渡辺志保 ScHoolboy Q『CrasH Talk』を語る

渡辺志保 ScHoolboy Q『5200』を語る MUSIC GARAGE:ROOM 101

渡辺志保さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中でスクールボーイ・Qのアルバム『CrasH Talk』を紹介していました。

CrasH Talk

(渡辺志保)4時台後半はスクールボーイ・Qの新作アルバム『CrasH Talk』についておしゃべりしたいと思います。スクールボーイ・Qと言いますと、ケンドリック・ラマー。そしてSZA、そして最近だとザカリーとか、忘れちゃいけないジェイ・ロックとかもいますが。レーベル、トップ・ドーグ・エンターテイメント。通称TDEに在籍するラッパーですね。で、ケンドリック・ラマーが『good kid, m.A.A.d city』……マッドなシティで育った優等生(グッドキッド)という、ある種そういうキャラクターですけども。そういう感じでキャリアを進めているのに対して、このスクールボーイ・Qやジェイ・ロックというのはガチギャングスタ魂でですね、毎回毎回素晴らしいアルバムをドロップしているという、そういう性格のラッパーでございます。

で、今回『CrasH Talk』というタイトルのアルバムをリリースしたんですけれども。これ、3年ぶり4枚目のオリジナルアルバムってことなんですね。で、スクールボーイ・Qなんですけども、これまで2年おきにアルバムを発表してきたんですね。前作『Blank Face』は2016年のリリースということになりますけれども。なぜ今回の『CrasH Talk』が3年間も時間が空いてしまったかというと、非常に親しくしていたマック・ミラーというラッパーがおりますが、マック・ミラーの死がきっかけとなり、アルバムのリリース延期を決めたということです。

で、さらにはですね、この週に発売しようと決めていたタイミングがあったんですけれども、その直前になんと今度は同じく西海岸で、彼もギャングのバックグラウンドがありますけれども、ニプシー・ハッスルというラッパーが惜しまれつつというか、本当に急な事件でしたけども、銃弾に倒れるということがありまして。「いまはアルバムをリリースするタイミングではない」っていうことで、またそこで少し後ろ倒しになりまして。結果、3年ぶりのリリースになったということでございます。

で、この3年間の間にアルバム丸々1枚分、スクラップしてる。無駄にゴミにしてるということで。そこにもね、どんな曲が入っていたのか、非常に気になるところでありますよね。すでにいろんなインタビューに答えているんですけれども、このアルバム『CrasH Talk』に関しては、「キャリア史上初めて、自分がハッピーな精神状態で作ったアルバム」という風にも言っておりまして。スクールボーイ・Qは娘がいますけれども、その娘さんがね、ラップの中に登場することとか、まあミュージックビデオに登場することも多々あるんですけれども。この自分が1人の父親としてどうであるかというようなことも意識しながら作ったアルバムになっているということです。

で、なぜ今回ね、ハッピーな精神状態、ヘルシーな精神状態を保つことができたかというと、そこに一役買ったのは「ゴルフ」なんですって。で、去年、私はニューヨークのマジソンスクエアガーデンまではるばる、このスクールボーイ・Q、そしてケンドリック・ラマーらが所属するTDEのレーベルツアーっていうのがあって。それをニューヨークまで見に行ったんですけど。それぞれがみんな、スポーツをテーマにして出てくるんですよ。で、SZAだとボクシングとかね。ジェイ・ロックは野球だったかな? なんかそういった感じで。ケンドリックだけすごいズルいんだけどもF1レーサーでさ(笑)。なんかちょっとズルいぞ!って感じがするんですけど、みんなそれぞれテーマにとしているスポーツが決められていて。

ゴルフでヘルシーな精神状態に

それでスクールボーイ・Qはゴルフだったんですよ。で、ステージにもちゃんとゴルフカート。皆さん、コースを回る時に移動するために乗るカートに乗ってステージに出てきて。しかも、ゴルフウェア姿が異様に似合っていたの。

だから、いま思い返してみるとあの時、ガチでゴルフをやっていたんだなって思って。そりゃ似合うわなっていう感じがするんですけども。男性ファッション誌の『GQ』WEB版にそのゴルフをテーマにしたスクールボーイ・Qの今回の撮影カットが載っていて。すごいいかつい格好良さがあるのでぜひぜひ見ていただきたいなと思うんですけれども。

彼がリードシングルとして発表したシングル『CrasH』という曲がありますが、そこのリリックにも「gotta hit the golf course to get a peace of mind(心の平穏を取り戻すために俺は今日もゴルフコースに出る)」という、そういう印象深いパンチラインがありますので。ちょっとここでその曲を聴いていただきたいと思います。スクールボーイ・Qの最新アルバム『CrasH Talk』から『CrasH』です。

