永野 50 Cent『Many Men』を語る

永野 50 Cent『Many Men』を語る 東野幸治のホンモノラジオ

永野さんが2022年12月30日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオSP~俺たちの洋楽紅白歌合戦~』の中で50 Cent『Many Men』を選曲して紹介していました。

(東野幸治)さあ、それでは永野くん。次の洋楽を。

(永野)これ、僕16年前ぐらいに聞いてたアーティストで。まあ50セントっていうラッパーなんですけども。エミネムとドクター・ドレーっていうエミネムのプロデューサーが「すげえやつ見つけた!」って。それで当時、鳴り物入りでデビューしたんですよ。

(東野幸治)その前にちょっとエミネムのすごさっていうね。その、白人のラッパーで、ピンでやってるっていう。衝撃的で。映画にもなったりとかしましたよね?

(永野)なりましたね。『8マイル』。もう、とんでもないですよ、エミネムは。

(東野幸治)何がとんでもないの?

(永野)僕が思うには、だからエミネムも言ってますけど。ロックで言うエルヴィスじゃないすけど。ロックって、チャック・ベリーであったり、元々は黒人のものを、黒人の歌い方で……最初、ラジオで聞いた人はエルヴィスを黒人かと思ったらしいんですよ。で、それ以来の……ラップも黒人のものじゃないですか。

(東野幸治)ああ、なるほど。はいはいはい!

(永野)それを白人の……。

(東野幸治)ラジオで聞いて、アフリカ系アメリカ人のラッパーが歌ってると思ったら、実は白人だったっていう。

(永野)そのぐらいの……声っていうよりは、その内容の激しさというか。それまで、白人ラッパーっていうと、ヴァニラ・アイスの『Ice Ice Baby』とかね、そういうちょっとナメられているものだったんですけども。エミネムはもう、その歌詞とか、リアルというか。もうすごい存在で。唯一なんじゃないですか? 白人で黒人も認めているラッパーって。

(東野幸治)で、それの次が?

(永野)で、そのエミネムが「すげえやつが現れた! こいつと早く契約しなきゃ!」っていうので、鳴り物入りで出てきたのが、50セントなんですよ。

(東野幸治)これは、ピンなん?

(永野)ピンの人で。それで、1回デビューしてたんですけど、シノギで悪いことやって稼いでいたから。1回、デビューしたんですけど、自分のおばあちゃんの家の前かなんかで密売だったり、なんかの関係で9発、撃たれたんですよ。体に銃弾が9発。本当に。

(東野幸治)セント兄さんが?

(永野)セント兄さん。

(東野幸治)嘘やん?

9発撃たれたセント兄さん

(永野)それで、危ないからって、契約していたレコード会社が離れて。で、1回、おじゃんになって……っていうところをエミネムたちが注目して。それで再デビューさせて。

(東野幸治)「こいつ、9発も撃たれた悪いやつやけど、歌を聞いて。めちゃめちゃええから」って。だからお笑い芸人で言うと「こいつ、金盗むし、博打好きやし、女好きやけど、めちゃめちゃおもろいねん」ってことでしょう?

(渡辺あつむ)(メッセンジャー)黒田くん。

(東野幸治)黒田くん(笑)。

(永野)黒田くんです。50黒田。

(東野幸治)いや、違う、違う(笑)。50セントやから(笑)。

(永野)それでこの人、撃たれたことで……喉というか、口の方も撃たれて。最初、デビューしようとした時と声質が変わっているんですよ。で、なんかこれって、理解しないとわかんない魅力なんですけど。モゴモゴ歌っちゃってるんですよ。で、僕は最初、音だけ聞いた時、がっかりしたんですよ、この人。「全然良くないじゃん」って。モニャモニャしてて。だけど、内容がそのギャングライフというか。9発撃たれたとか、もう激しすぎて。で、勉強になったのがやっぱりラッパーって上手いとかじゃないんだ。スキルとか。結局、経験なんだっていう。

(東野幸治)その、生きざまとか。だから、漫談と同じように言うのも失礼ですけど。その芸風というか、ネタの作り方というか。自分の自虐ネタなのか、自分の経験なのか。それか、だからちょっと持って行き方。ショートコントなのかとか。様々なのがありますけども。やっぱりラッパーっていうのは、自分の経験を。「この間……」みたいな。

(永野)もうニンというか。だから、これ歌自体は全然良くないっちゃ、良くないんですよ。だけど、たぶん自分英語がわかったら、衝撃なんだろうって思って。その、和訳を読んで。で、ちゃんと……ファーストアルバムの曲を今からかけるんですけど。セカンドアルバム以降、内容のクオリティーが落ちちゃって。「別に……」なんですよね。

(東野幸治)だから、第1部でも言うていたけども。パンクの人のね、初期衝動の歌詞というか、勢いっていうか、思いみたいなんで、すごくビッグセールスになって。それで金を稼ぐと、その次にじゃあ、どういう曲を作っていこうかみたいなところで壁にぶち当たるっていう。

(永野)そうなんですよ。だから、それで50セントは正直だから。ちゃんと、その「金もらった」みたいなことを歌って。でも、そんなの別にストリートのリスナーは興味ないじゃないですか。で、なんか人気も落ちてきて。今は俳優をやったりとかしますよ。50セント。でもね、その強烈な9発、撃たれた経験とか。普通の人間じゃないっていう、もうパンクに近いアルバムですね。そこからの曲です。

(東野幸治)わかりました。じゃあ、曲紹介をお願いします。

(永野)はい。50セントで『Many Men』。

50 Cent『Many Men』

(東野幸治)なんか不思議な感じ。

(永野)ちょっと「あれ?」って思ったでしょう?

(東野幸治)だからエミネムさんなんかは何回も聞いたことあるけど。やっぱりキレがあるじゃないですか。勢いがあるし、キレもあって。そんな感じでもないもんね。

(永野)なんか眠くなるでしょう?(笑)。

(東野幸治)そうそう(笑)。

(永野)小野リサさんみたいな……。ボサノバみたいな。

(東野幸治)いやいや、銃声を聞いたから。

(永野)だって「複数の男が殺しに来る」ってことですから。『Many Men』って。だけども、そのバックボーンを聞くとこの滑舌の悪さっていうのも、その1回撃たれたっていうことで。

(東野幸治)すごい世界やなと思って。それをまたネタにするっていう。

(永野)だから新しい聞き方を教えてくれました。音楽って気持ちよければいいって思っていたんですけども。なんか、そのバックボーンとかを想像して聞くっていうジャンルなんだな、ラップってって。

(東野幸治)なんか私小説じゃないけど。エッセイじゃないけど。「こんなこと、ありました」みたいな。だから、本に近いのかもわからないしっていう。そういうジャンルの音楽っていう。

(永野)サードアルバムには『I Get Money』っていう曲もありましたよ。全然売れなかったですけども(笑)。「アゲラマネー♪」って。「こいつ、下手くそだな?」って(笑)。

(東野幸治)それ、もう東北出身のタレントみたいになってるよ(笑)。

(永野)だから、東北の人かもしれないです。50セント。

(東野幸治)いや、違う、違う(笑)。東北出身やないから(笑)。

<書き起こしおわり>

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