みうらじゅんさんが2021年10月12日放送のJ-WAVE『TOKYO M.A.A.D SPIN』にゲスト出演。高木完さんと「人生は暇つぶし」という話をしていました。
【 #jwave 】10月12日(火)27:00-29:00OA
『J-WAVE TOKYO M.A.A.D SPIN』
火曜日のナビゲーターは @kantakagi#みうらじゅん さんゲスト後編✨#フィールドワーク #BobDylan #ダンスミュージック 等Dopeなトーク?
更に @Junya_DJ の #Bootleg Mixも♪#tokyo #MAADSPIN
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(みうらじゅん)この間、いとうせいこうさんとZOOMでしゃべっていたら、「家にある本が大量になりすぎて。このコロナ禍だからそろそろ処分しようと思っているんだけども。みうらさん的なアドバイスとしてはどうかな?」って聞かれたんだけども。
(高木完)せいこう、いつも捨てているって言っていたけども。溜めていたんだね。
(みうらじゅん)「なんかものすごく本が溜まって、将来的に読まないかもしれないなって思うのもあるから……」って言うのよ。で、俺はそういう時ね、基本的には物は捨てないタイプだからあれなんだけども。本棚の並べ方を1回、変えるのよ。めちゃくちゃにするっていうか。
(高木完)ランダムに?
(みうらじゅん)ランダムにすると、今度その本を探そうと思ってもなかなか探せないし。で、探した時にランダムに置いてあるもんで、全然その目的の本の横にあった『漬物大百科』みたいな、なんかふざけて買ってあった本もついつい読んじゃうことがあって。
(高木完)わかる(笑)。
(みうらじゅん)店、店舗の棚替えをするのはどうかな?って俺、思うんだよ。
(高木完)ディスプレイを変えるみたいな。
(みうらじゅん)ディスプレイを変えるとね、もう1回、レコードとかも聞いたりすることあるよ。うん。
(高木完)そうなんですよ。結局、売るやつを決めて。本を「これは売ろう」って思ったりすると「これは売りたくない。これは聞こう」っていうレコードとかがどんどんと絞られてきて。それを聞いちゃったりして。本も読み直しちゃったりして。
(みうらじゅん)そうでしょう? そこでまた暇が潰れるんだよね。いや、わかんないけども、だんだんちょっと人生、長いことになってきた時に「基本的に生きてるのって暇つぶしなんじゃないかな?」って思ってきて。やっぱり上手にとか、面白く暇をつぶした方がいいからさ。暇つぶしと考えるとね。
(高木完)人生を。
人生は暇つぶし
(みうらじゅん)あんまり大層に考えてもしんどいし。大層に考えても思ったとおりにいかないこともあるからさ。
(高木完)あんまり目的が大きすぎると上手くいかなかった時の衝撃の方が、ねえ。
(みうらじゅん)大きいもんね。若い頃はついついなんか、目的を大きく見積もってしまうくせがあるからさ。
(高木完)「夢」っつってね。
(みうらじゅん)ねえ。あるんだけども。そんなに夢とか、もうないからさ。なんとなく「これ、暇つぶしなんじゃないか?」って。それだったらおかしいつぶし方を考えるのも暇つぶしのひとつになるしさ。それがまた、ない仕事になる場合もあるしね。
(高木完)最近だと僕も家で結構曲のレコーディングとかをやるようになって。それはそれで「ここまでは家でやってなかったな」って思って。面白いんですよ。それは。
(みうらじゅん)そうでしょう? 俺もだから高校の時から宅録派だったからさ。
(高木完)そうそう。みうらさん、プロデュースした曲と同時にそれ、出しましたもんね。1人で弾いているやつ。あれ、結構いいんですよね。
(みうらじゅん)あれも、今から考えたらすごくいい音で録音されているんだよね。昔のラジカセのマイクってすごいよね。うん。
(高木完)あれ、今思うとDTMっていうか。早かった(笑)。
(みうらじゅん)やっていること、あれしかなかったけど。スタジオとかなんて陶然入れないし、知らなかったけど。
(高木完)でも、今や家で作ることは……ビリー・アイリッシュだって家で作っているんだから。
(みうらじゅん)そうでしょう?
