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渡辺志保 DaBabyの同性愛者嫌悪発言とキャンセルカルチャーを語る

渡辺志保 DaBabyの同性愛者嫌悪発言とキャンセルカルチャーを語る MUSIC GARAGE:ROOM 101
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渡辺志保さんが2021年8月6日放送のbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中でラッパーのダベイビーが『Rolling Loud』で発した同性愛者嫌悪、HIV/エイズ差別発言についてトーク。発言の問題点や人々の反応、キャンセルカルチャーなどについて話していました。

(渡辺志保)今、結構ネット上をざわつかせているのが人気ラッパー、ダベイビーの問題発言なんですよね。7月下旬にマイアミで行われたヒップホップ界において「世界最大のヒップホップフェス」と言われている『Rolling Loud』っていうフェスがありますけども。その『Rolling Loud』のステージ上でダベイビーが同性愛者嫌悪的な発言……まあ、ゲイの人たちを侮辱するような発言をして。さらには、エイズやHIVに関する同様の発言をしたんですよね。

で、本当に彼の言葉をそのままラジオでしゃべるのははばかられますので。意訳を含めてお伝えしますと……まあ、ライブ中に「エイズにかかってないやつ。もしくはゲイじゃないやつはスマホのライトをつけて盛り上げろ!」みたいなことを言いまして。本当はもっとすごくエグい言葉だったんですけども。まあ、そういった発言をしたんですよね。

あと、その発言を聞くと、たとえば「エイズのかかったら2、3週間で死ぬ」っていうことを示唆しているような、そんな趣旨の発言でもあったんですよ。で、この発言を受けてすぐに反論したのが過去にダベイビーとコラボ経験もある、これまた押しも押されぬ人気シンガーのデュア・リパなんですね。彼女はすぐにSNS上で発言しまして。「自分が一緒に仕事をした人だとは信じられない発言です。非常にぞっとしました」ということをインスタのストーリーでおっしゃっていて。かつ、デュア・リパ自身も「私の心はLGBTQコミュニティーと100%、連帯しています」っていう風に発言をしたんですよ。

Dua Lipaの反応

(渡辺志保)その後、すぐにダベイビーはSNS上で一応、謝罪はしたんですけども。本当になんか「一応、謝っておきます」みたいな感じの発言で。「謝りますけども、LGBTQのやつらのことは知らない。お前らのことはお前らで話し合え」みたいな感じの「うーん、残念だな……」みたいな感じの謝罪の内容だったんですよね。ちょっとふてぶてしいな、みたいな態度の発言でした。

で、その発言を受けて、たとえば同性愛者であることを公表して。しかも長年、HIVやエイズの問題に携わっているあのエルトン・ジョンも「非常に残念だ」という向きの発言をしたり。あとはマドンナもダベイビーのことを「非常に残念です」と諌めるような発言を相次いで行っていて。あとはザ・ルーツの有名ドラマー、クエストラヴも「ありえない」みたいなことを言って。で、またそれにダベイビーが「お前のことなんか知らねえ。誰だ、こいつ?」みたいな感じで反論をしてしまって、もうなんか泥沼みたいな感じになってしまっていたんですよね。

ただその後、いろんなこうした発言や彼の言動が波紋を呼びまして。ダベイビーは『Lollapalooza』や『Governors Ball』といった予定されていた大きなフェスから出演停止の処分をくだされてしまったんですよ。で、『Lollapalooza』とかは問題発言から2週間後に予定されていたフェスなんですけども。急遽、「出演は取りやめます」といったことが発表されて。あとは彼はこの夏に男性ファッションブランドとコラボ予定だったらしいんですけども。その企画の中止もすぐさまアナウンスされたということになって。合計4つのフェスから出演停止となってしまいました。

(渡辺志保)そして今、私がこの収録を行っている現時点ではダベイビーは二度目の謝罪文を公開しまして。そっちの方がもっとちゃんとしている謝罪文になっています。で、多少言い訳がましさというところもあるのかなとは思いますけども。たとえば「SNSの流れが早すぎて、間違いを犯してもそこから学び、そして成長をする機会を奪ってしまう。自分に必要だったのは教育とガイダンスだった。もう一度、謝りたいです。そして大切なのは教育(Education)だ」ということをインスタ上にポストして、二度目の謝罪ということになりました。

で、これをちゃんとそのまま彼の心からの謝罪だという風に受け止めている人は、SNSの反応を見る限りでは少ないような気がしていて。あとは今、ちょっと大喜利みたいになってしまっていて。「DaBaby」の名前をもじって「Apology(謝罪)」とくっつけて「DaApology」って呼んだりとか。「Cancellation(キャンセル)」も「DaCancellation」っていう風に、何でもかんでも単語の前に「Da」をつけてダベイビー化しているっていうね、そうした大喜利みたいなことがTwitter上で賑わっているという状況ですね。

ただ、私もこの一連のダベイビー騒動を見て思うのは、現在開催中の東京オリンピックも開会式の直前で担当者の方が辞任を発表したり、退任に追い込まれたりっていうことがありましたけども。その時にも、こういうキャンセルカルチャーについて考えさせられました。もちろん、その行き過ぎたキャンセルカルチャー……ちょっとの失言があっただけですぐに「あいつを引きずり下ろせ!」っていうのはもちろん危険ですし、見直されるべきだとは思うんですけども。

