ファンキー加藤とR-指定 ファンモン楽曲の韻の固さを語る

ファンキー加藤とR-指定 ファンモン楽曲の韻の固さを語る Creepy Nutsのオールナイトニッポン0

ファンキー加藤さんが2021年6月15日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』に出演。R-指定さんとFUNKY MONKEY BABYS楽曲の韻の固さについて話していました。

(DJ松永)なんで3人は出会ったんですか? 元々別だったのに。

(ファンキー加藤)俺とモン吉は八王子の同い年。それこそたぶん梅田サイファーの皆さんと同じく、やっぱり同世代の連中が同じ街でやっていれば、どんどん知り合いになるみたいなの、あるじゃないですか。で、八王子でラップやっている、ダンスやっている、DJやっているっていう連中はどんどん一気に仲良くなっていって。で、ケミカルはその俺らのイベントを主催しているお客さんとしてよく会場に遊びに来てたっていう。だからやっぱり出会いはクラブでしたね。

(DJ松永)そうなんですかね。ケミカルさんって結構実はスクラッチやりますよね?

(ファンキー加藤)そうそう(笑)。あいつ、ちゃんとね、DJが好きですから。

(DJ松永)しかも、スクラッチ結構上手いっすよね?

(ファンキー加藤)上手いですね。

(DJ松永)ですよね? なんか俺、1回テレビで見たんだよな。「ケミカルはDJができるのか?」みたいな。「すごいことやっている!」って思って。で、「う、ウマッ!」みたいな。

(ファンキー加藤)そうそう。やっていましたね。ただ、やらせなかったんですよね。ファンモンになった時に。やっぱりそのキャラクターを生かすために「お前はもうターンテーブルには触らなくていいや」って。

(DJ松永)あんなに上手いのに?(笑)。

(ファンキー加藤)だからね、松永くんはライブの時にターンテーブル、触りすぎよ?

(DJ松永)フハハハハハハハハッ! なんで? おかしなことを言われている(笑)。

(ファンキー加藤)そんなに触らなくていいでしょう? ライブとかを見ていてもすごいミキサーのつまみ、触るなって。これ、PAさん、驚くぜ? ライブ中、そんな音の調整をチャカチャカやっていて……「もっと手を叩け! もっとお客さんに笑顔で手をたたけ!」みたいな(笑)。

(DJ松永)すごいこと言ってる(笑)。でも、それが1個、新しいスタイルを確立して。それが一番キャッチーになったわけだから。すさまじいですけども。それって誰が考えていたんですか?

(ファンキー加藤)その3人でよく、どうすれば同世代のラッパーとか……それこそ、ファンモンを結成した段階で自分たちはいわゆるJポップ路線というか、大衆お茶の間ミュージックの世界に飛び込んでいこうっていう。その時にKICK THE CAN CREW、RIPSLYME、ケツメイシさん。

(R-指定)強豪揃いで。

(DJ松永)すげえひしめき合っていた時代で。

(R-指定)nobodyknows+。名古屋勢も。

(ファンキー加藤)そう。nobodyknows+。HOME MADE 家族。SEAMOさん。

(DJ松永)ラップ歌唱のミュージシャンがヒットしまくっていたから。

(ファンキー加藤)めちゃくちゃ多くて。で、やっぱりその後釜じゃないけど。そういうたところを狙う同世代のグループもまた多かった。めちゃくちゃ多かったんですよ。で、その中でどうすればその人たちに勝てるかとか。諸先輩方がやってない、その隙間はどこかな?っていうのでいろいろと、そのケミカルに踊らせたり。なんかちょっと、当時いわゆるリップさんもキックさんもそうですけど。あまり汗をかかずにサラッとスタイリッシュにクールに。

(DJ松永)ちょっと振り付けとかも若干、あるんだけど。一生懸命やらない。ゆるく。ゆるい空気感のままやるみたいな。

(R-指定)ダンサーが軽くやる感じの。

(DJ松永)抜いた感じのね。

(ファンキー加藤)そうそう。それが主流だったから。ファンモンはじゃあもうちょっとロックっぽく、前のめりで汗臭くやろうとか。他のミュージシャンがやってないこと、やってないことをひたすら追求していたっていう感じですけどね。

(DJ松永)Rさんはずっと、韻には気づいてたわけだからね。

(R-指定)だから俺とかは、言うたら中学生の時にめっちゃハードコアなラップと同時に、それこそキック、リップ、ケツメイシも大好きで。両方とも超聞いていたから。やっぱりちょっと、そのポップなラップグループが出てくるたびに絶対チェックしてたんですよね。その時に、一番最初に見たのがB BOY PARKで。そこで結構ゴリゴリの人たちの中で当時のファンモンさんがもう確立したスタイルでやっていて。まずそこですごいなって思って。で、デビュー曲。まず『そのまんま東へ』っcを聞いた時に「めっちゃキャッチーやな」と思ったんですけども。でも「いやいや、ちょっと待ってくれ」ってなって。「うん? 『つまずき足をくじいたあの日も 変わらず道のりはそのまんま 結び直すスニーカーの紐』……やってますよね?」って。

(ファンキー加藤)アハハハハハハハハッ!

(R-指定)「くじいたあの日も」「スニーカーの紐」……7文字、行っとるから!

(加藤・松永)フハハハハハハハハッ!

(ファンキー加藤)この7文字とか8文字の韻とかね(笑)。結構こだわったりしてるからね。

『そのまんま東へ』のロングライム

(R-指定)ですよね? でもめちゃめちゃ韻が固い……「めっちゃキャッチーでめっちゃ韻が固い人が出てきた!」って俺は思っていて。で、その次に『恋の片道切符』とかを聞いて。それでも「あれ? これサビで……うん? 『届かないと気づきながら やまないラブソングをまた君に 最高に好きだから 握りしめた恋の片道切符』……A、B、A、Bで踏んでるわ。ちょっと、こっち来て?」。

(ファンキー加藤)フフフ、「ちょっといいかな?」って(笑)。

(DJ松永)それ、誰に言ってんの?(笑)。

(R-指定)「めっちゃ固いやん!」って。韻が固いし、すごい入り組んだ踏み方をしているみたいなのでめちゃめちゃテンションが上がったんですよね。

(ファンキー加藤)そうね。韻は好きだったな。これ、前回も話したけど。やっぱりLITTLEくんが八王子の先輩っていうのもあって。絶対的にやっぱり韻を踏まないとラップとして成立しないっていうような、そういう意識はあったから。

(R-指定)やっぱりこの、なんというかメロディーと……そもそも韻がやっぱりラップのリズムを構成する要素じゃないですか。それにやっぱりさらに強調して、そこにメロディーがついていたらより気持ちよく、よりキャッチーになるみたいな方向というか。やっぱり、その当時でもメジャーシーンで固い人っていっぱいいたと思うんですけど。その固さもまたちょっと、なんかLITTLEさんとかとまた違うタイプっていうか。より大振りにでっかいメロディーの枠にボーンと長い韻をハメるみたいなのがすごい新鮮で。なんかすごく興奮してたんですよね。

(ファンキー加藤)そうね。だから本当、デビュー当時はやっぱりすごい韻にこだわりは持っていたし。だけどね、1年間……2006年デビューだったので1年間、やってきて。当時はね、いわゆる僕らがお客さんのターゲットとしていた層に韻というものはやっぱり届かなかった。韻を一生懸命、それこそ3時間、4時間かけて作った16小節のバースの韻にはほとんど触れてもらえずに「すごいいいメッセージ」とか「勇気の出る言葉」っていうところだけがフックアップされていったことが多かったから。韻は途中で切り離したかな。で、切り離して1発目のシングルが『Lovin’ Life』。それでドーンと……。

(R-指定)いやいや、加藤さん……違う、違う。騙されへん。『Lovin’ Life』ね? 『Lovin’ Life』で韻を切り離したって言っているけど……全然! 『Lovin’ Life』な? じゃあ、クイズ出すな。「覚えてるかい? 2人の街まで走っていた井の頭線」。これ、どこで踏んでいるでしょう?

(DJ松永)えっ? もう1回、言って?

(R-指定)「覚えてるかい? 2人の街まで走っていた井の頭線」。

(DJ松永)えっ、踏んでる?

(R-指定)わからん? 「ふた、りのまちまで」「いのがしらせ、ん」。

(DJ松永)踏んでるな……。

(R・加藤)フハハハハハハハハッ!

(ファンキー加藤)「おい、ちょっとこっち来い」って(笑)。

韻を切り離したはずの『Lovin’ Life』

(R-指定)今、かっこつけて「『Lovin’ Life』で韻を切り離した」って言っていたけど、とんでもない長い韻を。腰にダイナマイトみたいなのを巻いて(笑)。

(ファンキー加藤)シャツの内側にね(笑)。

(R-指定)めちゃめちゃ、もう二重ぐらいに巻いている長い韻を。俺、だって最初、踏むっていうイメージがあったから。『Lovin’ Life』が出た時にも聞いてて。普通に踏んではいるんですよ。それまでもね。でも、「なんか『そのまんま東へ』とか『恋の片道切符』みたいなロングライム、まだないな?」って思いながら聞いていたんですよ。で、「あれ? めっちゃ長い韻がないまま曲、終わったな? そんなわけない」って思って。で、よくよく考えてみたら、なんか自分中で言葉にはできへんけど引っかかってる部分があって。それが「覚えてるかい? 2人の街まで走っていた井の頭線」やったんですよ。それで……「ふた、りのまちまで 走っていた いのがしらせ、ん」って。これ、全然吹っ切れてへん!

(ファンキー加藤)もう、抱きしめて(笑)。

(R-指定)韻への愛を抱きしめながら(笑)。

(DJ松永)でもこんなの、ファンも気づかないよね(笑)。

(ファンキー加藤)誰も気づかないよ。Rくんがはじめてなのよ。モン吉も気づかなかったんだから!

(DJ松永)えっ、チームも気づかなかったんですか?

(ファンキー加藤)誰も気づかないよ! ディレクターもモン吉もケミカルも、誰も気づかないまま、はじめてRくんが気づいてくれたのよ!

(R-指定)フハハハハハハハハッ!

(中略)

(R-指定)先ほどね、『Lovin’ Life』のロング韻が実は隠されてるっていうので。なんであの時に「ここで韻は切り離した」なんて言ったんですか?

(DJ松永)そんないけずな態度を……。

(ファンキー加藤)いやいや、当時はね、本当にたとえば事務所サイドとかレコード会社の大人の方たちとのやり取りがあってね。要は「韻にこだわるな」っていうことを言われてたりして。

(DJ松永)「もっと他のものに」って?

当時の大人たちから「韻にこだわるな」と言われる

(ファンキー加藤)そうそう。たとえばメッセージとか、キャッチーなメロディーとか。そういうことこそがヒットする曲への近道だから、みたいな。そういうやり取りというか、戦いみたいなのがあって。だからやっぱりわかりやすい韻じゃなくて、そっと小節の中に忍ばせていくっていう。

(R-指定)やっぱりあの「井の頭線」の韻は事務所の偉いさんとかも気づかず?

(ファンキー加藤)誰も気づかない(笑)。

(DJ松永)もう静かなる抵抗ですよね(笑)。事務所に止められたから、誰にも気づかれないようにひっそりと愛を育んでいたっていう(笑)。

(ファンキー加藤)そうそう(笑)。

(R-指定)ただロングライムやから、その「やめとけ」って言っていた大人たちも体がもう半分に切れてんねんけども、気づかへん。鮮やかな切れ味すぎて(笑)。

(ファンキー加藤)そういう、だからRくんがよく言うところの「ステルス韻」みたいなのは曲のいろんなところにちょっとずつ忍ばせていて。それで自分のその「韻を踏みたい」という欲望みたいなのを少し紛らわせてみたりとか。

(DJ松永)これ、ファンの人もちょっと掘ってみたら面白そうですよね? 過去曲とか。「あれ、ここ踏んでるな?」みたいな。

(ファンキー加藤)あると思いますね。ファンモン楽曲は。結構。

<書き起こしおわり>

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