(高木完)ああいうことですよ。もう(笑)。
(みうらじゅん)まだ、そのビリー・アイリッシュっていう人だってできるのは「実家にいなくていい」っていうこともあるじゃん? やっぱり昔の宅録って一番の天敵は実家にいて、せっかく自分は「レコーディングだ」って思っている時に途中でおかんが入ってきたりしてさ。なんかもう、録音を台無しにする場合があったけども。よくよく考えたら今、自分の家だったら1人でいられるしさ。宅録で全然いけるんだよね。
(高木完)みうらさん、今もギターを弾いたりしています?
(みうらじゅん)ギター、弾いたりしているよ。だから、新曲っていうかさ、よくよく考えたら自分に新曲なんてないなっていうこともわかってきたんだよ(笑)。
(高木完)昔の曲でも新曲でもなんでも……(笑)。
(みうらじゅん)うん。何枚かは公に発表したレコードみたいになったやつ、あるけども。ずっと気持ちはアマチュアだから。「新曲」っていう意識ってよく考えたらおかしいなとすら思えてきて。だって完ちゃんとやらせてもらったやつのタイトルも『青春ノイローゼ』だからさ。
(高木完)そうそう。
(みうらじゅん)あの時も俺、結構いい歳だったよ?
(高木完)あれ、だから15年とか20年ぐらい前か。
(みうらじゅん)20年ぐらい前だね。
(高木完)僕、今年が還暦なんですよ。僕も。
(みうらじゅん)ああ、そうか、そうか。
(高木完)あれがまだ40代半ばか。みうらさんはまだ50になってないですね。
(みうらじゅん)なってないね。
(高木完)若いね。若いっていったらあれだけども。
(みうらじゅん)還暦は仕方なく誰しもが……まあ生きている限り、迎えちゃうからあれだけど。あの時に思ったのはやっぱり還暦の上に「バ」をつけて「バ還暦(ばかんれき)」って言いながらやっていけばそんなに重く感じないんじゃないかなとも思った。
(高木完)もうね、先輩方がいっぱい還暦を……あと最近は仲のいい人たちは70ぐらいなので。皆さん、古希なんですよ(笑)。
(みうらじゅん)古希はね、なかなか言わないからね。俺のまわりもまだ。
還暦と古希と69
(高木完)どっちかっていうと、古希の人が今年、多いんですよ。近田さんとか立花ハジメさんとか。あのへん、みんな古希系……「古希系」っつっちゃったけどさ(笑)。こっちはだから還暦だから「10年早いぜ」っていう感じで(笑)。
(みうらじゅん)そういう年代の人って古希の前に69歳の時に「ロックだから」とか言ってちょっとパーティーしたりする人、いたじゃん?
(高木完)いた(笑)。三浦憲治さんもやってなかったかな?
