ジェーン・スーさんが2021年5月12日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』にゲスト出演。佐久間宣行さんと悩み相談やエゴサーチなどについて話していました。
今夜もラジオ楽しかったです。
スーさんともっとお話ししたかった!お聞き頂きありがとうございました!#佐久間宣行ANN0 #生活は踊る pic.twitter.com/DxbSBMsieY
— 佐久間宣行 (@nobrock) May 12, 2021
(佐久間宣行)でもね、スーさんの本って、俺はこのタイミングで……元々エッセイはいくつか読んでいたんだけども。最近、読んだ本がどれも面白かったんだよな。
(ジェーン・スー)ありがとうございます。そもそも、私のことをなんで知ったんですか?
(佐久間宣行)俺はたぶん宇多丸さんです。タマフルのリスナーでスーさんを知って。「この人、面白いな」ってラジオを聞いて。それでエッセイを読んで……っていう感じですね。そんなめちゃくちゃ熱心な読者とかファンじゃないですけども。
(ジェーン・スー)そもそも山戸さんが監督でドラマを何か作るっていう?
(佐久間宣行)そうです。山戸さんと昔から知り合いで。山戸監督の映画が面白いなと思ってたのと、あと僕はミスiDっていう講談社がやってるちょっと変わったオーディション企画があって。それで同じ時期にそれの審査員をやっていた時に、山戸さんが「テレビドラマもやってみたい」っていうんで、「じゃあ、企画書を作ってみましょうか」っていうのがスタートで。何回か頓挫したんですけど、枠が空きそうだっていう時、ド深夜じゃなくてドラマ24とかも狙えそうな時間帯だったんで。山戸さんが今まで作られていたガールズムービーとか、少女漫画原作じゃないものっていうので探している時に僕が、ちょうど読んだ後だったんでこのスーさんの『生きるとか死ぬとか父親とか』を「どうですか?」って言ったんですよ。
(ジェーン・スー)そこから実現したっていうことですか?
(佐久間宣行)そこから実現したんですね。
(ジェーン・スー)すごいですよね。
(佐久間宣行)で、僕も読んで面白いなと思って監督に渡して。監督も「できると思います」と言って、そこから「さあ、脚本を作ろう」と思ったら、エッセイで。「これ、全然ドラマになんねえな」って思って(笑)。
(ジェーン・スー)そう(笑)。ノー起承転結だから。
(佐久間宣行)物語じゃないから。一番の問題は今のスーさんが書いていて、達観してるから、主人公の成長がないっていうので。エッセイの場合で目線がはっきりしてるから。その場合ってだいたい主人公を置き換えちゃったりするんだけれども。でもこれは絶対、スーさんの役柄の人が主人公にならないと、家族の話だから。というので、「前後に悩み相談のラジオを挟んで。それをフックにして作るのはどうですか?」っていうのを……それはたぶん僕だったかな? 提案をして。そこか組み立てて今の形になったっていう。そしたら、吉田羊さんがやってくれるっていうことになって。テレビ東京が「えっ! 吉田羊がやってくれるの? えっ、父親役は國村隼がやってくれんの? 吉田羊の若い頃は松岡茉優? お前、それ、ゴールデンでいいんじゃねえか?」みたいになって(笑)。それで、結果的にドラマ24っていううちで言う深夜の看板枠がもらえたっていう。
(ジェーン・スー)ねえ。橋田壽賀子先生の安田成美以来の物議を醸す……(笑)。
(佐久間宣行)橋田壽賀子先生の自伝が原作の『春よ、来い』の主演が安田成美っていうことで、その当時大きな話題になったのと同じぐらい、吉田羊&ジェーン・スーの2枚の写真がね。
(ジェーン・スー)吉田さんが寄せてきてくれるんで。やっぱり俳優さんってすごいですね!
