安住紳一郎『桜ノ雨』『旅立ちの日に』『大地讃頌』を語る

安住紳一郎『桜ノ雨』『旅立ちの日に』『大地讃頌』を語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんが2021年3月14日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で卒業式で歌われる卒業ソングについてトーク。『桜ノ雨』『旅立ちの日に』『大地讃頌』を紹介していました。

(安住紳一郎)さて、卒業式のシーズンですね。もう今年は高校は終わりましたね。小学校はまだかな? 中学校はそろそろ、あるいは終わったというところかもしれません。今年はやっぱり感染拡大……コロナウイルスのことを考えて、保護者は1人までとか。そういうことがあったりしたみたいですね。あとは合唱なしとかね。呼びかけなしとね、あったみたいですけどもね。

また、今年は学校行事などがなかったのでね、思い出がちょっと少なめということで。卒業アルバムなどの写真が足りないというような、そういうような話もありましたけども。一方でね、どんな状況でもやっぱり小学校6年生とか中学校3年生っていうのは、まあ友達と一緒に机を並べているだけで楽しいっていうね。別に比べてるわけじゃないしね。そう。

(中澤有美子)一度きりの6年生ですもんね。

(安住紳一郎)6年生とか、中学3年生、高校3年生とかね。ということがあるので。別に本人たちはそんなに……っていうような話も聞いたりはしますけどもね。さて、今日は卒業ソングを少し聞いていただきたいと思いますけれども。皆さんは卒業式の合唱曲というと、何ですか? 年代によって変わるんですよね。この番組でも5年おきぐらいに紹介してますけれども。最近『仰げば尊し』や『蛍の光』を歌う学校はほぼゼロだっていう、そういう統計を私、3年ぐらい前に目にしました。まあ、ごくごく稀にね、伝統的に歌ってるっていう高校があるみたいですけども。

公立の小学校、中学校ではもうないみたいですね。で、音楽とか言葉っていうのは誰も使わなくなると完全になくなりますからね。なので近い将来、たぶん『仰げば尊し』とか『蛍の光』っていうのは「なに?」っていうことになるんじゃないでしょうか。「スーパーの閉店の音楽?」とかね、そういう風になるみたいですよね。ちょっとそれはそれで寂しいなと思いますけれども。

(中澤有美子)ねえ。

(安住紳一郎)私たちの頃は『大地讃頌』っていう、ちょっと難しい合唱曲なんかが卒業式でよく使われたんですけれども。私たちよりも10歳ぐらい下の世代になりますとね、30歳。今の23歳から上ぐらいの方たちでしょうか? その方々になりますと、やはり埼玉の秩父の中学校の校長先生が作った歌ということで。その後ね、SMAPの皆さんたちが歌って人気になったというのもありますけども。『旅立ちの日に』っていう歌がすごく人気があって。「今はもう『旅立ちの日に』だろう?」と思ってる方が多いみたいですけどね。

で、その下になってくるとまた複雑になってきて。今、小学校で人気があるのは『桜ノ雨』っていう曲で人気なんですよね。このへんはちょっともうおじさんたち、ついていけないかなって感じですよね。『桜ノ雨』は誰が歌ってるかっていうと、ボーカロイドが歌ってますからね。

(中澤有美子)そうだそうですね。

(安住紳一郎)ただ、若い皆さんは歌手の方が歌っているよりもボーカロイド……いわゆる自動音声、合成音声なんですけど。合成音声で歌われた方が感情移入しやすいっていう、そういう世代みたいですね。信じられます?

(中澤有美子)本当なのかしら?(笑)。

(安住紳一郎)本当らしいですよ。想像ですけども。やっぱり人間っていうのはちょっとね、裏表があるじゃないですか。なので、人間がやっぱり純情とかを歌っても限界があるっていうことみたいですよ。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)ねえ。「夢、大事♪」みたいなことを歌ってる歌手が年収1億3000万みたいなことでしょう? 「友達へ♪」って言ってる人がすごい贅沢な暮らしをしてるみたいなことに対して、なんか……なんていうの? ルサンチマンというか、そういうところがあるのかなと個人的には思っているんだけども。それだったら、ボーカロイドの自動合成音声で「ボクラノトモダチ、アナタ」みたいなことを言われてる方がまだフラットに聞けるのかなって私は想像しているんだけど。間違ってるかしら?

