R-指定さんが2022年6月20日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン』の中でスチャダラパー『アーバン文法』について話していました。
(R-指定)早速、ちょっと曲を紹介したいなと思うんですけど。ちょっとね、ここ水曜ぐらいから実は俺、体調を崩しちゃっててですね。
(DJ松永)ねえ。俺、最近知ったわ。しばらく会ってないなって思って。
(R-指定)そうそう。で、いくつか、梅田サイファーで行く仕事とかもちょっとお休みさせていただいたりとかして。楽しみしていただいてた方とか、申し訳ないんすけど。ちょっと家で休ませてもらって。でも、PCRとかしても普通に陰性やったりとかして。そういうわけではなくて。
(DJ松永)なんだったの?
(R-指定)普通にね、なんやろうな? 体調不良っていうか。体が疲れてたみたいな感じ。なんか風邪っぽい感じでもなかったし。熱もそんな高くはなかったけど、まあ普通にめっちゃしんどかったっていうか。そういうあれやねんけども。その間、家でゆっくりさせてもらってたんですけど。その時にずっと、スチャを聞いてまして。
(DJ松永)スチャを? へー。
(R-指定)スチャダラパーをずっと聞いてて。なんかね、すごい体が疲れている時、しんどい時にめっちゃフィットするんすよ。俺にはすごいスチャダラパーが。なんかめっちゃ激しい変なフロウをするわけでも、とんでもなく変わったビートなわけでもなく。なんかほんまにナチュラルな日本人の話し言葉で、ゆったりおもろい話をしてくれるっていう。それもラップという手法で。
(DJ松永)ああ、なんかすげえある部分でめっちゃわかる気がする。
(R-指定)俺、めっちゃ癒されるんすよ。
(DJ松永)めっちゃわかる気がする。なんか、それに代わる俺の何かがあるよね。めっちゃ言っていること、わかる。
(R-指定)疲れている時に聞きたいヒップホップというか。
疲れている時に聞きたいヒップホップ
(DJ松永)わかる、わかる。なんだろうな? 自分本来の好きなものとか、なんかこう、自分の……なんだろうな? 無理しない範囲の、なんて表現していいかわからないけども。一番本来の自分にフィットする何か、みたいな。自分の守備範囲というか。
(R-指定)フラットに戻してくれる……。
(DJ松永)わかる、わかる。そういうの、あるよね。音楽とか。
(R-指定)で、俺は結構それがスチャダラパーで。しかもなんか、ゆったり聞きながら、「いや、よう考えたらこの歌詞、めっちゃおもろいな?」とか。「おお、めっちゃすごいこと言ってんな、この言い回し」とか。「あれ、やっぱりこの人ら、とんでもなくラップ上手いよな」とか。いや、当たり前やねんけど。そういうのを思ったりするし。かつ、なんか聞いてて疲れへんというか。
(DJ松永)大事だよね。そういう音楽、持っておきたいよね。
(R-指定)グイグイ攻めてこないんですよ。スチャは。で、そのスーッと体に浸透していって。「なんや、今の?」みたいな引っかかりを残したり。「今の、いいな。なんか」みたいなんかがめっちゃ好きなんですけど。
(DJ松永)いいけど、全く消耗しないっていうね。
(R-指定)こっちが疲れないっていう。それで、めっちゃスチャを聞いてたんですよ。それこそ初期の作品から聞いてて。で、そういうおもろいテーマみたいなも結構あるんすけど。そんな中で、1回この番組でもね、すごい面白いテーマを扱ってる曲っていうので『ついてる男』っていうのを紹介したんですけど。普通にスチャの「ラップ、上手っ!」っていうやつを紹介したくて。それが『アーバン文法』という楽曲でして。
(DJ松永)出た!
(R-指定)めっちゃこれね、いいんですよ。『アーバン文法』っていうタイトル自体も超かっこいいし。たとえばネリーがお国言葉、自分の地元の言葉でラップして。それが方言、訛りまくっているのを『Country Gramma』って言ったみたいに。都会の、アーバンで育まれたラップの……。
(DJ松永)懐かしいな(笑)。
(R-指定)そうそう(笑)。その都会のアーバンなヒップホップの文法という意味で『アーバン文法』というのがあって。これ自体もそのスチャのイズムみたいなのをすごい表してて。ちょっと後でいろいろ紹介したいんですけど。そのBOSEさんの1バース目からすごい面白いのが「目上に敬語 目下に宇宙語 真下にデーンとアスファルト」みたいな感じとか。このBOSEさんのリリックのすごい好きなラインとかも……。
「ダジャレの救世主 降らす雨あられ 否定 断定 避けて未来形 意味とアヤ 両面待ちのライムページ」とか、超うまいこと言ってて。たしかにね、スチャっていい意味でも否定・断定……あんまり言い切らないっていう。なんか、聞いてる側に何かを残すっていう。で、最後に「押せ押せムードの中 引きの芸 唖然愕然伏線のさじ加減 伊達にやってねえぜ ウン年目」っていう超かっこいい締めなんですね。BOSEさんのバースが。ちょっとまずは聞いてもらいましょう。スチャダラパーで『アーバン文法』。
スチャダラパー『アーバン文法』
(R-指定)めっちゃいいんですよ。
(DJ松永)いや、もう本当にRがこの曲を選んだのがわかりすぎて(笑)。
(R-指定)ねえ。その話をしてましたよね。しかもやっぱり、なんかスチャは何回聞いてもおもろい発見とか……こんだけ1個1個の言い回しが手が込んでいるのに、こんなにサラッと聞けるのってすごいなって。それはANIさんもBOSEさんもはっきりと聞こえるけど、抜きで超ラップが上手いみたいなのが……やっぱり自然やなっていう。この自然さがやっぱりすごいいいんですよね。
でも、そんな中でも俺はさっきも言ったけど、そのBOSEさんの最後のバース。この『アーバン文法』っていうのはどういうことか、みたいなことを言ってるのが超かっこよかったな。「ことわざ 熟語 次々捏造 なけりゃ作るの変格活用」みたいなのとか。やっぱりね、そういうのが上手いよね。で、最後に「伊達にやってねえぜ ウン年目」って。
(DJ松永)『アーバン文法』って何年ぐらい?
(R-指定)これは……98年や。『FUN-KEY LP』に入ってるやつやから。いや、超いいのよ。
(DJ松永)すごいな。
(R-指定)しかも、そやね。最後のバースなんかもずっと「DNA」みたいなところの音で最後に「伊達にやってねえぜ ウン年目」みたいに。リズムをつけ方とかも実は超テクいのにそのテクさを見せないっていうこの大人の余裕なんですね。スチャは。勉強になります。
(DJ松永)いや、本当だね。
<書き起こしおわり>