(佐久間宣行)いや、信じられないですよね。俺、ドラマは何回かやったことありますけど。芸人も交わるコメディドラマが多かったから、ガチの役者のすごさってよくわかってなくて。信じられないんですけど。あの12話の中で、前後にラジオのシーンがあるじゃないですか。あのラジオのシーンって3日で撮ったんだっけ? 4日だっけ? あの途轍もない量のセリフを朝から晩まで吉田羊さん、全部頭に入れてきて。で、その4日分とか5日分とかのあの長ゼリフをさも、今読んで答えたかのように。俺、1日1本あれを撮るならわかるんですよ。あれ、4話分とか5話分とか、ぶっ続けですよ。それを3日間とか。
(ジェーン・スー)見学に行った時も「まだやってる! まだやってる!」っていう感じですもんね。
(佐久間宣行)それでやっぱり芸人とかとドラマを撮る時って、芸人は同じ演技ができないからマルチカメラで。何台かのカメラで一気に撮っちゃうんですよ。芸人ってやっぱり毎回、芝居が変わるから。でも今回は映画監督が撮るから。基本は1カメで撮っているんですね。ということは、それを何回もやらなきゃいけない。なのに、ラジオのメールを読んで、自然な「なるほどね」っていうリアクションとかも何回も同じことができるんですよね。
(ジェーン・スー)信じられないですよね!
(佐久間宣行)信じられないですよ! 化けもんですよ、あんなの。俺、正直本当に申し訳ないですけども。プロデューサーですよ。それで、その本を作ったのも僕ですけど、撮っているのを傍から見ながら「気持ち悪いな」って思っちゃいましたもん(笑)。
(ジェーン・スー)アハハハハハハハハッ!
(佐久間宣行)何回も同じことをあの物量できるから。うん。
(ジェーン・スー)ねえ。吉田羊さんはこの間、『生活は踊る』にゲストに来てくださったんですけども。相談のコーナーも出てもらったんですよ。で、それに答えるっていう時に、「私はその場ではできないから」っていうことを言って、事前にびっしりとスマホに回答を書いてきてくださって。なんかそれを3、4時間かけて考えたって言っていて。全てにおいて誠実っていう。
(佐久間宣行)すげえな。
(ジェーン・スー)その場で答えている自分がこっ恥ずかしくなりましたけどね。
(佐久間宣行)その場のノリで(笑)。
(ジェーン・スー)ノリ回答で(笑)。
(佐久間宣行)まあでも、そのぐらい1回……俺、スーさんのエッセイとか、あと今回の本でも結構わかったのは、俺はめちゃくちゃ人生相談って重いことだなと思ってたけど。逆に、無責任な人じゃないと言えないことがあるんですよね。きっと。
(ジェーン・スー)だと思いますね。だって完全に責任を取ろうと思ったら「人それぞれですね」って言うことで終わっちゃうから。
(佐久間宣行)そうですよね。でも、相談をしたいっていうことはその無責任な人の意見でもいいから聞きたいっていう。あと、利害関係が全く関係ない人からの意見を聞きたいっていうことなんだなってスーさんのラジオとかエッセイを読んでわかったんですよね。それまで俺、「悩み相談なんて関係のない自分が無責任に答えられないものだ」と思ってたんですけど。逆にそうなんですね。
悩み相談の意味
(ジェーン・スー)「誰かに聞いてほしい」っていうところと、「悩みを書いて送る」っていうところで半分はもう解決しているんだと思いますよ。
(佐久間宣行)なるほど。もう送った時点でちょっと心が軽くなっていて。それで1個、「わかる」とか「わからない」とか言ってもらえるだけ楽になっているっていうね。
(ジェーン・スー)とりあえず、それを受け取ったっていうことをちゃんと表明するのが、もしかしたら仕事のひとつなのかなと思いますけどね。
(佐久間宣行)「これ、無理だよ」っていう相談はありました?
(ジェーン・スー)今のところはないかな?
(佐久間宣行)すげえな!(笑)。逆にあと、読んでいてムカついたとか、ありますか?
(ジェーン・スー)ムカついて、そのまま出しちゃったこともありますよ。やっぱり。「何をナメたことを言ってるんだろう」っていうのもあるし。あと、やっぱり……だいぶ今は治りましたけど。やっぱり自分の視点っていうものが相当、自分が気が付かないところで固定しちゃってるんで。
(佐久間宣行)まあ、そうですよね。特にある程度の年齢行ったら、アップデートするって難しいですもんね。
(ジェーン・スー)そうなんですよ。「それは非常識なんじゃないか?」みたいなこと言って終わって。それで後からメールとか来たのを見ると「うわっ、すごい怒られている、私」みたいなのもありますけどね。
(佐久間宣行)ああ、それって反省ってする方ですか?
(ジェーン・スー)します、します。「ああ、今、時代が変わっているんだ」と思って。そこは。
(佐久間宣行)伊集院さんも……この間、『あちこちオードリー』の収録で「反省すると自宅まで歩く。TBSから護国寺ぐらいまで7キロから8キロ、歩きながらずっと自分を打ち続ける」って言っていたんですけども。
(ジェーン・スー)すごい……。
(佐久間宣行)伊集院さんは反省が過ぎるとは思うけど。そういう時……「うわっ、やったな」って思った時ってどのぐらいで回復できます? だって帯で毎日放送があるじゃないですか。
(ジェーン・スー)なんか、毎日反省をしているとたぶん番組が固くなっちゃうと思うので。ただ、どうだろう? 「あっ、やっちゃったな」っていう時は、どっちかというと、細切れですね。5分反省して、お昼食べて、1本コラムを書いて、その後また5分反省して。細切れで反省が来る感じですね。1日のうちに。でも、そんなに長引かないけども。
(佐久間宣行)芸人はね、もう本当にみんな、みんな反省してるもんな。今日、なんかちょっと軽いネタ見せみたいなのに行ったんですけども。事務所に「ちょっとだけ見てくれ」って頼まれて。で、反省してるうちにある芸人さんが泣き始めて。「ちょっと待ってくれよ。ネタ見せで、別に誰も怒ってないのになんで泣くんだ?」「もう全然最近、本当にダメで……」って。でも芸人ってやっぱりそのぐらい考え込む人、結構いるんですよね。
(ジェーン・スー)なんかやっぱり「誰かの期待に応えなきゃ」って思うと、反省もすぎるし、泣いちゃうとかプレッシャーとかになるのかもしれないですね。
(佐久間宣行)あの、反省でへこまなくするとか。あとは「これ以上、反省してもムダだ」ってことはあるけど、でも反省しちゃう時ってないですか?
(ジェーン・スー)あります、あります。
(佐久間宣行)俺、あるんですよね。
(ジェーン・スー)「反省する」っていうか、その場合、私は反省じゃないですね。もう、たられば。「もし私がこうだったら」とか。「あの時、あれをしなければ」っていう。
(佐久間宣行)あっ、俺も、俺も! それだ!
(ジェーン・スー)それ、反省じゃないんですよ(笑)。
(佐久間宣行)それって、「やってもムダだ」ってわかっているのに、なんかやっちゃいません? それって俺、これは今、相談なんですけども。やっちゃうんですよ。このラジオでもそうだけど。これ、1週間に1回だから。あとは収録で「あそこの出口、別にしておけばよかったな」っていうたらればが1週間ぐらい続くんですけど。それって、どうやったらやらなくて済むようになるんですか?
(ジェーン・スー)いや、無理ですね。
(佐久間宣行)フハハハハハハハハッ! 無理か(笑)。
「たられば」の後悔
(ジェーン・スー)もう、飽きるまでやるしかないのと。ただ、その代わり同じことを2度、やらないようにはしています。2度やると、より落ち込みが激しくなるんで。
(佐久間宣行)ああ、2度目、同じ失敗した後の落ち込みね。
(ジェーン・スー)半端ないじゃないですか。
(佐久間宣行)たまにあるんですよ。企画で1回、失敗したんだけど。だから長く置いてるのに、いい記憶だけ残っていて。「あれ、編集したら面白かったから、もう1回行けるんじゃないか」って思って撮り始めてからすぐぐらいで「あれ? 俺、この間と同じ失敗してるな」みたいなことに収録の途中で気付くっていうことがあるんですけど(笑)。
(ジェーン・スー)そうなると、厳しいですね(笑)。
(佐久間宣行)テレビって生放送と違うから。長らく忘れてオンエアーだけ見返すと、めちゃくちゃうまくいった感じがするんですよ(笑)。
(ジェーン・スー)はいはいはい。そこの苦労を忘れちゃうわけですね。
(佐久間宣行)そこの苦労を忘れていて。で、撮り始めてすぐに「やべえ! 俺、同じ失敗をしている! 出口が違っていた」とか思うんですよね。
(ジェーン・スー)でも、後悔はしきるまでするしかないですよね。本当に。
(佐久間宣行)そうなんだよなー。結局、芸能界の……僕は今、『あちこちオードリー』っていう番組で、若林くんやオードリーのところに結構いろんな人が来て話すんだけど。売れてる人で、実はエゴサーチしてない人がほぼいなくて。
(ジェーン・スー)そんなの、するよ。
(佐久間宣行)ねえ。息をするように、みんなするんですよね。「気にしてない」っていう春日みたいな人もいるけど。ほとんどの人がエゴサーチをして、しかもちゃんとそれで微修正しているんですよね。
(ジェーン・スー)ああ、します、します。
(佐久間宣行)だから、「気にしない」とか「俺は全然」とかって言ってる人って、嘘だなと思いました。売れてる人はみんな、ちゃんとやってるなっていうのと……。
(ジェーン・スー)私はね、自分がやっぱり宣伝マンだったので。本名の私がジェーン・スーを監視してるんですよ。だから本名の私がジェーン・スーをエゴサーチして。「はいはい、今、こんな感じ」とか。
(佐久間宣行)ああ、そのジェーン・スーがちょっとズレているとか?
