DJ松永 夏フェスのないコロナ禍の夏を語る

DJ松永 夏フェスのないコロナ禍の夏を語る ACTION

DJ松永さんが2020年7月29日放送のTBSラジオ『ACTION』の中でコロナ禍によって夏フェスやライブ、イベントが次々に中止になってしまっている2020年の夏について話していました。

(DJ松永)今週1週間のメールテーマが「コロナ禍の夏、何をしますか?」ということですけども。なかなか今、ライブもできない時期ですからね。毎年、私は夏フェスなんかに呼ばれていて、ライブで忙しくしていた時期なんですけれどもね。

(幸坂理加)ああ、この時期は?

(DJ松永)そうそう。だからたまにSNSとかでバンドの人たちがね、例年ライブ……フェスとかでやってた時の映像、短い動画をTwitterとかにパッと上げてたりとかするんですよ。俺、それを見て「うっ……」って。マジで泣きそうになっちゃったりとかして。俺、やっぱりライブを……ライブがね、普段当たり前にあった時期はライブが目の前にあるとなんか山場というか、戦いというか。越えなきゃいけない壁みたいな。「よし! これからライブ、戦いに行くぞ!」みたいな感じだったけど、結構なんかインフラだったんだな、みたいなことを今になって思いますね。

何かこう、生命活動において大事なものだったんだなって。結構それで精神がトントンになっていたんだなっていうのをすごい思って。今、コロナになってライブがなくなるじゃないですか。で、ありがたいことにCreepy Nutsは音楽以外の仕事がね、たとえば『ACTION』とか、音楽以外の仕事をたくさんいただいていたから、まあ正直そんなには暇にはならなくて。それはありがたいことだなと思ったんですけど。他の、たとえばバラエティーとかラジオとやらせていただいて、なんかそれだけ出ていると結構疲弊するなとも思いましたね。

(幸坂理加)ああ、ライブがないと?

(DJ松永)そう。特に俺、個人的なあれですけども。たとえば今日1日を過ごして、「いや、あの時になんか変なことを言っちゃったな」とか「なんかあの時に俺、態度悪かったな」とか。「あの時にこう言えばよかったのにな」とか「あの時、どう見られてたかな?」みたいなことを思い返して、それで自宅に帰って今日1日を終えるみたいな。そういう風に他人の目が気になっちゃうわけですよ。でも、メディア関係の仕事って人間関係の縮図をたとえば1時間とか2時間とかでやるわけじゃないですか。

それによって、なんか人目にさらされるという快感もあるけど、結構疲弊する部分も多いんだなとか思って。だからそれだけをやっている人って結構天才的というか。みんな、そういう適性がある人たちなんだなと思って。「ああ、俺って凡人なのかな?」とか思うんですけど。でも、ことライブに関しては、もう100パーセント自信があって。これには、「これ、どうだい?」っていう。もうドーン!ってやって、それでその魅力でお客さんはぶん殴られるみたいな。

なんか、元々人前に立ってね、歓声を浴びたい、脚光を浴びたいみたいな欲があるから。ナルシストな部分、かっこつけの面があるからたぶんこの仕事をやってると思うんですけど。その俺のナルシズムを全部、ライブで消化できてたなと思うんですよね。で、それで他のメディアの仕事とたぶんトントンにしていたんだなって。そこで自尊心を削られて。それでライブで俺のナルシシズムを全消化して。それでトントンにしてたんだなって思っていたんですよね。

だからやっぱりフェスとかライブがないってこんなにキツいのかとか思って。だから、結構バンドの人がライブ中にMCで「ライブが俺の居場所だ」みたいな。ライブだとめっちゃ熱いことを言ってるのも、俺は定型文みたいな感じで聞き流していたんですけども。それ、みんなが言う言葉みたいな感じで。でもあれって、結構みんな実感を込めて言ってたんだなって今、こうなってみて思いますね。