(みうらじゅん)三浦憲治さんもやってたよ。ロックのパーティー、やってたよ。
(高木完)あと内田裕也さんもやりましたよね。たぶんね。
(みうらじゅん)やっぱり69はやるんだよ(笑)。
(高木完)みうらさんは69まではまだもうちょっとあるもんね。
(みうらじゅん)まだあるけど……やっぱりロックがまだ「古希」っていうのに慣れていないもんね。
(高木完)そのジェネレーションに……だってミック・ジャガーとかあのへんはもう80でしょう? ディランさんとか。
(みうらじゅん)そうでしょう? 僕らの世界で「こき」っていうと「子機」のことだしね。
(高木完)ああ、そうだ。親機・子機だね(笑)。
(みうらじゅん)あっちの子機だからピンと来ないんだけど。
(高木完)そう。だから「70ってなんていうんだっけ? ああ、そうだ。子機か」って(笑)。
(みうらじゅん)だから還暦までは結構ロックの人って早死に……昔、60年代は早死にだったけど。「還暦まで行ったか!」なんて言っていたけども。もう全然古希だから。だからそろそろうちらも古希対応をしていかないとさ。
(高木完)でもそのヒゲが結構対応感になっているしね。
(みうらじゅん)ヒゲにしておくと「ああ、おじいさんなんだな」っていうことはわかっていただけるっていうのは……ほら、いつまでも完ちゃんだってさ、顔が若いからさ。いつも言うじゃん? 「来年60なんですよ」ってもし誰かに言ったら「いや、若いのにね!」なんて言われるけど。
(高木完)ああ、言われる、言われる。
(みうらじゅん)でもあれ、邪魔くさくない? あの話。嘘か本当かは知らないけど。
(高木完)「見えないっすよ!」っていうやつ(笑)。
(みうらじゅん)「見えないっすよ!」とか、後輩とか特に言ってくれるじゃん? でも、あれに乗っかって「そう?」とか言うのも邪魔くさいしさ。
(高木完)それに「いやいや、そんなことないよ」っていうのもね。
(みうらじゅん)「あいつ、まだ若いつもりでいるんだ」って裏で言われている感じも嫌じゃん?(笑)。
(高木完)終わった後にね。「あの人、ああ見えて喜んでいたよ」とかって(笑)。
(みうらじゅん)ねえ。「やっぱり還暦迎えたやつには言っておくべきだよ」って。
(高木完)「完ちゃん、嬉しそうだったよ」って(笑)。
(みうらじゅん)俺らだってたぶんそんな感じで上の人に言っていたかもしれないからさ。
(高木完)言ってたかもしれない。「見えないっすよ!」って(笑)。
(みうらじゅん)だから逆に気を遣わすのも悪いかなって思ったんで。こうしておけばまあ、もうこぶとり爺さんよりも上なんだなっていうのもわかるしさ。俺も白髪が出ないもんで「いや、若いっすよ」って白髪のことばかりいわれていたけども。もう結構、シミだらけだからさ。顔にしみじみ出ているから。だったらもう、相手に気を遣わせないのがいいなっていうところもちょっとあるね。
(高木完)そのヒゲはすごいわ(笑)。
(みうらじゅん)完ちゃんもやってもらって。
(高木完)僕、ヒゲが薄いから。あんまりもしゃもしゃ生えないんだよね。
(みうらじゅん)俺もそう思っていたのよ。そう思っていたけども……歳を取ったらグーンと来るよ。大丈夫だよ、こっちは。
(高木完)ああ、そうですか?
(みうらじゅん)やっぱり上が薄くなってくる分、下は頑張ろうって思うみたいだよ。
(高木完)上も……やっぱり「結構生えているよ」って言われても、まあまあ薄いは薄いからね。
(みうらじゅん)でも、その反動で薄くなっている人ってヒゲを伸ばしている人、いない? 結構周りでも。そこでバトンタッチするのかな?
(高木完)あんまり見比べてないけども。でもヒゲを生やしている人、何人かいるけど。どうだったかな? 髪の毛も生えているような気がするな。わかんないな。これから気をつけて見てみますけども。
(みうらじゅん)でもまあ、ものすごくっていうか、ある程度以上伸ばしていくと形容詞が若い人には当然ないし。僕らの周りでもギリギリ、「ZZトップですか!」みたいな感じなんだよね。
(高木完)ああ、ZZトップ感ね(笑)。
ヒゲを伸ばしてZZトップ感
(みうらじゅん)そのZZトップとジジイをかけているみたいなギャグらしいからさ。それはまあ、ちょうどいいんじゃないかなとは思っているけども。
(高木完)この間、亡くなっちゃいましたね。
(みうらじゅん)ねえ。そうそう。
<書き起こしおわり>