らなくていいです!」ってやってたんだけど、岡村さんはもうサッと上着を脱いで、やったんだよ。バシッと決めて。それがめちゃめちゃかっこよかったんですよ。

岡村隆史のブレイキン

(星野源)なんかそういうのもあって、すごい楽しい体験だったので、初めて生で見て思ったのは、オリンピックの正式種目になるんですよ。なんだけど、それのオリンピックの時の試合形式はちょっと僕はどうなるのか、わかんないけど。今回の全日本選手権は赤サイド、青サイドにわかれて、いろんな選手がトーナメントで戦うんですよ。

で、DJの人がね、曲をずっとかけるんですよ。で、MCの人もいるんですよ。で、1人ずつ自分のターンで踊って、次の人が踊ったら1ターン。それを合計2ターンやって、その勝敗を決めるみたいなルールとか。また別のルールもあったんだけど。で、審査員の人がいて、その人たちが常にジャッジをしていくんですけど。すごく……改めて「そうだよな」と思ったけど驚いたのは、競技なんだけど、まずダンス、ブレイキンする2人が、私服なんですよ。服装は自由なんですよ。

で、それが自分のスタイルのひとつなんですよ。その服装だったりも自分を表現するもののひとつとして……だから決められたウェアとかじゃないんですよね。で、かつ、流れる曲を選手は知らないんですよ。DJが何をかけるか、わからない中でやるんですよ。わからない中でお互いに戦いながら、その場で……たとえばフィルが「タタタタタンッ!」ってあるとしたら、その「タタタタンッ!」に合わせて音ハメっていうのをして、フリーズしたりとか。そういうのを即興でやっていくんですよね。

それは知っていたんだけど、改めて生で見た時に、その1ターンごとにビートをDJの人が変えてくるんですよ。で、そのDJの人は1人でずっとやっているの。当たり前だけど、曲はポン出しでずっと流れるんじゃなくて、その場でスクラッチとかもするわけ。で、スクラッチしてそのスクラッチに音ハメをしたりするわけ。だからスクラッチだったり、その次のビートに切り替える時にビートがずれちゃうと選手に影響するわけ。だから、DJさんの責任がめちゃめちゃ重いのよ!

でも、その中でもチョイスする曲とかも、あるわけじゃない? で、BPMはそんなにさすがに変化はなかったんだけど。やっぱりその音ハメがしやすそうな曲とか、そうではない曲とかも、いろいろあってさ。かつ、ダンスする人たちが変わった時に、MCの人がそんな名前を言ったりするわけ。「○○!」とかって名前を言ったりするんですよ。

で、「ここは決まったぞ!」っていう時は「イエーッ!」ってMCの人が言ったりするわけ。それでお客さんもいいのが来た時。「かっけー!」ってなったら「うわーっ!(拍手)」ってやるわけ。俺、いろんなスポーツとか競技があると思うんだけども。「こんなに全体で作り上げる競技ってあるんだろうか?」と思って。だから、当たり前だけどDJさんがいなかったら成立しないし。MCの人がいなくても成立しないですよ。

もちろん、ブレイカーの人たちがいなくても成立しなくて。で、お客さんがいないと、たぶんもっと成立しないんですよ。その「イエーッ!」みたいなのがあっていいっていうか。だからなんか、そこのノリみたいな……お客さんへのアピールとかもあるし。そこで「これ、オリンピックになるの、めちゃめちゃ楽しみじゃない? パリ、行きたいんですけど!」って思って(笑)。それで1個、思ったのは岡村さんが出てるじゃん? なんでニッポン放送は協賛に入ってないの? 協賛に入ってたの、bayfmだったんですよ(笑)。

いや、そうそう。だから岡村さん、たぶんこれからオリンピックも含めて、おそらくガッツリ関わるじゃん? どう考えても。だからなんか、ねえ。と、思った(笑)。そう。やったらいいのに。まあ、それもまあ、いろいろあるのかも。もう既にラジオ局が入ってるから、もうダメだったりとかもあるんだろうけど。いや、そうそう。だからなんか岡村さんにダンスの話をするラジオみたいなのをやってもらいたいなって、勝手に思っちゃった。なんか。

やっぱりあの場でワーッて歓声がして踊る時のそのムーブっていうか。なんて言えばいいんですかね? もちろん、芸人さんの理屈のない動きっていうか……なんて言えばいいんだろう? それがでもたぶん、ダンサーだったり、ブレイカーとしての理屈のない動きっていうか。「もう、そうするでしょう?」って感じだったの。嫌々にやるとかじゃなくて。なんか、もうそうしますっていう感じの。

だからそのサイドの岡村さんの話みたいなのを……もちろんテレビでね、今後たぶんNHKがガッツリやってるから。だからたぶんお話されていくんだろうけど。それをラジオとかでも聞きたいなと思って。そうなんですよ。改めて……これはただの1視聴者っていうだけですけども。

ラジオでも岡村さんのブレイキンの番組が聞きたい

(星野源)だからなんていうか、いろんな動画もYouTubeにあふれていて。で、やっぱり「文化なんだな」っていうのをすごい思うっていうか。最初はその抗争があって。で、暴力で解決するんじゃなくて、ダンスでバトルしようっていうところから始まった。そのひとつの街で始まったものが、いろんな国……日本にまで来て。しかもそれを日本の中でずっと歴史を繋いできた人たちがいて。絶やさないように。その先輩たちとか、土地だったりとか、いろんなものをレペゼンして。リスペクトして。それを繋いでいって、繋いでいって、今があるっていう。

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