ただ今、本当にSNSが発達していますし。過去のことも調べやすくなっている。そしてアーティストであるとか、前に立つ人は……たとえばアーティストに限った話で言えば、自分の作品だけではなくて、彼ら・彼女らのバックグラウンドであるとか、思想、主張の内容にも同じぐらいの注目が集まる。で、自分たちの作品だけではなく、そういったものも全部含めたプラットフォームというものが今、すごく重要視されているんですよね。

なので、曲の裏側の部分であるとか、背景の部分も含めてはじめて「応援したい」っていう気持ちがわくんじゃないかと思っていますので。やっぱり「作品とこうした発言は別じゃないか」という方もたくさんいらっしゃると思うし、私も元々は「別だ」って思っていたクチなんですけども。なんか最近はそうとも言ってられないなっていう風にも思っています。

で、こうしたキャンセルカルチャーであるとか、過去の失言、過去の言動が火種になって、今の仕事に影響が及ぶっていうことは少なからず、たくさん世界中で今、特にアメリカのエンタメ界では盛んに起こっているわけですけども。そこに対して非常に息苦しいと感じる方もたくさんいると思うんですよね。「前みたいに自由になんでも発言できないのか?」って。で、ダベイビーに関しても「俺の表現の自由だろ」っていう風に最初は言っていたわけなんですけども。

もちろん、その表現の自由というところは保証されて然るべきですけども。ただ、その今回の彼の発言であるとか、誰かをいじめた過去だるとか、なにか特定の民族の方を揶揄するような発言であるとか。そういった発言が野放しにならないという点においては、私は非常にいいところもあるのではないかと感じております。というのも、そういう発言に傷ついてきた性的マイノリティーの人とか特定の民族の人、特定のジェンダーの人などがたくさんいると思うんですよね。「社会的弱者」と呼ばれる方が多いかなと思うんですけども。

これまで無視されてきた人々の抗議の声が届くようになる

(渡辺志保)これまではそうした方々の抗議の声ってなかなか届かなかったんですよね。それが届かないまま、それはそれでいいか、みたいな感じでヘイトの発言とかもそのままにされてきたという流れがあると思うんですけども。こうした流れで「傷ついている人もいる。不愉快です!」っていう声がちゃんと上がることに関してはいいかなと思っております。で、ダベイビーさんも今後、どうなるかわからないですけども。ちゃんと「エデュケーションが大切だ」っておっしゃっているぐらいなので。そこは今後、どうなるのかな?って思いますね。

で、さっきもリル・ナズ・Xの曲をかけましたけども。彼は本当のオープンリー・ゲイといって。自分が同性愛者であることを大々的に公表しているし。それをいい意味で「利用して」っていうのは非常に失礼な言い方かもしれないですけども。自分がそういうバックグラウンド、性的嗜好があるということを押し出して。そこで多くの人のサポートを得ているというアーティストなんですよね。そうしたリル・ナズ・Xみたいなアーティストが大成功を収めている中で、やっぱりこうしたホモフォビアックな発言がなくならないということには悲しく思いますし。

で、本当に90年代のラップとかを聞いていると、めちゃめちゃゲイいじり、オカマいじりみたいなリリックってアメリカのラップにもめちゃめちゃ多かったんですけども。それをみんな……たとえばナズとかジェイ・Zとかもそうですよね。それをみんな、是正していって今があるという感じなので。ダベイビーも今後の作品にそういったところが反映されていけばいいのかなという風にも思うし。

翻って、やっぱり日本のラップの歌詞にもそうした同性愛者の方を揶揄するリリックというのが本当に今でも全然なくならないですよね。それもちょっと、私も心の中でバランスが取れないというか。このアーティスの方、応援したいけども。でもこのリリックがいちいち引っかかっちゃうんだよなっていうことはぶっちゃけ、非常に多いので。なにか前進していけばいいなと思っています。

で、今回のこのダベイビー騒動を受けて、私が思い出したのがバリー・ジェンキンスが監督を務めた『ムーンライト』っていう映画がありまして。アカデミー賞も取った映画なのでご覧になった方もたくさんいるんじゃないかと思うんですけど。この『ムーンライト』という映画の中ではフロリダで育って、その後にアトランタに移動するハスラーの生活を描きつつ、ハスラーとして生きているけども自分は同性愛者、ゲイであることに悩む黒人男性の様子が描かれているんですよね。

で、すごい生々しい場面もありますけども。やっぱりバリー・ジェンキンスってすごくライトの使い方も上手くて。叙情的で。なのですごく鮮やかに、色がバッと映ってきて彼の心情を表しているみたいな、そうしたシーンもたくさんあって。非常に美しい映画なんですけども。

(渡辺志保)ぜひダベイビーさんにもこの『ムーンライト』を見てほしいなと思いました。自分がゲイであることに悩むハスラー、黒人男性の話ということでね。で、そんな『ムーンライト』でかかるすごく印象的な曲がジデンナの『Classic Man』という曲です。ここでこの曲を皆さんにも聞いていただきたいと思います。

Jidenna『Classic Man』

<書き起こしおわり>

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