星野源と宮野真守 アニメ『女の園の星』アフレコを語る

星野源『女の園の星』収録と作者・和山やまとの対談を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんと宮野真守さんが2022年11月1日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で漫画『女の園の星』第3巻特装版に収録されるアニメのアフレコの模様を話していました。

(宮野真守)そんな中ね、アフレコを一緒にできるって僕、すごく嬉しかったんですよ。『女の園の星』。

(星野源)『女の園の星』の単行本3巻にBlu-rayディスク付き特装版が出るんですけど。それに収録されるアニメの声を2人でやらせていただきまして。

(宮野真守)ほぼ、2人で話してるような内容のお話だからね。

(星野源)もうほぼほぼ2人だよね。で、なんかやっぱりアニメーションの声の収録って、特にコロナ以降はそれぞれで録ることも多いみたいな話を聞いて。あと僕も今まで参加させてもらったアニメーションの声の仕事は結構1人で録ることが多かったそうですよ。だから「また1人なのかな」と思っていたら「マモちゃんと一緒です」っていうことで。「ああ、すごい。楽しみ」って思って。

(宮野真守)「絶対一緒にやりたい」って僕も言って。じゃないとね、作品も作品だし。その掛け合いの雰囲気が大事じゃないですか。あれを一緒に録れなかったら、その絶妙な間合いとかね、あるから。

(星野源)アニメーションの収録って、ボールドっていう印が出てきて。「星先生」とかって。で、そのタイミングでしゃべるんだけど。だからタイミングが決まってるとはいえ、リズムとかがね、また別で作られるからね。

(宮野真守)そうそう。そうなのよ。

(星野源)だからそれの通り、ガチガチにやればいいっていうことではないから。やっぱり隣に話し相手がいるっていうのはすごく……。

(宮野真守)空気を感じながらしゃべるっていうのは非常に大事で。

(星野源)収録はどうでしたか?

(宮野真守)いや、この人、すごいんですよ。この人ね、全部覚えてきたの!

(星野源)フハハハハハハハハッ! そうね(笑)。

(宮野真守)「ええっ?」って思って。声優のさ、アフレコ風景ってもうみんな、結構意外とテレビでも放送されていたりして。みんなイメージつくじゃないですか。マイク前に立って、基本左手でなんとなく台本を持って。それで前の画面を見ながら当てていくんだけど、台本に目を1回も落とさないの。俺、びっくりして!(笑)。

(星野源)やめて、恥ずかしいから(笑)。

(宮野真守)「あれ? 台本持っているのに、ずっと画面を見てる」っていう謎の状況があって。「あれ? もしかして星野さん、覚えてきたんですか?」「ああ、ちょっとね……」って。

(星野源)うん。覚えてきました(笑)。

(宮野真守)やっぱりアニメの間合いってテンポが速かったりとかするから。そのセリフの間合いに当てるのをたぶんすごい家でやってきたんだろうなって(笑)。偉いな!って思って。

(星野源)いやいや、なんていうか自分が役者として長いことね、演劇は中学ぐらいからずっとやってますから。なんか役者として活動している期間の中、やっぱり圧倒的に体の中にセリフを入れる時間の方が長いんですよ。読んで声を出してそれが収録されるいうってことより、脳とか体の中に言葉を入れて、キャラクターの中身みたいなのをグーッと想像して……とかっていうのが多いので。で、今回はほぼほぼ僕、ずっと1人でしゃべるみたいなのが多かったんですよ。星先生の中身でずっとしゃべっていたりとか。

(宮野真守)セリフ量、多かったよ。めちゃくちゃあったよ。

セリフを体の中に入れた方が楽しくできる

(星野源)だからこれは台本を読みながらしゃべるより、体の中に入れた方が楽しくできるかなと思ったんだよね。そのお芝居として、いろんな声優さんのインタビューとかを昔、読んだ時に元々の声優さん……今、もちろん全然違う人もめちゃめちゃ多いからあれなんだけど。大御所の方とかは元々、舞台役者で。そこから声優さんになった方とかもいて。「自分は俳優である」という意識でやってるっていうような方とかもいて。