(ジェーン・スー)そうそう。「ちょっと修正をしよう」とか「ああ、容姿のディスがめっちゃ増えてきた。これは売れている!」とか。そういうのがわかるんですよ。過去にやってきているから。
(佐久間宣行)ああ、自分がアーティストで、本名の方がA&R担当だっていう……それはめちゃくちゃいいですね! マネージャーの気持ちもわかるっていう。やっぱり、SNSで容姿のディスとかが増えてくるということは「これは届かないはずのところの人にも届いてきている」っていう?
(ジェーン・スー)届いてきているっていう。そういうことなんですよ。
(佐久間宣行)なるほどね(笑)。でも、単純にそのマネージャーの自分を飛び越えて、まずムカつくでしょう?
(ジェーン・スー)ムカつくけど、そういう人ってだいたい、まあTwitterとかでその人のホームに行って見てみると、「頑張れよ」っていう生活をしてるんで。そこはいいやって思って。
(佐久間宣行)たしかにそうなんだよな。わかる! それはわかる! 俺もね、うーん……これはうまい言い方が見つからないけども。めちゃくちゃ番組の的外れなけなし方をしている人をたまに、「ここまでけなすんだったら、この人のホームに行ってみよう」って思うと、ずっとクーポンのリツイートしかしていないとか。
(ジェーン・スー)そうそう。そうするともう……。
(佐久間宣行)そうすると……そういう人で他にもめちゃくちゃ面白い意見を言ってる場合は、逆にちゃんと考えようと思うけどっていうことですよね。
(ジェーン・スー)芯を食っているのもあるので。それは「なるほど」って思って本名の私がジェーン・スーに修正を依頼して微調整していくんですけども。
(佐久間宣行)そうなんだよな。『あちこちオードリー』をやっていてびっくりしたのは、「芸能人はやっぱり傷つきやすいからエゴサーチ的なものってやらないのかな」って思ってたんですよ。でも、みんなやってるし。
(ジェーン・スー)やりますよ。
(佐久間宣行)それでやって、しかも若い世代の20代の女性タレントさんとかは、それを全然、なんていうか、マーケティングの感じでやってるっていう。
みんなエゴサーチをしている
(ジェーン・スー)そうそう。そうだと思う。普通の子たちも今、だってみんなSNSを持っているから。私なんかもう、めっちゃ頑張って。目にムチを打って。「スーさん」っていう、もうゴマンと引っかかってくるワードでもやりますからね(笑)。
(佐久間宣行)フハハハハハハハハッ! 「スーさん」でやったら、『釣りバカ日誌』が引っかかってくる?
(ジェーン・スー)『釣りバカ』ばっかり。あと、自分で自分のことを「スーさん」って呼んでいる人とか。あとは『ヘタリア』のスウェーデンが「スーさん」って呼ばれているんですよ。だから『ヘタリア』と『釣りバカ』を超えて「ジェーン・スー」を探すっていう。
(佐久間宣行)その「スーさん」を見つけて……それはすごいな。俺、番組のはやるけど、自分の名前ではやらないですね。
(ジェーン・スー)えっ、やらないんですか? やっておきましょうか? 報告いたしますよ。レポート、出しましょうか?
(佐久間宣行)レポート(笑)。マーケティング会社に発注するみたいな感じで?(笑)。
(ジェーン・スー)そうそう(笑)。
(佐久間宣行)僕の場合、「佐久間」だと大体Snow Manの佐久間大介さんが出てきちゃうから。だからみんな、逆に言うとめちゃくちゃ「かっこいい」っていうのしか出てこないから。
(ジェーン・スー)アハハハハハハハハッ!
(佐久間宣行)だいたいそれしか出てこないから。だから別に検索してもあまり意味がないんですよね(笑)。
<書き起こしおわり>