(中澤有美子)フフフ、うん。言われてみればちょっとわかる気もしますね。

(安住紳一郎)ほらほら、炎上社会でしょう? だからほら、自分の好きなアイドルが恋愛スキャンダルとかになったりするわけじゃない? そうすると傷つくじゃない? だったらもうボーカロイドに、あるいはそのVtuber的なものに恋をしてた方がいいっていう気持ちは分からないでもない。

(中澤有美子)そうかそうか。それと同じ感じか。

(安住紳一郎)かもしれないと思うんですけどね。まあ、いずれにせよ『桜ノ雨』という曲が人気なんですよね。驚かないでくださいよ。『桜ノ雨』の歌詞。「それぞれの場所へ旅立っても友達だ」って。いいですね。ここまではね。いいですよね。

(中澤有美子)いいですね。そうですよ。

(安住紳一郎)この後ですよ。「聞くまでもないじゃん」っていうね。「ええっ? ハマっ子?」っていうね(笑)。

(中澤有美子)フフフ、「じゃん」って歌で来るんですね。

(安住紳一郎)すごいでしょう? 卒業式で「それぞれの場所へ旅立っても友達だ 聞くまでもないじゃん」っていうね。うん。お父さん、びっくりだよね。どうなんですか? えっ、どうですか、皆さん? 昭和ヒトケタ生まれの人の意見とか、聞いてみたいわ。「じゃ、じゃん? こ、この……卒業証書授与式で? じゃん?」って(笑)。

(中澤有美子)そうですよね(笑)。「『仰げば尊し』は……」って(笑)。

(安住紳一郎)ということなんですけども。でも、人気ということですよね。それでは『桜ノ雨』をお聞きいただきましょう。今回は『桜ノ雨』三部合唱ですね。杉並児童合唱団の皆さんです。

杉並児童合唱団『桜ノ雨』三部合唱


(安住紳一郎)『桜ノ雨』をお聞きいただきました。どうですか、皆さん。聞いたことありました? なかったですね? 最近の……今の小学生の皆さんですが。「卒業式で何を歌いたいか?」と聞きますとこの歌が上位に来るそうですよ。覚えておいてください。さて、そして先ほども話に出てきましたけども。『旅立ちの日に』ですね。これは中澤さんは学生の時、歌いました? 歌ってないですよね?

(中澤有美子)歌ってないです。

(安住紳一郎)ただね、もうこれがやっぱり20歳代……上は27歳ぐらいまでかな? それはもうこれが一択なんですよね。で、これはね、かける時はちゃんと後半の掛け合いのところまでかけないとね、すごいフラストレーションが残るっていう「今♪」「今♪」っていうところね。「別れの時♪」のところ。「今♪」「今♪」「別れの時♪」「別れの時♪」って。そこがみんな、言いたいみたい。

(中澤有美子)盛り上がるところだから。

(安住紳一郎)盛り上がるところだから。ですって。お聞きいただきましょう。今度はタンポポ児童合唱団の皆さんです。『旅立ちの日に』。二部合唱です。

タンポポ児童合唱団『旅立ちの日に』二部合唱

(安住紳一郎)素晴らしいですね。『旅立ちの日に』。私たちは歌ったことないんですけども。もうこのサビの部分は自ら、どこかのパートに所属してますよね。

(中澤有美子)そうですね。うん(笑)。追いかけるパート、やりたいね(笑)。

(安住紳一郎)これはさ、たぶん追いかけるテナーパートとかが楽しいよね。「今……♪」「今!」「別れの時」「時!」っていうね。「飛び立とう」「たとう!」「未来信じて」「はずむ」「はずむ!」でしょう? 「この広い……」「広い!」「おお……ぞらに!」でしょう。やりたい。これ、楽しいもん。やりたい! やりたいよ、これ!

(中澤有美子)フフフ(笑)。

(安住紳一郎)やりたい! これはいい! これはいいよ。それぞれのパート、盛り上がる。

(中澤有美子)うん。本当にそうですね。

(安住紳一郎)ふざけんなよ!っていう話ですよね。

(中澤有美子)羨ましい?(笑)。

(安住紳一郎)おおい、若い人たち、聞いてくれぃ。俺たちの頃はね、『大地讃頌』っていうね、すっごい……『土の歌 第七楽章』っていうね、すっごい暗い歌を歌わされてたんだよね。これで私のバスパートとか、もう本当……「ええっ? 何、これ?」みたいな。聞いてみますか、『大地讃頌』? 本当にひどいから!

(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!

(安住紳一郎)フハハハハハハハハッ!

(中澤有美子)いい曲だから!

(安住紳一郎)いい曲だけどね、ソプラノとピアノの伴奏しか楽しくないんだよ、これ。一番気持ちいいのはピアノ伴奏をしてる人とソプラノの人。もう男子パート、バスパートとかもう本当に何も楽しくないから。普通に。モゴモゴモゴモゴ、ファックスの送信機のものまねしてるみたいになるんだから。本当だよ?

(中澤有美子)それがあっての『大地讃頌』(笑)。

(安住紳一郎)でもね、これは本当にひどい。ちょっと、そう。あ、ちょっと時間ないからスタートしてください。でも愚痴は止まらないよ?

(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!

杉並混声合唱団『大地讃頌』


(安住紳一郎)『大地讃頌』をお聞きいただきました。杉並混声合唱団の録音でした。大人になって聞くと全く違う聞き方になるね。これもいい歌だね。

(中澤有美子)そうですね。いい曲ですね。懐かしいな。

(安住紳一郎)うんうん。いやー、上手な人たちが歌うと、いいね。卒業ソングを3曲、紹介しました。

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました