朝井リョウ ゴキゲンなおじさんになりたい話

朝井リョウ ゴキゲンなおじさんになりたい話 高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと

(中略)

(高橋みなみ)でもさっきさ、「教えてくれる人がいたらいいのに」って話があったけどさ。私は結構旦那にいろいろ言ってるわ。

(朝井リョウ)めっちゃいいじゃんって思った。その話。

(高橋みなみ)15違うから、今年44になるの。

(朝井リョウ)じゃあヨネダさんとほぼ同級生なんだ。

(高橋みなみ)そうそう。本当に変わらない。そうなんですよ。でも、お付き合いした当初……だからメール、LINEやり取りがめっちゃ淡白だったの。

(朝井リョウ)でもそれは、おじさんだもん!

(高橋みなみ)いや、それは言われた。「おじさんだから」って言われたんだけど。

(朝井リョウ)どっちがいい? 淡白なおじさんと、もう脂まみれ!

(高橋みなみ)いや、その真中がいいな。その間がいいな。どっちかを……。

(朝井リョウ)淡白。魚でたとえようよ、だから。お寿司ではじめの方に食べるネタのようなおじさんと、もう大トロみたいな、ベッタベタのと……。どっちがいい?

(高橋みなみ)合間にしてくれよ! いや、難しい。だから彼が言ってることもすごく分かる。「うん」とか「はい」とかってなってくるんだけども、もう怖くて。「なにこれ?」って思って。

(朝井リョウ)もう怖い音で再生されちゃうんだ。

淡白すぎるLINEは怖い

(高橋みなみ)(ぶっきらぼうに)「うん」「はい」みたいな感じに聞こえちゃうじゃん。顔も見えていないわけだしさ。だから返ってきた時に「えっ、これってさ、仕事のやり取りもこういう感じなの?」「うん」「めっちゃ怖いよ。特に同世代ならまだあれだけど、若い社員とかに送る時に、『OK』とかでもせめて『!』を1個だけでも全然いいのに……」って。

(朝井リョウ)「!」ね。

(高橋みなみ)「『オーケー』みたいな『ー』だけだと怖いから。それはちょっと改善した方がいいぞ」って言って。それで彼が送っても気持ち悪くならない程度のスタンプをプレゼントしてあげたね。

(朝井リョウ)ちなみに参考までに教えていただいてもいいですか? ドラえもんじゃない> やっぱりドラえもん?

(高橋みなみ)でもね、ドラえもんもプレゼントしたね。ちょうどいいのよ。

(朝井リョウ)ほら! ドラえもん、ちょうどいいと思う。たしかに。

(高橋みなみ)ちょうどいい。で、みんなどの世代も知ってるし。音が出ちゃうとあれだけども。音が出るスタンプならあれだけども。それで「がんばろう!」みたいな。

(朝井リョウ)ああ、ちょうどいいね! わあ、安心した。今、「おじさんからドラえもんが届いたら?」って思ったら。

(高橋みなみ)そうそう。そういうのを送っている。で、たとえば友達だったら友達用には、よく人の名前が付いてるやつ、あるじゃん? 私だったら「みなみ、がんばる」とかさ。

(朝井リョウ)ああっ! えっ、それおじさん、行ける?

(高橋みなみ)それを、私たち周りの人。「仲間内で送ったらちょっとギャップがあって面白いよ」って言って送らせたら、「えっ、そんなの使うんですね」って。グループLINEで盛り上がったりしていて。「ほれほれ」と。

(朝井リョウ)それは仲間内だけですよね?

(高橋みなみ)「それは仲間内だけにしなさい」って言ってます。

(朝井リョウ)そうそう。いいです。いい仕事、されています!

(高橋みなみ)ありがとうございます。あと、やっぱり男性が気をつけなきゃいけないのはお洋服ですねー。

(朝井リョウ)あっ、平林都さんだ! マナー講師の……。

(高橋みなみ)アハハハハハハハハッ! 男性でよくやりがちなのが、男性ってあんまり服装のトレンド、ないですよね?