だから、自分が声優になろうっていうような気持ちというよりかは、俳優であるっていうことの自分ができる範囲での役への近づき方みたいな、なんかそれの最大限みたいなことができたら一番いいんじゃないかなと思って。

(宮野真守)だから素晴らしかったんですよ。タイミングとかも逆に難しかったりもするじゃないですか。セリフを覚えちゃうと、それをパッパッパッて画面に合わせてキャラクターが切り替わっていっちゃうから。そこにノッキングが生まれたり……。

(星野源)ちょっと遅れたりすると、もう次の頭が来ちゃったりするからね。

(宮野真守)でも、その覚えたとかがすごいというよりも、それを覚えて、ちゃんとその世界に入って、あの星先生の間合いで……っていうのも体に入れてきてるんだなって感じて。

(星野源)ありがとうございます(笑)。

(宮野真守)いや、でもそれって声優としてすごく必要なスキルだと思っていて。別にそこに……あ、すごい真面目に語ってるけど(笑)。

(星野源)いや、でもね、マモちゃんの声優としての真面目なトークって僕、そんなに聞いたことなかったら、嬉しいですよ。聞けて。

(宮野真守)なんか、そのセリフを覚える。全部を一言一句、覚えるまではいかなくても、やっぱり必要なことだと思うんですよ。その間合いとかを全部、体に染み込ませて。で、セリフの流れを、もちろん台本は見てるけど、自分の言葉にちゃんとしてから現場に行くべきだと思っていて。だから、それこそ台本を読んじゃいけないわけじゃないですか。セリフになっちゃうじゃないですか。

(星野源)ああ、「ただ読む」っていうことをしちゃいけないってことね。

(宮野真守)自分のそのキャラクターの言葉にならなきゃいけないから。だから、ちゃんとその世界のリズムを染み込ませるっていうことを声優としてもやるべきだなって僕は思ってて。だから星野さんのその向かい方が、そこのハイブリッド感がすごくあって。そこがすごく、見ててすごいなと思って。面白いなと思って。

(星野源)あとはマモと2人で収録できるっていうのもあったので、たぶん間合いって変わってくるだろうなと思って。そのボールドが出るタイミングじゃなくなっていく可能性が高いし。で、自分が普段、芝居としてやってるのは、ただ掛け合いじゃなくて、相手がいて自分がしゃべるっていうのが基本で。相手によってもう180度変わったりする時があるわけですよね。それを、だからちゃんと覚えて体に入れると、その場でその人のリアクションで、その人が変わっていくことができるっていうか。僕の場合はね、ただ読むだけだと、なにか変わったことが起きた時にそれに対応できなくなっちゃうから。体に入れると、きっと有意義な時間になるかなと思って。

(宮野真守)僕もこれは持論なんだけど。そのアニメーションの表情とかも、声優が全然動かせると思っていて。

(星野源)そうだよね。

(宮野真守)笑ってる顔があったとしても、そこの裏の感情で泣いてるようにも見えるし。だからそれを、自分がその物語をしっかり読み解いて、その役を染み込ませて感じたことを監督だったり演出家に提示するべきだと思っていて。一緒に作っていくものだとも思うんですよ。なので、それをなんか僕は星野さんとこの作品をやらせてもらって、またすごく感じたし。現場で偉そうに「たぶんね、こういうところはこぼしちゃっても大丈夫ですよ」とか言って……(笑)。

(星野源)アハハハハハハハハッ! ああ、マモがね?(笑)。

(宮野真守)ちょっと先輩ぶって。「セリフとか、これね、合わせなくても全然大丈夫」って(笑)。「うん。全然ここはね、大丈夫だと思うよ。モノローグとかは全然、そのボールドに合わせなくても……」なんつって(笑)。

(星野源)そしたら、全部覚えてきてたっていう(笑)。

(宮野真守)そう。そしたら全部覚えてるの(笑)。台本、見てねえでやんの(笑)。

(星野源)いやいや、でも今まで、いろんなお仕事っていうか……言い方が難しいな。基本的には自分が頭を張る現場にマモに来ていただいて「よろしく!」みたいなことが多かったじゃない? で、いろんなお仕事を一緒にさせてもらったけど。いわゆるマモちゃんがずっと職の場としてきた場所、声優さんの現場に僕がお邪魔するっていうような形が初めてだったから、すっごい楽しみにしてて。だから今まで見たことのないマモの顔が見れるだろうなって。