ライブで精神をトントンにしていた

あと、毎年DMCに出てましたね。DJの大会の。DJの大会があったから事実、毎年夏は結構しんどい思いをしていたっていうか。DMCで追い込まれて。不安な気持ちになって。練習で。「うわあ、勝てないかな……」っていう不安に苛まれて、負けて、めちゃめちゃ落ち込むみたいな感じで例年、過ごしていたんで。夏は……去年はありがたいことに勝てたけど、夏はもうそうやって不安がいっぱいな気持ちで過ごしたので。なんか夏を満喫できてたっていう記憶は正直、ずっとなくて。で、やっと今年、DMCのことを全く考えずに。

(幸坂理加)ああ、そうか。世界一になったからね。

(DJ松永)そう。ただピュアにフェスとかライブに向き合えるかなとか思ったけど、そうは行かないもんですね。

(幸坂理加)ねえ。

(DJ松永)ちょっと前にCreepy Nutsで昔ね、『”悩む”相談室』っていうネットのラジオをやってたんですよ。それは、もうオールナイトとかを始める前に、ただ俺がラジオ憧れ。「ラジオが大好きだから、ラジオみたいなことをやりたい」って言ってネットで始めたラジオの企画だったんですけれども。自分でジングル作って、自分で台本みたいなのを書いて……(笑)。

(幸坂理加)えっ、楽しそう!

(DJ松永)それでいろいろやってみて一時期やっていた……最近はもうめっきりやっていないんですけども、そういうのをやっていて。それでその昔のやつを聞いてたら、2016年かなんかかな? 俺がDMCで負けた後に収録していた回を聞いて、もう俺、すげえ態度が悪くて。

(幸坂理加)えっ、それは1人でやっているんですか?

(DJ松永)Rと2人でやっていて。で、「松永さん、ねえ。DMCがあって……」みたいな。もう負けた後の収録で。「いや、でも松永さん、かっこよかったっすよ」みたいに言われて「ああ? お前、俺をカウンセリングしようとしてんのか、オラッ!」とか俺、Rに対して言っていて。俺、最悪ですよね?(笑)。

(幸坂理加)うん(笑)。

(DJ松永)「おお?」とか。Rが俺のことを褒めてくれたり、慰めようとしてくれて超あいつ、優しいなとか思っていたんですよ。後でその日の放送を聞いて。あいつもMCバトルで戦ってきたやつだから。負けたり勝ったりを繰り返して、最終的に勝って、殿堂入りになったってことで、負けたやつの気持ちもすごい分かる人間だから、すごい俺に寄り添って。なんかめちゃめちゃ丁寧に接してくれているのに全部俺は「おう、うん。で? おう?」みたいになっていて。あいつ、よく俺とグループを組んでくれていたなって思って(笑)。

(幸坂理加)フフフ、懐が広いですね(笑)。

(DJ松永)もう本当、「すごいごめん!」って思ったんですよ。それが毎年よ、俺? 俺と一緒に夏を越すの、ダルいって。マジで!

(幸坂理加)大変(笑)。

(DJ松永)だけど今年はコロナ禍でどうするのかな?って思います。あと、毎年ね、長岡花火っていうのが8月の頭にあって。私の地元の新潟県長岡市で長岡花火っていうのがあって。それを毎年見に帰っていて。本当に長岡市民にとっては2個目の正月みたいな感じで。みんな、実家に帰ってみたいな。そういうのもなく。もう正直、ふさぎこみがちな夏ですよ。でも、秋田も花火、ありましたよね。大曲の。

(幸坂理加)でも今年、大曲の花火、中止なんですよ。

(DJ松永)中止っていつごろ発表されたんですか?

(幸坂理加)わかんないけど、中止でした。

(DJ松永)いつもはいつなんですか?

(幸坂理加)8月……です。同じ時期じゃないですかね?

