博多大吉さんが2022年12月14日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で久しぶりに審査員として復帰するM-1グランプリについてトーク。決勝戦の曖昧な審査基準による審査の難しさについて話していました。
(博多大吉)でも、あれですよ。「文句を言わず」と言いながらね、まあ愚痴というか、一応もう予告になるけど。僕ね、審査ね、5年前に1回やっていて。その前にも1回やって。だから2回やって、つくづく思ったんですけど。M-1の審査って何が難しいか?っていうと、基準がないんですよ。審査に対して、決勝のみ。ルール無用なんですよ。すごくわかりやすく言うと。
(赤江珠緒)はい。
決勝のみ、ルール無用になる
?M-1グランプリ2022?
審査員はこちらの7名!#立川志らく#富澤たけし#礼二#博多大吉#塙宣之#松本人志#山田邦子
(50音順)?決勝は12月18日(日)
?午後6時34分から生放送!#M1 #M1グランプリ pic.twitter.com/ka7D10J86a— M-1グランプリ (@M1GRANDPRIX) December 11, 2022
(博多大吉)というのもね、1回戦からずっと準決勝までやってますよ。何千組も集まって。で、たとえばネタ時間に関して言うとね、1回戦は2分とか……1分とか2分とかで。それで、結局は「4分」っていう縛りのはずなのよ。
(赤江珠緒)最終的には、本放送では。
(博多大吉)そうそう。で、準決勝までは4分の時間制限で、4分を過ぎそうになったら舞台上でサイレンが鳴るんですよ。で、なんか強制終了とかあるんです。だから、4分以内にネタをどうするっていうのがあるんですけど。生放送は4分っていう決まりだけど、4分を超えたらどうだっていうペナルティーは特にないんですね。
(赤江珠緒)ああ、そうなんですか。じゃあ、実際のところは超えちゃってる場合もあるってことですか?
(博多大吉)まあ正直、生放送であんだけの大観衆の前で人生を懸けた戦いやってるから、伸びるんですよ。多少は。ただ、それをどこまで許容していいのか? たとえば4分10秒で終わった漫才と、4分30秒で終わった漫才って、絶対に4分30秒で終わった方が有利になるんですよ。
(赤江珠緒)まあ、そうか。もうひと技みたいな感じですもんね。
(博多大吉)もうひと技もあるし、それだけ間を取れるから、どんどんどんどんお客さんを巻き込めるんですね。一応これ、私現役の漫才師なんで。それは4分のネタより4分半のネタの方がいいし。4分半より5分の方がいいんですよ。で、たとえ4分で作ったって多少、伸びるっていうのはわかってるんで。そのへんはちゃんとね、考えますけど。にしても、どこまで伸びたらいいの?っていう。
(赤江珠緒)まあ、そうですね。でもやっぱり5分半とか行っちゃうと、ちょっとさすがに?
(博多大吉)それはもう、ちょっとルールが違くない?っていう。
(赤江珠緒)みんな、そこに合わせてきてね。その中で戦ってるのに、みたいになりますもんね。
(博多大吉)その縛りで……でも、それは決勝に残った皆さんの特権かもしれないし。
(赤江珠緒)そうか。時間だけでもそんなにちょっと、確実に明確なラインがあるわけじゃないんですね。
(博多大吉)だから僕はプロレスファンなんで。決してプロレスを批判する表現に取らないでね? ネットニュースを書く人たちも。準決勝までは総合格闘技のルールでやってるんすよ。めちゃめちゃ細かく、厳しく。「時間は1秒でも遅れるな」とか「下ネタとかやったらすぐ失格」とかなんだけども、決勝のみ、なんかプロレスみたいになって。カウントを入れるレフリーによってはほら、3カウントの早さが違うとかさ。凶器攻撃も見て見ぬふりするレフリーもいれば、もうすぐにアウトって言う人もいるしっていう。すごく曖昧になるのね。
(赤江珠緒)なるほど。
(博多大吉)このへんが、決まりがないんですよ。僕が前回、2回やらせてもらった時に最初に言われて。もう、それが最初で最後のABCさんからの審査員としてのアドバイスなんですけど。「1組目であんまり高い点数入れちゃうと、後半、厳しくなりますので、そのへんはご考慮ください」っていう、この一言だけなんですよね。で、「あとはおまかせします」なんよ。
(赤江珠緒)そうか。それもそれも難しいですもんね。本当に1組目がめちゃくちゃ面白かった場合ね。そんなわけにもいかないっていうことはありますもんね。
(博多大吉)まあ、理屈はわかるのよ。1組目で95点を入れちゃって。その後、ずっと1組目より面白いコンビが続いていたら、もう105点になるじゃない? 1点ずつプラスしても。だからその理屈はわかるけど、まあそのへんもあるし。あと一番思うのが、結局最終決戦って、敗者復活も含めて10組やった後に、3組が残るでしょう? で、3組のネタ見た後に優勝者をボタンで押すんですよ。で、この時に押す基準すら、実はないんですよ。
(赤江珠緒)うん? と、言いますと?
