町山智浩 ニューヨーク以外の州の新型コロナ感染拡大を語る

町山智浩 ニューヨーク以外の州の新型コロナ感染拡大を語る たまむすび

町山智浩さんが2020年8月4日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でアメリカの新型コロナウイルスの感染再拡大についてトーク。ニューヨーク以外の都市で感染が広がっていいる理由について話していました。

(町山智浩)はい。今日はね、まあ新作映画がもう公開されないので。

(赤江珠緒)もう全然ですね。

(町山智浩)もう全然ダメですね。

山里:なんか見えないですね。いつ……よくなっていくきっかけとかも何も分からないですもんね。

(町山智浩)あのね、とりあえず8月25日にアメリカの映画館はオープンすると言っていて。新作映画もそこから公開していこうと言ってるんですけども。ただ、感染者のその増え方と死者の増え方が全然収束傾向に向かってないんで。まあ、死者が既に15万人を超えて16万人に向かっているんですけども。増加中なんで、これは最終的には20万人まで行くだろうって言われてるんですよ。そうなるとアメリカって第二次大戦での死者が29万人なんですけど。それにすごく近くなっちゃうんですよ。だからもうアメリカっていう国の長い歴史の中でも大変な悲劇になりつつあるんですね。

(赤江珠緒)そうか。なんかニューヨークでは検査が割と自由にできるようになって、ちょっと抑え込んでいるみたいな……。

(町山智浩)全員検査で何度でも検査ができて。ちょっとでも陽性だと、完全にその人を封じ込めて……っていう感じで接触させないようにするっていうのを繰り返してるんで。ニューヨークはもう死者がゼロの日もあって。徹底的に抑え込んでるんですけど、ただニューヨークは他の州からの人は入れないっていう状態担っています。

(赤江珠緒)ああ、そうなんですね。

(町山智浩)それしかないんですよ。だから完全な鎖国状態になっていますね。ニューヨークは。国じゃないんですが、ニューヨークの周辺の州は他州からの入州を禁止しているという状態になってます。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)がっちり抑え込んでます。

(赤江珠緒)じゃあ、全土で見ると全然、そういうことなんですね。

(町山智浩)そうなんです。それでうちの方、カリフォルニアはね、一時すごい押さえていたんですよ。アメリカで最初にロックダウンみたいなのを初めて。で、すごく押さえていたんですけど、5月半ばにビジネスを始めちゃったらグワワワワーッと広がっていってですね。で、先月の終わりに州知事が「やめよう。やっぱりストップ。全部閉める!」ってことになって今、ブワーッと閉まっています。

山里:その繰り返しですもんね。

(町山智浩)そうなんですよ。ただね、カリフォルニアで増えている理由ってのはある程度、はっきりしていて。刑務所なんですよ。

(赤江珠緒)えっ?

刑務所内での感染拡大

(町山智浩)刑務所に入っちゃったんですよ。刑務所は最初はなかったんですよ。感染をすごく押さえていて。それがね、なんかどこかからか、移動してきた囚人を入れて。サンクウェンティンという刑務所があって、凶悪犯とかがいっぱい入っている一番有名な刑務所なんですけど。そこで内部感染がグワーッと広がって、死者も出て。もう1000人を超えて。感染者数がで。そういうところが、各地の刑務所で……一旦、入ると逆にすごく密な状態だから、グワーッと広がっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)そうですよね……。

(町山智浩)それまでは抑えていたんだけども。だから、暴力犯じゃない人とか性犯罪者じゃない、経済犯とか。詐欺とか。そういう人たちは釈放するって言ってるんですよ。

(赤江珠緒)もうそういう事態ですか?

(町山智浩)そういう事態です。ただ、その人たちがどこに行くのか?って問題もあるんですよね。それと、あとはサンディエゴの東の方の農業地帯があって。メキシコ系の人ばっかり住んでるところがあるんですけど。インペリアル・カウンティーっていう。そこが爆発的に感染が拡大してるんですよ。それはね、メキシコ系の人たちは大家族なんですよ。で、おじいちゃんもおばあちゃんも孫みんなで、親戚で長いテーブルでご飯を食べるっていう生活をしてたから。これはね、分断することはできなかった。

ニューヨークでも最初の感染はイタリア系の人たちの結婚式場とかから広がったんですけど。大家族制度ってこれ、日本だという細かく分けているじゃないですか。核家族化が進んで。大家族制度は分けられないですよ。だって普段、一緒に暮らしているんだもん。

(赤江珠緒)そうですよね。

(町山智浩)ねえ。だからこれはね、もう生活自体を根本的に変えろっていう話になっちゃうんで、それはやっぱり無理ですよね。だからね、結構カリフォルニアの感染拡大の仕方は他とはちょっと事情が違って。地域的なね理由があるんですけどね。で、アリゾナとかフロリダとかはビジネスを始めちゃって。レストランとかディズニーワールドとかオープンしたからなんですけどね。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)フロリダはね、医療崩壊を今、しかかっていますね。

(赤江珠緒)ああ、そうですか……。

(町山智浩)あと、マスクをしない人が多いんですよ。

(赤江珠緒)いまだに?

(町山智浩)あのね、トランプさんがマスクをしなかったんで、トランプ支持者の間では「マスクしないのがかっこいい」っていうことになって。マスクをしないということがトランプ支持の証であるってことで、オクラホマで6月にやったトランプ集会では誰もマスクをしないまま何千人も集まっちゃったりとかしてて。で、さすがにファウチさんというコロナ対策のトップの人に怒られて。トランプ大統領も。それでやっとマスクをするようにはなったんですけどもね。

マスクをしないトランプ支持者たち

(町山智浩)ただ、今でもマスクはトランプを支持してアメリカの個人の自由を守る人にとっては、それは「全体に屈服したことになるからマスクは絶対しない」っていうね、曽野綾子さんみたいな人がアメリカにはいっぱいいて。アメリカ、もう何百万人もそういう方がいるんで大変なんですけどもね。マスクは人に伝染さないようにするためのものだから。「俺は怖くない!」とかって言ってマスクをしない人も、「いや、それはお前の問題じゃないんだよ。お前が死んでもいいけど、お前が気が付かないうちにウイルスを運んでいる可能性があるから……」っていう。

(赤江珠緒)町山さん! ヒートアップしてる!(笑)。

(町山智浩)だからマスクをするんですよっていうね。そういう話が分かってない人は多いんですよね。

(赤江珠緒)たしかね。そう。衛生上の問題で、思想とか関係ないですからね。

(町山智浩)思想は関係ないんですよ。

<書き起こしおわり>

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