R-指定さんが2021年11月2日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』ミクチャ限定アフタートークの中で神門さんのアルバム『半袖』について話していました。
(R-指定)この神門さんの『半袖』っていうアルバム。これ、実はCosaquさんっていう梅田サイファーのエンジニア。そのCosaquさんが一緒に作ったらしくて。
(DJ松永)ああ、そうなんだ。
(R-指定)ミックス、マスタリングもエンジニアリングも全部やって。
(DJ松永)ああ、そこまで? じゃあ、本当にがっつりと密にやっているんだ。
(R-指定)そうそう。らしくて。で、実は結構噂にはなっていたんですけども。神門さんの制作方法がヤバいっていう。何作目からかな? 僕もちょっと記憶は定かではないんですけども。この人、アルバムをめちゃくちゃ出しているわけですよ。10枚目が今回の『半袖』なんですけども。2007年デビューで。
(DJ松永)もう10枚、出しているの?
(R-指定)めちゃくちゃ……それでシングルとかも含めたらもっとやと思うんですけども。ある作品ぐらいから、全部アルバムを一発で録るっていうか……そのアルバムの頭からケツまでをブースから出ずに録るんですよ。
(DJ松永)ええっ?
アルバムの頭からケツまでをブースから出ずに録る
(R-指定)普通ね、レコーディングってサビだけ録るとか、1番を録るとか。で、ちょっとサビをやり直したりとか、バラバラにして録る方法とかあるんですけども。で、曲もその日によって、最後の曲から録ったりとか。1曲目はまた別の日にとかあるんですけども。神門さんはあるアルバムから、1曲目からケツまで、レコーディングブースから出ずにずっと……だからライブですよ。ワンマンをやっている感じでブースでずっと録ってっていうやり方をやっていたらしくて。
(DJ松永)じゃあ、1曲目がまだ喉が開ききってない状態で。そこから開いていって、最後はちょっと声が枯れていくような流れまでも全部?
(R-指定)そう。そこの感情とか震えとかも大事やからっていうのがあるらしくて。
(DJ松永)だからもう、曲順もそれを見込んだストーリーになっている。たぶんその喉の状態とか、ライブのセットリストを作るようにして……へー! すげえ!
(R-指定)で、アルバムによってその作り方はばらつきがあるらしいねんけども。まあ、たとえば最初なんかはリリックの時点が一番すごくて。レコーディングの時にそれが薄れてしまうのが嫌やからワンテイクだけにしていた時期もあったり。逆にワンマンみたいに頭からケツまでやる時もあったり。でも、今回はCosaquさんにチラッと聞いたら、やっぱりホンマにそういう感じっていうか。で、それが一発だけじゃなくて、それを何回もやるんですよ。頭からケツまで歌うのを何回もやって。
(DJ松永)うわっ、キツッ! ちょっと待った? それ、1日で録り切るっていうこと?
(R-指定)だからその日に頭からケツまで録って。また別の日に来てまた録って、みたいな。その日に何回もやることもあるやろうけど。っていう。で、そんぐらいね、制作に関してとんでもないこだわりがあって。それが1曲目の『創作』っていう曲。そこから始まるんですけども。それ自体も曲のやり取りをしているエンジニア……まさしくCosaquさんとやり取りをしているメールの話から始まるんですよ。
「『ここの感じのブレス、ちょっとあれなんでこうしておいてください』って今、送ったメールのあの文章、よかったかな?」みたいな。制作に対して、そんぐらいの気持ちで取り組んでいる。で、「制作の神様がいるとしたら、文字ではなく半角スペースの中」とか。「制作の神様がいるとしたら、声ではなくブレスの中」とか。
神門『創作』
(R-指定)そういうのから始まって、制作とかの話になって、ツイートの話になって。で、ラッパーの話もするけども。家庭の、自身のお子さんの話とかもするし。何気ない、道ですれ違う時にディフェンスみたいになったとか、その1日も切り出すし。ちょっとその作詞家としての世の中を見る目の鋭さっていうとあれやけども……。
(DJ松永)なんか、全部見えている。細かいところまで。みんなが当たり前に見ようとしているところまで全部言葉にできるというか。
(R-指定)で、これってめっちゃしんどいんすよ。歌詞を書く人間として1個の出来事とか世の中で見えていることとか……俺とかは「目が悪い方がいい」っていうことでメガネをせんぐらい、情報をある程度遮断したいぐらい、考える人間からしたらめっちゃ全部見て、全部考えてっていうのはめちゃくちゃしんどい。それをこの人は毎回やっているんやっていうことで。マジで背筋が伸びますね。
(DJ松永)すごいね。
(R-指定)マジですごいラッパーです。神門さん。
(DJ松永)でもここまで行くと、あれだよね。言葉を扱う仕事ならなんでも素晴らしい人になっていたと思うよね。文章を書く人だとしても、歌を歌う人だとしても。
(R-指定)この人の場合、すごすぎて。俺がラップ始めたての状態で神門さんを聞いたら、ちょっとキツかったかもなって。食らっちゃいすぎて。だから、聞く側も結構足腰がいるというか。その、いろんな人間の感情のグワーッていうのを受け止められる足腰が出来上がってないと、すごい心をえぐられますね。そんぐらい、でもすごい作品です。
(DJ松永)すごいね……。
神門『半袖』
<書き起こしおわり>