タモリと星野源 歌詞が埋没してしまうミキシング問題を語る

タモリと星野源 歌詞が埋没してしまうミキシング問題を語る オールナイトニッポン

タモリさんと星野源さんが2023年2月18日放送のニッポン放送『タモリのオールナイトニッポン』の中で最近の楽曲の歌詞が聞き取りづらいミキシング問題について話していました。

(星野源)どうなんですかね? 『オマリーの六甲おろし』、ラジオをきっかけに今、また知られて。CDでリマスタリングバージョンとかで出てましたよ。「音質を良くしてどうするんだ?」っていうのは正直あるんですけど(笑)。

(タモリ)音質といえばさ、俺だけかな? とは思うんだけども。最近のミキシングのやり方なんだけども。歌詞が聞こえないんだよな。あれ。

(星野源)ああ、なるほど。いろんな曲の、今現行で出ている歌のを?

(タモリ)それをCDで聞くと、歌詞がわかんないんだよね。楽器の中に埋没してるのがいいと思ってんのかね? 最近のは。これ、ミュージシャンの人に聞いてみたいんだけども。

(星野源)たぶん英語の曲に比べると日本語って、出さないと聞こえてこないんですよ。日本語で発声する時の周波数みたいなのと、英語で発声する周波数が違くて。英語ってパン!って抜けてくるっていうか。楽器が中にいっぱいあっても抜けてくるというのがミックスしていてあるんですけど。

(タモリ)うん。

(星野源)日本語だと、埋もれちゃうから突くっていうのが割と……だから日本の今の楽曲って、歌は大きいんですけどそ。れをコンプレッションでバーッと潰すじゃないですか。そうすると、その飛び出てた歌もギューッとなって。逆にその後ろの楽器の音がガーン!って上がってくるんで。それで埋没するっていう仕組みにたぶんなってると思うんですよ。いまだにやっぱりコンプレッションで圧縮して音圧を強くするっていうのが日本はまだまだあって。海外はそれがちょっと減ってきてんですけど。

(タモリ)ああ、そう?

コンプレッションで圧縮して音圧を強くする手法

(星野源)そうなんですよ。だから、それもあると思います。歌が小さくなってるっていうよりかは、まだまだやっぱり圧縮して届けるっていうのが多くて。あと、楽器数が多い気がしますね。

(タモリ)楽器数は多いね。でね、ある若いミュージシャンからマイルス・デイヴィスのカセットをもらったんだよ。で、「この世代がなんでカセットを聞くんだろう?」と思って。でも、他にも聞いてる人、いるんだよね。

(星野源)うんうん。今、いますよね。

(タモリ)で、「なんでカセットを聞くの?」っつったら「歌詞がよく聞こえる」って言うんだよ。つまり、性能が悪いから上の音とか下の音がちょっと減衰してて。それと同時にこの音声の幅の周波数が出てくるらしいんだよね。だから、歌詞についてやっぱり若い人もそういう風に思ってるんだなと思ってね。

(星野源)今、カセットテープも流行ってますしね。

(タモリ)流行ってるんだよね。カセットが。

(星野源)僕も工場に行って聞いたりしましたけど。なんか音圧……それこそCDとか、あと配信と同じようなものをカセットテープに入れると、やっぱり元々の音質がそんなに良くないから、飽和しすぎちゃって。あんまり音圧を突っ込めないんですよ。レコードもそうなんですけど。

レコードも音圧を突っ込みすぎると、レコードのギザギザ。針が乗るギザギザがなくなってきて。もうなんか全部ピターッみたいな聞こえ方になっちゃうので。だからたぶん元々の音圧がないミックスを使って、マスタリングバージョンを使ってテープに入れてるんだと思うんですよね。

(タモリ)ああ、そういうこと?

カセットやレコードはあまり音圧を突っ込めない

(星野源)それもたぶん、ちょっとあると思います。そもそも音が小さくて、それを拡大して聞くから、聞こえやすい。で、他の一般的なCDとか配信で流通してるのは、音を小さくしてても聞こえてくるように作ってるから全部がビチャーッと潰れて、聞こえにくいのかなって今、お話聞いていて思いました。

(タモリ)ああ、なるほどね。それは、どうなのかな? 歌詞が聞こえてこないっていうのはね。

(星野源)そうっすね。

(タモリ)これは俺、「意味がない方がいい」っていうと非常に矛盾してるんだけども。

(星野源)アハハハハハハハハッ! たしかに(笑)。意味はない方がいいけども、聞こえてはほしいですよね。何を言ってるのかは、聞きたいですよね。

(タモリ)聞きたいんだけどもね(笑)。

(星野源)たしかに(笑)。

<書き起こしおわり>

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