星野源さんが2023年11月21日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でKANさんの『まゆみ』を選曲。楽曲のアレンジや歌詞などについて話していました。
(星野源)さあさあ、先週ビートルズの『Abbey Road』のアナログ盤、B面のメドレーっていうのがありまして。それがすごく僕は好きで。16分ぐらいあるんですけど。それをラジオで生放送でぶっ通しでね、アナログ盤でかけるということをやったんですけど。なんかすごく反応があって。いろんな人から「すごいあれ、よかったです」と言ってもらえて嬉しかったですね。やっぱりね、あんまりその16分間、曲を流すって、なかなかできないよね。テレビじゃなかなかね、できない。それこそライブ映像とかでもさ、16分ぶっ通しでやるっていうのは、もう民放ではもうほぼないと思うのね。やっぱり、なんかトークを挟んだりとか、なんだかんだであると思うんですけど。
で、やっぱりラジオならではのことができたな。嬉しかったなと思って。それで今日もちょっと曲から行こうかなと思うんです。先週はアナログ盤でしたけど、今日はCDです。CD時代の曲をちょっとかけたいなと思っております。で、先週、まさにビートルズだったんですけど。そのビートルズに多大な影響を受けてる方ですね。僕も本当に大好きなアーティストの方ですけれども。で、アーティストの方の大好きな曲をまず、聞いていただきましょう。これはですね、何年だ? たぶん93年とかじゃないかな? ごめんなさい。寺ちゃん、今調べてもらってありがとうね。ちょっと後でね、正確な年数を言いますけど。90年代のたぶん前半ぐらいあったと思うんですけど……ああ、93年? 合っていた。よし! 93年。
で、その曲がね、サイダーのCM曲だったんですよ。サイダーで、小島聖さんが出演されていて。すごいさわやかな、素敵な……あるじゃない? コーラの昔のCMとかも、なんかもう現実じゃないみたいみたいな。青春みたいなのが映ってたり。で、そのサイダーのCM……本当に今ではなかなかあの空気感は味わえないんじゃないかっていうようなCMの曲だったんですよ。さわやかな。YouTubeとかでたぶん、あると思うんで。よかったら皆さん、見ていただきたいんですけど。そのCMソングだったこの曲、ぜひね、じっくり聞いていただきたいと思います。KANで『まゆみ』。
KAN『まゆみ』
(星野源)お送りしたのはKANで『まゆみ』でした。先週はアナログ盤をかけて。やっぱり音質がね、もう全然今の、たとえばCDでもやっぱり違うし。サブスクでも、もちろん違うという音質でお届けしましたけども。この曲は、なんかね、サブスクにないんですよ。で、ご自身がそのセルフカバーアルバムを出したりされてたんですけど。その中の1曲としてはあるんですけど、このオリジナルバージョンのアレンジだったりとかは、アルバム自体は今はね、たしかないんですよ。
(星野源)なので、このラジオコンプを通しての90年代のCDの音っていうのがまたね、これが……ごめんなさい。ちょっとマニア向けのあれかもしれないんですけど(笑)。あのね、いいんですよね。だからね、今日ちょっと聞きたかったっていうのがあります。なので、ぜひまた、たぶん先週のラジオはRadikoのタイムフリーとか、あとエリアフリーとかだと、36局ネットですから。有料の人はね36局で聞けますからね。なので、今のラジオを通した『まゆみ』のオリジナル音源をぜひ、たくさん聞いていただきたいと思います。
で、KANさんの曲はもちろん好きな曲、いっぱいあるんですけども。あとで今井美樹さんの……前にちょっとお話でもちょっとどこかで出したと思うんすけど。『雨にキッスの花束を』っていう曲があって。これもKANさんが作曲をされていて。作詞はまた別の方なんですけど。それもね、後で出かけたいと思います。
で、この『まゆみ』を改めてじっくり聞いて、歌詞をじっくり読んで思ったのは、本当に面白いなと。音楽を本当に好きだし、歌詞というところでのアイディアみたいなもの……普通のことに見せかけて、というか。普通に受け取れる部分もあるんだけど。その裏側に全然違う意味みたいなのを同時に隠していたりとか。
で、そうだ。この今の曲は間奏の部分にビートルズの『Magical Mystery Tour』のフレーズがちょっとあったりとか。そういう、なんていうんですかね? 好きなんだなっていうか。「わかってもらえたら嬉しいな(ニヤリ)」みたいな、そういう感じみたいなのもすごく聞いていて楽しいですし。
『Magical Mystery Tour』のフレーズを引用
(星野源)楽曲自体の面白さもさることながら……これ、すごくシンプルに聞くとものすごく純粋なラブソングといいますか。なんか片思いのラブソングみたいにも受け取れるんですけど。歌詞をじっくり読んだ時に、もっといびつで……KANさん、なんとなく思うのは人間っていうのはすごくいびつな生き物で、そのいびつな生き物なんだけど、その中でたまにすごく美しい瞬間があったり。ものすごく愛らしい瞬間があったり。ものすごくダメな瞬間があったり。そういうのを、人間っていうのは本当に美しいっていうのが前提じゃなくて、いびつなんだけどその中に時折、すごく面白い、美しい瞬間があるみたいな。なんかそういう世界観が垣間見える感じがしてて。
で、この『まゆみ』っていう曲もそういう、本当にいびつな部分があって。それがすごく面白いんですけど。僕はちょっと解説はしませんけど、ぜひじっくり読んで、皆さんで見つけたりとか、思ってもらえたらいいなと。なぜこの曲の主人公が歌詞の最初で「ふてくされてる」のか? なぜ「僕は見てるだけ」なのか? あとはなぜ「深刻」なのか? なぜ「責任とれない」のか? とか。そういうところにですね、本当に物語がギューッと詰まっているすごく面白い……で、それをあんなさわやかなCMにぶつけたというところがKANさんの宇宙のような広い面白さっていうような感じがします。なのでぜひタイムリーでも、もう1回ね。あと、リアレンジの方もすごく素敵なので。ぜひ『まゆみ』を聞いていただきたいと思います。今日の1曲目はKANさんで『まゆみ』でした。
(中略)
(星野源)それではここで1曲、お送りしましょう。この曲はね、曲調がとても……当時、『YAWARA!』というアニメの主題歌でしたね。聞いてみましょう。今井美樹で『雨にキッスの花束を』。
今井美樹『雨にキッスの花束を』
<書き起こしおわり>