ScHoolboy Q『CrasH』

いま聞いていただいておりますのはスクールボーイ・Qが4月26日にリリースしたばかりの最新アルバム『CrasH Talk』から『CrasH』でした。サンプリングソースはRoyce Da 5’9”の『Boom』ですね。『Boom』をかなりドロドロにね、遅回しにしてサンプリングしております。前もちょっと他の番組で話したんですけど、この前後にサンプリングソースの『Boom』を普通の速さで聞くと、めちゃめちゃ気持ち悪い。この『CrasH』がね、すごいドロドロに遅くなってるのでめっちゃ気持ち悪く聞こえるっていう、それだけなんですけれども。お暇な方はぜひ、Spotifyなどで『Boom』も探して聞いてみてくださいという感じです。

で、この最新アルバム『CrasH Talk』なんですけれども、あの意外なほどに短いんですよね。前作『Blank Face』というアルバム。あれは全部で17曲。そして全尺も72分とという、1時間越えの超大作だったんだけれども。今回の『CrasH Talk』は全部で14曲。そして長さも39分45秒と40分に満たぬほどの短さなんですよ。だから全て聞き終わった後に「もっと聞きたい!」という風に思っちゃうんですけど。それも、なんですかね? スクールボーイ・Qの策略といいますか。これぐらいの長さが彼にとっていちばんいま、そのピース・オブ・マインドじゃないですけど。心地よい長さだったのかなという風にも思いますし。

で、繰り返しますが丸々アルバム1枚分を無駄にして作り変えたアルバムということなので。だから全然前作、その無駄にしてしまったアルバムとは違うテンションの曲が入っているんだろうなと感じた次第でございます。ちなみにゲスト陣もいつもながらに豪華でして。トラヴィス・スコット、アトランタのシンガーのブラック。あとは同じ西海岸を拠点としておりますタイ・ダラー・サインやYG、アトランタ出身の21・サヴェージとかリル・ベイビー。そしてですね、やはりという感じですけども、フィーチャリングアーティストとしてはクレジットされていないんですけれども。ライター。歌詞を書くことを手伝ってくれたということで、ケンドリック・ラマーの名前もね、ちょこちょこ見られるということで。

そういったところがTDEの絆だなという風にも感じております。逆に言うと、TDEのメンバーががっつり参加している曲っていうのはほぼなくて。ザカリーが最初にちょっと語りの部分で参加してる曲とかはあるんですけれども。ジェイ・ロックとかSZAとかリーズン、アブ・ソウルとかは参加していないんですよね。なので、そこのコラボ、TDEコラボみたいな曲もね、ちょっとどこかのタイミングで聞きたいなと思わされた次第です。まあTDEコラボに関しては去年ね、映画『ブラックパンサー』のインスパイア盤でこれでもかというほどにね、みんな作ったと思いますので。「もういいかな?」っていうテンションなのかもしれないですけれども。そんな風に思いました。

で、私がですね、他に印象に残った曲がありまして。『Attention』というアルバムの14曲目。いちばん最後に入っている曲なんだけど。この曲の中ではスクールボーイ・Qがですね、ジェイ・Zとかナズ、あとは西海岸の先輩2パック、スヌープ・ドッグ、コラプト、ダズ・デリンジャーとかの名前を出して、自分のキャリアを振り返る内容になっているんですよね。「俺、グラミー賞のフロントロウ、いちばん前の席に座ってあのジェイ・Zが俺のことを知ってくれていた。あのナズが俺のこと褒めてくれてた」みたいなラインが最初の方にありまして。

あとは自分のちょっとハードなギャングスタライフについてもラップしてるんですけれども。まあ地元の先輩の2パックやスヌープ・ドッグみたいなラッパーということで、そういったところにも言及しておりまして。なかなかこれまでのスクールボーイ・Qのキャリアにおいてはですね、ちょっと珍しいタイプの楽曲なんじゃないかなという風にも思った次第です。

で、ここで聞いていただきたいのはその『Attention』ではなくて、もう1曲このアルバムからこのタイミングでお届けしようと思うんですけれども。キッド・カディと組んだ『Dangerous』という曲が入っております。スクールボーイ・Qとキッド・カディ、これ以外にもね、すでにかつてコラボをしたことはあるんですけれども。スクールボーイ・Qとキッド・カディの組み合わせと言いますと、私は『Hands On The Wheel』という初期のスクールボーイ・Qの代表曲がありますが。あれはすぐね思い出してしまうんですね。

あの曲もキッド・カディの楽曲『Pursuit Of Happiness』のサンプリングをしておりまして。しかもただサンプリングをしたんじゃなくて、キッド・カディの『Pursuit Of Happiness』を歌った他の女性シンガーの曲をサンプリングしてる……言ってる意味、分かりますか? キッド・カディをカバーした女性シンガーの曲をスクールボーイ・Qがかつてサンプリングした『Hands On The Wheel』という曲があるんですけども。それ以来、初めて自分のアルバムにキッド・カディを招いて曲だ!っていうことで、ちょっと興奮してしまいましたのでここで聞いていただきたいと思います。スクールボーイ・Q feat.キッド・カディで『Dangerous』。

ScHoolboy Q『Dangerous feat. Kid Cudi』

<書き起こしおわり>

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