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トミヤマユキコ 中野シズカ『てだれもんら』を語る

トミヤマユキコ 中野シズカ『てだれもんら』を語る アフター6ジャンクション
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トミヤマユキコさんが2020年1月9日のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さん、宇内梨沙さんに中野シズカ先生の漫画『てだれもんら』を紹介していました。

(宇多丸)さあ、続きまして?

(トミヤマユキコ)次は中野シズカ先生の『てだれもんら』。これもまだ1巻です。2019年9月に出ました。で、「てだれもん」っていうのは「手練(てだれ)」。「熟練した、腕利きの」みたいな意味ですね。「腕利きの人たち」みたいな意味なんですけどね。「手練者ら」なので。

(宇多丸)最初ね、なんのことかと思いました。

(トミヤマユキコ)そうですね。ひらがなでタイトルがついているのでわかりづらいんですが。要は、職人さんたちの物語と思っていただきたいですね。小料理割烹「薫風」っていうところで働いている板前の星野トオルくんというのがいます。これが元ヤンです。本人は何か認めないみたいなことを言ってますけども。本当に口が悪いし、荒くれ者なので、みんなからは「元ヤンだろ」みたいなことを言われていると。

で、もう1人、男の子が出てきます。こちらは庭師の鷹木明くんという人です。で、「庭師」と言ってもちょっと特殊な庭師で。お庭の木を整えるとか、そういうこと以外に、何か不思議なものが見えるという特殊な能力をお持ちなんですよね。で、庭には良い物の怪みたいのがいる時もあれば、悪い物の怪がいる時もあって。その悪いのを退治するみたいな特殊な能力を持った男の子。で、この2人が仲良しなんですけど、これがもう本当にささやかな幸せを分かち合っている2人でですね。週末、料理をトオルくんが作れますので作って。それを明くんが食べるみたいなことをしてるんですけど。

BLなのかどうなのか?っていうところが非常に繊細で微妙で。なので、「BLだから自分には関係ない」と思わないでほしいみたいな。ものすごいフレンドシップと言ったらいいでしょうかね? すごいいい感じなので。告白してるっていう感じでもないし……みたいな。なんとも言えない友情と恋愛の間でお付き合いをしつつ、2人の職人として……。

(宇多丸)これもディテールがすごく丁寧に描かれていて。料理なんかもね。

要素が結構多い作品

(トミヤマユキコ)はい。なので結構要素が多くて。「BLかな?」と思いつつ。で、やっぱりそのご飯のシーンがやっぱり元一流料亭に勤めていて今は小料理割烹に勤めてるっていう男の子の話なので、結構細かく出てくるという。

(宇多丸)スーパーで買えるもの+αですごいなんか作るのとかが「うわっ、これってやっぱりすごいな!」と思って。いままでの料理物にないリアルさっていうか。

(トミヤマユキコ)そうですね。ちょっと高級で手が出ないものとかをちょっとお店から分けてもらってきたりとかして、家でちょろっと作ってくれる料理みたいのが今までのフード物とはまた違った、いい高級感みたいなのも味わえるみたいな。

(宇多丸)かと思えばちょっとね超現実的なそういう、陰陽師じゃないけどさ。ああいうラインのことも出てきて。それが交互に語られてるから。

(トミヤマユキコ)そうなんですよね。なのでその日常と……ご飯とかは日常だと思うんですよね。あと普通にお勤めをするというのも日常だと思うんですけど、それと「物の怪が出てきた。どうする?」みたいな非日常。そして「物の怪を退治している」ということをその料理人の彼は知らないわけですよ。なので「浮気しているのかな?」みたいな。

(宇内梨沙)ねえ。「夜、帰りが遅いけどあいつ、なにしてるのかな?」みたいな(笑)。

(トミヤマユキコ)「他にいい人がいるのかな?」みたいに思っているんだけども、でもなんか謎にちょっと泥だらけで帰ってきたりとかして。「ああ、浮気ではないのか?」みたいな。でも教えてくれないし。知りたい。でも教えてもらえない……みたいな、ちょっとよじよじしちゃうような心理的なところも書かれていたりとかして。結構実は要素は多いんです。具は多い。

(宇内梨沙)たしかに。多いと思います。

(宇多丸)まだ1巻目ですもんね。

(トミヤマユキコ)だけど、すごい読み味はさらりとしていて。

(宇内梨沙)たしかに違和感なく、どんどん話の展開は変わっちゃんだけど。テーマ変わっていくのにスッと入ってきますよね。

物の怪と料理が等価に描かれる

(宇多丸)その物の怪の話も料理の件も、やっぱり等価に描かれてるからですね。こっちはスペクタクルでどう……っていうわけじゃなくて、なんなら料理だってあれだし。

(宇内梨沙)たしかに、テンションが一緒。

(宇多丸)そう。それと、お互いの気持ちがちょっと掴めなくてモヤッとするとかも全部同じものとして描かれているからかな?

(トミヤマユキコ)ちなみになんですけども、『メタモルフォーゼの縁側』の鶴谷先生がこれ、帯を書かれていまして。

(宇多丸)ええ、ええ。

(トミヤマユキコ)あの作品が好きな方ならわかってくれると思うんですけども。鶴谷先生がなんて言っているのかっていうと、「この作品で萌え死ぬならば本望です」という(笑)。やっぱり『メタモルフォーゼ』もいわゆる萌えとは違うかもしれないけども、やっぱり普段だったら関わり合わないような2人の人間のすごい繊細な心理的な動きっていうのが描かれていたと思うので。その鶴谷先生が太鼓判を押しているっていうことは実際に漫画を読んでいただければこの2人の男子の何とも言えない心の機微みたいなものも分かっていただけるかなと思います。

(宇多丸)はい。『てだれもんら』。中野シズカさん。ビームコミックスからでした。

<書き起こしおわり>

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