(DJ松永)ちゃんと日にちを把握してないんですか?(笑)。

(幸坂理加)ええとね、8月の20何日。

(DJ松永)あ、本当? 危ねえ! なんか大曲への思い入れ、超なさそうだなとか思って(笑)。

(幸坂理加)ありますよ?(笑)。

(DJ松永)大曲の花火、行ってました?

(幸坂理加)行ってないです。

(DJ松永)行ってなかったんかい!(笑)。全然思い入れないじゃないですか(笑)。だって俺、調べたけども大曲の花火って毎年70万人以上行ってるっていう。その中に幸坂さんはいなかったんですか?

(幸坂理加)だって激混みだから行かないでしょう? あ、でも行ったら素晴らしいですよ。それはね。

(DJ松永)もう……実感こもってないよ、それ(笑)。あれ、アナウンサーの仕事としてその大曲の花火関係の仕事はなかったんですか?

(幸坂理加)交通整理……どのぐらいの渋滞具合ですよっていうのラジオで言うっていう仕事がある。

(DJ松永)ああー。まあ、たしかに花火を味わえてはいないわな(笑)。

(幸坂理加)でも「行けない」ってなるとより、行きたくなりません?

(DJ松永)たしかに。「ない」ってなるとね。

(幸坂理加)そう。夏祭もそうですけど。

(DJ松永)でも「ない」ってなってから「あれ、惜しかったよね」って言う人が一番嫌われます! 「惜しい、惜しかった」みたいな(笑)。

(幸坂理加)言うよねー。言いますよねー。

(DJ松永)ある時期に……もう毎年、ある時期にちゃんとあれがある幸せを噛み締めてほしいですよね。

(幸坂理加)そうなの? だってほら、浴衣とかも毎年着てるわけじゃないけど、「着れない」ってなると着たくなるじゃないですか。わかります?

(DJ松永)ああ、そういうのもあるんですね。でも竿燈の祭とかってあるのかな?

(幸坂理加)竿燈(かんとう)まつり? 秋田は竿燈まつりですよ。

(DJ松永)あれは?

(幸坂理加)中止です。

(DJ松永)全部ないじゃないですか……でも、あれはたしかに、ライブとかもないならあれもないわなっていう感じがしますよね。で、来年の今頃もあるのかな? 本当に。

(幸坂理加)あってほしいですよね。

来年の夏はできるのか?

(DJ松永)あってほしいですよね。長岡市、めちゃめちゃそれで稼いでいたからな。それありきでいろいろと考えていただろうに……だって途中まで、みんな結構無料で見ていたんですけど、あの鑑賞スポットが全部マス席になって。途中から超金を取りはじめて。「うわっ、すげえ金を稼いでいる!」って思って。で、そこからなんかめちゃめちゃ高い市役所とか、過剰に豪華なアオーレ長岡の市役所が出来たりしていて。「Oh、花火マネー!」とか思っていたりしましたけど。それがないとなると、大変ですよね。

(幸坂理加)ねえ。なんか夏、感じています? 夏らしい音楽とか。

(DJ松永)ああ、あの、今はめちゃくちゃレゲエを聞いてます。めちゃめちゃ。レゲエって流行っていませんでしたか? 学生時代とか。

(幸坂理加)ああ、MEGARYUってレゲエですか?

(DJ松永)MEGARYU! レゲエですよ!

(幸坂理加)聞いてた、聞いてた!

(DJ松永)うわっ、MEGARYU懐かしい! いや、もうレゲエなんですよね。だからレゲエと言ったらやっぱり本番は夏フェスとか、夏のレゲエのイベントがいっぱいあったのに。もうみんな、大変な思いをしていますよ。レゲエの人たちとCreepy Nuts、絡みもね。ライブで一緒になったりっていうのもあったんで。それがないのも寂しいですけどね。今年の夏、ちょっと楽しいことをいろいろと考えて過ごさないといけませんね。

<書き起こしおわり>

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