安住紳一郎さんが2021年1月10日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で「エモい」という言葉の使い方を考えていました。
(安住紳一郎)メールです。2021年、私の目標。「私の今年の目標は『エモい』という言葉を使うことです」(笑)。そうね。最近、若い人、使いますもんね。
(中澤有美子)そうですね。
(安住紳一郎)「昨年ごろから巷でよく耳にするようになってきましたが、実は私、この言葉の意味を正しく理解できていないのです。『エモい』ってどういう場面で使えばピタッとはまるのでしょうか? 今、放送中の『キラメイジャー』というテレビ朝日の番組が好きで欠かさず見ていて、そこでキラメイピンクの小夜さんが口癖のようにしきりに『それ、エモい』と言うのですが、私は何に対して『エモい』と言っているのかすらわからないのです。
最高にエモい小夜姉のキャラソン
キセキをユメみる?/大治小夜(工藤美桜)#キラメイジャー #nitiasa pic.twitter.com/Pv8Y9lQc6V— Aimant (@aimant_9305) October 25, 2020
『かっこいい』とは意味が違いますよね? 『自分を持っている』ということなのでしょうか? うーん。それもなんだか違うような気もするし。とにかくよくわからないのです。今年の私の目標は『エモい』という言葉を正しく理解してさりげなく『それ、エモいね』と言えることです。私と同年代の方々はこの言葉をきちんと把握していらっしゃいますか? 把握しているのだとしたら、どういう状況で使っているのですか? 教えてください」という48歳の男性の方ですね。
(中澤有美子)ああー、同世代だー。
(安住紳一郎)「無理に使わなくていいんじゃないか?」という、そういう感想は置いておいて。この人はとにかくこれを使いたいということですからね。うん。「エモい」っていうのは「エモーション」……感情っていうことだもんね。だから感情が揺さぶられた……それぐらい「面白い」とか「いい」とか「感動した」みたいな時に使うんですよね?
(中澤有美子)そうっぽいですね。プラスの時に使うのかな?
(安住紳一郎)そうですよね。私も「エモい」は使ったことないですねー。あとは使うつもりもないかな? どうでしょうね? 「エモい」ね。外来語と日本語の複合の形容詞ですか。だいたいね、「エモい」は若い人たちが「ヤバい」っていうのを便利に使いますよね。なんでもね……本当に状況がまずい時も「ヤバい」って言うだろうし。でも、食べ物を食べて美味しい時も「ヤバい」って言うし。「これはすごいいい場面に出くわした」っていう時にも「ヤバい」って言うしね。だいたい、何でも「ヤバい」って言うんだよね。うん。
(中澤有美子)万能!
(安住紳一郎)食べ物を食べて「ヤバいっすね!」って言うから、本当に何が起こたのかなと思うよね。「毒でも食べたのかな?」と思ったら「美味しい」っていうんだからね。「ヤバい! おおーっ! ヤバいっすね、安住さん!」「うん、ヤバいね!」って思うけどもね。何がヤバいのか、よくわからないんだけども。でも、その「ヤバい」でカバーできない範疇がだいたい若い人は「エモい」ですよね。
(中澤有美子)そうなんだー。
(安住紳一郎)だから、「美味しい」とか「これは面白い」とかいうところは「ヤバい」でカバーしていて。その「ヤバい」の範疇でこぼれたところの自分の心の動きは「エモい」で行けますよね。ちょうど、うーん。テニスのシングルと逆シングルみたいな感じで覚えておけばいいんじゃないですかね? だいたいこう、フォアハンドのところは「ヤバい」で大丈夫ですね。「ヤバい、ヤバい、ヤバい」で。それで「こっちは違うな?」っていう時には「エモい」って返せばいいんじゃないかな?(笑)。
(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!
(安住紳一郎)そうそうそう。バドミントンとかテニスとか、卓球もそうだよね。フォアハンドと逆シングルっていうの? なんていうの?
(中澤有美子)裏面で返すみたいな。
(安住紳一郎)裏面で返す時にはだいたい「エモい」じゃない? だから「ヤバい、ヤバい、ヤバい、エモい。ヤバい、ヤバい、エモい!」っていう。
(中澤有美子)ああ、得意な方は「ヤバい」で?
フォアハンドは「ヤバい」、逆シングルが「エモい」
(安住紳一郎)そう。得意な方は広く7割、8割ぐらいは「ヤバい」で置いておけばいいんじゃないですか? ただ、決まる時には逆ハンドで強いのが決まったりするから。「エモいっ!」みたいなね。「決めよう!」っていう時はもう「エモいっ!」っていうのがね。
(中澤有美子)フフフ、わかった! やってみたくなった(笑)。
(安住紳一郎)そうですね。そんなのようなイメージでしょうか。私はそういう風に把握をしていますよ。一応ね、話し言葉検定1級としてはね。外来語プラス形容詞はだから「エモい」と「ヤバい」。あとは最近は使わないですけども。「エロい」「グロい」「ナウい」とか。それから「ゲスい」っていうのがありますけどもね。
(中澤有美子)えっ、「ゲスい」は外来語由来ですか?
(安住紳一郎)「ゲスい」は外来語由来じゃないですね。完全に日本の伝統的な言葉由来(「下衆」)ですよね(笑)。「それはちょっとゲスいね」っていうような時もありますね。よかったら、挑戦してみてください。「エモい」。ちょっと感動的なあれなのかな? 「高校の時に君からもらった手紙が出てきて、ちょっともうエモくなっちゃったよ」みたいなことを言えばいいのかな? わかんない。正解はわからないね。
(中澤有美子)うーん。もっとなんか軽やかに使っていそうな。うん。
(安住紳一郎)どういう時ですか?
(中澤有美子)いや、本当にわからないですけども。私も今、例を忘れちゃったんですけども。娘に「ねえ、これエモいよね」って言われて。よくわからないままに「お、おおう……」ってうなずいたことがあるんです。結構大したことじゃない時も「エモい」って使うんだなって。
(安住紳一郎)うんうん。「これ、いいよね」っていう時に「エモいね」っていうことですよね。
(中澤有美子)そうですね。「いいよね、悪くないよね」みたいな。
(安住紳一郎)なるほど。たしかにそうですね。「グロい」とか「ナウい」とか「エロい」の使い方は48歳、バリバリわかりますもんね。
(中澤有美子)そうですね(笑)。
「グロい」「ナウい」「エロい」ならわかる48歳
(安住紳一郎)「『ナウい』ってどういう時に使ったらいいんですか?」なんて聞かれたら「ええーっ!? 『ナウい』はあれだよー!」みたいな。うん。
(中澤有美子)うんうん(笑)。「説明しなきゃダメなのかー?」って(笑)。
(安住紳一郎)「説明しなきゃ、ダメ? ええっ? トミー・ヒルフィガーのポロシャツを着ていたら『ナウいね』って言えばいいんだよ」みたいな。
(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!
(安住紳一郎)「そのポロシャツ、ナウいね」みたいなね。そうだよね。
(中澤有美子)そんな感じ、そんな感じ。
(安住紳一郎)ミエコウエサコのゴルフのシャツとかを着ていたら「ナウい!」って……あの、決してディスっているわけじゃありません。「ナウいね!」って言えばいいわけですからね。はあ……私は何歳向けにラジオを包装しているんだろう?
(中澤有美子)そうですね。難しい(笑)。うん。
(安住紳一郎)いろんな人のフォローをして大変だよね。すいませんね。小学生の皆さん。
<書き起こしおわり>