東野幸治『THE SECOND』結成16年目以降の芸人の賞レースを語る

東野幸治 フルマラソンで感じた人間の嫌な部分を語る 東野幸治のホンモノラジオ

東野幸治さんが2022年12月23日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオ』の中で16年目以降の芸人が参加する新たなお笑い賞レース『THE SECOND』についてトーク。司会を引き受けた理由などについて話していました。

(東野幸治)あともうひとつ。なんとですね、今回『THE SECOND』という結成16年以上のコンビで競う賞レースの発表がありまして。ついに賞レースの司会をやることになりました。これ、本当に俺、「人の人生を左右する仕事だけは絶対にやってはいけない」って肝に銘じていたんです。邪魔したらダメじゃないですか。いらんこと言うたりとかね。だって、その漫才が終わった後、「いやー、ちょっと絡まってましたね」とか(笑)。

(渡辺あつむ)『あらびき団』を持ってきて。

(東野幸治)そうそう(笑)。『あらびき団』しかしたことないから。よかれと思って「絡まってたなー」とか「相変わらず面白くないですね」とかね、やったりすると、それはみんな人生がかかってるから。こんなん、絶対に足を踏み入れたらあかんと思ってたんですよ。それがだから今度、フジテレビで来年の5月ぐらいに結成16年以上のコンビで、タイマンで戦って勝ち上がっていくっていう。天下一武道会でしょう? ベテラン天下一武道会。無限地獄の始まりですよ。

やっとM-1グランプリが終わった。やっと自由に漫才できる。のんびり、自分のペースでできる。なおかつ、M-1を卒業して5年、6年やって。言うたら自堕落な生活してる漫才コンビ。それが急にこんな『THE SECOND』って言って。セカンドチャンスって言って。「誰がセカンドチャンス、ほしいんや? こっちはもう機嫌ようやってんねや」って思う方もいらっしゃるやん?

だから「やりたい」っていう人もおれば、「なんでこんなことを……じゃあこれ、毎年やらなあかんの? どうなの?」みたいな。まだ、どうなるかわからん。海のもんになるか、山のものになるか。審査員はどういう審査員が来るのか? もしくは審査方式自体、変わるのかとか、全くわからへんし。どういう風にして勝敗決めていくのもわからん中、「出ませんか?」っていうところ。で、お話を聞いて。いや、ほぼほぼ聞いてないです。

(渡辺あつむ)ええっ? いや、これね、東野さんのことをある程度知ってるお笑い好きは「えっ、なんで東野、受けるの? なんでこの仕事、やんの?」ってなってると思うんですよ。

(東野幸治)いや、せやねん。そうでしょう?

(渡辺あつむ)理由、聞きたいです。

おいでやす小田に言われたこと

(東野幸治)理由はほんまのほんま、2年ほど前にね、おいでやす小田になんかの番組の休憩中に言われたんですよ。ほんまに。吉本って若手芸人、中堅が順番に吉本の……だから急になんか闇営業騒動前後ぐらいから、吉本の幹部の人がメシを食べに行っているの、知ってます?

(渡辺あつむ)えっ?

(東野幸治)ああ、そうか。吉本から外れてますもんね?

(渡辺あつむ)なにを言うてるんですか? 所属してますよ! たしかに……契約にサインするの、芸人でケツ2やったらしいですけど。

(東野幸治)フハハハハハハハハッ! ゴネて、ゴネて、サインっていうね。いや、おたくらは知りはれへんけど。すいません。ごめんなさいね。あのね、いろいろと、言うたら吉本のね、経営陣も昔からなんか、最近思ったんかは知らんけど。言うたら、劇場で漫才したいとかね、そういう若手もたくさんいる。ほんだら、劇場を作らなあかんなとか。

聞いてる方もなんとなく、よくニュースで聞くけれども。テレビの視聴率が悪くなってきた。テレビ自体が家にない若い人がたくさんいてるとか。あとネットを見るとか、YouTubeを見るとか、たくさんいてから。テレビでゴールデン番組で冠番組を目指して、みんなこの世界に入って。ほんでそれでネタして、評価されて、テレビに出て。テレビで自分の番組やって、おもろいことやって。それで時間帯が上がってきて、ゴールデンになって。それで、なんかすごい人気になって。ほんで、「27時間テレビを僕たちの番組でやるぞ!」みたいなのがあったやん? そういうルートが。

でも、それがもうそうじゃなくなってきている昨今で。ジャルジャルみたいに自分らのYouTubeチャンネルでずっとやって。それで全然生活できるとか。東京03さんみたいに1年に1回、ネタを作る。それを東名阪とかでやる。ある程度入場料、グッズ販売、ほんでオンラインで、ネットで見れるような環境にして、たくさんお金を貰うとか。やり方がたくさん出てきた中で、その吉本興業としても、そういう話を拾い上げて、形にしていって。6000人とか7000人とか5000人とか、たくさんいる芸人、1人でも多くのタレントを食わしていこうみたいな、そういう会社の方針の中で、おいでやす小田。

元々、R-1で出れるはずが、R-1が急に芸歴制限をして出られなくなった。「どういうこっちゃ!」って怒って。ほんで、こがけんくんとユニットコンビ組んで、M-1に出て、爪痕を残した。その後、それでメジャーになったから、言うたら経営陣みたいな、偉いさんと食事会の時に「みんな、こんなんしてほしいとか、会社に要望ありますか?」っていう時に「劇場を作ったり、もっと漫才できる機会を増やしてほしい」とか「営業ほしい」とかっていう意見が出た中で、「15年以上とか、芸歴がもっと上の人も参加できるお笑いコンテストを作ってください」っていう風に言って。

「『漫才とか、コントとか、ピン芸とか。そういうコンテンツを作ってください』って言って直談判をしたんです。東野さん」「うん」「で、司会を東野さんでお願いしますって言うたんで、お願いします」って言われて「はあ?」ってなって。「はあ? 俺、一言もそんなん、言うてへんやん? いや、俺、そんなせえへんし」「いや、お願いします」「なんで俺なん?」「いや、今田さんはM-1グランプリ、ちゃんとやって。若手のためにやってくれてるんで。次は東野さんがそういうコンテストのMCやってください」「いや、なんでやねん? 俺はそんなん、せえへんねん!」っていう会話が頭の片隅に残ってたんすよ。

ほんで今回、2年後ぐらいにその話が来た時に「いや、それは無理やわ。そんなん……」って。それまでに何個か、そういう別の話をいろいろ聞いたけど、もう全部断ってたんです。「それは無理や。俺みたいなまともじゃない人間が、そんな人の人生を左右したあかんから断ってんねや」っていう中で、なんかこの芸歴16年以上のコンビの賞レースって聞いた時に、おいでやす小田の「おい、こらっ!」っていう顔が浮かんできた。「ああ、そういえば言われたな」と思って、魔が差したのよ(笑)。

(渡辺あつむ)ああ、理由?

(東野幸治)理由。魔が差したのよ。自分の考えにちょっと相反するというか。でも、それももしかしたら人が良くなってきたのかもわからへん。

(渡辺あつむ)あら! 娘さん、怒るやつや(笑)。

「魔が差した」

(東野幸治)なかなかええ人間になってきたのかもわからんけど。「じゃあ、わかりました」って。とりあえず1回やと思って。「ちょっとやらせていただきます」って言って司会を引き受けたっていう。これは本当の話なんです。っていうことですから。安心してください。僕は全然変わってませんから(笑)。

(渡辺あつむ)いや、でもちょっと……。

(東野幸治)ちょっと、だから「そうか。そういう歳になってきたんかな」っていうか。もうこの年齢からしたら、言うたら別に紳助さんはそもそも漫才に恩返しっていうのを……でも俺、漫才に恩返しする必要は全くないねんけど。っていうところですから。でも、最初に言うたようにこれを開催することによって、「いや、なんちゅう大会をやんねや?」って。で、参加せえへんかったら、なんかすごい嫌なやつみたいな感じもなったりとか。盛り上がれば盛り上がるほど、参加せえへんやつが俺の悪口、言うやん? コンテストと俺の悪口を(笑)。いや、もうそれはしょうがないなとは思って……っていうことでございますから。そういう意味で言うと落語もね、なかなかそういう落語の大きい……ほんはあR-1グランプリは落語の「R」なんでしょう?

(渡辺あつむ)そうなんですよ。

(東野幸治)気付いたらもう、裸芸のコンテストでしょう? ボディランゲージの……だから、落語家としてはあつむくん、三度で1回、出てるもんね?

(渡辺あつむ)はい。

(東野幸治)最後、違うの? 落語家で決勝に出たのって。

(渡辺あつむ)そうですね。僕とあと三遊亭とむくんっていう人と。

(東野幸治)ぐらいですもんね。その時も、あれですもんね。文枝師匠っていう自分の師匠がいながら、師匠の「おい、三度! 俺の着物、着ていけ!」っていうのが師弟の話じゃないですか。「わかりました、師匠! 師匠の着物を着て、R-1チャンピオンになります!」って。それで師匠の扇子を持ったりとかして。で、言うたら胸に刻んで舞台に上がって……って思ったけど。でも、もう1人の師匠。雨上がりの蛍原さんのアドバイス。「あつむはな、オレンジのものを身につけたらええねん」っていうのをひたすら信じて。当日もオレンジの着物で……(笑)。

(渡辺あつむ)はい(笑)。オレンジの着物、着ました。蛍原さん、着物とは言ってないですけど。最初、師匠に聞いたら「今年は審査員をせえへん」っていうことなんで。「ああ、着物とかそんなんも……ああ、俺、オレンジや」って(笑)。

(東野幸治)ああ、そうか。師匠がもうR-1は審査をやってるし。三度くんの時は師匠、おったの?

(渡辺あつむ)で、「師匠が審査員やったら、やらないです」って。師匠から「出ろや」って言われたんですけども「出ないです」って言っていて。でも、その年は「出ない」って聞いたんで。「おお、やった。師匠、おれへん。出よう! オレンジ、オレンジ!」って(笑)。いや、違う、違う(笑)。

(東野幸治)「師匠、師匠」や(笑)。なんで「オレンジ、オレンジ」や?(笑)。「蛍原さん、蛍原さん」って……いや、それがR-1やから。そういう意味で言うと、芸歴を省いたそういう大会みたいなんを……っていうのもね、ちょっと考えたりとかしながら。お笑いの底上げっていうところなんですか? ということでございますから。長々と『THE SECOND』の言い訳させていただきました(笑)。

(渡辺あつむ)魔が差したと(笑)。

(東野幸治)魔が差しました。申し訳ございません。

<書き起こしおわり>

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