それで、そうそう。びっくりしたんだけどさ。この作品の全体の尺が30分ぐらいだったんだけど。で、僕は今まで、映画アニメが多くて。それだと、2時間とか1時間40分とかだったりするから、シーンごとに録ることが多かったの。で、そしたら30分アニメ。毎週やるようなアニメのフォーマットで録ったんだけど、それって最初から最後まで、もうほぼ通して録るのね。それがもうめちゃめちゃ新鮮で、すごい面白かったんだけど。バーッと録った時に「ちょっとここだけ録ります」みたいなのがあったりするじゃん? その時は後ろでマモの芝居を見れるわけ。そうそう。そういう時間もすごい楽しかったですね。「なるほど、こういうアプローチなんだな」とか。「ああ、ここでポッケに手を入れるんだな」とか。

(宮野真守)ポッケに手、入れがち! やめてー!

(星野源)アハハハハハハハハッ!

(宮野真守)見てるー!

(星野源)いや、でもそれが役の人の心持ちに連動してる感じがあるのも面白かった。

(宮野真守)そうですね。僕はマイクの前で動きがちな人なんで。

(星野源)ああ、なるほど。

マイクの前で動きがち

(宮野真守)そうなんですよ。逆さに吊るされているようなキャラクターがいたりしたら、なんとか僕も逆さになろうとするんですよ。頑張って(笑)。で、やっぱり舞台とかもやってるから、体の形が声に影響して、実感のある音を……やっぱり僕は自分が経験してきたものを伝えられる声優かなと思うから。ちゃんとそれをやっていきたいと思うので。全部がだから僕はリンクして。面白いですよ。声優の仕事に全部、フィードバックできていて。

(星野源)本当に、ものすごく舞台もやられているじゃない? で、やる舞台、やる舞台が大変そうなのが多いっていうか。もう本当に動き回るというか。体力的にも、もうすごい疲れるんだろうな、みたいなのも多いし。

(宮野真守)声優なのに100パー、喉を飛ばしますからね(笑)。

(星野源)ああ、そうなんだ。舞台だとね。

(宮野真守)やっぱり、激しい舞台が多いので。

(星野源)そうなんだね。だから舞台を……僕、しばらくやってないですけど。やってる時も、喉を飛ばしてからが勝負みたいの、あるじゃない?(笑)。

(宮野真守)そうなんですよ(笑)。「おお、飛ばしたか。そこからどう見せるんだ?」みたいな(笑)。

(星野源)そうそう。「そこからどう行く?」みたいな。いろんな先輩を見てると、もう飛ばしてからどう持っていくか、みたいな。

(宮野真守)起こったこと全てを材料にするみたいな。

(星野源)誰も焦ってる人がいないみたいな(笑)。

(宮野真守)でも、頼もしかった。その時も、劇団☆新感線の舞台だったんですけど。予想しないところで声がヒュン!って本当になくなったんですよ。でも、それに対応しようとすると、逆に笑いが起きて。

(星野源)なるほど。体の動きだったり、間合いが変わって。

(宮野真守)そしたら共演者の人が「いやー、今日、あれ面白かったね!」ってなるんですよ。だから心配とかもあるけど、そこが成立してて、そこが面白いとスペシャルなんだなっていう。あれが生モノの面白さなのかなっていうのをすごい感じて。

(星野源)舞台の面白さ、すごくあるよね。しかも止まれないから。止まれない中で、脳みそがギューン! みたいな。

(宮野真守)そうなんです(笑)。「どうしよう、どうしよう、どうしよう?」って考えていたら、急に声が出てきたりするんですよ。自分の体がどうにかしようとして。で、急に歌えたりして。これも力になっているんだな。戦ってきたなって。

(星野源)だからすごいいろんな経験を積んでいる人だなって思いますよ。素晴らしい。

<書き起こしおわり>

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