(博多大吉)言っている意味、わかる? 第1回戦でたとえばね、96点。予選トップで通過してきたコンビが決勝の3組に残って、92点の漫才をやりました。
(赤江珠緒)ああ、ちょっと前の方が面白かったな、みたいな。
(博多大吉)でも、予選を92点で通過してきたコンビが決勝で93点の漫才やりました。こうなった時に、僕は「1回目のネタが面白かったし、2回目はちょっと落ちたかもしれんけど、まあまあ、トータルで考えたらここでしょう?」と思って、ボタンを押したんですね。初年度、もうぶっちゃけた話。そしたらもう、いろんな人から「違うよ」って言われたんですよ。「あれは最終決戦のネタのみで決めるんだよ」って言われたんですね。で、「ああ、M-1って、そうやったっけ?」って思って。
(赤江珠緒)たしかに。見てる方もちょっと、合算的な感じで見てるところもありますけどね。
(博多大吉)「ああ、でも違うんだ。わかった、わかった」っつって次の年、もう1回やった時には前のネタは忘れて、最後のネタだけで決めたんですね。そしたらなんか、「なにしてんの? あれ? どこ見てるの?」って言われて。
(赤江珠緒)たしかに。ちょっとフィギュアスケートのフリーとショートと、ちゃんと合算する場合の試合なのか、それともトーナメント制みたいに前の試合で負けても、もうこっちで勝てばOKとか、なんか……そうですね。明確なあれがないんですね。
最終決戦の審査基準も曖昧
(博多大吉)「いや、なにしてんの?」って言われて。で、ややこしいのが、これを言われるのが普通のお笑いファンの方とか、芸人仲間とか、そういう人たちで。まあ言ったら、M-1に何の権限もない皆さんの声で。M-1の主催者側からはこれ、何も言われてないんですよ。もう「おまかせします」しか言われないの。
(赤江珠緒)ABC、そういうところがあるんですよ(笑)。
(博多大吉)これ、なんとかしてくれない?(笑)。
(赤江珠緒)ABCは「自由演技で……」みたいなところ、あるんですよね。
(博多大吉)だからもう審査する覚悟は決っててますし。もう、いろんなことを言わて当たり前だし。そこまでひっくるめてエンターテイメントだと思ってるんで。M-1というコンテンツだと思うんで、それは別に構わんのだけど……うーん。これはどうなんかな?って思う反面ね、まあプロレスファンだからこそ、思うんですよ。「だから面白いのかな?」って。終わった後に、いろんな人がいろんなことを言えるじゃない? 「なんであそこは優勝したんだ?」とか、「やっぱりあそこはもうちょっと上だったんじゃないか?」とか、いろんなことを言うまでが楽しみだから。あえて古い言葉ですけど、ファジーな感じにしてるのかな、とか。そんなことを考えながら、この1週間をすごしてますけどね。
(赤江珠緒)いいですね。ABCはファジー。うちの古巣はそういうところ、ありますね。
(博多大吉)だから一応、ラジオで言ったんで。たぶんABCの方も聞いてると思うんで。で、審査員って集められて……たぶんね、5年前と一緒なら、もう直前に集められて。そういう簡単な「ボタンはここを押してください」とか、そういうミーティングだけやって。もうとんでもない緊張感だから。さすがに私もそこで「すいません。審査基準なんですけど……」とかはちょっと言えないと思うし。
(赤江珠緒)あえて確認するというのもね。
(博多大吉)言えないと思うし。言っちゃいけないことなのかなっていうのはすごく思うんですね。
(赤江珠緒)それも含めて、お笑いに対して皆さんがどう捉えてるか、みたいなのも審査してもらう。もうその瞬発的な笑いをよしとするとか。
(博多大吉)だからもし、我々に伝え忘れてるだけで。もしくは僕に伝え忘れてるだけで、そういう基準がもし、あるのなら……ABCの方、聞いてますよね? 教えといてね! 絶対に!
(赤江珠緒)アハハハハハハハハッ! 決まってるんだったら、それは言っておいてほしいですね。
(博多大吉)決まってないんなら、なにも言わなくていいです。もう今まで通り、「お前たちに任せる」って言ってください。こっちはこっちで、それでやるんで。そこだけが心配点かな?
(赤江珠緒)ああ、そうですね。私の同期が今、制作に結構、携わってるんで。裏から電話で聞いておきます(笑)。確認しておきましょうか?(笑)。
(博多大吉)まあ、でもこれね、はっきりさせた方がいいのかな? どうなんやろね? 悩むところだね。
(赤江珠緒)そうですね。いやいや、こちらはもう本当にひたすら楽しみに見させていただきます。
<書き起こしおわり>