町山智浩 ハンター・バイデン ウクライナ疑惑記事の信憑性を語る

町山智浩 ハンター・バイデン ウクライナ疑惑記事の信憑性を語る 町山智浩のアメリカのいまを知るTV

町山智浩さんがBS朝日『町山智浩のアメリカの今を知るTV In Association With CNN』Twitter限定動画の中でアメリカ大統領選挙、民主党候補のジョー・バイデン氏の次男、ハンター・バイデン氏のウクライナ疑惑についてニューヨークポスト紙に掲載された記事の信憑性を話していました。

(藤谷文子)ひとつ聞きたいんですけど。バイデンさんの息子さんのスキャンダルが出たって聞いたんですけど。これ、なんなんですか?っていうのと、そのスキャンダルってどれくらい痛いんですか?

(町山智浩)あれはね、ニューヨークポストっていう新聞に出たですけども。バイデンさんの息子のハンター・バイデンっていう人。この人がね、ウクライナで会社の役員をやっていたんですよ。ブリスマという会社なんですけど。そこの役員をやっていて。これはバイデンさんが副大統領だった時にやってたんですね。で、その時にこのブリスマという会社の顧問の人が「お父さんのバイデンさんに会わせてくれてありがとうございます」というメールを彼に対して送っていて。そのハンターくん、バイデンさんの次男に。で、そのメールが見つかったっていう記事なんですよ。ただ、これがなぜ出てきたのか?っていうことの方が今、問題になってるんですよ。

(藤谷文子)今、このタイミングが一番いいだろうっていうことなんですよね。

(町山智浩)もちろんです。「今、出すしかない。選挙だから」っていう。で、まずこの記事が出たのはニューヨークポストっていうところなんですけど。これはルパート・マードックという人が経営してるんですよ。この人はFOXニュースの総帥なんですよ。

(藤谷文子)ああー、はい。

(町山智浩)だからトランプや共和党を支えてきた人たちのグループの新聞なんです。このニューヨークポストに出た、その出方というのがすごく問題で。普通、バイラインと言ってその記事に対して責任を取る記者の名前が載るはずなんです。アメリカの場合は。日本は載らないですけども。でも、この記事はその名前が載らなかったんですよ。この記事に対してニューヨークポスト側が誰も責任を取らないという形。非常に奇妙な形で記事が載ったんですよ。

(藤谷文子)なんかもう、これ以上の証拠は掴めないけど今、出すしかないっていう感じですよね。

ニューヨークポスト側は誰も記事に責任を取らない

(町山智浩)そうそうそうそう。だから、そのニューヨークポスト自身がこのニュースの信憑性に自信を持てないっていう形で記事を出したんで。「これは怪しい」っていうことでえFacebookとTwitterがこの記事に関しての投稿を削除するという方針に出たんですよ。

(藤谷文子)へー!

(町山智浩)特にFacebookとTwitterはロシアの工作によっていっぱい偽サイトができて……2016年の選挙でロシアの工作を受けたんで。それでトランプ政権を勝たせるため、ロシアのプーチンからの工作を受けたんで。今回は非常に厳しく、そういうのを規制していたんですよ。要するに、この信憑性が非常に薄いから、メインメディアはこれに関して様子見なんですよ。

(藤谷文子)まずは裏が取れてから。誰が書いたかがわかってからっていうの。それがまあ、ジャーナリズムですよね。

(町山智浩)そう。それでこのEメールをニューヨークポストに持ち込んだ人っていうのは誰か?っていう話なんですけれども。これは、ジュリアーニさんなんですよ。

(藤谷文子)ああ、誰かは分かっているんだ。

(町山智浩)彼が持ち込んだです。で、ジュリアーニさんはトランプ大統領の個人弁護士なんです。元ニューヨーク市長ですね。で、ジュリアーニさんは実は去年の大統領弾劾の時、そのウクライナに対するトランプ大統領の圧力に関して工作をしていた人なんですよ。

(藤谷文子)じゃあ、ちょっと信憑は欠けるな……。

(町山智浩)信用できないですよ。ニュースを持ち込んだジュリアーニさん自身がそういう違法性の高い人たちと取引をしていたということが明確になっているんで、ちょっと怪しいっていうのと。さらにジュリアーニさんと一緒にそのニューヨークポストに持ち込んだもう1人の人がいて。その人はスティーブン・バノンなんですよ。バノン、またここで登場なんですよ。

(藤谷文子)あれ? 捕まってませんでした?

(町山智浩)この間、詐欺で逮捕されていたんですけども、いつの間にか保釈で出てきたんですね。で、彼はメキシコとの国境に壁を作るっていうことで寄付を集めながら、それを自分の懐に入れてたんで逮捕されたんですけどね。で、彼自身は今、中国とべったりなんですけどね。中国ビジネスマンと。

(藤谷文子)あれ? おかしいな?(笑)。アメリカファーストなんじゃないの?

(町山智浩)「あれ?」っていう感じなんですけども。中国とべったりなんですが。彼は。それで、この2人が持ち込んだからまず、そこでメインメディアは信用することができないわけですよ。彼らが持ち込んだ情報は。「また? この間もやっていたよね?」みたいな。

(藤谷文子)バノンさんの名前を聞いていたら私もそれは「ああ、はいはい……」って感じかな?

Eメールの出どころ

(町山智浩)でしょう? 怪しいでしょう? で、じゃあそのEメールって一体どこから出てきたのかっていうと、それもわかっていて。デラウェアのパソコン修理屋さんなんですよ。パソコン修理店に持ち込まれたマックの中に入っていたっていうんですよ。このEメールが。で、修理が完了したのになぜかそれを取りに来ないんだっていうことで。で、このパソコンは誰のものだろう?って思ったら、パソコンにステッカーで「ボー・バイデン」って書いてあったんですね。

「ボー・バイデン基金」って書いてあったんですよ。これはバイデンさんの亡くなった長男のためのファウンデーション(基金)なんですね。それのステッカーがパソコンに貼ってあったという。で、「これはバイデンの関係のもののパソコンなんだ」っていうことで、このパソコン修理店の40代のおじさんが中のデータを抜き出したって言ってるんですよ。

(藤谷文子)いろいろとツッコミどころが多すぎません?

(町山智浩)これは違法行為ですよ。

(藤谷文子)違法行為だし、あと「ステッカーを貼ってあるからバイデン関係の人だ」っていうのも「えっ?」って。だって、私だってステッカーを貼ろうと思ったらどんなステッカーだって貼れるし。

(町山智浩)でしょう? そしたら、中からこのメールのデータが出てきたんで。「それをジュリアーニさんの事務所に届けた」って言ってるんですよ。で、マスコミがすごく取材をしてて。「なぜ、お客さんのパソコンの中のデータを取ったのか?」っていう。これ、違法行為ですからね。そして「なぜ、そのデータをジュリアーニさんのとこに持ち込んだのか?」っていう。これ、わからないんですよ。彼は答えていないんですよ。コメントを拒否して逃げ回っています。

(藤谷文子)それは答えないですよ。

(町山智浩)ねえ。どう考えてもこれはおかしいんですよ。で、今、このパソコンはどこにあるか? 今、FBIが持っていますよ。FBIはウクライナ問題とかロシアとの工作に関してトランプ大統領を追求していたところですよね?

(藤谷文子)そうですよね。だからそこで白黒つけるのかな? じゃあ、今また調べてるんじゃないですか?

(町山智浩)調べてるんです。だからこれ自体がロシアの工作ではないかと言われてるんですよ。

(藤谷文子)うわーっ! 回り回って?

(町山智浩)そう。要するに、こういうものをでっち上げて選挙を撹乱しようとしているっていう。

(藤谷文子)それが明確になったら余計、逆スキャンダルになるじゃないですか?

(町山智浩)そうなんですよ。

(藤谷文子)へー! 面白い!

<書き起こしおわり>

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