(朝井リョウ)ごめんなさい。ちょっと疎いかも……。

(高橋みなみ)大学生から着られている服をずっと持ち続けていてですね。それを着てしまうということがありますので。

(朝井リョウ)恥ずかしいですね。「着られちゃう」っていうことで着ちゃうんですよね。

(高橋みなみ)だからね、びっくりしました。チェックシャツ着てコーディネートを組んで。彼なりに出てきたんですけども。「えっ、なにそのオッサン? ヤバいんだけど?」って。なんかヨレちゃっているし。4、50とかでさ、なんかヴィンテージのやつ。ヴィンテージすぎるのを着るとさ、ちょっとみすぼらしく見えてしまうじゃない? だから「若い子がヴィンテージを着るとおしゃれだけど、世代的にちょうど中途半端だから。それは危ない!」って言って。

(朝井リョウ)「ちょっと中途半端」(笑)。それ、新しい日本語です。ちょうど中途半端。どっちやねんっていう(笑)。

(高橋みなみ)ちょうど中途半端。で、「それ、どこから持ってきた?」って言ったら「いや、大学の時から使っていて……」「それはすぐ捨てろ!」っつって。

(朝井リョウ)でもすごい。めちゃめちゃいいね。でも平気で……そう。なんかさ、やっぱり髪型とかにも全然トレンドもないしさ。そうなんだよ。その回答のない問いに向き合う機会がたぶん男性って少ないんです。メイクとかもないし。ヒゲは剃るか伸ばすかだったりするし。髪型も種類がないし。服もどうせスーツを着るし……みたいになってくると。そうなんです。

(高橋みなみ)大事なんです。

(朝井リョウ)はーあ、地球、地球……。

(高橋みなみ)「地球」。フハハハハハハハハッ! 怖い!

(朝井リョウ)だから、地球側に行かなきゃ。もうこうやってその、教えられてばっかりじゃなくて、教える側。迎え入れる側。機嫌よく新規参入の方々を機嫌よく迎え入れる側にならないといけないですよね。本当にね。

(高橋みなみ)ゴキゲンなおじさん、おばさんにね、私たちもなっていかないと。私、結構リーチかかっているよ。ゴキゲンなおばさんだもん。たぶん私。

(朝井リョウ)いや、めちゃめちゃいいと思う。それ。

(高橋みなみ)たぶん。自分で言うのもなんだけど、相当にゴキゲンなおばさんだよ?

(朝井リョウ)そう。なんかね、ゴキゲンっていうのは本当に才能だから。

(高橋みなみ)そう。なんか若い子にさ、イコールなめられてるじゃない?って思われるかもしれないけども。

(朝井リョウ)そう思われる期間はあるかもしれない。でもその期間を抜けたらもう最高の人ですよね。

(高橋みなみ)すいません。ゴキゲンライフをお先に送らせていただきます。

(朝井リョウ)ええーっ、どうしよう? えっ、整形かな?

(高橋みなみ)整形はやめて(笑)。どういうこと?

(朝井リョウ)もう目がじっとりとしているのよね、たぶん。整形かも。

(高橋みなみ)嘘でしょう?

(朝井リョウ)そのゴキゲン……言うわ。外科医にも。「ゴキゲンに見られたいので……」って。美醜じゃなくて、ゴキゲンに見られたから整形するっていう。

ゴキゲンに見られたから整形する

(高橋みなみ)この、でもマスク生活がいつまで続くかわからんけどさ。そのゴキゲンさというものを空気感と目だけで表わさなきゃいけないわけでしょう? だからさっきの口元を……さっき、マスクをパッと外して見せてくれたけども。(マスクを外した朝井リョウを見て)あ、それ! 気持ち悪い! やめて!

(朝井リョウ)しまいます。スッとしまいます。

(高橋みなみ)本当に怖いから! でも、笑ってるっていうのが一番わかりやすいんだけどさ。それが見えないから。ちょっと目元と空気感だけで出してもらっていいですか? ゴキゲンな空気を出してもらっていいですか?

(朝井リョウ)行きます。せーの!

(高橋みなみ)いや、目が見えん。目、細い(笑)。

(朝井リョウ)整形しかないよ、もう……。

(高橋みなみ)ちゃうんだよなー。

(朝井リョウ)『ビューティーコロシアム』行きだよ。公園でブランコ乗りながら「ゴキゲンに見られたい……」って(笑)。

(高橋みなみ)アハハハハハハハハッ!

<書き起こしおわり>

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