星野源と米津玄師 音楽との向き合い方を語る

星野源と米津玄師 ラブソングを語る 星野源のオールナイトニッポン

米津玄師さんが2021年6月8日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』に出演。星野源さんと音楽との向き合い方について話していました。

(星野源)ちょっと質問メール来てるので読みます。「お二人に質問です。曲を作ってる時についやってしまう癖や習慣は何かありますか?」。おお、癖……僕はね、そこまでできているデモを流しながら、家の中をずっと歩いている。

(米津玄師)ああー。

(星野源)あと、そのスピーカーの正面じゃない場所で聞きたくて。何か違うこと考えてる感じの……なんて言うか、ずっと聞いてる自分じゃない自分になりたいから。違う部屋の隅っこに、角っこに頭を埋めて。なんか「全然違うことやってます」みたいな感じですごいうっすら流れている曲を聞いて客観的になろうとしてみたりとか。傍目から見ると異常なんだろうなとは思う。その感じは(笑)。

(米津玄師)なんか、そこまでじゃないですけど俺もわかりはします。1回、作ってる曲を忘れたいっていう。

(星野源)そうだよね。忘れるために何かしたりする?

(米津玄師)1回、寝ますね。

(星野源)ああ、たしかに。一番いいよね。

(米津玄師)でも本当、1回やらかしたのが……1回、寝たりしてまっさらな状態で聞きたいんですけど。「今日はここまでできた」ってなって。もう結構ヘトヘトになっているから、そのままパッと寝て。「明日の朝、どういう風に聞こえるかな?」って思いながら寝て。それで起きて、パソコンの前に行ったら、なくて。

(星野源)えっ? 作ったものが?

(米津玄師)もう、消えてた。

(星野源)なんで?(笑)。保存してなかったとかでもない?

(米津玄師)保存、してなかったんです(笑)。

(星野源)ああ、保存してなかった? それはキツい!(笑)。

(米津玄師)保存してなくて。で、パソコンってたまに強制的に再起動みたいな。アップデートしますみたいなやつで。まっさらになっていて。

(星野源)ああーっ! それは厳しい!

(米津玄師)「1回、自分の頭からなくそう」と思って行ってみたら、なくなっていたっていう(笑)。

(星野源)アハハハハハハハハッ! 全てがなくなっていたんだ(笑)。それはつらいなー。それはちょっとじゃあ、確実にセーブは……。

(米津玄師)しなきゃいけないですね(笑)。セーブ、大事です。

(星野源)「セーブ、大事」(笑)。本当にそう(笑)。

(米津玄師)何事もそうです(笑)。

セーブは大事

(星野源)続いてのメール。さっきの話ともつながっちゃうけども。「音楽と向かい合うことが苦しいと感じる時はありますか? その時、どう克服されていますか?」。

(米津玄師)さんざん、さっきから話してますね(笑)。克服……。

(星野源)克服ってできるかな? やっぱりどうしても出来上がるしかないと。個人的には。出来上がった時はもう、急に体調がよくなる(笑)。

(米津玄師)全てが報われたような感じになりますね。

(星野源)そうそう。体の中の毒が抜けるみたいな。

(米津玄師)なんなんですかね? 報われる……難しいですね。

(星野源)なんかね、たぶん自分が設定している何かを超えられてないと思って。それを超えようとしているから苦しいんだと思うんだよね。それがなければたぶん全然苦しくなくて。「これでいいや」ってなっていると思うんだけども。その苦しさというのは自分で生み出してるから。だからたぶん、しょうがないよね。そういうもんっていうか。だから、さっき言ったみたいに、バカなんだよ(笑)。「俺たち、バカ」っていう(笑)。音楽バカだよね(笑)。

(米津玄師)そうですね。苦しくなくて、楽しいまま音楽を作ってたら、いまだに音楽をやってないような気がする。どっかで飽きちゃうんだろうな。

(星野源)うん。前に作ったものをいろんな意味で超えるっていうこととか、自分はその『POP VIRUS』を出してから1年、海外でいろいろやったりとか、ツアーをやったりとかした期間があって。それから「よし!」って。それがちょっと癒し期間みたいな感じだったから。「よし、本気でやるぞ!」ってなったらコロナ禍になっちゃって、できなくて。で、2年ぐらい溜めての『創造』っていう曲だったから。もうとにかく、「こんなもんじゃねえだろ? もっとやるんだ」っていうような中だったから、すごい大変だったけど。でもやっぱりそういうのがないと、何て言うのかな? 同じことをずっとやっていたくないから。変わっていきたいっていうか。

(星野源)その、「いろんなことをやっていたい」っていうことじゃなくて。「俺は今、こうだから。次はこうしたい。ここに行きたい」とか。そういうのがどうしても生まれちゃうから。そこを超えようとすると、どうしても苦しいし、怖いし。行ったことのない場所に足を踏み入れるっていうことだと思うから。今まで作ったものだと、知ってるから安心してジャッジできるけど。知らないところに行くのって自分でジャッジはじゃできないから。だから苦しいんだと思うんだよね。

(米津玄師)でもそれは……まあ、真摯な姿ですよね。

(星野源)そうだね。うん。なんか自分とか米津くんもたぶんそう思っているタイプのミュージシャンなんだろうなって。

自分に失望したくない

(米津玄師)なんかやっぱり自分に失望したくないっていう感じというか。まず自分の欲望、欲求というか……ある種、「野心」って言ってもいいかもしれないんだけども。そういうものがある。その欲求に……だから諦めればいいけれども。それに素直に従っていくとそうなってしまうっていう。だからそれを自分自身、諦めるような自分ではいたくないっていうような感じはありますね。

(星野源)で、実際に大変なその真っ只中にいると「なんでこんなにつらいことをしているんだろう!」ってハッとするんだけどね(笑)。それがまあ、醍醐味ではあるよね。

(米津玄師)そうですね。

<書き起こしおわり>

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